遅延損害金とは|支払い義務や利率・計算方法をわかりやすく解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

遅延損害金とは|支払い義務や利率・計算方法をわかりやすく解説

遅延損害金とは、支払い期日を過ぎた債務に対して請求される損害金のことで、契約や法律に基づいて発生します。

例えば、クレジットカードの支払いが遅れた場合や、借金の返済が滞った際に、通常の支払額に加えて発生する追加の金額です。

借金に上乗せされて請求されるもの、という点では利息とよく似ていますが、細かい部分に違いがあります。

ここでは、遅延損害金の概要や支払い義務、利率、計算方法などについて詳しく解説します。

遅延損害金が払えないときの対処法も紹介するので、現在借金を滞納している人は参考にしてください。

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遅延損害金とは

遅延損害金は、債務者が約束された支払い期日を過ぎた際に発生する損害賠償の一種です。

これは債権者が遅れた期間に対して受ける損害を補填するために請求されるものです。

たとえば、クレジットカードの支払いや借金の返済が遅れた場合、遅延損害金が発生し、通常の支払い額に加えて債務者は追加の支払い義務を負います。

遅延損害金は、契約書に記載されている場合や、法律で定められている場合に発生します。基本的には、支払期日に遅れたら遅延損害金が発生するものだと考えておいた方がいいでしょう。

支払いが遅れた期間が長くなればなるほど、遅延損害金の総額も増加します。そのため、期日に遅れないようにすることが、無駄な費用を避けるための重要なポイントです。

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遅延損害金の支払い義務

遅延損害金を支払う義務は、債務者が約束された期限までに支払いを行わなかった場合に発生します。これは、契約上で定められている場合もあれば、法律に基づいて自動的に発生する場合もあります。

特に、クレジットカード会社や金融機関などは、遅延損害金を厳しく管理しており、支払いが遅れると即座に発生することが一般的です。

債務者は、契約内容や法律に基づいて遅延損害金の支払いを義務付けられており、これを怠るとさらに厳しい措置が取られる可能性があります。

例えば、財産の差し押さえや信用情報機関にブラックリストとして登録されることなどが考えられます。

遅延損害金の利率

遅延損害金の利率は、債務者と債権者が結んだ契約や、法律(民法)によって定められています。ここでは、遅延損害金の利率について説明します。

約定利率と法定利率

遅延損害金の利率には、契約で定められている約定利率と、法律で定められている法定利率があります。

約定利率とは、消費者が貸金業者や銀行などからお金を借りる際に、契約で同意した個別の利率のことです。一方、法定利率とは、民法で定められている利率のことです。

契約で利率が定められている場合は、その利率が優先されますが、契約に記載がない場合や不明瞭な場合には、法定利率が適用されます。法定利率は年3%(2020年3月31日までは5%)です。

支払いが遅れると約定利率または法定利率に基づいて遅延損害金が計算されます。

遅延損害金の上限利率は年20%

遅延損害金の上限金利は最高で年20%です。先ほど触れた法定利率なども含めると、遅延損害金には、20%、14.6%、3%の3つの金利が存在します。

該当するもの 適用される法律 上限金利
・消費者金融や銀行からの借入

・クレカのキャッシング

利息制限法 年20%
・クレカのショッピング一括払い

・クレカのリボ払い

消費者契約法 年14.6%
・クレカのショッピング2回払い

・クレカの分割払い

・ボーナス一括払い

割賦販売法 年3.0%

クレジットカードは、ショッピング、キャッシング、分割払いなど、利用方法によって適用される上限金利が異なるので覚えておきましょう。

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契約書に記載がない場合は法定利率の3%

契約書に遅延損害金の利率が記載されていない場合は、法定利率である3%(2020年3月31日までは5%)が適用されます。

法定利率は、民法などの規定に基づいて設定されており、特定の契約や取り決めがない場合に使用されます。

これは比較的低い利率であるため、契約書に遅延損害金の利率が明記されていない場合は、債務者にとって有利に働くことが多いです。

遅延損害金の計算方法

遅延損害金の計算方法について解説します。遅延損害金は、支払いが遅れた期間とその利率に基づいて計算されます。計算式は以下の通りです。

遅延損害金=債務の金額×利率×遅延日数÷365

例えば消費者金融から10万円を借りており、遅延損害金の利率が年15%、支払いが30日間遅れた場合の遅延損害金は以下のように計算されます。

遅延損害金=100,000円×15%×30(日)÷365(日)=1,232円

この計算方法で遅延損害金を求めることができます。計算式を見ると、遅延損害金が日数に比例して、増加していくことがわかります。

支払いが遅れると、返済が難しくなるため、できるだけ早く支払いを行うことが大切です。

遅延損害金の計算シミュレーション

遅延損害金の計算方法がわかったところで、実際に遅延損害金を計算してみます。

クレカで20万円の引き落としを20日間滞納したケース

クレカのショッピング一括払いの場合、遅延損害金の利率は年14.6%が条件です。20万円の引き落しを20日滞納したケースだと以下の金額になります。

遅延損害金=200,000円×14,6%×20日÷365=1,600円

キャッシングの返済10万円を10日間滞納したケース

キャッシングの場合、借入が10万円であれば、遅延損害金は年20.0%に設定されていることも多いです。10日間滞納した場合の遅延損害金の額は以下になります。

遅延損害金=100,000円×20%×10日÷365=約548円

利益の期限が喪失した借金200万円を2ヶ月間滞納したケース

期限の利益を喪失した場合、今まで分割払いだったものを一括で支払わなければなりません。滞納すれば、200万全額に対して遅延損害金がかかります期限の利益の喪失とは)。

遅延損害金の利率が年20%だったと仮定して、2か月間滞納した場合の金額を計算します。

遅延損害金=2,000,000円×20%×60日÷365=65,753円

借金の額が大きいと、その分遅延損害金の額も大きくなるため、素早い対応が求められます。

遅延損害金を払わないとどうなる?

