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弁護士法人ネクスパート法律事務所

弁護士法人ネクスパート法律事務所は、中小企業の法務に強い法律事務所です。

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初回相談は無料で、急なトラブルにも積極的に対応致します。 ぜひお気軽にご相談下さい。

【受注者向け】下請法はあなたの味方!不当な取引から身を守るために知っておくべきこと

「親事業者から急な仕様変更を無償で求められた…」
「納品したのに、代金をなかなか支払ってもらえない…」
「理由もなく、一方的に代金を減額された…」

このような理不尽な要求や扱いは、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」に違反している可能性があります。下請法は、弱い立場に置かれやすい下請事業者を守る法律です。

この記事では、下請事業者(受注者)の皆さまが、不当な取引からご自身を守るために知っておくべき下請法の基本的な知識、特に親事業者に禁止されている行為や、下請事業者が持つ権利について解説します。

目次

あなたの取引は下請法の対象?確認のポイント

ご自身の取引が下請法の適用対象かを確認することが重要です。下請法は、取引当事者の「資本金区分」と「取引の内容」で適用範囲が決まります。

親事業者と下請事業者の資本金区分

親事業者と下請事業者の資本金の組み合わせは、取引内容により以下の2パターンです。

  1. 物品の製造委託・修理委託、プログラム作成委託、運送・物品倉庫保管・情報処理の役務提供委託の場合
    • 親事業者の資本金3億円超 → 下請事業者の資本金3億円以下(個人を含む)
    • 親事業者の資本金1,000万円超3億円以下 → 下請事業者の資本金1,000万円以下(個人を含む)
  2. 上記以外の情報成果物作成委託・役務提供委託の場合
    • 親事業者の資本金5,000万円超 → 下請事業者の資本金5,000万円以下(個人を含む)
    • 親事業者の資本金1,000万円超5,000万円以下 → 下請事業者の資本金1,000万円以下(個人を含む)

取引の内容

対象取引は以下の4種類です。

  • 製造委託
  • 修理委託
  • 情報成果物作成委託(ソフトウェア、映像コンテンツ、デザイン等)
  • 役務提供委託(運送、ビルメンテナンス等。建設工事を除く)

ご自身の事業がこれらに該当するか確認しましょう。

こんなことされていませんか?下請法が禁じる親事業者の11の行為

取引が下請法の対象なら、親事業者は以下の11の行為が禁止されています。これらはあなたが合意しても、親事業者に悪意がなくても、違反となる可能性があります。

一方的な受領拒否

あなたの責任ではないのに、親事業者が発注した物品やサービスの受領を拒否することは禁止です(下請法第4条第1項第1号)。

  • 具体例:親事業者の都合で、製作済みの製品の受領を拒否される。

下請代金の支払遅延

親事業者は、納品物受領日から60日以内の支払期日までに代金を支払わなければなりません(下請法第4条第1項第2号) 。

  • 具体例:社内検査の遅れを理由に、支払期日を過ぎても支払われない。

不当な下請代金の減額

あなたの責任ではないのに、発注時に合意した代金を発注後に減額することは禁止です(下請法第4条第1項第3号) 。

  • 具体例:「予算が減った」等の理由で、一方的に代金を減らされる。

不当な返品

あなたの責任ではないのに、一度受領した物品を返品することは禁止です(下請法第4条第1項第4号) 。

  • 具体例:親事業者の生産計画変更で不要になった部品を返品される。

買いたたき

通常支払われる対価より著しく低い金額を一方的に代金として定めることは禁止です(下請法第4条第1項第5号) 。

  • 具体例:原材料費高騰にもかかわらず、協議なく一方的に単価を据え置かれる。

購入・利用強制

正当な理由なく、親事業者が指定する製品・サービス等を強制的に購入・利用させることは禁止です(下請法第4条第1項第6号) 。

  • 具体例:親事業者や関連会社の商品を、必要もないのに購入するよう強要される。

報復措置

あなたが親事業者の違反行為を公正取引委員会等に知らせたことを理由に、不利益な扱いを受けることは禁止です(下請法第4条第1項第7号) 。

  • 具体例:公正取引委員会に相談したことを理由に、発注量を減らされる。

有償支給原材料等の対価の早期決済

親事業者が有償支給した原材料を使う場合、その製品の代金の支払日より早く、原材料代金を支払わせたり差し引いたりすることは禁止です(下請法第4条第2項第1号) 。

  • 具体例:加工期間を考慮せず、原材料支給後すぐにその対価を差し引かれる。

割引困難な手形の交付

一般の金融機関で割引困難な手形(令和6年11月1日以降は手形期間60日超が指導対象)を交付することは禁止です(下請法第4条第2項第2号) 。

  • 具体例:手形期間が65日の手形を交付される。

不当な経済上の利益の提供要請

親事業者が自己のために、あなたに金銭やサービス等を不当に提供させることは禁止です(下請法第4条第2項第3号) 。

  • 具体例:「決算協力」等と称し、協賛金を求められる。

不当な給付内容の変更・やり直し

あなたの責任ではないのに、発注取消や内容変更、納品後のやり直しをさせ、発生費用を親事業者が負担しないことは禁止です(下請法第4条第2項第4号) 。

  • 具体例:親顧客の都合で発注キャンセルされ、作業済みの費用を支払ってもらえない。

親事業者にこれらを要求できます!下請事業者の権利

ここでは、下請法に基づき、下請事業者が親事業者に対して主張できる権利を説明します。

下請法は親事業者に義務を定めており、これらはあなたの権利に繋がります。

発注書面の交付を受ける権利

親事業者は、発注時、給付内容、代金額、支払期日等を記載した書面(3条書面)を直ちに交付する義務があります(下請法第3条)。 これで契約内容が明確になります。

適切な支払期日の設定を求める権利(60日ルール)

親事業者は、代金の支払期日を、納品日から60日以内でできる限り短い期間内に定める義務があります(下請法第2条の2)。

遅延した場合の遅延利息を受け取る権利

支払期日までに代金が支払われなかった場合、あなたは遅延利息を受け取る権利があります(下請法第4条の2)。 納品日から60日経過後、実際に支払われる日まで年率14.6%です。

もし「これって違反かも?」と思ったら

ここでは、下請法違反が疑われる場合の対処法や相談先を説明します。

泣き寝入りする必要はありません。

まずは記録を残しましょう

取引経緯の証拠(発注書、メール、納品書、請求書等)を保存しましょう。

相談窓口の活用

下請法違反の疑いがある場合、以下の窓口に相談できます。

  • 公正取引委員会・中小企業庁
  • 下請かけこみ寺

匿名相談も可能な場合があります。

弁護士に相談するメリット

弁護士は以下のようなサポートができます。

  • 法的判断
  • 親事業者との交渉代行
  • 内容証明郵便の作成・送付
  • 法的措置の代理

初回相談無料の法律事務所もあります。

まとめ:下請法を理解し、毅然とした対応を

下請法は、皆さまが公正な条件で取引できるよう守る法律です。不当な要求には、下請法違反でないか確認し、必要なら対応をとることが権利を守り、業界慣行改善にも繋がります。 具体的なトラブルでお悩みの場合、早めに専門家にご相談ください。

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