更新日:2026年10月14日 (水)
公開日:2021年12月10日 (金)
離婚調停の流れと費用|申立て手順や弁護士依頼のメリットを解説
サマリー
夫婦間の話し合いで離婚の合意に至らない場合、家庭裁判所での離婚調停(夫婦関係調整調停)の申立てが選択肢となります。
しかし、申立ての手順や必要な費用、調停期日で実際に何を聞かれるのかなど、手続きの全体像が分からず戸惑う方も少なくありません。
この記事では、離婚調停の申立てから終了までの流れや必要書類、かかる費用をはじめ、調停を進める際のポイントや弁護士に相談・依頼するメリットについて分かりやすく解説します。
離婚調停(夫婦関係調整調停)の基礎知識と話し合える内容
離婚調停の制度趣旨と位置づけ
離婚調停は、正式には「夫婦関係調整調停(離婚)」と呼ばれる家庭裁判所の手続きです。
夫婦間の話し合いで合意に至らない場合や、直接の協議が難しい場合に、裁判所を介して解決の道筋を探る制度として設けられています。
調停の手続きでは、裁判官1名と民間から選任された調停委員2名以上で構成される調停委員会が、当事者双方の間に立って話し合いを仲介します。
双方が交互に調停室へ入って言い分を伝える運用が一般的であるため、相手と直接顔を合わせずに話し合いを進める配慮がなされています。
調停は当事者双方の合意による自主的な解決を図る場であり、裁判のように裁判所が一方的に判決を下す強制力はありません。
双方が最後まで合意に至らなければ調停は不成立となり手続きは終了します。
離婚調停で取り扱う主な協議事項
離婚調停では、単に婚姻関係を解消するかどうかだけでなく、離婚に伴って生じる親権や財産に関する諸条件についても併せて話し合うことができます。
一般的に調停で扱われる主な事項は以下のとおりです。
- 離婚の可否(婚姻関係を解消することについての双方の合意)
- 未成年の子どもがいる場合の親権者の指定および監護者の決定
- 子どもと離れて暮らす親との面会交流の頻度や実施方法
- 子どもの生活・教育を支える養育費の金額および支払期間・方法
- 婚姻期間中に夫婦で築いた財産の清算(財産分与の対象と割合)
- 厚生年金の保険料納付実績を分割する割合(年金分割)
- 不貞行為や暴力など一方の有責行為に対する慰謝料の有無と金額
未成年の子どもがいる夫婦の場合、法律上、離婚後の親権者を父母の双方または一方に定める必要があります。
そのため、調停手続きにおいても子どもの親権や生活環境の調整は重要な協議項目となります。
また、離婚後の経済的基盤に関わる財産分与や養育費、年金分割などの金銭面についても、調停の中で一括して協議を進めることが可能です。
これらを包括的に整理しておくことで、将来的な紛争の再発を防ぐことにつながります。
調停期日に調停委員から尋ねられる一般的な事項
第1回期日をはじめとする調停の場では、調停委員が双方の状況や考えを正確に把握するため、様々な質問を行います。
尋ねられる内容は夫婦ごとの事情によって異なりますが、一般的には以下の項目について質問される傾向があります。
結婚生活の経緯と離婚を求める理由
まず、婚姻に至った経緯から同居期間中の生活状況、そしてどのような出来事や葛藤を経て離婚を検討するに至ったのかという歴史的背景が確認されます。
感情的な主張に終始するのではなく、経緯を時系列に沿って説明することが求められます。
離婚に対する確固たる意思と関係修復の可能性
調停申立人に対しては、離婚を希望する意思が固いものかどうかが問われます。
一方、申立てを受けた相手方に対しては、離婚に応じる意思があるか、あるいは婚姻関係の修復を望んでいるかが確認されます。
一時的な感情や衝動による申立てではないか、話し合いによって関係を修復できる余地が残されていないかについても、調停委員会が慎重に聞き取りを行います。
子どもの監護状況と金銭的な希望条件
