トレントを利用して発信者情報開示請求をされたときの流れを解説

トレントを利用して発信者情報開示請求をされて「どうすればいいの!?」とお困りではありませんか。

「こんな作品をアップロードした覚えはないんだけど…」と思っている方もいるかもしれません。

そんなあなたには、トレントを利用して発信者情報開示請求をされる理由や、発信者情報開示請求をされた後の流れを紹介したこの記事を見ていただきたいです。

あなただけでなく、BitTorrentを利用した違法アップロードに対しては多くの発信者情報開示請求がされています。

初めての発信者情報開示請求に対しても、落ち着きつつ迅速な対応ができるよう、ぜひご参考にしてください。

目次

トレントを利用して発信者情報開示請求をされるのはなぜか

著作権者の同意なく、BitTorrentなどのファイル共有ソフトを利用してデータをダウンロードすると、同時にアップロードもするため、違法ダウンロードと違法アップロードをしてしまい、著作権を侵害された著作権者が損害賠償請求をするために加害者を特定しようと考えるからです。

公衆送信権・送信可能化権の侵害

著作権法23条で、著作権者に公衆送信権・送信可能化権があることを定めていますので、著作物を利用するには著作権者の同意が必要です。

第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

引用:e-GOV法令検索 著作権法

公衆送信権は、著作権者が公衆によって直接受信されることを目的として著作物の送信を行える権利です。著作物について著作権を有しない者が送信することが公衆送信権を侵害することになります。

送信可能化権は、著作権者が著作物を公衆に送信できる状態にできる権利です。著作物について著作権を有しない者が、公衆が受信できる状態にすることが送信可能化権を侵害することになります。

著作物には次の種類があります。

言語の著作物論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など
音楽の著作物楽曲及び楽曲を伴う歌詞
舞踊、無言劇の著作物日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け
美術の著作物絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など(美術工芸品も含む)
建築の著作物芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)
地図、図形の著作物地図と学術的な図面、図表、模型など
映画の著作物劇場用映画、テレビドラマ、ネット配信動画、アニメ、ビデオソフト、ゲームソフト、コマーシャルフィルムなど
写真の著作物写真、グラビアなど
プログラムの著作物コンピュータ・プログラム
二次的著作物上表の著作物(原著作物)を翻訳、編曲、変形、翻案(映画化など)して創作したもの
編集著作物百科事典、辞書、新聞、雑誌、詩集など、複数の素材からなり、素材の選択又は配列に創作性があるもの
データベースの著作物編集著作物のうち、コンピュータで検索できるもの

参考:公益社団法人著作権情報センター 著作物って何?

トレントの仕組み

BitTorrentを代表とするP2P(ピア・トゥ・ピア)方式のファイル共有ソフトを利用してデータをダウンロードすると、同時にアップロードもして、他のユーザーの要求に応じて自動的にデータが送信可能な状態になります。これにより、著作権者の同意なく、BitTorrentなどで著作物をダウンロードすると、ダウンロードだけしたつもりでも違法ダウンロードと違法アップロードをしてしまいます。

発信者情報開示請求の必要性

著作権を侵害された著作権者が損害賠償請求をするためには、加害者を特定しなければなりません。

加害者を特定するためには、トレント監視システムを利用して不正なアップロードをしているIPアドレスを特定し、IPアドレスからプロバイダを特定してプロバイダに対して発信者情報を開示するように請求します。

トレントを利用して発信者情報開示請求をされた後の流れ

発信者情報開示請求をされた後は、以下の流れとなります。

意見照会が届く

著作権者がプロバイダに対して発信者情報開示請求をすると、プロバイダは発信者情報を開示していいかを契約者に確認するために、発信者情報に係る意見照会書を契約者に送付します。契約者が身に覚えがなくても、同居人がトレントを利用している可能性もあります。

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(「プロバイダ責任制限法」ともいいます。)第6条で、原則として意見照会を行わなければならないことを定めています。

第六条 開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、当該開示の請求に応じるかどうかについて当該発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならない。

引用:e-GOV法令検索 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律

契約者が開示に同意すれば、発信者情報が開示されます。開示を拒否すれば、プロバイダが回答内容を踏まえて発信者情報を開示するかを判断します。契約者が開示を拒否していてもプロバイダが開示することもあります。

トレントを利用した著作権侵害は、次のようないろいろなジャンルの作品で行われています。

  • アニメ
  • マンガ
  • アダルト動画
  • 音楽

自分が著作権侵害をしていることを知らずに違法ダウンロードすると同時に違法アップロードをしてしまっていますので、意見照会が届いても身に覚えがないと感じる人も多いようです。1つの作品について意見照会が届いたら、同ジャンルの別の作品や別ジャンルの作品でも同様にトレントを利用して著作権侵害をしている可能性もあります。

訴訟が提起される

プロバイダが発信者情報を開示しなかった場合、著作権者は発信者情報の開示を求める訴訟を提起します。

裁判所は、トレントを利用した権利侵害に対する発信者情報開示請求の多くで、開示を認めています。

民事責任・刑事責任を追及される

発信者情報開示請求によって発信者を特定されると、民事上の損害賠償請求をされます。

著作権法第114条で損害額の算定方法を定めています。

第百十四条 著作権者等が故意又は過失により自己の著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(以下この項において「侵害者」という。)に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、侵害者がその侵害の行為によつて作成された物(第一号において「侵害作成物」という。)を譲渡し、又はその侵害の行為を組成する公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。同号において「侵害組成公衆送信」という。)を行つたときは、次の各号に掲げる額の合計額を、著作権者等が受けた損害の額とすることができる。

一 譲渡等数量(侵害者が譲渡した侵害作成物及び侵害者が行つた侵害組成公衆送信を公衆が受信して作成した著作物又は実演等の複製物(以下この号において「侵害受信複製物」という。)の数量をいう。次号において同じ。)のうち販売等相応数量(当該著作権者等が当該侵害作成物又は当該侵害受信複製物を販売するとした場合にその販売のために必要な行為を行う能力に応じた数量をいう。同号において同じ。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該著作権者等が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)に、著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額

引用:e-GOV法令検索 著作権法

基本的には、ダウンロード回数×販売利益で算定します。ダウンロード回数が多くなる人気の作品であるほど損害額が高くなり、数百万円や数千万円の損害額になることもあります。

刑事責任を追及するために刑事告訴をされる場合もあります。

著作権法第119条で罰則が定められています。

第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第二項、第三項若しくは第六項から第八項までの規定により著作権、出版権若しくは著作隣接権(同項の規定による場合にあつては、同条第九項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第五号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第十項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第六号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用:e-GOV法令検索 著作権法

最長で10年の懲役刑、最高額で1,000万円の罰金が科される可能性があります。

刑事告訴されると逮捕される可能性がありますので、逮捕を避けるためには早期の対応をする必要があります。

まとめ|トレントを利用して発信者情報開示請求をされたら弁護士にご相談を

著作権侵害の事実がある場合では、意見照会を無視しても、開示を拒否しても、訴訟になると裁判所が発信者情報の開示を認める可能性が高く、訴訟の弁護士費用を請求される可能性や、刑事告訴をされる可能性もあります。

ですので、訴訟になる前に示談での解決をすることも大切です。

意見照会の回答書の内容も重要になりますが、回答期限が1週間~2週間に設定されていることが多く、あまり時間がありません。

トレントを利用して発信者情報開示請求をされ意見照会が届いたけど、どうしたらいいかわからない方は、できるだけ早く、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。


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