
夫(妻)の浮気が発覚したけれど、家庭のことや子どものことを考えると離婚はしたくないと考えている方も多いことと思います。
ですが、このまま何もなかったかのように生活を続けることにモヤモヤを感じるお気持ちもよくわかります。
「離婚しないで浮気相手にだけ慰謝料請求したい!」と考えている方は、ぜひこの記事を最後まで読んでみてください。
この記事では、離婚しないで浮気相手に慰謝料請求する場合の慰謝料相場や増額のコツについて解説しています。
ぜひ参考にしてください。
目次
離婚しない場合でも浮気相手に慰謝料請求は可能
離婚しない場合でも、浮気相手に対し慰謝料請求が可能です。
浮気相手への慰謝料請求は、離婚するかどうかにかかわらず、法的に認められている権利です。
離婚は浮気相手に対する慰謝料請求の必須条件ではない
不倫慰謝料は、不貞行為によって被害者が精神的苦痛を受けたことを理由に請求できるものです。
そのため、離婚は、慰謝料請求するための条件ではありません。
したがって、離婚する・しないにかかわらず、慰謝料請求ができます。
離婚しないで浮気相手に慰謝料請求するために必要な条件
離婚しないで浮気相手に慰謝料請求するために必要な条件は、次の4つです。
- あなたと配偶者が婚姻関係にある
- 配偶者と浮気相手との間に肉体関係がある
- 不貞行為により婚姻関係が破綻した
- 浮気相手があなたの配偶者が既婚者と知っていた・知る余地があった
これら4つの条件が揃っている場合には、浮気相手に慰謝料請求ができるでしょう。
①あなたと配偶者が婚姻関係にある
慰謝料請求は、法律上の婚姻共同生活の平和を侵害されたことに対する損害賠償です。
そのため、不貞行為が行われた時点で、あなたと配偶者との間に法律上の婚姻関係が成立していることが前提です。
ただし、内縁関係でも慰謝料請求が認められる場合があります。
②配偶者と浮気相手との間に肉体関係がある
慰謝料請求の対象となる不貞行為とは、配偶者と浮気相手との間で自由な意思に基づいて肉体関係を持つことです。
肉体関係を伴わないデートや食事、単なるメッセージのやり取りだけでは、原則として不貞行為とは認められません。
肉体関係の定義について、詳しくは「不貞行為にあたる肉体関係の定義とは?みんなの疑問6選を徹底解説 」の記事をご参照ください。
③不貞行為により婚姻関係が破綻した
慰謝料請求するためには、不貞行為によって平穏な婚姻生活を侵害されたことが必要です。
つまり、不貞行為が、あなた方夫婦の関係を破綻させた原因、または破綻を決定づける原因になったことが必要です。
例えば、浮気が開始される前から、夫婦仲の関係悪化により長期間の別居をしているケースでは、慰謝料請求が認められない、または減額要素となる可能性があります。
④浮気相手があなたの配偶者が既婚者と知っていた・知る余地があった
浮気相手に慰謝料の支払い義務が発生するには、あなたの配偶者が既婚者であることを認識していた(故意)か、注意すれば知り得た状況にあった(過失)ことが必要です。
例えば、あなたの配偶者が浮気相手に対し、独身であると偽って交際を開始し、浮気相手が完全に独身だと信じていた場合には、慰謝料請求は難しいでしょう。
慰謝料請求の条件や慰謝料請求が難しいケースについて、詳しくは「不倫の慰謝料請求できる4つの条件と慰謝料請求が難しい4つのケース」の記事をご参照ください。
不倫慰謝料は配偶者と浮気相手双方に対して請求できる
そもそも不貞行為は、配偶者と浮気相手が共同でした不法行為(共同不法行為)に該当するため、配偶者と浮気相手双方に対して慰謝料請求ができます。

しかし、離婚しない場合には、配偶者に対する慰謝料請求をしても、家計を同じにしている夫婦であれば、家庭の中でお金が動くだけになってしまいますので、現実的ではないと考えられるでしょう。
そこで、浮気相手のみに慰謝料請求するとの選択をとる方も多くいます。
離婚しないで浮気相手に慰謝料請求する場合の相場と増額のコツ
不倫慰謝料は、一般的に、離婚する場合よりも離婚しない場合の方が、金額が低い傾向にあります。
離婚の有無が慰謝料の額に与える影響は大きいですが、最終的な金額は、交際期間や夫婦の婚姻期間、子の有無などの様々な事情により決まるため、離婚しない場合でも慰謝料が増額されるケースもあります。
離婚しない場合の不倫慰謝料相場は50~100万円程度
離婚しない場合の不倫慰謝料相場は50~100万円程度です。
| 不倫慰謝料相場 | |
| 婚姻継続 | 50 ~ 100万程度 |
| 別居 | 150 – 200万程度 |
| 離婚 | 200 – 300万円程度 |