子どもがいる場合は、現在の監護状況や学校・生活環境、親権を希望する理由、離婚後の面会交流に対する意向などが細かく聴取されます。
子どもへの影響を最小限に抑える観点から、現状の生活実態が重視される傾向にあります。
さらに、財産分与の対象となる財産の種類や額、養育費や慰謝料の希望金額についても尋ねられます。
単に希望額を述べるだけでなく、その金額を算定した根拠や生活費の試算などについても説明が求められるのが通例です。
離婚調停の申立てから終了までの流れ
離婚調停は、家庭裁判所へ申立てを行ってから期日での話し合いを重ね、最終的な解決に至るまでいくつかの段階を経て進められます。
手続き全体の流れをあらかじめ把握しておくことで、今後の見通しが立ち、各段階で必要となる準備を落ち着いて進めやすくなります。
1. 家庭裁判所への申立て
離婚調停を始めるには、まず管轄となる家庭裁判所へ必要書類を提出して申立てを行います。
管轄の裁判所は、原則として「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」です。
ただし、夫婦間で事前に書面による合意がある場合には、例外として合意で定めた家庭裁判所に申し立てることも認められています。
申立先となる裁判所の具体的な所在地や管轄区域については、裁判所の公式ウェブサイトで確認することができます。
2. 調停期日通知書の送達と第1回期日の指定
家庭裁判所で申立書が受理されると、裁判所側で第1回調停期日の日程調整が行われ、当事者双方宛てに「調停期日通知書」が郵送されます。
申立てを受理してから第1回期日が開かれるまでの期間は、概ね1か月程度先の日程が指定されるのが一般的な運用です。
当日は感情的な対立を防ぐため、申立人と相手方の待合室は別々に用意され、双方が直接顔を合わせないよう配慮されています。
期日当日の所要時間は事案によって異なりますが、およそ2時間程度を見込んで進行されるケースが多く見られます。
3. 期日の進行と当事者双方への交互の聴取
第1回期日で双方の合意に達しない場合、期日を改めて話し合いを継続します。次回期日まではおおむね1か月〜2か月程度の間隔が空きます。
調停期日では、男女1名ずつの調停委員が当事者を交互に調停室へ呼び出し、約20分〜30分程度ずつそれぞれの言い分や希望を聴取します。
前回の話し合いを踏まえ、次回までに検討すべき事項の整理や、主張を裏付ける資料(財産目録や収支表など)の準備を指示されることもあります。
このように複数回の期日を重ねながら、調停委員が双方の主張や妥協点を探り、自主的な合意形成に向けて調整を進めていきます。
4. 調停の終了(成立・不成立・取り下げ)
離婚調停の手続きは、最終的に「調停成立」「調停不成立」「取り下げ」のいずれかの事由によって終了を迎えます。
| 終了パターン | 事由と主な概要 | その後の法的効力・影響 |
|---|---|---|
| 調停成立 | 当事者双方が離婚および付随条件について合意に達した場合 | 裁判所により調停調書が作成され、確定判決と同等の強い効力を持つ |
| 調停不成立 | 話し合いが平行線をたどり、合意に至る見込みがないと判断された場合 | 調停は終了し、離婚を求める場合は離婚訴訟の提起などを検討する |
| 取り下げ | 申立人が自身の判断で調停手続きの継続を中止した場合 | 申立人が取下書を裁判所に提出することで、申立て前の状態に戻る |
調停が成立した場合は「調停調書」が作成されます。調停調書に記載された養育費や財産分与などの金銭支払いが怠られた場合、強制執行の手続きをとることが可能です。
一方、双方が主張を譲らず合意の見込みがないと判断された場合は調停不成立となり、離婚を求める側は離婚訴訟(裁判)の提起などを検討することになります。
