YouTubeはアカウントを作成すれば誰でも簡単に動画や音声を投稿できるため、ご自身が作成した動画や音声が知らないうちに流用されるなど、著作権が侵害されるケースも少なくありません。
YouTubeで著作権侵害にあたるのは、具体的にどのようなケースなのでしょうか?
万一、ご自身が有する著作権を侵害された場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?
この記事では、YouTubeで著作権侵害にあたる行為やご自身の著作権が侵害されているかどうかの判断基準について事例を用いて詳しく解説します。
YouTubeで著作権侵害にあたるのはどんな行為?
ここでは、YouTubeで著作権侵害にあたる行為はどんな行為なのかについて解説します。
テレビ番組や映画の映像・静止画を無断で投稿した
近年、映画の映像や静止画を編集し、字幕やナレーションを加えて10分程度のコンテンツにまとめたファスト映画が、YouTubeで人気を博しています。しかし、テレビ番組や映画の映像を著作者に無断で複製・編集し、YouTubeにアップロードする行為は著作権侵害にあたります。
テレビ番組は、著作権法上、ドラマやドキュメンタリーなど多くのものが映画の著作物として取り扱われています(生放送番組を除く)。
映画の著作物の著作者は、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当して、その映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した人です(著作権法16条)。
映画の著作物の著作者には、著作権法上、主に以下の権利が与えられています。
- 著作物を印刷、写真、複写、録音、録画等の方法で有形的に再製する権利(複製権)
- 著作物を公に公開する権利(上映権)
- 有償・無償を問わず、著作物の複製物を譲渡または貸与する権利(頒布権)
- 著作物を放送・有線放送・インターネットで送信する権利(公衆送信権)
テレビ番組や映画の映像・静止画を無断で投稿する行為は、複製権や公衆送信権に抵触します。
著作権とは別に、テレビ番組や映画の映像を創作した人には著作者人格権も認められます。
テレビ番組や映画の動画・静止画をYouTubeにアップロードする際、以下のいずれかに該当する場合には、氏名表示権や同一性保持権等の著作者人格権侵害にあたる可能性があります。
- 著作者名を正しく表示していない
- 映像・画像を無断で改変した
CDやダウンロード配信用の音源を動画のBGMに利用した
YouTubeで他者の著作物である音楽を利用する際、以下のいずれかに該当する場合には、レコード会社等の音源製作者に対して、音源利用に関する許諾を得なければなりません。
- アップロードする動画にCD音源やダウンロード配信用音源を利用する
- カラオケ音源を用いて歌った動画を投稿する
YouTubeは、著作権管理団体であるJASRACと包括的な利用許諾契約を締結しています。そのため、一定の条件を満たす利用であれば、投稿者は個別の許諾を得ずにJASRAC管理楽曲を含む動画をアップロードできます。
個別の許可を得ずにJASRAC管理楽曲を含む動画を配信する条件は、下記リンクのフローチャートおよび利用上ご注意で確認できます。
市販のCDやダウンロード配信用音源・カラオケ音源には、著作権とは別に、音楽制作者やアーティストに著作隣接権が認められています。そのため、これらの音源をYouTubeにアップロードする動画に利用する場合には、著作隣接権の権利者から個別の許諾を得なければなりません。
利用できる音源 | 音楽制作者(レコード会社、アーティスト等)の 許諾を得る必要がある音源 |
---|---|
・自分で演奏したもの ・自分の演奏に合わせて歌唱したもの ・自分で制作したMIDI ・サイト運営事業者がレコード会社等から 許可を得ている音源 等 | ・レコード会社等の許可を得ていないCD音源、 ダウンロード音源 ・カラオケ事業者の許可を得ていない伴奏音源 ・アーティストのプロモーションビデオ、 TV番組、映画 等 |
JASRAC管理楽曲に訳詞を付けたり、替え歌にしたりする場合にも、編曲に関して楽曲の権利者(作詞者、作曲者、音楽出版社等)の許諾を得なければなりません。