離婚しない場合は、離婚した場合と比較して、婚姻生活への影響が小さいと評価されるため、慰謝料の金額も低い傾向にあります。
離婚しない場合でも慰謝料を増額するコツ
離婚しない場合でも慰謝料を増額するコツは、次の2つです。
- 慰謝料が増額するポイントを知る
- 浮気発覚後すぐに配偶者を問い詰めず入念な準備を行う
離婚の有無のほかにも、慰謝料に影響を与える要素は沢山あります。
慰謝料増額要素を知らないままだと、適正な慰謝料を獲得できません。
慰謝料が増額される可能性のあるケースは、次のとおりです。
- 交際期間が長い・不貞行為の回数が多い
- 婚姻期間が長い
- 夫婦間に未成熟子がいる
- 浮気発覚前の夫婦関係は良好だった
- 浮気が原因でうつ病などを患った
- 夫婦の自宅で行為に及んだ
- 浮気相手が妊娠・出産した
- 浮気発覚後も交際を継続した
- 浮気発覚後に同居を開始し夫婦同様の生活をした
- 浮気相手の反省や謝罪がない
- 浮気相手が虚偽の主張をした
- 浮気相手が嫌がらせ行為をした
- 浮気相手が離婚を執拗に要求した
- 浮気相手の収入が高い
- 配偶者が浮気相手に経済的援助をした
など
離婚しない場合でも、不貞行為によって夫婦関係に危機が訪れ、深刻な精神的苦痛を受けた事実は変わりません。
重要なのは、離婚しないからと請求を諦めるのではなく、受けた苦痛の度合いを客観的な証拠に基づき主張することです。
離婚しないで浮気相手に慰謝料請求する際に気を付けるべき求償権
離婚せずに浮気相手のみに慰謝料請求する場合には、求償権について学びましょう。
求償権を理解し、適切に対策を講じることが、慰謝料請求の成功の鍵でしょう。
求償権とは?

慰謝料は、配偶者または浮気相手のどちらか一方に対して、もしくはその両方に対して請求できます。
しかし、どちらか一方にのみ請求した場合、請求されなかったもう一方は何らの責任も負わなくて良いわけではありません。
浮気相手のみに慰謝料請求した場合、浮気相手は慰謝料を支払った後で、共同で責任を負っている配偶者に対して、責任割合に応じた額の支払いを請求できます。
この権利が、求償権です。
例えば、あなたが浮気相手のみに200万円を請求し、浮気相手が全額支払ったとします。この場合、浮気相手は、あなたの配偶者に対して「半分(または一部)責任があるから、その分のお金を支払って欲しい。」と求償権を行使して請求する可能性があるのです。

その結果、200万円獲得できたと思っていたのに、求償権を行使されたことで、家計上は100万円しか獲得できなかったことになるのです。
求償権の責任割合は必ず5:5になるわけではない
責任割合とは、不貞関係にあった2人(あなたの配偶者と浮気相手)のうち、どちらにどれくらいの責任があるかを示すものです。
不貞行為の責任割合について、法律で明確な基準は定められていません。
責任割合は、必ず5:5になるとも限りません。
交際開始の経緯や交際中の態様などを考慮して責任の重さを判断します。
- 交際開始の経緯(どちらが積極的に交際を迫ったのかなど)
- 交際時の対応(既婚者を隠して交際を開始したなど)
- 当事者の年齢(当事者の一方が若年者の場合など)
したがって、あなたの配偶者の責任が大きいと判断されれば、獲得した慰謝料の半分以上を求償権の行使により請求される可能性があります。
求償権を行使させないための対策【求償権の放棄】
求償権の行使のリスクを回避するために、実務では、示談交渉の際に、求償権の放棄の合意をすることが一般的です。
あらかじめ、浮気相手に求償権を放棄させることで、示談成立後、求償権を行使されることを防げます。
しかし、慰謝料の支払い義務がある側(浮気相手)からすると、求償権を放棄することは自身の権利を手放すことになり、デメリットと言えるでしょう。
そのため、示談交渉では、求償権放棄と引き換えに、慰謝料の減額を求められるケースも少なくありません。
もちろん、「配偶者とは離婚しないけれど、お財布は別だから関係ない!」と考えているなら、求償権について考慮せず、浮気相手に慰謝料の全額を請求しても構いません。
したがって、慰謝料請求の前に、求償権についてどうしたいかを検討しましょう。
離婚しないで浮気相手に慰謝料請求する場合の基本的な7Step
離婚しないで浮気相手に慰謝料請求する場合の基本的な7Stepは、下表のとおりです。

離婚しないで浮気相手に慰謝料請求する際に弁護士に依頼するメリット
慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットは、次の4つです。
