【弁護士解説】監査役になれる資格、権限とは? 兼任が禁止されている人もいる?

そもそも監査役を必ず置かなければならないわけではない
有名な会社には監査役がいることが多いため、監査役は必ず置かなければならないと思ってしまいがちですがそうではありません。
会社法上、一部の会社のみ監査役を置かなければならないとされています。監査役を置かなけれならない会社とは取締役会設置会社、会計監査人設置会社です。
ただし例外があり、取締役会設置会社でも会計参与を置いた非公開会社であれば監査役は不要です。
監査役の資格には若干の制限がある
それではどのような人が監査役になれるのでしょうか。監査役になれない人については会社法に定めがあります(331条1項)。
- 法人
- 成年被後見人・被保佐人
などです。そのため多くの人は監査役になる資格を持っています。
取締役の下に付く人は監査役の兼任禁止
資格を持ってる人が多いといっても、取締役の業務を監査するという監査役の都合上、取締役のいいなりになってしまう人はなることができません。
そのため兼任禁止となる人が多くいます(会社法335条2項)。具体的には
- 会社の取締役・支配人・従業員
- 子会社の取締役・支配人・従業員
- 子会社の会計参与・執行役
が監査役になることができません。したがって会社の従業員を従業員のまま監査役にすることはできません。
監査役は取締役の職務執行に問題がないか調査する権限・問題に対処する権限がある
監査役の仕事は取締役の職務の執行を監査することにあるため、監査に必要な調査の権限、問題があった場合に対処する権限が法律上与えられています(会社法381条以下)。
具体的には以下の通りです。
調査の権限
- 取締役・会計参与・支配人その他の使用人に対して事業の報告を求める
- 会社の業務及び財産の状況の調査
- 子会社に対して事業の報告を求める
対処する権限
- 取締役会の招集請求
- 招集請求に取締役が応じない場合、自らが取締役会の招集できる
- 取締役が会社の目的の範囲外の行為や法令・定款違反行為をし、又はするおそれがある場合、会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、取締役に対し、当該行為をやめることを請求する
- 会社と取締役間の訴訟において会社を代表する
監査役の監査の範囲を会計に関する事項に限定できる
監査役会、会計監査人を置いていない会社で、かつ非公開会社では監査役の権限を会計に関する事項だけに制限することができます。監査役の権限を限定した場合にはその旨登記する必要もあります。
会社法上、通常の監査役とは異なる扱いを受けることもあるため注意が必要です。もっとも、実務上はこのような制限をすることはあまりありません。