Googleの口コミは店舗を利用する際の参考にされることが多く、ネガティブな口コミをされて困っている方も多いのではないでしょうか。
この記事ではGoogleの口コミの削除依頼について解説します。
さまざまな場面で参考にされる口コミ
Googleの口コミは簡単にでき、多くは実体験をもとに投稿されています。
そのため、さまざまな場面で多くの方が参考にされています。
お店選びで口コミを参考にする
食事会の幹事を任された、異性を食事に誘いたい、といったお店選びの際に、飲食店の雰囲気・接客態度・料理の味の評価が参考にされます。
医療機関選びで口コミを参考にする
受付・看護師・医師の対応・診療に対する評価が参考にされます。
社員が口コミを参考にする
自分の対応や会社としての対応が問題なかったかの確認のため、会社の客観的な評判が参考にされます。
求職者が口コミを参考にする
応募するか検討のため、求人企業の客観的評判や既存社員・退職社員の感想が参考にされます。
金融機関融資担当者が口コミを参考にする
融資先の信用度を調査するため、融資先の客観的な評判が参考にされます。
ネガティブなGoogleの口コミを放置した際のリスク
Googleの悪い口コミによるリスクの例を以下に挙げます。
飲食店のネガティブな口コミを放置した場合
- 来店を検討していた方が他店に行く
- 既存の利用客が来なくなる
医療機関のネガティブな口コミを放置した場合
- 新規患者が増えなくなる
- かかりつけの患者に不安を感じさせる
会社のネガティブな口コミを放置した場合
- 内定辞退される
- 求人応募数が減る
- 既存社員のモチベーションが下がり、離職率が高くなる
- 取引先の信用度が下がり、取引を中止される。
- 新規取引先の獲得が難しくなる。
- 融資担当者の信用度が下がり、融資が受けられなくなる。
Googleの口コミで削除依頼の対象となる口コミとは
どのような口コミが削除依頼の対象になるのか解説します。
Googleのポリシーに違反している口コミ
Googleのポリシーには、禁止および制限されているコンテンツとして、以下のコンテンツが記載されています。
これに該当し、問題が報告された口コミは削除されることがあります。
- スパムと虚偽のコンテンツ
- 関連性のないコンテンツ
- 制限されているコンテンツ
- 違法なコンテンツ
- テロリストのコンテンツ
- 露骨な性的表現を含むコンテンツ
- 不適切なコンテンツ
- 危険なコンテンツおよび中傷的なコンテンツ
- なりすまし
- 利害に関する問題
誹謗中傷によって他者の権利を侵害している口コミ
口コミにより誹謗中傷を受けたとして削除依頼をするには、権利侵害を受けたことが必要です。
権利侵害には以下のものがあります。
名誉権侵害(名誉毀損)
公然の場で、具体的な事実内容と思われることを摘示して、社会的評価を低下させる行為
名誉感情侵害(侮辱)
公然の場で、具体的な事実内容を摘示せずに、社会的評価を低下させる行為
プライバシー侵害
公然の場で、本人が公開を望んでいない個人に関する情報を公開する行為
名誉権侵害(名誉毀損)を理由に削除請求することが多いのです。しかし、一見、名誉権侵害にあたらない口コミもあります。次のような口コミは、名誉権侵害するものと認められない可能性があります。
- 事実の摘示がなく、評価のみの場合(例:マズイ、下手くそ、態度が悪い)
- 摘示された事実が社会的評価を低下させない場合
- 摘示された事実が真実でないことの疎明が困難な場合
Googleの口コミを削除依頼する方法
削除依頼の対象となる口コミの削除方法を解説します。
投稿内容を保存する
削除をしてしまう前に、対象となる口コミを保存しておきます。
口コミ内容が確認できるURL、口コミ本文、投稿日時、投稿者のアカウントユーザー名が表示された画面をスクリーンショットで保存します。
これらの情報を保存しておかないと、投稿者の特定や損害賠償請求も行う場合の証拠として必要な情報が無くなってしまいます。
投稿者自身に削除請求をする
投稿者の本名・住所がわかっている場合には、投稿者に削除を直接請求することも考えられます。
しかし、直接削除請求することで、投稿者が削除請求を受けたことを口コミ・掲示板サイトに投稿して拡散されるリスクがあります。
Googleに削除依頼をする
