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弁護士法人ネクスパート法律事務所

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【弁護士解説】特定商取引法における通信販売と電話勧誘販売の違い

特定商取引法(以下「特商法」)は、消費者を保護するために特定の取引類型に対して規制を設けている法律です。その中でも「通信販売」と「電話勧誘販売」は、消費者との取引方法が異なるため、それぞれ異なるルールが適用されます。本稿では、これら二つの販売方法の定義、規制の違い、およびその背景について詳しく説明します。

目次

通信販売と電話勧誘販売の定義

通信販売

特商法第11条に規定される通信販売とは、販売業者または役務提供業者が新聞、雑誌、インターネット、テレビ、ダイレクトメールなどを通じて広告を行い、消費者が郵便や電話、インターネットなどを通じて申し込みをする販売形態を指します。つまり、消費者が自ら情報を得て意思決定を行い、能動的に申し込みをする取引形態です。

電話勧誘販売

特商法第16条に規定される電話勧誘販売とは、事業者が電話をかけて勧誘を行い、契約を締結する販売方法を指します。これは消費者が自主的に申し込むのではなく、業者が積極的に消費者へ連絡を取り、契約を結ぶ形態です。勧誘の対象となるのは物品の販売だけでなく、サービスや役務提供も含まれます。

規制の違い

通信販売と電話勧誘販売では、消費者を保護するための規制に大きな違いがあります。それぞれの主な規制の違いについて説明します。

クーリング・オフ制度の適用

通信販売:クーリング・オフ制度の適用なし

通信販売にはクーリング・オフ制度が適用されません。これは、消費者が自発的に情報を収集し、意思決定を行って契約を申し込むため、一定の自己責任が求められるからです。ただし、事業者が自主的に返品特約を設けることは可能であり、その内容を広告などに明示する義務があります(特商法第11条)。

電話勧誘販売:クーリング・オフ制度の適用あり

電話勧誘販売では、契約後8日以内であれば、無条件で契約を解除できるクーリング・オフ制度が適用されます(特商法第24条)。これは、消費者が不意打ち的に勧誘を受け、冷静な判断ができない可能性があるためです。

契約内容の明示義務

通信販売:広告の記載義務

通信販売では、事業者は商品の価格、支払い方法、返品特約の有無などを広告に明示する必要があります(特商法第11条)。特に返品特約については、記載がない場合は原則として返品が可能とみなされます。

電話勧誘販売:契約時の書面交付義務

電話勧誘販売では、契約を締結した際に、事業者は消費者に対して契約内容を記載した書面を交付する義務があります(特商法第17条)。これは、消費者が契約内容を確認しやすくするための措置です。

勧誘行為の制限

通信販売:特に直接的な勧誘行為の規制なし

通信販売では、消費者が自ら申し込む形式であるため、勧誘行為に関する特別な規制はありません。ただし、誇大広告や不当表示は景品表示法などで規制されています

電話勧誘販売:不当な勧誘行為の禁止

電話勧誘販売では、不当な勧誘行為が禁止されています。例えば、消費者が「契約しない」と意思表示をしたにも関わらず執拗に勧誘を続ける行為や、消費者を誤解させるような説明をする行為は違法となります(特商法第19条)。

契約解除の方法

通信販売:消費者による解約は返品特約に依存

通信販売では、事業者が定めた返品特約に従って契約解除が可能ですが、返品不可と明示されている場合は、消費者側の一方的な契約解除は難しくなります。

電話勧誘販売:クーリング・オフの活用可能

電話勧誘販売では、契約後8日以内であれば、消費者が書面で通知することで無条件で契約を解除できます。

規制の背景と消費者保護の考え方

通信販売と電話勧誘販売で異なる規制が設けられている背景には、それぞれの販売方法の特性と消費者の意思決定の自由度の違いがあります。

通信販売では、消費者が自ら情報を収集し、選択して購入するため、一定の自己責任が求められます。そのため、消費者が納得した上で契約することを前提に、クーリング・オフの適用がありません。一方で、返品特約を明示する義務を課すことで、消費者の判断材料を増やしています。

電話勧誘販売では、事業者が消費者に対して直接的にアプローチするため、消費者が冷静に判断する時間がない可能性があります。そのため、クーリング・オフを認め、強引な勧誘を禁止するなど、より手厚い消費者保護が必要とされています。

まとめ

通信販売と電話勧誘販売は、どちらも特商法の規制対象ですが、販売方法が異なるため、それぞれに適した規制が設けられています。特に、クーリング・オフの有無、広告や契約内容の明示義務、勧誘行為の制限などが大きく異なります。消費者としては、それぞれの販売形態の特性を理解し、適切に対応することが重要です。また、事業者としても、適用される規制を遵守し、適正な取引を行うことが求められます。
ネクスパート法律事務所では、専門のチームが特定商取引法上の様々な問題に対処しております。特定商取引法について、疑問や気になったことがあれば、初回相談無料にて承りますので、ぜひ弊所までご連絡ください。

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