借金から立ち直った人のエピソード|借金から立ち直る方法と注意点
なかなか借金が減らない場合、心が折れそうになることもあるでしょう。
そんな時に参考になるのが、借金から立ち直った人のエピソードです。
しかし、誰もががむしゃらに働いて、きれいさっぱり借金を返済できるわけではありません。
働き過ぎて体を壊してしまっては、取り返しがつかないことになります。
この記事では、借金から立ち直った人のエピソードや借金から立ち直る方法を紹介するだけでなく、返済が苦しい人のために、債務整理(さいむせいり)の手続きも解説します。
借金から立ち直ることが一番ですが、もし苦しいと感じた場合は無理をせず、法的な手続きのサポートを受けて、生活を立て直しましょう。
目次
借金から立ち直った人のエピソード
ここでは、実際に借金から立ち直った人のエピソードを紹介します。
消費者金融からの借金450万円を特定調停で減額
消費者金融からの借金450万円を特定調停で減額したのが、お笑い芸人のカンニング竹山さんです。
竹山さんの借金は、相方のバイク事故の示談金として、消費者金融から50万円を借り入れたのが始まりでした。
最初の借金は追加の借り入れで80万円まで膨らみ、親が返済してくれたとのこと。
しかし、借金をする習慣がやめられず、消費者金融を利用するうちに、借金は200万円を超え、ついに周囲の人や闇金からも借り入れるようになりました。
竹山さんは、なんとかしなければと思い、450万円まで膨らんだ借金を特定調停で180万円まで減額しました。
特定調停は、裁判所で借り入れ先と調停委員、裁判官で話し合いを行い、借金を減額する方法です。
竹山さんは減額された借金を返済しましたが、さらに数千万円の借金をしてしまい、現在も返済中だそうです。
洗脳され借金10億円を背負うも自己破産
洗脳され借金10億円を背負うも自己破産をしたのがX JAPANのToshiさんです。
Toshiさんは、家族間のトラブルや、仕事への重責などにより孤立した中で、元妻である女性と出会いました。
その女性や知人の影響で自己啓発セミナーに入り洗脳された状態になったと言います。
セミナーのための活動で得た収益はセミナーに吸い上げられて、洗脳される中で10億円の借金を負いました。
Toshiさんは知人からの指示でX JAPANを再結成しましたが、それをきっかけに妻や知人の言動に疑問を抱き距離を置きました。
最終的に洗脳であったことがわかり、10億円の借金を自己破産するに至ったのです。
こうした体験は、書籍として出版されたり、ドキュメンタリー映画で取り上げられたりしました。
Toshiさんは12年間洗脳され、多額の借金を負うことになりましたが、今は立ち直り、精力的に活動しています。
参考:Toshl「洗脳~地獄の12年からの生還~」インタビュー|音楽ナタリー 特集・インタビュー (natalie.mu)
45歳までギャンブルがやめられずに債務整理
これは50代のギャンブル依存症の方の体験談です。
20歳でギャンブルのビギナーズラックでお金を手にしてしまったこの男性は、就職後も給料をつぎ込み、消費者金融から借り入れるようになりました。
ギャンブルで仕事ができなくなり転職をするも、ストレスフルな環境で毎日ギャンブルに溺れるようになってしまいました。
結婚をしてもギャンブルをやめることはできず、親が200万円、奥さんが200万円の借金を返済しています。
度重なる借金により家族関係も悪化しました。
さらに、お金を使い込んだことを隠すために、詐欺にひっかかり2800万円の借金を負い、10社の闇金から借り入れ、自殺を考えるようになったと言います。
男性は45歳の時に妻の勧めで、施設に入所したことで、成人となった時から初めてギャンブルをしない期間を作りました。
その後個人再生をすることで、ギャンブルの借金2800万円は、560万円まで減らすことができました。
男性は以降も3回ほどギャンブルをしてしまいましたが、今は自助グループと繋がり、ギャンブルの欲と戦い続けているそうです。
参考:体験談(令和 4 年5月掲載)|首相官邸ホームページ(kantei.go.jp)
借金から立ち直る方法
借金から立ち直る方法は、借金を返済するか、法律で借金を減額するかの2つしかありません。
ここでは、まず自力で借金から立ち直るための方法を紹介します。
借金をしてしまう習慣を見直す
借金から立ち直る方法の1つは、借金をしてしまう習慣を見直すことです。
これから借金を返済していくにあたり、借金を減らすことはもちろん、これ以上増やさないことが大切です。
