自己破産すれば損害賠償金も免責される?免責されないケースは? - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産すれば損害賠償金も免責される?免責されないケースは?

自己破産しても免責されない(支払義務が免除されない)債権があります。これを非免責債権といいます。

非免責債権には、以下のようなものがあります。

  • 税金や社会保険料などの租税等の請求権
  • 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償権
  • 破産者が故意又は重過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償権
  • 破産者が意図的に債権者一覧表にから除外した債権者の請求権
  • 罰金等の請求権
  • 養育費や婚姻費用の請求権
  • 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権および使用人の預り金返還請求権

これらの非免責債権は、自己破産後も支払いを続ける必要があります。

損害賠償請求権については、不法行為に基づくものの一部が非免責債権に該当します。

この記事では、自己破産における損害賠償請求権の取扱いについて、次のとおり解説します。

  • 自己破産で免責されない損害賠償請求権とは?
  • 自己破産すると交通事故の損害賠償債務は免責される?
  • 自己破産手続中に事故に遭った場合、損害賠償金は受け取れる?
  • 慰謝料(損害賠償)を請求した相手が自己破産したらどうなる?
  • 自己破産で免責されなかった損害賠償請求金を払えない場合は?

自己破産を検討中の方で損害賠償債務を負担している方は、ぜひ最後までご覧ください。

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損害賠償請求権とは?

ここでは、損害賠償請求権について解説します。

損害賠償請求権には、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 債務不履行に基づく損害賠償請求権
  • 不法行為に基づく損害賠償請求権

債務不履行に基づく損害賠償請求権

債務不履行に基づく損害賠償請求権とは、契約当事者が、契約上果たすべき義務を守らなかったことにより生じた損害の賠償を求める権利です。

不法行為に基づく損害賠償請求権

不法行為に基づく損害賠償請求権とは、故意または過失によって生じた損害について、被害者が加害者に対し賠償を求める権利です。

自己破産で免責されない損害賠償請求権とは?

損害賠償請求権のすべてが非免責債権となるわけではありません。

ここでは、自己破産で免責されない損害賠償請求権について解説します。

自己破産で免責されない損害賠償請求権は、不法行為に基づく損害賠償請求権のうち、以下のとおり特に悪質なものに限られます。

  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意又は重過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

ひとつずつ説明します。

悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権は、非免責債権に該当します。

悪意で加えた不法行為とは、積極的に相手に害を加える意欲をもってなされた不法行為のことを指します。

例えば、次のようなケースがこれに該当します。

  • 詐欺や横領によってお金を騙し取った場合
  • 債務超過を認識したうえでクレジットカードを利用した場合
  • 借入れの際、他人の名義を無断で保証人欄に記載した場合
  • 借入れの際、他の借入状況や資金使途などにつき虚偽の説明をした場合

故意又は重過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

人の生命や身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権のうち、故意や重過失によるものが非免責債権に該当します。

例えば、次のようなケースがこれに該当します。

  • 他人に暴力を振るい死傷させた場合
  • 危険運転等により交通事故(人身事故)を起こした場合

自己破産すると交通事故の損害賠償債務は免責される?

ここでは、自己破産で交通事故の損害賠償債務が免責されるかどうかを解説します。

危険運転致死傷罪が成立するような悪質な事故の場合

交通事故に基づく損害賠償請求権については、危険運転致死傷罪が成立するような悪質な事故の場合、非免責債権に該当します。

危険運転致死傷罪とは、次のような行為により人身事故を起こしてしまった場合に成立する可能性がある犯罪です。

  • 飲酒運転
  • 重度のスピード超過
  • 薬物使用
  • 無免許運転
  • 居眠り運転
  • あおり運転
  • 信号無視
  • ひき逃げ

安全運転義務違反による事故の場合

安全運転義務違反など、単なる不注意から発生した事故の場合は、重過失があったとまではいえないとして、破産者の損害賠償債務が免責される可能性があります。

安全運転義務違反に該当する行為は、次のような運転行為です。

  • ブレーキペダルの踏み間違い、ハンドル操作の過ち等
  • わき見運転
  • 前方・後方・左右の安全不確認
  • 徐行・減速等の義務違反
  • 運転間隔(車間距離等)の誤り

物損事故の場合

物損事故の場合は、原則として破産者の損害賠償債務は免除されます。

非免責債権に該当する不法行為に基づく損害賠償請求権は、人の生命や身体を害する行為に限られるため、物損事故は含まれません。

自己破産手続中に事故に遭った場合、損害賠償金は受け取れる?

