不倫慰謝料請求の時効を止める方法|焦りによる失敗を避けるには?

  • 最終更新日: 2025.08.8

一度は請求しないと決めたものの、やはり不倫慰謝料を請求したいと考えが変わるケースもあるでしょう。

不倫慰謝料請求権の時効は、原則として3年です。
時効が過ぎると、慰謝料を回収するのが難しくなります。
では、時効が迫っている場合には、どのように対処する必要があるのでしょう?

この記事では、不倫慰謝料請求の時効を止める5つの方法をご紹介しています。
ご自身の判断で行動するリスクについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

時効間近!不倫慰謝料請求の時効を止めるには?

不倫慰謝料請求の時効を止める方法は、次の5つです。

  • 裁判を提起する
  • 調停を申し立てる
  • 催告をする(内容証明郵便を送る)
  • 慰謝料請求についての協議を行う旨の合意を書面で残す
  • 慰謝料の支払い義務があることを承認させる

それぞれの手続きの内容やメリット・デメリットを解説します。

裁判を提起する

裁判を提起する方法です。

裁判を提起した場合は、その時点で一時的に時効は止まり、裁判が終わるまで時効は進みません(時効の完成猶予)。
裁判の途中で時効を迎える場合でも、裁判が終わるまでは時効が止まったままです。

判決や和解等(確定判決または確定判決と同一の効力を有するもの)により権利が確定すると、その時点で時効はリセットされ、そこから新たに時効がスタートします(時効の更新)。

裁判所を利用した手続きのため、確実に時効を止められる点はメリットでしょう。

しかし、時間や手間がかかることはもちろん、証拠等の準備が万全でないと勝訴判決を得るのは難しい点がデメリットでしょう。

調停を申し立てる

調停を申し立てる方法です。

調停を申し立てた場合は、その時点で一時的に時効は止まり、調停が終わるまで時効は進みません(時効の完成猶予)。
調停が成立すると、その時点で時効はリセットされ、そこから新たに時効がスタートします(時効の更新)。

調停は、裁判よりも簡易な手続きのため、比較的手軽に利用できる点はメリットでしょう。
しかし、調停は、当事者双方が合意しない限りは成立しません。

調停が成立せずに終了した場合は、その時点から6か月間時効の完成が猶予されるだけです(時効の完成猶予)。時効がリセットされるわけではない点がデメリットでしょう。

催告をする(内容証明郵便を送る)

催告をする(内容証明郵便を送る)方法です。

催告とは、相手方に対して、一定の行為を要求することをいい、不倫慰謝料請求の場面では、相手方に対し、慰謝料請求の意思を示すことです。

催告は、口頭でも有効ですが、催告した事実を証明するために、内容証明郵便で送ることが一般的です。
内容証明郵便を送った場合は、その時点で一時的に時効は止まり、6か月間時効の完成が猶予されます(時効の完成猶予)。

裁判所を介す必要はなく、ご自身での作成も可能なため、容易に行える点はメリットでしょう。

しかし、催告は、あくまで一時的に時効を止めるだけです。6か月の間で、相手方と示談成立するか裁判を起こす必要があります。もう一度催告をして、さらに6か月の延長はできません。あくまで一時的な措置になる点は、デメリットでしょう。

内容証明郵便に記載する内容は、通常の慰謝料請求する旨の通知と同様です。
内容証明郵便に記載する事項について、詳しくは「不貞慰謝料の請求書の書き方|記載すべき項目と押さえるべきポイント」の記事をご参照ください。

慰謝料請求についての協議を行う旨の合意を書面で残す

慰謝料請求についての協議を行う旨の合意を書面(または電磁的記録)で残す方法です。

慰謝料請求についての協議を行う旨の合意を書面で残した場合は、その時点で時効は止まり、次に掲げるいずれか早い時までの間は、時効は完成しません(時効の完成猶予)。

  • 合意があった時から1年
  • 合意において当事者が協議を行う期間(1年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間
  • 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から6か月

示談交渉が長引き、交渉の途中で時効を迎える場合には、一時的な措置として利用できる点はメリットでしょう。

しかし、何らの交渉も始まっていない段階で、慰謝料請求の協議を行う旨の合意のみを行うことは、効率的な手段とは言えないでしょう。

慰謝料の支払い義務があることを承認させる

慰謝料の支払い義務があることを承認させる方法です。

相手方が、慰謝料の支払い義務があることを認めた場合は、その時点で時効はリセットされ、そこから新たに時効がスタートします(時効の更新)。

承認は、口頭でも有効ですが、後に争いが生じることを防止するためにも、書面で残すことをおすすめします。
書面の内容は、不倫を理由とした慰謝料の支払い義務があることを認める旨や慰謝料を支払う意思がある旨が記載されている必要があります。

示談交渉が長引き、交渉の途中で時効を迎える場合には、一時的な措置として有効です。

しかし、何らの交渉も始まっていない段階で、相手方自ら承認する可能性は低いでしょう。

不倫の事実を知った段階であらかじめ慰謝料請求の時効は止められる?

