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弁護士法人ネクスパート法律事務所

弁護士法人ネクスパート法律事務所は、中小企業の法務に強い法律事務所です。

会社法や労働法に強い弁護士が、「取締役の責任追及」「会社の支配権争い」「法務・財務デューデリジェンス」といった経営者の課題を解決します。

初回相談は無料で、急なトラブルにも積極的に対応致します。 ぜひお気軽にご相談下さい。

【弁護士解説】医療法人のM&Aについて ②

医療法人のM&Aは、医療法に基づく特有の規制やリスクに十分な配慮が求められる、通常のM&Aとは異なる複雑なプロセスを伴います。適切な法務デューデリジェンス(以下「法務DD」)と、それを踏まえた契約書作成は、医療法人M&Aの成功を左右する重要な要素です。本稿では、医療法人特有の重要なチェックポイントおよび契約書作成における留意点について解説いたします。

目次

法務デューデリジェンスのチェックポイント

MS法人の問題

MS法人とは?

MS法人(Medical Service法人)とは、医療法人の業務を補助する目的で設立される法人を指します。具体的には、経営支援、清掃、物品調達、人事管理、ITサポートなどの非医療的な業務を請け負います。医療法人の運営を効率化するために広く活用されていますが、医療法上の規制により、その取扱いには慎重さが求められます。

MS法人との関係におけるリスク

医療法第54条により、医療法人は剰余金の配当を禁止されています。不適切なMS法人との関係が発覚した場合、以下の行為が剰余金配当とみなされ、医療法第93条に基づく過料、場合によっては認可取り消し(医療法第66条)のリスクを伴う可能性があります。

剰余金配当とみなされる例

役職員及び利害関係者等への貸付
全役職員を対象とした福利厚生規程がない場合に、特定の役職員に貸付を行う行為。

役員等専用の社宅の所有または賃借
社宅の利用が特定の役員や利害関係者に限定される場合。

役員等専用の保養施設の所有
特定の役員や関係者のみが使用する保養施設の提供。

東京都保健医療局『医療法人運営の手引』参照

法務DDでは、MS法人との契約内容や金銭の流れを詳細に確認し、不適切な取引がないかを検証する必要があります。特に、医療法人の利益が不当に流出していないか、契約条件が合理的かつ適法であるかを審査します。

出資持分の帰属関係

医療法人の出資持分は、M&Aにおいて経営権の移行や買収条件の根幹をなす重要な要素です。持分の帰属関係が不明確な場合、譲渡契約の有効性が争点となり得ます。これを避けるため、出資者名簿の確認や関連文書の調査を徹底します。

医療広告違反の有無

医療法第87条に基づき、医療法人が行う広告は厳格に規制されています。違反が確認された場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。そのため、法務DDでは過去に実施された広告内容の審査や、現行の広告運用が医療法および厚生労働省の指針に準拠しているかを調査することとなります。

広告違反の例

  • 限定解除がなく広告可能事項以外を表現する広告。
  • 実績を誇張した虚偽または誤解を招く広告表現。
  • 患者の感想や写真を用いた広告。

簿外債務の有無

医療法人では、簿外債務や潜在的な損失が買収後のトラブルの原因となることが多くあります。特に医療過誤に関連する訴訟リスクは慎重に評価する必要があります。法務DDでは、財務資料だけでなく、過去の訴訟履歴や現在の係争中案件を調査します。また、医療事故調査委員会の報告内容も確認し、潜在的なリスクを評価します。

リスクの例

  • 医療過誤訴訟:過去の診療内容や患者対応に起因する未解決の訴訟案件。
  • 未払金・債務保証:帳簿に記載されていない未払金や債務保証契約。

法務DDの結果を反映した契約書作成のポイント

法務DDの段階で明らかになったリスクを持分譲渡契約書や事業譲渡契約書で具体的にカバーすることが重要です。特に以下の条項については、より慎重な検討を行い、契約書に盛り込みリスクヘッジを行うか検討する必要があります。

表明保証条項

売主が買主に一定の事項につき保証する旨の規定です。具体的には、許認可状況、重要な契約の有効性、財務状況について事実を保証するというものです。

また、法務DDの中で見つかった問題点については、個別具体的に売主が買主に対し特別補償する旨の規定を設けます。

損害賠償条項

売主が保証内容に違反した場合等の賠償責任を明確化するものです。賠償額の上限や請求期間について相手方と交渉し確定させる作業を要します。

特に医師についてはエージェント費用が高額で、その人材確保のためにM&Aを行うということも想定されます。これについては、買収対象法人に勤務する主要な医師やスタッフ等のキーマンがM&A後に退職するリスクを低減するため、継続雇用義務条項や継続勤務の誓約書の存在を契約のクロージング条件に組み込むことがあります。

競業避止義務条項

特に地域密着型の医療法人の場合には、かかる地域の特性等を熟知していることから、買収後に当該地域で競業を行うこと等も想定され、これに対し一定の制限を加えることが想定されます。

譲渡対象の明確化

M&Aにおいて、事業譲渡スキームを行う場合には、譲渡される資産、負債、契約、従業員の範囲を詳細に記載する必要があり、診療報酬未収金の範囲や回収責任を明確化する必要があります。

弁護士事務所としてのサポート

弊所では、医療法人M&Aにおける法務DDの結果を踏まえた契約書作成において、以下のサービスを提供しております

  1. 法務DDで発見されたリスクの対応策提案
    MS法人との関係、不適切な契約、医療広告違反、簿外債務など、医療法人特有のリスクに対応する具体的な条項を提案します。
  2. 契約条項のカスタマイズ
    各案件の特性に応じ、退職リスクや許認可移行リスクを低減する契約条項を作成します。

まとめ

医療法人M&Aでは、法務DDで発見されたリスクを契約書に反映し、適切に管理することが成功の鍵となります。

弊所では、経験豊富な弁護士がM&A全体を包括的にサポートし、確実かつ円滑な取引を実現します。ぜひお気軽にご相談ください。

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FAX:03-5357-1902
弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)

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