【弁護士解説】オンライン面談での契約は特商法の対象?

消費者向けのスクール・コンサルティング事業者が気をつけるべき勧誘と書面交付の義務
語学や学習指導、ビジネススキルなどを対象とした「スクール・コンサルティング型サービス」は、個人向けに展開されることが多く、Web広告を通じて集客し、1on1のZOOM等を利用したオンライン面談を経て契約に至るというモデルが広がっています。
しかし、このような形式の勧誘・販売活動には、特定商取引法(以下、特商法)が適用される可能性があり、適切な対応を怠ると違法勧誘とみなされ、行政処分や契約無効とされるリスクもあります。
本稿では、オンラインミーティングを経て契約を締結する形を採るスクール・コンサルティング事業を展開する事業者が、特商法上注意すべきポイントを解説します。
「特定継続的役務提供」に該当するか?
特商法では、一定の業種について、消費者保護の観点から特定継続的役務提供として規制対象に指定しています。たとえば、語学教室、学習塾、パソコン教室、エステ、結婚相談、家庭教師などが対象で、継続的な契約でかつ、対価が一定以上の場合であれば該当します。
この対象に該当した場合、事業者は契約前に「概要書面」を交付し、契約成立時には「契約書面」を交付する義務があります。また、消費者は書面交付日から8日間のクーリング・オフ権を有します。
特定継続的役務提供について詳しく調べる場合には、「特定商取引法ガイド」等を参考にすると良いでしょう。
1on1のオンラインミーティングが「電話勧誘販売」に該当する可能性
オンライン面談という形式であっても、消費者が明示的に契約を希望していない段階で、Zoom等を用いて1on1の勧誘を行う場合には、「電話勧誘販売」とみなされることがあります。
契約の申込みや意思表示がない状態で電話やオンライン通話を通じて勧誘を始めた場合、消費者に「電話をかけさせた」と捉えられ、特商法が定める「電話勧誘販売」に該当する可能性があります。
これらに該当する場合、上記の「特定継続的役務提供」に関する規制に加え、「電話勧誘販売」に関する規制にも服さなければならないことになります。
通信販売扱いにはできない理由
「通信販売」は特商法上、Webサイトや電子メール等の非対面手段だけで契約が完結する場合に適用され、訪問販売や勧誘行為とは明確に区別されます。1対1のオンライン面談で積極的にサービスの説明や勧誘を行う場合は、通信販売の適用対象外とされる可能性が高いため、通信販売としての規制緩和は期待できません。
必要な対応と義務
ご自身の事業が「特定継続的役務提供」に該当し、かつ勧誘形式が「電話勧誘販売」に近いと評価される場合、次のような義務があります。
- 契約前に概要書面を交付し、内容を説明すること
- 契約時に契約書面を交付すること
- クーリング・オフについて正確に説明し、妨害しないこと
- 書面交付前に契約や金銭の授受を行わないこと
加えて、勧誘や説明の過程を記録として残し、後のトラブルに備えることも重要です。
トラブルを防ぐには
「オンラインだから大丈夫」と思っていても、形式的に「電話」と同等と評価されれば、厳しい規制が課されます。違反すれば、消費者からの契約取消、消費者庁による指導・公表、損害賠償請求といったリスクがあります。
したがって、オンライン面談での契約においても、対面勧誘と同様の法的義務を果たすことが、安心して事業を継続するための必須条件です。

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