自己破産した際に配偶者に生じるデメリット
自己破産をしたいけど夫(または妻)の仕事や生活に影響があると困ると悩み、自己破産手続きに踏み切れない方も少なくありません。
自己破産をしたら配偶者にはどのような影響があるのでしょうか。
この記事では、自己破産をした場合に配偶者に生じるデメリットについて解説していきます。

家や車を処分されると生活に影響するので、配偶者への説明は必須です。
配偶者の生活を守りつつ借金問題を解決したい方は一度状況をお聞かせください。
自己破産以外にも選択肢があるかもしれません。
自己破産とは
借金の返済が困難になったとき、自己破産を裁判所に申立て、免責許可決定が出ると借金の返済義務は免除されます。
しかしすべての借金の支払義務が免除されるわけでなく、一部税金や社会保険料、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償の支払いなど免除されない債務もあります。
自己破産をした場合のデメリット
自己破産をすると、貸金業者などからの借金がすべて帳消しとなるメリットがある反面、デメリットもあります。
まずは自己破産をした本人に生じるデメリットから確認していきましょう。
①自宅や車など価値のある財産は処分されてしまう
自宅や車など、価値のある財産は処分されてしまいます。
自宅や車のほかにも、20万円を超える価値があるものは処分されてしまいます。
例えば、解約返戻金のある生命保険なども解約しなければなりません。
②自己破産をしたことが官報に掲載される
官報という国の機関紙に自己破産をしたことが掲載されてしまいます。
しかし官報を必ず確認しているという人はあまりいないため、近所の人や友人に官報に掲載されたことによって知られてしまうリスクはあまりないと考えてよいでしょう。
③破産手続中の引っ越しや旅行は裁判所の許可を得なければできない
破産手続中に転勤になり引っ越しをしなければならない場合や旅行など長期で自宅から離れる場合には、事前に裁判所に許可をもらう必要があります。
④職業の資格制限などがある場合、破産手続中その職業には就けない
一部、破産手続中には就けない職業があります。
弁護士・税理士・公認会計士などの士業や、生命保険募集人や警備員などが主な例です。
⑤信用情報機関に事故情報が登録され、新しくクレジットカードを作ったりローンを組むことができなくなる
自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載ると言われるものです。
信用情報機関に事故情報が登録されると5年から10年程度の間は新しくクレジットカードを作ったりローンを組むことができなくなります。
自己破産をした際に配偶者に生じるデメリット
では、自己破産をした場合に配偶者にはどのようなデメリットが生じるのでしょうか。
自己破産をする配偶者の借金の連帯保証人となっている場合、返済義務が連帯保証人である配偶者に移る
例えば、夫が自己破産をする場合、夫が借金をしていて、妻が連帯保証人になっていれば、夫が自己破産をしたらその借金の返済を免除してもらえるのは夫だけです。
夫が自己破産をしてもその借金自体がなくなるわけではなく、連帯保証人である妻に返済義務が移ります。
もし妻が返済できない場合には、妻も自己破産をするなど債務整理を検討する必要があるでしょう。
自己破産をする配偶者名義の家や車は処分されてしまう
自己破産をする配偶者名義の家や車は処分されてしまいます。
家を処分されれば引っ越しをしなければなりませんし、車が処分されてしまえば車は使えなくなってしまいます。
また、処分されてしまう財産は自宅や車だけではありません。
20万円を超える価値があるものは処分されてしまうので、たとえば解約返戻金のある生命保険や子の学資保険なども解約されてしまう可能性があります。
ただし、自己破産をするときに処分されてしまう財産は、自己破産をする本人名義のものだけです。
もし夫が自己破産をする場合、妻名義の財産は処分されないので安心してください。
まとめ
自己破産をした際に配偶者に生じるデメリットは、配偶者が連帯保証人になっている場合や、家や車などを処分されてしまう場合などを除けばほとんどないと考えてよいでしょう。
自分が自己破産をしたことを理由に配偶者が会社を解雇されるというようなこともありません。
しかし、自己破産をする人の借金や財産の状況などによっては上記以外の影響が出てくる可能性もあります。
個別の事情については弁護士に相談するとよいでしょう。
もし配偶者が連帯保証人になっているような場合には、ご夫婦とも自己破産やその他債務整理をした方がよいケースもあります。
自己破産に踏み切るのを躊躇される人は少なくありませんが、借金を返せないと思ったらなるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。