- 浮気相手との接触を回避し精神的な負担から解放される
- 適正な慰謝料を主張し増額交渉を有利に進める
- 求償権に関する適切な措置を取れる
- 交渉が決裂した場合でも迅速に訴訟対応に移行できる
以下、詳しく解説します。
浮気相手との接触を回避し精神的な負担から解放される
弁護士に依頼することで、浮気相手との交渉を任せられます。
これにより、浮気相手との接触を避け、精神的な平穏を保ちながら、問題解決に向かえるでしょう。
適正な慰謝料を主張し増額交渉を有利に進める
弁護士は、過去の裁判例やあなたのケースの個別の事情に基づき、適正な慰謝料額を算定します。
増額要因を整理し、法的な根拠をもって浮気相手に請求することで、被害者本人が交渉するよりも、高い金額での示談成立を目指せる可能性が高まります。
弁護士に依頼することは、相手に対し、法的措置を辞さないとの本気度を示すことにつながり、相手の合意を得られる可能性も高まります。
求償権に関する適切な措置を取れる
離婚しない場合は、求償権について適切な判断が必要です。
求償権の放棄を合意すべきか、合意する場合の適切な慰謝料はいくらかなど、あなたの状況に応じて判断します。
交渉が決裂した場合でも迅速に訴訟対応に移行できる
浮気相手が無視を続けたり、交渉が難航したりした場合でも、弁護士に依頼していれば、速やかに訴訟への移行が可能です。
弁護士は、訴訟を見据えた証拠収集と交渉を進めているため、時間のかかる訴訟手続きでも、あなたの負担を最小限に抑えながら、有利に手続きを進められます。
離婚しないで浮気相手に慰謝料請求する場合のよくあるQ&A3選
離婚しないで浮気相手に慰謝料請求を進めるにあたり、実務上多くの人が疑問に感じる点について、一問一答形式で回答します。
浮気相手に慰謝料請求して無視された場合はどうすればよい?
慰謝料請求を無視され続けた場合、最終的には訴訟を提起する必要があります。
内容証明郵便を送付しても、無視を決め込むケースは珍しくありません。
口頭や書面による請求はあくまで交渉手段であり、相手が支払いに応じない場合は、金銭の支払いを強制できません。
相手が無視を続けた場合、交渉は決裂したと判断し、次のステップ【訴訟の提起】へ移行することが必要です。
慰謝料請求を無視された場合の対処法について、詳しくは「慰謝料請求を無視されたら?ケース別対処方法を徹底解説! 」の記事をご参照ください。
浮気相手が認めない場合に配偶者の自白のみで慰謝料請求できる?
浮気相手が認めない場合でも、配偶者の自白のみで慰謝料請求できる可能性はあります。
裁判外での自白の場合には、書面や音声で残す必要があります。
ただし、自白は、後々「脅されて言わされた。」などと証言をひっくり返されるリスクが伴います。
自白の真実性を高めるためには、録音の際に、「いつ、誰と、どこで、何を、何回行ったか。」と詳細を具体的に確認することが重要です。
さらに、自白のみに頼るのではなく、LINEやメールでのやり取り、ホテルや旅行の領収書、クレジットカードの支払い履歴などの間接証拠と組み合わせることで、証拠の説得力が向上し、慰謝料請求が認められやすくなります。
したがって、配偶者の自白のみで慰謝料請求に動き出すのではなく、その他の証拠も集めることをおすすめします。
証拠集めが思うように進まない場合には、弁護士に相談し、証拠に関するアドバイスをもらうのもひとつの方法です。
浮気相手に慰謝料請求する際にやってはいけないことは?
浮気相手への慰謝料請求でやってはいけない行動は、次の7つです。
- 家族や職場にバラすと脅す
- 職場に乗り込む
- SNSに不倫の内容を書き込む
- 退職を要求する
- 不倫を認めるまでは帰さないと言う
- 浮気相手の家に盗聴器などを仕掛ける
- 相手を脅して高額な慰謝料の支払いを約束させる
行き過ぎた行動は、あなたに不利に働くことはもちろん、最悪の場合、あなたが法的責任を問われる可能性もあります。
適切な慰謝料獲得のためにも、落ち着いた行動を心掛けましょう。
浮気相手への慰謝料請求でやってはいけない行動について、詳しくは「不倫・浮気の慰謝料請求でやってはいけない7つのこと!」の記事をご参照ください。
まとめ
離婚は、慰謝料請求の条件ではありませんので、離婚せずに慰謝料請求ができます。
ただし、離婚せずに慰謝料請求する場合には、求償権の問題が発生します。
あなたにとって良い解決を目指すためには、弁護士へ相談するのをおすすめします。
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