不倫・浮気の慰謝料請求でやってはいけない7つのこと!

  • 最終更新日: 2024.08.20

配偶者の不倫に気が付いたら、動揺と怒りでいっぱいになりますよね。
「できるだけ多くの慰謝料を請求したい!」「どうにかして相手にダメージを与えたい!」といった感情が出てくることも仕方ありません。

慰謝料請求だけでなく、社会的制裁を与えたいと考えることと思います。
しかし、あまりに行き過ぎた行動をしてしまうと、逆に慰謝料請求されたり、場合によっては刑事責任を問われたりすることがあります。慰謝料請求を検討している場合には、落ち着いて、適切な行動を取ることを心掛けましょう。

この記事では、慰謝料請求をする際にやってはいけない7つのことや過度な行動による刑事責任・損害賠償請求について解説しています。ぜひ参考にしてください。

不倫・浮気の慰謝料請求でやってはいけない7つのこと

慰謝料請求をする場合には、相手と接触し、話し合いをする必要があります。
その過程で、相手が反省していなかったり、あまりダメージを負っていなかったりすると、怒りが湧き出てくることでしょう。

しかし、あまりに行き過ぎた行動に出てしまうと、あなたに不利になる可能性があります
不倫・浮気の慰謝料請求でやってはいけない行動は、次の7つです。

  • 家族や職場にバラすと脅す
  • 職場に乗り込む
  • SNSに不倫の内容を書き込む
  • 退職を要求する
  • 不倫を認めるまでは帰さないと言う
  • 不倫相手の家に盗聴器等を仕掛ける
  • 相手を脅して高額な慰謝料の支払いを約束させる

以下、詳しく見ていきましょう。

家族や職場にバラすと脅す

家族や職場にバラすと脅すことはやめましょう。

相手に接触し、不倫の事実を問い質したところ、相手が不倫を認めなかったり、曖昧な返答をしてきたりすることがよくあります。

「不倫を認めないなら、家族にバラしてやる!」「職場にバラされたくなかったら、謝罪しろ!」
このような発言は、脅迫罪や強要罪に問われる可能性があります。

相手があまりにも反省していない場合には、家族や職場等の周囲の人にバラしたくなる気持ちも理解できますが、家族や職場にバラすと脅すことはしないようにしましょう。

職場に乗り込む

職場に乗り込むことはやめましょう。

不倫が発覚したら、居ても立っても居られずに、相手の職場に乗り込みたくなる気持ちも理解できます。
職場に乗り込むことで、相手の職場での立場を悪くしてやりたいと考えることもあるでしょう。

しかし、職場に乗り込んで、怒りのあまり相手に掴みかかってしまった!なんてことも生じかねません。このような行動は、暴行罪に問われる可能性があります。

相手がけがを負ってしまった場合には、傷害罪に問われる可能性もあります。
職場の人に不倫の事実が知られてしまった場合には、名誉毀損罪に問われる可能性もあります。

相手の職場に乗り込む行為は、その態様によっては、勤務先の業務を妨害するものとして業務妨害罪が成立してしまうおそれもあります。

職場に乗り込むことはしないようにしましょう。

SNSに不倫の内容を書き込む

SNSに不倫の内容を書き込むことはやめましょう。

SNSは匿名かつ気軽に投稿できることから、ついつい暴露してしまいがちです。
しかし、不特定多数の人が見ることのできるネット上に、不倫の詳細について書き込んだ場合には、名誉毀損罪に問われる可能性があります。

近頃は、不倫当事者のアカウントのコミュニティも広まっていますが、SNSに不倫の内容を書き込むことはしないようにしましょう。

退職を要求する

退職を要求することはやめましょう。

不倫相手が職場の同僚であると判明した場合には、どうにかして退職させたいという気持ちになるでしょう。同じ職場である以上、示談が成立したとしても、不安は中々消えませんよね。

