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弁護士法人ネクスパート法律事務所

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知らないと危険!下請法違反にならないための契約書作成・レビューのポイント

企業間の取引では、立場の弱い下請事業者が不利益を被らないよう「下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)」が定められています。下請法は、親事業者による優越的地位の濫用行為を取り締まり、公正な取引の実現を目指すものです 。

下請法では、親事業者が守るべき義務や禁止行為が細かく定められており、知らず知らずのうちに違反していたというケースも少なくありません。違反すると、罰則や勧告・公表の対象となり、企業の信頼を大きく損なうおそれがあります。

トラブルを未然に防ぎ、健全な取引関係を築くためには、契約書(下請法では「書面」と呼びます)の内容を正しく理解し、作成・レビューすることが極めて重要です。

ここでは、下請法に違反しないための契約書作成・レビューのポイントをわかりやすく解説します。

目次

【親事業者向け】契約書(発注書面)作成で必ず盛り込むべき12の事項

下請法では、口頭での発注によるトラブルを防ぐため、親事業者は発注の際に直ちに、具体的な内容を記載した書面(3条書面)を交付する義務があります。この書面に記載すべき事項は、以下の12項目です。

  1. 親事業者及び下請事業者の名称
  2. 委託した日
  3. 下請事業者の給付の内容(委託業務の具体的な内容)
  4. 給付を受領する期日(納期)
  5. 給付を受領する場所
  6. 検査を完了する期日
  7. 下請代金の額(具体的な金額が定められない場合は、算定方法を記載)
  8. 下請代金の支払期日
  9. 手形を交付する場合の金額及び満期日
  10. 一括決済方式で支払う場合の詳細
  11. 電子記録債権で支払う場合の詳細
  12. 原材料などを有償で支給する場合の品名、数量、対価など

特に重要なのは支払期日です。支払期日は、物品などを受領した日から60日以内で、かつ、できる限り短い期間内に定めなければなりません。

もし支払が遅れた場合、親事業者は受領日から60日を経過した日から実際に支払う日までの期間について、年率14.6%の遅延利息を下請事業者に支払う義務が生じます。

これらの記載事項を網羅した書面を交付しないと、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

親事業者・下請事業者向け】契約書レビューで特に注意すべき禁止条項

契約書を作成・レビューする際は、親事業者に課せられた11の禁止行為に違反する内容が含まれていないか、細心の注意を払う必要があります。たとえ下請事業者との合意があったとしても、これらの禁止行為に該当すれば下請法違反となります。

特に問題となりやすい代表的な禁止行為は以下のとおりです。

不当な「下請代金の減額」

下請事業者に責任がないのに、発注時に定めた下請代金を発注後に減額することは、全面的に禁止されています。

「協賛金」「販売協力金」「値引き」など、いかなる名目・方法であっても認められません。

  • 契約書レビューのポイント
    • 「別途協議の上、協力金を支払う」といった曖昧な条項はないか。
    • 振込手数料を下請事業者に負担させる合意がないのに、一方的に差し引く内容になっていないか。
    • 消費税・地方消費税分を支払わない内容になっていないか。

著しく低い価格での発注「買いたたき」

市場価格など、通常支払われる対価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めることです。

下請事業者と十分に協議することなく、一方的に低価格を押し付ける行為は「買いたたき」に該当するおそれがあります。

  • 契約書レビューのポイント
    • コストダウン要請などを理由に、合理的な根拠なく一方的に単価を引き下げる内容になっていないか。
    • 大量発注を前提とした見積単価を、少量の発注に適用するような内容になっていないか。

一方的な「返品」

下請事業者に責任がないのに、受領した物品などを返品することは禁止されています。

「在庫が余ったから」「販売先の都合でキャンセルになったから」といった親事業者の都合による返品は認められません。

  • 契約書レビューのポイント
    • 親事業者の都合で自由に返品できるような条項が含まれていないか。
    • 不良品であっても、直ちに発見できない瑕疵がある場合を除き、受領後6か月を超えて返品できるような内容になっていないか。

その他11の禁止行為

上記以外にも、下請法では以下の行為が禁止されています。

  1. 受領拒否
  2. 下請代金の支払遅延
  3. 物の購入強制・役務の利用強制
  4. 報復措置(下請事業者が違反を申告したことに対する不利益な取扱い)
  5. 有償支給原材料等の対価の早期決済
  6. 割引困難な手形の交付(サイトが60日を超える手形など)
  7. 不当な経済上の利益の提供要請(協賛金の要求など)
  8. 不当な給付内容の変更・やり直し(費用を負担しないやり直しなど)

下請法違反のリスク

親事業者が下請法に違反した場合、公正取引委員会から違反行為の是正や原状回復(減額分の返還など)を求める「勧告」が出されることがあります。

勧告を受けると、企業名や違反内容が公表されるため、社会的な信用を失墜させるなど、企業経営に深刻なダメージを与える可能性があります。

また、前述のとおり、書面の交付義務や書類の作成・保存義務に違反した場合には、50万円以下の罰金が科されることがあります。

まとめ

下請法は、公正な取引の基盤となる重要な法律ですが、その内容は複雑で、意図せず違反してしまうリスクも潜んでいます。

自社の契約書の内容は適切か、現在の取引慣行に問題はないかなど、少しでも不安や疑問を感じた場合は、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、個別の取引内容に応じて、下請法に準拠した契約書の作成・レビュー、社内体制の整備などをサポートします。早期にご相談いただくことで、将来のトラブルを未然に防ぎ、下請事業者との健全で良好な関係構築につながります。お気軽にお問い合わせください。

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