ギャンブルや浪費などの悪習があるのであれば、これを機にきっぱりやめましょう。
例えば下記のような方法で対策をしましょう。
- ギャンブルの自助グループに参加して、仲間と励まし合ってギャンブルをやめる
- 外出する際は最低限のお金しか持たない
- 家族に財布を管理してもらう
- 生活費以外を定期預金に入れてしまう
- 給料の範囲で生活するようにする
- リボ払いは絶対に利用しない
- 買い物をするとき、今必要なもの以外は買わないというルールを守る
ギャンブルや無駄遣いをする習慣は、意志の力だけではコントロールできません。
そのため、家族にお金を管理してもらうなど、強制的にお金を使えない環境に身をおくことが、悪習を見直すコツです。
借金を把握して返済計画を立てる
借金から立ち直る方法の2つ目は、一般的な方法ですが、借金を把握して返済計画を立てることです。
借金から立ち直った人は、今の状況を把握して、どのように完済をするのかルートを明確にしています。
まずは銀行口座の記録から現在返済をしている借金を洗い出し、それぞれの借り入れ先の借金をアプリや請求書などで確認しましょう。
その上で、月の収入から固定費や生活に必要な費用を差し引いて、月々いくら返済できるのかを計算してみましょう。
計算が面倒だという人は、ネットにある借金返済シミュレーターを利用するのがおすすめです。
借金返済シミュレーターは、借金と金利、月々の返済額から、おおよその月の利息や完済までの年数が計算できます。
各借り入れ業者との契約によっては、返済シミュレーターとの結果がズレる可能性もありますが、返済計画を立てる上での目安になるでしょう。
また、月々の生活費の内訳がわからない場合は、お金を使った瞬間に家計簿アプリに入力するようにしておくと、見返すのが便利です。
繰り上げ返済をする
借金を効率よく返済するのであれば、繰り上げ返済がおすすめです。
繰り上げ返済とは、月々の返済とは別に追加で借金を返済することです。
借金は、月々の返済額から利息が差し引かれて、残りの金額が元本の返済にあてられます。
これとは別に追加で返済をすれば、繰り上げて返済した分からは利息が引かれないため、効率よく元本を減らせるのです。
ただし、苦しい生活で無理に繰り上げ返済をしても続きません。
ボーナスが出た時などに少しずつ繰り上げ返済することが大切です。
仕事をして収入を安定させる
借金から立ち直る方法の4つ目は、仕事をして収入を安定させることです。
これも至極当たり前のことではないかと思うかもしれません。
しかし、多額の借金を返済するには、一攫千金に賭けるしかないと、投資やギャンブルなどに走る人がいます。
ギャンブルはもちろんですが、投資で一攫千金を狙うのは難しいでしょう。
同様に、高価な情報商材を購入しても、思ったような成果が出せないことも考えられます。
それであれば、副業や資格取得、転職などで徐々に年収を増やしていったほうが堅実です。
大切なのは、収支を見直して、余裕がある時に繰り上げ返済をし、徐々に年収を上げていくことです。
借金から立ち直る債務整理とは
家計を切り詰めたとしても、そもそもこれ以上年収が増えないし、生活が苦しいという人や、自分で計画を立てても返済できなかったという人には、債務整理がおすすめです。
債務整理とは、借金を減額できる法的な手続きです。
国が認めた借金減額制度といったキャッチフレーズで知っている人もいるでしょう。
債務整理は一見怪しい手続きに見えますが、民事再生法や破産法で認められた合法的な手続きです。
(目的)
第一条 この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
引用:民事再生法 – e-Gov
わかりやすく言えば、人は誰しもケガや病気、リストラなどやむを得ない事情で借金を返済できなくなる可能性があり、こうした人を国が放置すれば、治安悪化や自殺増加に繋がるため、国が手助けをしましょうという制度なのです。
債務整理は主に下記のような手続きがあります。
任意整理 | 借り入れ先の業者と交渉をして、今後発生する利息などをカット
おおよそ36~60回(3~5年)の分割払いで借金を完済する手続き |
個人再生 | 裁判所の許可のもと借金を最大10分の1まで減額できる手続き |
自己破産 | 裁判所の許可のもと、借金の返済義務をなくせる手続き |
債務整理は借金が減額できるという大きなメリットがありますが、一方で一定期間借り入れができなくなる、手続きによっては一部の財産を失うなどのデメリットもあります。