しかし、不倫や浮気を理由に退職の要求はできません。退職を強制できる法的な根拠も存在しません。

不倫を理由に退職を要求した場合、強要罪に問われる可能性があります。退職を要求することはしないようにしましょう。

相手が今後も同じ職場に居るような場合には、示談書を作成する際に、次のような文言を入れることで、再発防止をしましょう。

甲は、乙との交際を解消し、業務上正当な理由がある場合を除き、連絡や接触を一切しないことを約束する。

不倫を認めるまでは帰さないと言う

不倫を認めるまでは帰さないと言うことはやめましょう。

相手との話し合いの際に、「不倫を認めるまでは帰さない!」「念書に署名押印するまでは帰さない!」といったようなことをしてしまうと、監禁罪や強要罪に問われる可能性があります。

このような状況で作成された念書は、後にトラブルになる可能性が高くなります。
念書を作成した状況によっては、念書そのものが無効になってしまい、再度話し合いをしなければならない場合も出てくるでしょう。

不倫を認めるまで帰さないと言うことはしないようにしましょう。

不倫相手の家に盗聴器等を仕掛ける

不倫相手の家に盗聴器等を仕掛けることはやめましょう。

不倫の証拠集めをする際に、このような行き過ぎた行動をしてしまうことがあります。このような行動は、住居侵入罪に問われる可能性があります。
このような違法な行為によって集めた証拠は、証拠として認められない場合もあります。

不倫相手の家に盗聴器等を仕掛けることはしないようにしましょう。

相手を脅して高額な慰謝料の支払いを約束させる

相手を脅して高額な慰謝料の支払いを約束させることはやめましょう。

できるだけ多くの慰謝料を請求したいと考えることは、普通の事です。
相場よりも高額な慰謝料であっても、当事者双方が合意している場合には、問題は生じません。

しかし、話し合いの場では、どうしても感情的になってしまうことが多いでしょう。
あまりにも高圧的な態度で示談を成立させようとしたり、相手を脅して慰謝料の金額を高額にしたりした場合には、脅迫罪や恐喝罪に問われる可能性があります。

相手を脅して高額な慰謝料の支払いを約束させることはしないようにしましょう。

過度な行為により問われる可能性のある7つの刑事責任

あなたの行動によっては、次のような刑事責任を問われる可能性があります。

  • 名誉毀損罪
  • 脅迫罪
  • 強要罪
  • 恐喝罪
  • 住居侵入罪
  • 暴行罪
  • 傷害罪

以下、詳しく見ていきましょう。

名誉毀損罪

名誉毀損罪は、公然とある人に関する事柄を摘示し、その人の名誉を毀損した場合に成立します(刑法230条)。

次のような行動は、名誉毀損罪に問われる可能性があります。

  • 相手の家族や職場に不倫の事実を言いふらす
  • SNSに不倫の内容を詳細に書き込む
  • ブログやインターネット上の掲示板に不倫の事実を書き込む
  • 動画配信サービス等で不倫の事実を糾弾する
  • 相手の自宅の近所に張り紙やポスティングで不倫の事実を暴露する

あなたの行動によっては、名誉毀損罪が成立する可能性がありますから、注意しましょう。

脅迫罪

脅迫罪は、相手や相手の親族の生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対して、害を加える旨を告知した場合に成立します(刑法222条)。

次のような行動は、脅迫罪に問われる可能性があります。

  • 「不倫していたことを家族にバラしてやる!」と脅す
  • 「家に火をつけてやる!」と脅す
  • 「会社にいられなくしてやる」と脅す
  • 「痛い目に遭わせるぞ」と脅す

あなたの行動によっては、脅迫罪が成立する可能性がありますから、注意しましょう。

強要罪

強要罪は、生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した場合に成立します(223条)。

次のような行動は、強要罪に問われる可能性があります。

  • 「退職しないなら、職場にバラしてやる!」と脅して、退職させる
  • 「土下座しないと、どうなっても知らないぞ!」と脅して、土下座をさせる
  • 「念書を書くまで帰さない」と脅して、無理矢理署名押印させる

