他社サイトの写真を無断で自社サイトに転載することはできる?

- 各地の飲食店を紹介するサイトを立ち上げようと思います。飲食店の雰囲気等を紹介するため、ネットにある写真を自社サイトに載せようと思っています。
著作権法上問題はありませんか? -
著作権法上の「引用」に該当する場合には、他社サイトの写真を自社サイトに転載することは法律上問題ありません。
引用の要件
「引用」に該当するためには、以下の5つの要件を満たす必要があります。
- 公表された著作物であること
- 引用であること(区別性と主従関係)
- 公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲であること
- 出典を明示していること
- 引用部分を改変していないこと
①公表された著作物であること
インターネット上の写真は、公表された著作物に該当します。
②引用であること(区別性と主従関係)
引用というには、区別性と主従関係が必要となります。
区別性とは、引用した側の著作物と引用された写真とが明確に区別されていることをいい、主従関係とは、量的及び内容的に見て、引用した側の表現部分が主、引用された写真が従という関係が成立していることをいいます。
引用した写真の背景色を変える等することで、区別性が認められやすくなります。
また、飲食店紹介のために他サイトの写真を引用するためには、写真を中心に取り扱うのではなく、店舗紹介文等を主として記載していただき、写真は補足説明的な立ち位置で使用する場合、主従関係がみとめられやすいです。
③公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲であること
引用の作法が従来から認められてきたルールや慣行に合致している場合に公正と判断され、引用がその目的上正当な範囲といえればこちらの要件が認められます。
曖昧な判断要素ですが、②、④、⑤に記載した方法に則れば、公正と判断されやすい傾向にあります。
④出典を明示していること
写真の下に「出典:○○」と記載を入れ、引用元のURLを貼り付ける等により出所を明示する必要があります(著作権法48条1項)。
⑤引用部分を改変していないこと
写真の改変が認められているのは、著作権者のみです。そのため、画像のトリミングや加工はしてはいけません。
以上が認められる場合には、「引用」として、他社サイトの写真を自社サイトに転載することが認められます。
なお、引用元ページに「写真の無断転載禁止」といった表記がされている場合でも、上記の「引用」の要件が満たされていれば、個別契約で著作物を引用しない旨の特約を締結しているなどの例外的な場合を除き、「引用」可能です。
要約引用の可否
次に、他社サイトに記載されている情報を自社サイトに要約して転載する場合は、上記①~⑤の要件のうち、⑤の要件を満たさないのではないか問題となります。
要約引用の可否について、法律上見解が分かれていますが、東京地判平成 10年10月30日判タ991号240頁では、原文の一部を省略しながら切れ切れに引用するよりも、むしろ原文の趣旨に忠実な要約引用を認める方が正確性を保てること等を理由に要約引用を認めています。
もっとも、要約引用については学説が分かれているところもあるので、できる限り原文をそのまま引用した方が良いでしょう。
まとめ
著作権侵害は、本人が無自覚に行ってしまう場合も少なくありません。
そのため、第三者の作成物を使用する場合には、知的財産権に関する法律の規制に抵触しないよう、取扱い方に注意が必要です。
ネクスパート法律事務所では、著作権をはじめとした知的財産権に関する法律相談、トラブルに数多く対応しております。
著作権侵害に関してお悩みの方、企業・法人様は、ぜひ一度、ネクスパート法律事務所にお問い合わせください。

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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)