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【弁護士解説】厚労省が初公表!スーパー業界向け「カスハラ対策マニュアル」

2025年3月、厚生労働省がスーパーマーケット業界を対象としたカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを初めて公表しました。

この業種別マニュアルは、深刻化するカスタマーハラスメント問題に対応するため、業界の実態調査を踏まえて策定された実務的なガイドラインです。

本記事では、経営者の皆様に向けて、このマニュアルの概要と重要なポイントについて解説します。

【参考】
厚生労働省|業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル (スーパーマーケット業編)等を作成しました。
厚生労働省|業種別カスタマーハラスメント対策
企業マニュアル総合的ハラスメント防止対策事業 業種別カスタマーハラスメント対策検討委員会 スーパーマーケット業編

厚生労働省|周知啓発用ポスター

目次

カスタマーハラスメントの定義

ここでは、マニュアルで定められたカスタマーハラスメントの定義について説明します。

マニュアルでは、カスタマーハラスメントを以下のように定義しています。

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの

業種別カスタマーハラスメント対策検討委員会 スーパーマーケット業編 4頁

判断基準は二段階で行われます。

  • 主張・要求に正当な理由があるか
  • 社会通念に照らして表現・回数・態様等が相当な範囲か

該当する具体的行為として以下が挙げられています。

  • 身体的な攻撃(暴行、傷害)
  • 精神的な攻撃(脅迫、中傷、暴言)
  • 威圧的な言動
  • 土下座の要求
  • 継続的・執拗な言動
  • SNS等を用いた誹謗中傷

業界の深刻な実態

ここでは、マニュアル策定の根拠となった実態調査の結果について説明します。

スーパーマーケット業界を対象とした調査では、驚くべき発生率が明らかになりました。

  • 過去3年間にカスタマーハラスメントの相談があった企業:76.2%
  • そのうち実際に該当事例があった企業:94.8%
  • 件数が増加している企業:42.9%

最も多い行為類型

  • 継続的・執拗な言動:84.9%
  • 威圧的な言動:75.3%
  • 精神的な攻撃:65.8%

企業対応の課題

  • 社内で統一のルール等がなく現場で個別対応:58.4%
  • 正当なクレームとの区別が困難:77.2%

業界共通方針

ここでは、マニュアルで示された業界統一の方針について説明します。

スーパーマーケット業界として、「暴力的な言動や過剰ととれる要求、根拠のない主張など、社会通念上不相当なものについては、十分説明した上でご理解いただけない場合、企業・店舗として顧客等に注意・警告を行うなど毅然と対応する」という共通方針を策定しました。

業界共通の啓発ポスターも作成され、店舗での掲示に活用できるようになっています。

企業が取り組むべき7つの対策

ここでは、マニュアルで示された具体的な対策について説明します。

企業が講じるべき対策として、以下の7つの分野が示されています。

  1. 事業主の基本方針・基本姿勢の明確化
  2. 従業員のための相談対応体制の整備
  3. 対応方法、手順の策定
  4. 社内対応ルールの従業員等への教育・研修
  5. 事実関係の正確な確認と事案への対応
  6. 従業員への配慮の措置
  7. 再発防止のための取組

各対策には具体的な実施方法と企業事例が紹介されており、実務的な参考資料として活用できます。

刑事罰のリスク

ここでは、カスタマーハラスメントと刑事罰の関係について説明します。

マニュアルでは、多くのカスタマーハラスメント行為が刑事罰に該当する可能性を明記しています。

  • 暴行罪、威力業務妨害罪、器物損壊罪
  • 脅迫罪、恐喝未遂罪、強要罪
  • 侮辱罪、軽犯罪法違反、詐欺罪

企業はこれらの犯罪行為に対して毅然とした対応を取ることが重要であると強調されています。

予防策の重要性

ここでは、カスタマーハラスメント予防の重要性について説明します。

実態調査では、カスタマーハラスメントに発展した原因として以下が確認されています。

  • 顧客対応・サービス対応等の遅延:71.2%
  • 対応者の説明・コミュニケーション不足:63.6%

このため、従業員の顧客対応力向上も重要な予防策として位置づけられています。

このマニュアルは、カスタマーハラスメント対策を体系的に整理した初の業種別指針として、他の業界にとっても重要な参考資料となっています。各企業においては、このガイドラインを参考に自社の実情に応じた対策の検討が期待されます。

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