また、夫婦関係を修復する方向で合意に至った場合や調停を続ける理由がなくなった場合は、申立人が取下書を提出して調停を終了させることもできます。
離婚調停の申立てに必要な書類と費用
離婚調停の申立てに必要な書類一覧
離婚調停(夫婦関係調整調停)を家庭裁判所に申し立てる際には、裁判所が定めている各種の書式や公的な証明書類を事前に準備して提出する必要があります。
これらの書類は、全国の家庭裁判所の窓口で取得できるほか、裁判所のウェブサイトから書式をダウンロードして作成することも可能です。
基本となる書類は「夫婦関係事件等申立書(離婚調停申立書)」です。
これには申立人と相手方の基本情報をはじめ、申立ての趣旨として離婚そのものを求める旨や、付随して取り決めたい親権、面会交流、養育費、財産分与などの希望条件を整理して記載します。
あわせて提出を求められる「事情説明書」には、同居開始から別居に至るまでの経緯や夫婦関係が悪化した事情を記入します。
未成年の子どもがいる場合は「子についての事情説明書」も必要となり、現在の監護状況や子どもの生活環境、面会交流に対する意向などを記載します。
さらに、調停期日の日程調整や連絡手段を確認するための「進行に関する照会回答書」や「連絡先等の届出書」を提出します。
また、財産関係のうち年金分割の割合を審理に含めたい場合は、年金事務所等から事前に交付を受けた「年金分割のための情報通知書」の提出も必要となります。
- 夫婦関係事件等申立書(離婚調停申立書)
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 事情説明書
- 子についての事情説明書(未成年の子どもがいる場合)
- 進行に関する照会回答書
- 連絡先(送達場所)等の届出書
- 年金分割のための情報通知書(年金分割を求める場合)
住所や連絡先を相手方に知られたくない場合の対応
配偶者からの暴力や過度な干渉などがあり、現在の居住地や連絡先を相手方に知られたくない場合、申立てにあたって事前の慎重な対応が求められます。
裁判所に提出する申立書の写しは原則として相手方にも送達されます。そのため、現住所を知られたくない場合は、書類送達先として知られても支障のない実家や親族宅などを記載する実務上の工夫がとられることがあります。
相手方に住所等が知られることで社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあるケースでは、家庭裁判所の「当事者間秘匿制度」の利用を検討することができます。
この制度を利用する場合は「非開示の希望に関する申出書」などを提出し、記録の閲覧や謄写を通じて相手方に現住所等の情報が開示されるのを防ぐ措置を講じます。
申立てを行う前に、管轄の家庭裁判所へ秘匿手続きの詳細を確認しておくことが有益です。
秘匿措置を取らずに現住所を記載した書類を提出すると、調停の開始にともなって相手方に住所が伝わってしまうリスクがあるため、申立て前の確認が重要です。
申立てにかかる費用の内訳
離婚調停の申立て手続き自体に必要となる裁判所への費用は、法律上の申立手数料や連絡用の実費が中心であり、比較的少額で申し立てることが可能です。
具体的な費用としては、申立手数料として納付する収入印紙代が基本となります。
離婚のみを求める場合、申立書に貼付する収入印紙は1件につき1,200円と定められています。
婚姻費用の分担などを同時に申し立てる場合は、申立て1件ごとに別途印紙代が加算されます。
また、裁判所から当事者双方への呼出状や書類送達に使用される連絡用の郵便切手代として、およそ1,000円前後の予納が必要です。
この切手の券種や総額は管轄する家庭裁判所ごとに指定が異なるため、事前に申立て先の裁判所へ確認します。
そのほか、添付書類となる戸籍謄本(全部事項証明書)の取得手数料が1通450円、必要に応じて提出する住民票の取得手数料が1通300円程度かかります。