漫画コンテンツを無断で投稿した
他者の著作物である漫画の一部または全部を無断でYouTubeにアップロードする行為は、著作権侵害に該当します。
一般的に漫画の著作権は作者にあるため、作者の許可を得ずに以下のような行為が行った場合は、著作権ないし著作者人格権を侵害する可能性が高いです。
- 漫画のページやセリフを抜き出したネタバレ動画を作成して投稿した
- 漫画のキャラクターのイラストを利用した動画を作成して投稿した
- 好きなキャラクターやシーンの自作イラストを利用した動画を投稿した
ただし、他人の著作物である漫画の1コマや表紙等を自分の著作物の中に取り込む際(引用する際)には、以下の事項を満たすことで著作権侵害にならないこともあります。
- 他人の著作物を引用する必然性がある
- かぎ括弧をつけるなど、自分の著作物と引用部分とが区別されている
- 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確である(自分の著作物が主体)
- 出所の明示がなされている
絵本の読み聞かせ動画を投稿した
絵本の読み聞かせ動画をYouTubeにアップロードすることは、非営利・無料・無償でも公衆送信権等の著作権侵害にあたります。
ただし、古い絵本ですでに著作権が切れているものであれば、読み聞かせ動画を投稿しても問題ありません。
絵本の読み聞かせに関するルールは、下記日本児童出版美術家連盟や日本書籍出版協会のガイドラインをご参考になさってください。
参考:絵本読み聞かせ|日本児童出版美術家連盟 (dobiren2.main.jp)
参考:読み聞かせ著作権 ガイドライン |一般社団法人日本書籍出版協会 (jbpa.or.jp)
他者が配信した動画を無断転載した
他者が作成・配信した動画コンテンツを無断転載する行為は、YouTubeの規約違反および著作権の侵害に該当します。
動画を作成した投稿者には複製権や公衆送信権が認められるため、私的利用や引用などの例外を除いて、他人が動画を無断で複製・配信することは許されません。
他者が配信した動画をそのまま複製して配信した場合でなくても、意図的に編集・改ざんされ、著作者の意に反する形で再投稿された場合には、同一性保持権の侵害に該当する可能性もあります。
YouTubeで著作権侵害されたかも…音楽の使用はどこまでセーフ?
ここでは、YouTubeにおける音楽の使用に関する著作権侵害の判断基準をケース別に紹介します。
自分が作った曲を他者が「歌ってみた」「演奏してみた」と投稿した
JASRACの管理楽曲をYouTube動画に利用する場合、投稿者自らが演奏するか、演奏できる人に演奏してもらえば著作権侵害の問題は生じません。
しかし、インディーズアーティストの作品など、JASRAC等の著作権管理団体に著作権の管理を委託していない楽曲は、投稿者自身が演奏しても無断で配信できません。
自分が作曲・作詞した曲を、第三者が無断で「歌ってみた」「演奏してみた」動画としてYouTubeに配信している場合は、著作権を侵害されている可能性があります。
自分が作った曲の一部を用いて新たに作られた音楽が投稿された
自分が作った曲の一部を用いて新たに作られた音楽がYouTubeで配信された場合は、一般の人が聴いたときに、「この曲に使われているフレーズは、あなたの曲の一部でしょう?」とわかる程度に編集されたものであれば、著作権侵害に該当する可能性があります。
原曲がわからないくらい短く切って編集されたものであれば、翻案権や同一性保持権侵害には該当しないでしょう。
路上ライブをしていたら観客が無断で撮影した動画を投稿した
自分が作詞・作曲した楽曲を路上ライブで実演している様子を観客が撮影した動画を、無断でYouTubeにアップロードされた場合は、複製権や公衆送信権の侵害に該当する可能性があります。
自分が作詞・作曲したものはなく、JASRAC等が管理する楽曲を路上ライブで実演した場合も、その様子を撮影した観客が無断で配信した場合は、実演家としての送信可能化権が侵害されている可能性があります。
YouTubeで著作権侵害の動画を通報・報告する方法|3回でチャンネル停止できる?