口コミがGoogleのポリシーに反する内容の場合、以下の方法で削除を依頼します。
Googleビジネスプロフィールから削除依頼をする
Googleビジネスプロフィールを利用している場合には、Googleビジネスプロフィールの管理画面から削除依頼をすることができます。
- 削除依頼をする口コミを選択
- 「不適切な口コミとして報告」をクリック
- 選択肢の中から当てはまる理由を選択
- 確認し送信
これでポリシー違反が報告され、Googleに認められれば削除されます。
Googleマップから削除依頼をする
Googleビジネスプロフィールを利用していない場合には、Googleマップから削除依頼をすることができます。
- Googleマップから会社を検索
- 口コミのメニューから「レビューを報告」を選択
- 「口コミを報告」フォームで問題点を選択
これで報告することができます。
そのほか、
- 口コミにアクセス
- メニューから「違反コンテンツを報告」をクリック
- 「口コミを報告」フォームで違反の種類を選択
という手順でも報告することができます。
ただ、これらの方法ですと詳細を記入できません。詳細を報告したいときは、
- 「口コミを報告」フォームで「法的な問題を報告する」
- 「法的な問題」を選択
- 「リクエストを作成」をクリック
- 「法律に基づく削除に関する問題を報告する」フォームに詳細を記入し送信する
こともできます。
Google検索から削除依頼する
Googleビジネスプロフィールを利用していない場合のもう一つの方法として、Google検索からも削除依頼をすることができます。
- Google検索から会社を検索
- ナレッジパネルから「すべてのGoogleのクチコミを見る」をクリック
- 口コミのメニューから「レビューを報告」を選択
- 「口コミを報告」フォームで問題点を選択
これで報告することができます。
詳細を記入したいときは、
- 「口コミを報告フォームで法的な問題を報告する」をクリック
- 「法的な問題」を選択
- 「リクエストを作成」をクリック
- 「法律に基づく削除に関する問題を報告する」フォームに詳細を記入
という手順で依頼します。
裁判所へ削除の仮処分命令申立
Googleに報告しても削除されない場合、裁判所の削除仮処分手続きによって削除を求めます。
通常の民事訴訟では解決までに時間がかかりますので、より迅速な手続きである仮処分の手続きの方が、早期の削除を望む方には適しています。
仮処分とは仮の地位を定めるものですが、仮処分命令が発令されたことにより、命令を受けた相手方のほとんどが削除に応じますので、本訴訟は不要です。
削除の仮処分は以下の流れで進みます。
裁判所へ削除の仮処分命令申立
仮処分命令を申し立てるには以下の書類を、東京地方裁判所の民事第9部に提出します。
- 仮処分申立書
- 権利侵害・保全の必要性の疎明資料
- 申立書・疎明資料の英訳文
債務者は、米国法人のGoogle LLCです。
債権者面接、双方審尋
債権者の話を聞き、債務者に反論の機会を与えます。
担保決定
仮処分には担保の提供が必要です。
発令
削除の仮処分命令が発令されると、命令を受けた相手方のほとんどが削除に応じます。
この手続きは裁判手続きであり、法律の専門知識と経験がないと対応が難しいと思われますので、弁護士に依頼することを検討してみてください。
Googleの口コミで誹謗中傷を受けた場合の削除依頼以外の対応
口コミにより誹謗中傷を受け、口コミを削除するだけでなく、投稿者に対して損害賠償請求もしたいと考えた場合の対応を解説します。
投稿者を特定する
損害賠償請求や投稿をやめさせたいと思っても、投稿者が誰かわからなければ請求することができませんので、以下の流れで投稿者を特定します。
Google LLCへ投稿者IPアドレス開示請求
発信者情報開示請求書によることで裁判手続きによらなくても開示請求は可能ですが、ほとんど開示に応じてくれません。
発信者情報開示仮処分申立
裁判手続きによらない発信者情報開示請求書での開示請求にはほとんど応じてくれませんので、裁判所へ発信者情報開示の仮処分を申し立て、投稿者のIPアドレスの開示を求めます。
IPアドレスからプロバイダを特定
仮処分により開示されたIPアドレスから投稿者が接続したプロバイダを特定することができます。