| 費用の項目 | 金額の目安 | 主な用途・備考 |
|---|---|---|
| 収入印紙代 | 1,200円 | 申立書に貼付して納める手数料(調停1件につき) |
| 連絡用郵便切手代 | 1,000円程度 | 呼出状等の書類送達用(裁判所ごとに金額・内訳が異なる) |
| 戸籍謄本(全部事項証明書) | 450円 | 本籍地の市区町村窓口で取得(添付書類用) |
| 住民票の写し | 300円程度 | 住所地の市区町村窓口で取得(必要に応じて提出) |
これらを合算すると、調停申立てにかかる公的な実費の総額はおおむね3,000円程度となります。
なお、弁護士へ調停の代理やサポートを依頼する場合には、上記の実費とは別に弁護士費用が必要となります。
離婚調停をスムーズに進めるための4つのポイント
離婚調停は、家庭裁判所の調停委員会が間に入って話し合いを進める手続きですが、限られた期日時間の中で的確に話し合いを進めるためには事前の準備が欠かせません。
準備が不十分なまま期日に臨むと、緊張から自らの意向を正確に伝えられなかったり、話し合いが想定外の方向へ脱線してしまったりする可能性があります。
調停期日において円滑に意思疎通を図るためには、事前の情報整理や当日の受け答えに関する心構えが重要な鍵となります。
1. 離婚を決意した経緯を時系列で整理する
まず取り組みたいのが、同居開始から別居、離婚を考えるに至った経緯を時系列で整理しておくことです。
出来事が発生した時期や当時の状況をメモなどにまとめておくと、調停委員への説明がスムーズになります。
過去の出来事を思い出しながら口頭だけで説明しようとすると、話の前後関係が曖昧になり、調停委員に正確な状況が伝わりにくくなる傾向があります。
感情的な表現をできるだけ控え、いつ・どのような出来事があり、それに対してどのような対応をとったのかを簡潔にまとめておくことが、状況を正しく把握してもらうための助けとなります。
2. 希望する条件や自らの主張を事前に明確化しておく
調停期日では、離婚の可否だけでなく、親権、養育費、財産分与、面会交流など多岐にわたる付随条件について意見を求められます。
それぞれの項目について、自分がどのような条件を希望するのか、どこまでであれば譲歩を検討できるのかといった方針を、あらかじめ書き出して明確にしておきましょう。
事前に自分の考えを整理しておかないと、調停委員からの質問に対してその場で迷いが生じ、曖昧な返答になってしまう恐れがあります。
書面に整理しておくことで、調停期日の独特な雰囲気の中でも落ち着いて自らの希望を伝えやすくなり、話し合いの焦点を絞ることに役立ちます。
3. 主張を裏付ける客観的な証拠や資料を準備する
離婚調停の申立て自体は証拠が揃っていなくても行えますが、自身の主張を裏付ける客観的な資料があれば、調停委員や相手方に対する説明が格段に説得力を持ちます。
例えば財産分与であれば預貯金通帳のコピーや残高証明書、養育費であれば源泉徴収票や確定申告書など、金銭や財産の状況を示す資料が代表的です。
口頭での説明だけでは双方の言い分が食い違い、平行線をたどることも少なくありません。
客観的な資料を提示することで、事実関係の確認にかかる時間を短縮できる場合があります。
どのような資料を用意すべきか判断に迷う場合は、事前に弁護士などの専門家に相談して法的な観点から確認しておくことも検討に値します。
4. 感情的な対立や非難を避け、冷静かつ理性的に対応する
調停期日において注意したい姿勢の一つが、感情的にならず冷静かつ理性的な態度を保ち続けることです。
相手方への不満や憤りから調停の場で悪口や非難を繰り返してしまうと、調停委員に「感情論に終始しており建設的な合意が難しい」という印象を与えかねません。