債務整理には借金を減額できる利点がありますが、単に楽な手続きではなく、生活を立て直すための現実的な手続きです。
債務整理で減額した場合のシミュレーション
多額の借金がある場合、債務整理で果たして本当に借金が減額できるのか疑問に感じる人もいるでしょう。
ここでは、債務整理で減額した場合、借金が1000万円、借金が500万円、借金が300万円のケースでシミュレーションを紹介します。
ただし、手続きや借り入れの契約内容によって、返済額は左右するため、あくまでも簡易的なシミュレーションとして参考にしてみてください。
借金1000万円
借金1000万円、年率15%を自力で完済した場合でシミュレーションしてみましょう。
月の返済額 | 約16万円 |
支払い総額 | 約1936万円 |
利息 | 約936万円 |
完済までの年数 | 10年 |
例えば、10年で完済を目指すなら月の返済額は約16万円になります。
債務整理をして3年で完済を目指す場合のシミュレーションは下記の通りです。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
月の返済額 | 約27万円 | 約5.5万円 | 0円 |
支払い総額 | 1000万円 | 200万円 | 0円 |
利息 | 0円 | 0円 | 0円 |
任意整理の場合は、今後発生する利息をカットする手続きであるため、元本が高額だと36~60回の分割で完済するのは難しいでしょう。
一方で、個人再生の場合は、最低限返済する金額が決められており、1000万円の場合は5分の1まで減額される可能性があります。
ただし、これは所有している財産などによっても左右されるため、あくまでも目安です。
借金500万円
借金500万円、年率15%を自力で完済した場合でシミュレーションしてみましょう。
月の返済額 | 約11万円 |
支払い総額 | 約713万円 |
利息 | 約213万円 |
完済までの年数 | 5年 |
月々約11万円返済ができるのであれば、500万円の借金は5年で完済できる計算になります。
債務整理をして3年で完済を目指す場合のシミュレーションは下記の通りです。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
月の返済額 | 約13万円 | 約2.7万円 | 0円 |
支払い総額 | 500万円 | 100万円 | 0円 |
利息 | 0円 | 0円 | 0円 |
1000万円の時と同様に、任意整理では、元本が500万円だと月の返済も高額となります。
ただし、これは3年で完済するシミュレーションであるため、5年で完済を目指すのであれば、月の返済は約8万円と現実的な数字になります。
個人再生の場合は、所有する財産にもよりますが、借金500万円が5分の1まで減額される可能性があります。
自己破産をした場合は、返済義務がなくなるため支払いが発生しません。

借金300万円
借金300万円、年率15%を自力で完済した場合のシミュレーションは下記の通りです。
月の返済額 | 約7.1万円 |
支払い総額 | 約428万円 |
利息 | 約128万円 |
完済までの年数 | 5年 |
月々約7万円を支払えば、借金300万円は5年で完済できる可能性があります。
債務整理をして3年で完済を目指す場合のシミュレーションは下記の通りです。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
月の返済額 | 約8.3万円 | 約2.7万円 | 0円 |
支払い総額 | 300万円 | 100万円 | 0円 |
利息 | 0円 | 0円 | 0円 |
上表の通り、借入額が大きい場合は、任意整理よりも個人再生の方が減額できる可能性が高いです。
こちらはあくまでも目安ですが、多額の借金を抱えている人にとっては、参考となるシミュレーションではないでしょうか。
具体的にいくらまで減額できて、月々の返済額がいくらになるのか知りたい人は、無料相談を活用して弁護士に相談するのがおすすめです。
お金がなくても債務整理する方法
債務整理をする場合は弁護士費用がかかることになります。
費用は各手続きによっても異なりますが、債務整理の弁護士費用の相場は下記の通りです。
任意整理 | 4~10万円程度/交渉1社につき |
個人再生 | 35~70万円程度 |
自己破産 | 30~50万円程度 |
債務整理で借金を減額したいと思っても、お金がないからと踏み出せない人もいるでしょう。
しかし、お金がなくても債務整理をする方法はあります。