ここでは、自己破産手続中に事故に遭った場合に損害賠償金を受け取れるかどうかを解説します。

破産手続開始決定前に事故が発生した場合

破産手続開始決定前に発生した交通事故に基づく損害賠償金が20万円を超える場合は、原則として没収されます。

破産法では、破産手続開始時点に破産者が有する一切の財産が破産財団に属するとされているからです。破産財団とは、破産管財人が管理・換価処分する破産者の総財産です。

破産手続開始後に損害賠償請求をしても、その発生原因(交通事故)が破産手続開始前にあれば破産財団に含まれます。

破産手続開始決定後に事故が発生した場合

破産手続開始決定後に事故が発生した場合は、その事故に基づく損害賠償金が没収されることはありません。

破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産)は、破産者が自由に管理できる財産(自由財産)として手元に残せます。

慰謝料(損害賠償)を請求した相手が自己破産したらどうなる?

慰謝料を請求した相手が自己破産したらどうなるのでしょうか。

ここでは、自己破産における慰謝料の取扱いを解説します。

非免責債権に該当しない場合は請求相手が支払いを免れる

慰謝料請求権が非免責債権に該当しない場合は、請求相手が自己破産で免責を得ると、慰謝料を請求できなくなります。

例えば、離婚に伴う慰謝料の発生原因は、不貞行為を原因とするものが多いですが、不貞行為に基づく慰謝料は、非免責債権に該当しません。

非免責債権に該当する場合は請求相手に支払義務が残る

慰謝料の発生原因が、相手方の悪意で加えた不法行為に基づくものであれば、自己破産で免責されません

例えば、DV等の直接的な暴力行為に基づく慰謝料請求権は非免責債権に該当するため、相手方に支払義務が残ります。

請求前でも破産手続開始決定時に請求権が発生していれば免責される可能性がある

自己破産後に慰謝料を請求しても、慰謝料の請求原因が破産手続開始前に生じていた場合は、自己破産による免責の効果が及ぶことがあります。

例えば、破産手続開始決定前に不貞行為が判明している場合などです。

ただし、自己破産で慰謝料請求権が免責されも、破産手続終了後に請求相手が任意で慰謝料を支払う場合は、法的な制限を受けません。請求相手との話し合いにより、自己破産後に相手の自由意思で慰謝料を支払ってもらえる可能性はあります。

自己破産で免責されなかった損害賠償請求金を払えない場合は?

ここでは、非免責債権に該当する損害賠償金を払えない場合の対象法を解説します。

債権者に減額・分納・猶予を交渉する

非免責債権に該当する損害賠償金は、自己破産後も支払義務が残ります。損害賠償金を支払えない場合は、債権者と協議して支払方法を決めなければなりません。

支払えないからといって放置していると、訴訟を起こされて財産を差し押さえられる可能性もあります。

一括での支払が困難な場合は、債権者に減額や分納、猶予を交渉しましょう。

まとめ

自己破産しても免責されない債権のうち、損害賠償請求権にスポットをあてて解説しました。

自己破産では、悪意(積極的な害意)を持って相手方に与えた損害や慰謝料などの一定の債権については、支払義務が免除されません。

ご自身が抱えている負債の中に、非免責債権に該当する損害賠償債務がある場合は、自己破産後も支払い続けなければなりません。

当事務所では、自己破産を検討中の方はもちろん、損害賠償金や慰謝料の支払いお困りの方のご相談もお請けしております。お気軽にご相談ください。

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