離婚調停は相手方を一方的に糾弾する場ではなく、将来に向けた具体的な取り決めを行うための話し合いの場です。
相手方の主張に納得できない点がある場合でも、頭ごなしに否定するのではなく、自らの意見を事実に基づいて落ち着いて説明する姿勢が、調停を円滑に進める上で重要となります。
弁護士に離婚調停を依頼する4つのメリット|弁護士費用の相場も解説
離婚調停を弁護士に依頼する5つのメリット
離婚調停は法律上、弁護士を付けずに当事者本人のみで進めることも可能な手続きです。
しかし、法的な判断が絡む話し合いや裁判所への書類対応を一人でこなすことには不安を感じる方も少なくありません。
弁護士に依頼した場合には、手続きの代行から期日での立ち会い、精神的なサポートまで様々な面で支援を受けられます。
ここでは、離婚調停を弁護士に依頼する主な5つのメリットについて解説します。
1. 申立て手続きや必要書類の準備を一任できる
離婚調停を申し立てるにあたっては、申立書の作成だけでなく、事情説明書や照会回答書、戸籍謄本など多岐にわたる書類の収集と提出が求められます。
慣れない裁判所書類を作成し、不備なく揃える作業には多くの時間と手間がかかります。
弁護士に依頼すれば、申立書類の作成や添付書類の準備、家庭裁判所への提出手続きを一任できます。
書類の不備による修正や提出の遅れを防ぎ、円滑に申立てを進められる点が大きなメリットです。
2. 主張や希望を法的な観点を踏まえて的確に伝えられる
調停の場では、親権や養育費、財産分与、慰謝料などの各論点について、自身の希望や主張を調停委員に理解してもらう必要があります。
しかし、感情が高ぶって要点が曖昧になったり、法的な根拠に基づかない主張をしてしまったりすると、意図が正しく伝わらない恐れがあります。
弁護士が関与することで、法的な根拠や相場、裁判例の傾向を踏まえた論理的な主張を組み立てられます。
調停委員に対しても説得力のある説明を行いやすくなります。
3. 代理人として調停期日への同行や代理出頭を行える
弁護士は代理人として調停期日に同席できます。調停室へ一緒に入室して発言を補佐してもらえるため、緊張しやすい方や相手方の言動に不安がある方でも落ち着いて期日に臨むことが可能です。
また、調停が成立する期日などを除き、事案や進行状況によっては弁護士のみが出頭して期日を進める代理出頭が認められる場合もあります。
仕事や育児、介護などで平日の日中に裁判所へ出向くのが困難な方にとっても助けとなります。
4. 期日での受け答えや対応方針について継続的な助言が得られる
調停期日では、相手方の主張内容や調停委員からの質問に対して、どのように回答すべきかその場で迷う局面が多々あります。
安易な回答をしてしまうと、後の話し合いや手続きに影響を及ぼす可能性も否定できません。
弁護士がついていれば、その場で相談しながら慎重に受け答えができるほか、次回の期日に向けて準備すべき資料や主張の方針について継続的に助言を受けられます。
状況に応じた適切な対応策を検討できる心強い存在といえます。
5. 複雑な手続きや相手方との対立による精神的負担を軽減できる
離婚調停をすべて自分一人で対応する場合、相手方との意見の対立や将来への不安を抱えながら日常生活を送ることになり、精神的な負担は非常に大きなものとなります。
仕事や家事、育児と並行して調停の準備をこなすこと自体が過度なストレスになることも珍しくありません。
弁護士という法的な味方が側にいて、煩雑な手続きや相手方との交渉窓口を任せられる環境は、本人の精神的な重圧を大きく和らげる要因となります。
離婚調停に関するよくある5つの質問(Q&A)
Q. 離婚調停にはどのくらいの期間や期日回数がかかりますか?
裁判所が公表している司法統計(令和5年家事編)のデータによると、離婚調停は申立てから概ね6か月以内に終了する事案が多く、次いで1年以内、3か月以内という順になっています。