分割払いの法律事務所に依頼する
債務整理の実績がある法律事務所であれば、分割払いで依頼を受けている所がほとんどです。
また、弁護士に依頼すると、借り入れ先からの取り立てが止まるため、月々の返済分を弁護士費用にあてることもできます。
このように、債務整理をする人の負担が軽減できる方法が整っているため、高い金額を一括で支払う必要はありません。
弁護士費用が高くて依頼できないと思っている人も、無料相談を活用して、下記の点を相談してみましょう。
- まず何回まで分割が可能なのか
- 月々いくら払えば手続きができるのか
- 実際に借金で減額できる金額と弁護士費用を比較してメリットがあるかどうか
高額だから手続きができないと決めつけてしまうと、借金から立ち直れる可能性を狭めてしまうことになります。
無料相談を受けている法律事務所も多いため、まずは情報収集をすることが大切です。
法テラスを利用する
それでも弁護士費用が払えないという人におすすめなのが法テラスです。
法テラスは、弁護士費用が負担できない人でも、法的なサービスが受けられるように、国が設立した法律センターです。
法テラスを利用すると下記のようなメリットがあります。
- 法テラス経由なら相場より安価な費用で弁護士に依頼ができる
- 月々5000円~の分割払いで弁護士費用を立て替えてもらえる(民事法律扶助)
- 生活保護の場合は費用を免除してもらえる
ただし、収入が一定以下などの条件があるため、気になる人は法テラスに直接相談してみましょう。
借金は何とかなると楽観視するのは危険
頑張れば借金は完済できる、あるいは、苦しければ債務整理をすればいいと、希望を持つことは大切です。
しかし、借金は何とかなるだろうと、何もせずに楽観視するのは危険です。
滞納すると一括返済を求められる
多額の借金が返済できなくなると、早ければ1か月ほど、おおよそ2~3か月ほどで、一括返済を求められる可能性が高いです。
これは、期限の利益を喪失してしまうからです。
期限の利益というのは、わかりやすく言えば、期日が来るまでは今の借金を全額返さなくていいよという借りた側の権利のことです。
この期限の利益があるため、分割払いが認められています。
しかし、借入時の契約書には支払いが○回遅れると、期限の利益を喪失すると明記されていることが一般的です。
支払い遅れが続くと一括返済を求められるおそれがあります。
滞納2~3か月でブラックリストになる
同様に、滞納が2~3か月に及ぶと、信用情報に支払い遅れの記録が残り、ブラックリストの状態になります。
信用情報に記録が残ってしまうと、審査の際に支払いが遅れていることを知られてしまい、借り入れの審査に通らない可能性が高いです。
そのため、新規のクレジットカードの発行や、ローンやキャッシングなども利用できなくなることが考えられます。
追加での借り入れができなくなってしまうでしょう。
放置すると差し押さえのリスクがある
借金の支払いができないままでいると、貸し付け業者としても法的措置を取らざるを得なくなります。
放置をしていれば、貸し付け業者から訴えられて、裁判の訴状や支払督促が届くことになるでしょう。
さらにこれを無視していると差し押さえを受けるおそれもあります。
銀行口座や給料などを差し押さえられてしまうと、債務整理をしてもすぐに差し押さえを止めることができなくなります。
そうなってしまう前に弁護士に相談するようにしてください。
借金から立ち直るために注意すべきこと
ここまで読んで借金から立ち直るぞと意気込んでいる人に、最後に注意点を解説します。
借金から立ち直った人の成功体験の中には、投資で財産を増やした、ギャンブルで一攫千金できたなどの羨ましい話も散見されます。
しかし、こうした美味い話には乗らないことが大切です。
こうした成功体験はそもそも本当かどうかわかりませんし、そう主張する人の中にはあなたを騙そうとする人もいます。
借金があるとついつい楽な儲け話に惹かれる気持ちもわかりますが、詐欺の被害に遭ってしまっては、取り返しがつかず激しい後悔に襲われるでしょう。
美味しい話には注意が必要であると今一度よく考え、堅実な方法で借金から立ち直ることが大切です。
まとめ
借金から立ち直る方法はシンプルで、結局収支を見直してコツコツ返済をするか、債務整理で減額をすることです。
自分の力で完済できればそれは自信に繋がる価値ある体験です。
しかし、どうやっても返済できないという人は、差し押さえを受ける前に、無料相談を活用してまずは弁護士に相談することから始めてみてはいかがでしょうか?
大切なのは止まらずに行動をすることです。