ここでは、YouTubeで著作権侵害の動画を通報・報告する方法を解説します。
チャンネル内の概要ボタンから報告・通報する
自分の著作物をYouTubeに無断で配信された場合には、YouTubeのサイト上から運営会社に報告する方法があります。
参考:YouTube 上の不適切な動画、チャンネル、その他のコンテンツを報告する – パソコン – YouTube ヘルプ (google.com)
YouTube にログインし、報告したい動画の右下にある[…]をクリックし、[報告]を選択すると、以下のページが表示されます。

[権利の侵害]を選び、下部に表示される選択窓から[著作権の問題]を選択して、[次へ]をクリックします。
[著作権侵害による削除通知を提出する]ページに移動したら、画面中央部の赤枠内の青色ボタンをクリックします。

[動画の削除リクエスト]フォームに移動したら、必要情報を入力して送信します。
報告されたコンテンツは、コミュニティガイドラインに沿って審査されます。
参考:コミュニティ ガイドラインとポリシー – YouTube のしくみ
なお、著作権侵害による報告には、以下のようなデメリットがあるため、削除通知の提出は慎重に判断しましょう。
- 通報した人の名前が動画の投稿者に知られる
- 動画が削除された後もURLが残り、通報した人の名前がサムネイルに表示される

弁護⼠に依頼して削除請求をする
報告機能や専用フォームからYouTubeに削除を依頼しても、問題の動画が削除されない場合は、弁護士に依頼して削除請求を行うことが考えられます。
著作権侵害による削除通知は、メール・FAX・郵便でも行えます。
任意での削除に応じてもらえない場合には、仮処分や訴訟等により削除を求めます。
YouTubeで著作権侵害に遭ったときに弁護士に相談するメリット
ここでは、YouTubeで著作権侵害に遭ったときに弁護士に相談するメリットを紹介します。
著作権侵害にあたるか判断してもらえる
著作物にはどのようなものがあり、どのような場合に侵害されたと言えるかは、一定の法律知識がなければ正確に判断できないこともあるでしょう。
著作権に詳しい弁護士に相談すれば、権利侵害の有無を正しく判断してもらえて、削除依頼・削除請求に有効な証拠を集めてもらえます。
YouTubeでご自身の権利が侵害されている可能性がある場合には、弁護士への相談をおすすめします。
投稿者を特定して責任を追及できる可能性もある
YouTubeで自分の著作物を勝手に使われていた場合、権利侵害者に対して、以下の権利を主張できます。
不法行為に基づく 損害賠償請求権 | 権利侵害によって被った損害の賠償を請求する権利 |
不当利得返還請求権 | 著作物を複製して販売するなど、権利侵害者がその侵害行為により利益を得ている場合に、不当に得た利益の返還を請求する権利 |
差止請求権 | 著作物を勝手に複製して販売するなどの行為を停止するよう請求できる権利 |
名誉回復措置請求権 | 権利者が望まない使い方をされるなど名誉を傷つけられた場合に、著作者人格権や実演家人格権に基づき、謝罪広告等の措置を請求する権利 |
投稿者にこれらの法的責任を追及するためには、投稿者の氏名や住所を特定しなければなりません。
弁護士に依頼すれば、発信者情報開示請求により投稿者の氏名、住所、メールアドレスなどの情報を取得できる可能性が高まります。

訴訟に発展した場合も安心して任せられる
著作権に関するトラブルが発生した場合、投稿者との交渉による解決を試みます。
交渉による解決が難しければ訴訟による解決を図ります。
弁護士は、依頼者のためにすべての裁判所で代理人として行動できるほか、交渉・示談・契約書作成などの法律事務を代理人として行えます。
著作権に関する知識・実績な弁護士に依頼すれば、スピーディかつ適切な対応が望めます。
まとめ
著作権が侵害されているかどうかの判断にあたっては、関連法や判例の知識が不可欠です。
YouTubeに自分の著作物が無断で投稿された場合は、弁護士への相談をおすすめします。
投稿者を特定すれば損害賠償や不当利得返還請求等の責任追及も可能です。
著作権侵害に基づくYouTube動画の削除や投稿者の特定・損害賠償等の請求手続きは、ネクスパート法律事務所にお任せください。
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