あなたの行動によっては、強要罪が成立する可能性がありますから、注意しましょう。

恐喝罪

恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させた場合に成立します(249条)。

相手を脅迫して、慰謝料を支払わせた場合には、恐喝罪に問われる可能性がありますから、注意しましょう。

住居侵入罪

住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居に侵入した場合に成立します(130条)。

次のような行動は、住居侵入罪に問われる可能性があります。

  • 不倫の証拠を集めるために、相手の家に盗聴器等を仕掛ける
  • 不倫の証拠を集めるために、相手の敷地内に入って観察する

あなたの行動によっては、住居侵入罪が成立する可能性がありますから、注意しましょう。

暴行罪

暴行罪は、人に暴行を加えた場合に成立します(208条)。

相手の胸倉を掴んだり、殴ったりした場合には、暴行罪に問われる可能性がありますから、注意しましょう。

傷害罪

傷害罪は、人の身体に傷害を負わせた場合に成立します(204条)。

相手に掴みかかったところ、相手が転倒してケガを負った場合には、傷害罪に問われる可能性があります。

相手に過剰に嫌がらせの電話やメールをしたことで、精神的な障害を負わせた場合にも、傷害罪に問われる可能性がありますから、注意しましょう。

場合によっては逆に慰謝料請求される可能性も!

あなたが慰謝料請求する立場であったにもかかわらず、あなたの行き過ぎた行動によっては、逆に慰謝料請求されてしまう可能性があります。

以下で、不貞行為をされた側に対する損害賠償請求が認められた判例をご紹介します。

東京地裁令和2年2月10日判決

不倫をされた側である妻の次のような行動が、名誉毀損ないしプライバシーの侵害にあたるとして、慰謝料請求が認められています。

不倫相手の父親に対し、「突然の葉書驚かれていることでしょう。私の娘家族の事でお願いとお話があります。○○さんのお嬢さんにも未来があります。幸せな家庭を持って欲しいとご両親も願っている事でしょう。○○さんのお嬢さんが私の娘夫婦の間に入って少し家庭を壊しかけております。葉書読まれましたらご連絡先を教えて頂きたいのですが早々の反信お願い致します。少し娘と孫のところにおります。」との記載のある手紙を送った。

不倫をした側である夫の父親に対し、「同封のもの夫の不貞相手と思われる現在のスタッフの様子です。現実をご覧になって下さい。」「昨年より続いております裁判、夫と不貞相手から訴えられた裁判に娘と二人で戦っております。」「娘の前では、常に楽しみをみつけ明るく接するように心がけております。」などと記載のある手紙を送り、不倫相手の経歴や不倫相手がSNS上に掲載していた自身のバニーガール姿等の多数の画像を同封した。

不倫相手の知人に対し、インスタグラムのアカウントを用いて、被告の氏名を記載した上で、被告がAと不貞関係にある,現在裁判中で調査をしているといった内容のメッセージを送った。

東京地裁令和2年11月27日判決

不倫をされた側である妻の次のような行動が、名誉毀損ないしプライバシーの侵害にあたるとして、慰謝料請求が認められています。

元夫の職場の全員が閲覧可能なメールアドレスに、「この度は代理弁護人の委任に至らなかったにもかかわらず様々なご助言、多大なお力添えを頂きありがとうございました。元夫の10年にも及ぶ不倫関係により当方が被った精神的苦痛に対し謝罪と180万円の慰謝料を得ました。昨年8月の慰謝料請求から訴訟、結審まで1年余り争いました。先に、度重なる不貞行為と9年に及ぶ経済DVに対する慰謝、財産分与として元夫からも4300万円を得られましたので、これでようやく一区切りつきました。先生方のお力添えのおかげで最後まで頑張ることができました。」といった内容のメッセージを送った。

これらの判決からもわかるように、不倫の事実を第三者にバラす行為は、名誉毀損ないしプライバシー侵害であるとして、慰謝料請求される可能性があります。

まとめ

配偶者の不貞が発覚したら、誰しも感情的な行動に出たい気持ちになるでしょう。
ですが、あなたが今後不利な立場にならないためにも、落ち着いた行動を心掛けましょう。
きちんとした主張と証拠を揃えて、冷静な交渉をすれば、慰謝料を獲得できる可能性は高いでしょう。

一人では不安がある場合には、弁護士としてお手伝いできることがあるかもしれません。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が在籍しています。ご来所による面談はもちろん、仕事が忙しくて相談に行けない人や遠方にお住まいの方のためにオンライン法律相談サービスも実施しています。
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