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弁護士法人ネクスパート法律事務所

弁護士法人ネクスパート法律事務所は、中小企業の法務に強い法律事務所です。

会社法や労働法に強い弁護士が、「取締役の責任追及」「会社の支配権争い」「法務・財務デューデリジェンス」といった経営者の課題を解決します。

初回相談は無料で、急なトラブルにも積極的に対応致します。 ぜひお気軽にご相談下さい。

事例から学ぶインドにおける紛争防止7 – ジョイントベンチャーパートナーの選択と駐在員派遣の重要性

インドにおける紛争防止について、事例をご紹介します。

目次

相談内容

弊社は数年前からインドのジョイントベンチャーパートナーとともにインド南部で産業用機械の製造を試みている日本企業です。

インドのジョイントベンチャーパートナーとはインドで実施された展示会で知り合い、代表同士が意気投合しジョイントベンチャー企業の設立が決定しました。

インドパートナーからは、インドで工場を設立運営するには、インド特有の経験・知識が必要になると説明を受けたため、ジョイントベンチャー工場立ち上げの基本的な部分はインドパートナーに任せました。

工場の設立は難航し、幾度となく追加出資を求められたため、不審に思い調査したところ、工場の設立は進行していたものの、伝えられていた予算の10分の1もあれば建設可能なようなものが建設中であることが判明しました。相手方を問いただしたところ、資本金は既に工場の設立のために全て使ってしまっていると言われてしまいました。どのように対処すれば良いでしょうか?

パートナー選定におけるデューデリジェンスの重要性

不慣れなインドの地でビジネスを行う場合、インドパートナーとともにジョイントベンチャー企業を設立し、インドにおける事業の展開を行うことは、有力な選択肢の1つです。その地域独自の商習慣や、販売チャネルの確立は一朝一夕にできるものではなく、販路拡大の観点から、インドパートナーを頼る日系企業は少なくありません。

しかし、ここで注意しなければならないのは、ジョイントベンチャー企業を設立するにあたっては、真に適当なインドパートナーを選択しなければならないという点です。ジョイントベンチャーは、独自にビジネスを行ったのでは実現できない自社に足りない部分を補う目的のもと、パートナーとともに協同して事業を行うものです。インドパートナーに自社に足りない部分を補う能力が欠けているのであれば、そのパートナーとともにジョイントベンチャーを実施する意味はありません。そのため、インドにおいてジョイントベンチャーを実施するにあたっては、本当にそのパートナーがジョイントベンチャーパートナーとして適当な企業なのか、慎重に調査・検討する必要があります。

相談企業の事例では、展示会で知り合った後、代表同士が意気投合したため、特に詳細な調査等を実施することなく、ジョイントベンチャー企業の設立に踏み切るに至っています。しかし、蓋を開けてみると、インドパートナーの説明には不正確な部分が多々あり、相談企業の製品を流通させる販売チャンネルを持っているかという点が疑わしい、その適格性に疑問の残るジョイントベンチャーパートナーであることが後々判明しております。インド人ビジネスマンには、物事を脚色し、必要以上に自分をよく見せる傾向があります。相手方の発言を鵜呑みにするのではなく、その説明が本当であるかどうかしっかりと裏付け調査を行うことがジョイントベンチャーパートナーを選定するにあたっては不可欠なプロセスになります。相談企業の事例では、相談企業の代表者の鶴の一声でジョイントベンチャー企業の設立にゴーサインが出てしましたが、適切なプロセスを踏めば、本件は避けられたトラブルであったと考えられます。

なお、インドでは日本と比較すると公開情報の範囲が広いため、デスクトップサーチでもそれなりに情報を取得することができますが、企業調査を専門とする業者を雇うことによって、日本とは比較にならないほど有益な情報を取得することができる場合があります。取得できる情報ソースの例としては、現従業員に対するヒアリング、元従業員の証言、ベンダーやサプライヤーからの証言など多岐に渡りますが、事業の健全性やコンプライアンスの実施状況のみならず、ケースによっては調査対象企業の税務番号や銀行口座番号まで取得できます。設立時資本資金の支払いだけでなく、その後の駐在員の派遣など、ジョイントベンチャー企業の設立・運営には多額のコストがかかります。パートナー選定という入口の部分で失敗してしまった場合、それらのコストの全てが無駄になる可能性があるため、ジョイントベンチャーパートナーの適格性判断のために必要なコスト・努力を惜しまず、しっかりとした調査を実施することが強く推奨されます。

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