期日の実施回数としては2回程度で終了するケースが比較的多く見られますが、争点が多い複雑な事案では6回から10回に及ぶこともあります。
特に子どもの親権を双方が激しく争っている場合や、一方が離婚そのものを一切認めようとしない場合には、話し合いが長期化しやすい傾向にあります。
Q. 調停期日通知書(呼び出し状)を無視するとどうなりますか?
家庭裁判所から届いた調停期日通知書を正当な理由なく無視して放置すると、調停委員や裁判官の心証を損ねる原因となります。
調停が不成立となってその後に離婚訴訟へと発展した際にも、手続きに対する不誠実な対応と評価され、不利に働く可能性があります。
また、期日を無視していると裁判所から書面や電話で重ねて出頭を促されることが一般的です。
正当な理由がないにもかかわらず出頭の督促を拒み続けた場合には、法令の規定により5万円以下の過料が科される可能性もあります。
Q. やむを得ず調停期日に欠席する場合はどうすればよいですか?
急な病気や外せない業務、冠婚葬祭などの正当な理由によって指定期日への出席が困難になった場合には、期日の前までに必ず担当の家庭裁判所書記官へ電話などで連絡を入れることが大切です。
正当な事情を事前に説明した上で1回程度欠席するだけであれば、手続き全体に直ちに決定的な不利益が及ぶ可能性は低いといえます。
また、指定された日時ではどうしても仕事や育児などの都合がつかないと判明した段階で、期日変更の申請を行うことも有効な対処法となります。
Q. 離婚調停の期日や調停期間中に避けるべき行為は何ですか?
調停期日の場においては、感情に任せて相手方を誹謗中傷したり、事実と異なる虚偽の申告や矛盾する発言を繰り返したりすることは避ける必要があります。
発言の信憑性を疑われてしまうと、調停委員との信頼関係を築くことが難しくなります。
さらに調停が継続している期間中に、誤解や新たな紛争を招くような異性関係を持ったり、合意がないまま一方的に別居へ踏み切ったりする行為は注意が必要です。
相手方が直接の対話を望んでいない状況で執拗に連絡を試みることも、関係をより悪化させる要因となります。
Q. 離婚調停について無料で相談できる窓口には何がありますか?
離婚調停の手続きや進め方に不安がある場合は、公的機関や各種団体が設けている無料の相談窓口を活用することができます。
例えば各市区町村の自治体役所では、住民向けに定期的な無料法律相談の機会を設けています。
また、各都道府県の弁護士会や法テラス(日本司法支援センター)でも、所定の要件を満たす場合に無料相談を利用することが可能です。
家庭裁判所内の家事相談室では、申立書の書式取得や提出書類の確認といった手続き案内についての説明を受けられます。
離婚調停の手続きに不安がある場合は弁護士への相談を
離婚調停は家庭裁判所の調停委員会を介して自主的な合意を図る制度ですが、当事者双方の主張が大きくかけ離れている場合、容易に合意へ至らないケースも少なくありません。
特に離婚の可否そのものに争いがある場合や、親権、養育費、財産分与、慰謝料などの争点が多岐にわたる場合は、話し合いが長期化したり平行線をたどったりすることがあります。
話し合いが難航する状況における法律相談の意義
当事者同士の協議で意見が対立している段階や、調停期日において双方が譲歩しない状況では、どのような解決策が現実的であるのかを見失ってしまうことがあります。
弁護士に相談することで、これまでの裁判所の実務傾向や法的な基準に照らし、自身の主張がどのように評価される可能性があるか客観的な助言を受けることができます。
法的な観点に基づいた客観的な見通しを事前に把握しておくことは、過度な対立を避け、現実的な着地点を模索する上で役立ちます。
個別の事情に応じた手続き選択と入念な準備の重要性
離婚に関する事情は、婚姻期間の長さ、未成年の子どもの有無や監護状況、夫婦の財産状況など、各家庭の個別の背景によって大きく異なります。
そのため、一般的な流れに沿って手続きを進めるだけでなく、個別の事情に応じて適切な時期に調停を申し立て、必要な証拠や資料を揃えておくことが求められます。
事前に事実関係を時系列で整理し、主張の根拠となる客観的な資料を準備しておくことで、調停期日において自らの考えを調停委員会へ分かりやすく伝える基盤が整います。
また、調停での合意が困難と見込まれる場合に、調停を継続すべきか、あるいは不成立を経て次の法的手続きを見据えるべきかといった判断においても、事前の検討が大切です。
冷静な対応と見通しを持った手続きの進行に向けて
調停期日では普段慣れない環境で受け答えを行うため、緊張や不安から自身の希望や意図を十分に伝えられないまま進んでしまう懸念もあります。
手続きの進め方や期日での受け答えに不安を抱えている場合は、法律相談を通じて疑問点を整理し、適切な方針を確認しておくことが冷静な対処につながります。
家庭裁判所の手続きや離婚条件の取り決めに関して不安や疑問がある際には、状況に応じたアドバイスを得る手段として、弁護士への相談を検討してみるとよいでしょう。
離婚調停の呼び出し状が届いた!調停を申し立てられた側の対処法
コラム監修者
SHIZU ISHIDA
所属:東京オフィス
広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。