あらかじめ慰謝料請求の時効を止める方法はありません。

「今は、慰謝料請求するつもりがないけれど、将来、慰謝料請求したいと思ったときに備えておきたい。」と考える方もいらっしゃるでしょう。

前章のとおり、時効を一時的に止める方法時効をリセットする方法はあります。

これらは全て、時効の完成を遅らせるだけであり、時効を永遠に止めるものではありません。

したがって、数年後、数十年後のもしもの場合に備えて、あらかじめ時効を止める方法はありません。

慰謝料請求の時効を止めるための行動が思わぬ事態を招くことも!

時効が間近に迫っていると、どうしても焦りが生じます。

しかし、ご自身のみの判断で行動にでることで、次のようなリスクが生じる可能性があります。

  • 証拠不十分により慰謝料が獲得できない可能性
  • 手続きミス・手続き不足により時効を止める効果が生じない可能性
  • 脅迫・強要行為にあたる可能性

以下、詳しく説明します。

証拠不十分により慰謝料が獲得できない可能性

証拠不十分により慰謝料が獲得できない可能性があります。

時効が迫っているからと、焦って裁判を提起する方もいるかもしれません。
裁判を提起することで、時効は一時的に止められます(時効の完成猶予)。

しかし、証拠が不十分だと敗訴する可能性が高いでしょう。

裁判は、証拠に基づき事実を認定するため、不倫慰謝料請求訴訟では、不貞行為の存在を立証する必要があります。

証拠が不十分で、準備もろくにせず裁判を起こすと、慰謝料請求が認められずに終わる可能性が高いでしょう。

手続きミス・手続き不足により時効を止める効果が生じない可能性

手続きミス・手続き不足により時効を止める効果が生じない可能性があります。

ご自身で手続きを行うと、時効を止めるための要件が足りていなかったり、手続きの効果を十分に理解していなかったりして、気づいた時には時効が過ぎているおそれもあります。

例えば、多くの人が利用を考えるのが催告をする(内容証明郵便を送る)方法です。

催告そのものは、ご自身で内容証明郵便を作成できれば問題ないかもしれません。

しかし、催告は、時効を6か月延長するだけであることを理解していないと、催告をしただけで安心する人もいます。

そもそも、時効の完成時期の判断が誤っている可能性もあるでしょう。

時効を止めるには、手続きの要件や効果を十分に理解する必要があります。

十分に理解できていないと、手続きミス・手続き不足により時効を止める効果が生じない可能性があるでしょう。

脅迫・強要行為にあたる可能性

脅迫・強要行為にあたる可能性があります。

時効間近の場合、焦りが生じるのは仕方ないことです。

しかし、焦るあまり、手段を問わず相手方に示談の合意を迫ったり、支払い義務の承認をさせたりする可能性も否定できません。

「今ここで示談書に署名押印しなければ、勤務先にバラすぞ。」等と発言すれば、脅迫罪・強要罪に問われるおそれがあるでしょう。

慰謝料請求を決意した段階で早めに弁護士に相談することをおすすめ!

慰謝料請求を決意したら、その段階で弁護士に相談することをおすすめします。

時効間近の場合は、適切な判断迅速な対応が必要です。

そもそも、時効がいつ完成するかをご自身で判断するのは難しい面があります。

焦って行動したものの、実は時効完成まで十分な時間があり、準備に時間をかけられるかもしれません。

どの手続きを選択すべきかは、事案の内容や時効までの期間、相手方の姿勢等により異なるため、経験を積んだ弁護士の判断が必要になるでしょう。

時効間近だからと、慰謝料請求を諦める必要はありませんが、できるだけ早く弁護士のサポートを受ける必要があるでしょう。

したがって、慰謝料請求を決断したら、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

不倫の慰謝料請求の時効を止める方法は、次の5つです。

  • 裁判を提起する
  • 調停を申し立てる
  • 催告をする(内容証明郵便を送る)
  • 慰謝料請求についての協議を行う旨の合意を書面で残す
  • 慰謝料の支払い義務があることを承認させる

時効が迫っている場合は、できるだけ早く、適切な方法を選択する必要があります。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。

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