プロバイダへ投稿者の個人情報開示請求
接続プロバイダに対して発信者情報開示請求書で投稿者の個人情報開示請求をすることは可能ですが、ほとんど開示に応じてくれません。
Google LLCから開示されるIPアドレスは、接続先IPアドレスではなく、ログイン時IPアドレスです。プロバイダによっては通信の特定のために接続先IPアドレスを求めてきますので、その場合は特定不能になる可能性もあります。
通信ログ保存依頼、発信者情報消去禁止仮処分命令申立
プロバイダのログ保存期間は3か月ほどであることが多く、ログが消去されてしまっては投稿者の特定ができなくなってしまいますので、訴訟手続きの前にログ保存期間が経過してしまう可能性がある場合には、プロバイダにログ保存依頼をします。
より確実にログの保存を求めるときは、発信者情報消去禁止仮処分命令申立(ログ保存仮処分)を申し立てます。
発信者情報開示請求訴訟を提起
接続プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を提起します。
仮処分の手続きを利用するためには保全の必要性が認められなければなりませんが、プロバイダは発信者の情報を保有しており、保全の必要性が認められません。ですので、Google LLCに対しては仮処分を利用しましたが、プロバイダに対しては訴訟を行います。
投稿者特定
勝訴判決が確定すると発信者情報が開示され、発信者が特定できます。
ただし、ここで開示されるのは接続プロバイダの契約者情報ですので、企業、インターネット事業者、ネットカフェ、ホテルのような契約者情報が開示された場合には、実際の投稿者を特定するためにはさらに調査が必要となるか、特定が困難になってしまいます。
損害賠償請求をする
開示された発信者情報により、投稿者まで特定ができたら損害賠償請求を行うことができます。
任意交渉
裁判手続きを利用せずに、任意交渉で示談が成立することもあり、訴訟の判決による慰謝料よりも高額の慰謝料となることもあります。
慰謝料の他にも、再発防止、削除、謝罪広告を求め、成立することもあります。
損害賠償請求訴訟
任意交渉では解決に至らなかった場合には訴訟で損害賠償を請求します。訴訟提起をした後でも判決の前に裁判上の和解をすることもあります。
名誉毀損による慰謝料の額は、請求者が個人の場合は10~50万円ほど、法人の場合は50万~100万円ほど、といわれています。
調査費用の一部または全部を投稿者に請求できる場合もあります。
Googleの口コミの削除依頼を弁護士に依頼するメリット
Googleの口コミは、自分で削除依頼をすることも可能ですが、弁護士に削除依頼をした場合のメリットを解説します。
早く口コミを削除できる
削除依頼をするときには違反の内容や権利侵害の内容を報告する必要があり、自分で削除依頼をしても削除されない場合は報告の内容が的確でないことが理由として考えられます。
経験や知識のある弁護士が削除依頼をすることで的確な報告をすることができ、早期の削除につながります。
法律の専門的な知識が必要となる手続きにも対応できる
Google LLCへ削除依頼をしても削除してもらえなかった場合には、削除仮処分申立の手続きによることになり、法律の専門知識や裁判手続きの経験がないと自分でやろうとしても難しいですが、弁護士に依頼することで、Google LLCや裁判所とのやりとりを弁護士にて対応することができます。
投稿者特定や損害賠償請求もまとめて依頼できる
口コミの削除だけでなく投稿者特定や損害賠償請求もする場合、自分でやろうとしても難しいですが、弁護士に依頼することでまとめて対応することができます。
まとめ
Googleの口コミを削除する方法は、以下のとおりです。
- 投稿者自身に削除依頼をする
- Google LLCに削除依頼する
- 裁判所へ削除の仮処分命令を申し立てる
裁判所への申し立てが必要になった場合には削除されるまでに時間がかかりますし、損害賠償請求のために投稿者の特定もしたいと考えた場合には、プロバイダのログ保存期間が3か月程度であることを考慮しなければなりませんので、早めに動き出すことが重要です。
自分で削除依頼をすることが難しいと感じましたら、弁護士に依頼することを検討してみてください。