遅延損害金を支払わずに放置すると、様々な不利益が生じる可能性があります。ここでは、遅延損害金を払わないとどうなるかについて説明します、

遅延損害金が増え続ける

先ほど、計算方法を紹介した通り、遅延損害金は1日経つごとに加算されていきます。返済が遅れれば遅れるほど、返済しなければならない金額の総額が増えます。

金額が増える一方で、払わずにいるメリットは全くありませんので、早めに対処すべきです。

カードが強制解約される

例えばクレジットカードでキャッシングやリボ払いなどを利用している場合、返済期日を過ぎれば遅延損害金が加算されていきます。

クレジットカードは、利用料金の支払いをしないまま一定期間が経過すると、一時的に利用できなくなります。支払いをすれば再度利用できる状態になりますが、支払いをせず、そのまま放置すれば、最終的に強制解約となります。

もちろん、解約となったからといって、今までの利用分の返済がなくなるわけではありません。返済の義務は残りますし、1日ごとに遅延損害金が加算されていきます。

元金を一括請求される

遅延損害金が発生した状態が長期間続くと、債権者は元金の一括請求を行うことがあります。

通常、クレジットカードやローンなどは分割払いで返済する契約です。この利用者の権利を、期限の利益といいます。言い換えると、分割払いできる権利や、支払期限が来るまでは取り立てを受けない権利、となります。

しかし、滞納するようになってから一定期間が経過すると、契約違反を理由に、期限の利益を喪失し、借金の残高を一括で請求してくるようになります。

一括請求は、債務者にとって大きな経済的負担となるため、できるだけ滞納が発生しないように注意する必要があるでしょう。

ブラックリストに登録される

借金(遅延損害金)の支払いがないまま3か月程度経過すると、個人信用情報機関に金融事故の記録がされます。

これはいわゆる、ブラックリストに登録されている状態で、新たに借入をしたり、クレジットカードを作ったり、誰かの借金の保証人になったりするのが困難な状態です。

貸金業者は、借入審査をする際、信用情報機関にアクセスし、申込者の信用情報をチェックします。ここで、金融事故(借金を数ヶ月滞納したことなど)が発覚すると、審査に落ちてしまう仕組みです。

一度ブラックリストに登録されてしまうと、元に戻るには、完済してから5年ほどかかると言われています。

ブラックリストに登録されると生活に大きな影響があるため、なるべく早く返済をするようにしましょう。

財産を差し押さえられる

長期間に渡って遅延損害金を支払えない場合、最終手段として、債権者(業者)が法的措置を取ってくることがあります。

具体的には、支払督促や、通常の裁判などの手続きです。これまでは返済することなく、無視をしていればなんとかなりましたが、裁判所の決定となるとそうはいきません。

裁判所の決定を無視し、さらに滞納が長くなると、強制執行となり、自分の所有する財産が差し押さえられて競売にかけられたり、給与口座を差し押さえられて、毎月一定の金額が引き落されたりします。

法的措置を防ぐには、まず借入先と連絡を取り、返済の意思があることを伝えることが重要です。長期間返済がなく、連絡もつかない状況であれば、業者側も法的措置を取らざるをえなくなります。

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遅延損害金が払えないときの対処法

遅延損害金が払えないと、1日ごとに金額が加算されていくため、無視をしたりしてはいけません。ここでは、遅延損害金が払えないときの対処法を紹介します。

時効の成立を確認する

遅延損害金には時効があります。債務者が支払わず、債権者が請求せず、の状態が続くとやがて時効を迎え、遅延損害金を請求する権利がなくなります。

具体的には、返済期日を超え、借金を滞納しはじめてから5年で時効が成立します。元金、利息、遅延損害金すべて含めて5年となります(個人間の借金では10年)。

5年の間に債権者から請求が行われたり、債務者が返済をしたりすると、時効がリセットされてしまうため、注意しましょう。

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債権者に相談する

遅延損害金が払えないときは、そのまま放置したり、貸金業者からの連絡を無視したりするのではなく、正直に債権者に相談しましょう。

  • 現状収入がないため、少し返済を待ってほしい
  • 月々の支払額を調整してほしい
  • 月末まで支払いを待ってほしい など

業者側も、返済の意思があることがわかれば、柔軟な対応をしてくれることがあります。

返済の意思があることを見せるだけで、業者から法的措置を取られる可能性は低くなります。

債務整理を検討する

現状収入がなかったり、少なかったりで遅延損害金を支払うのが難しい場合、債務整理を検討しましょう。債務整理とは、借金の総額や月々の支払額を減額したり、返済を免除したりする手続きです。

債務整理には、主に以下の3種類の手続きがあります。

  • 任意整理:債権者と直接交渉し、元金や遅延損害金を減額してもらう方法
  • 個人再生:裁判所を通じて債務を大幅に減額し、残額を分割して返済する方法
  • 自己破産:裁判所を通じて、全ての借金の返済を免除してもらう方法

それぞれ、借金の減額効果や、手続きにかかる費用、手続きができる条件などに違いがあります。債務整理を検討している人は弁護士に相談してみましょう。

債務整理についてもっと知りたい人は以下の記事をご覧ください。

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遅延損害金でよくある質問

遅延損害金は絶対に免除されない?

遅延損害金は原則として支払わなければなりませんが、交渉次第では免除される可能性もあります。

特に、債権者との話し合いの結果、支払期限の延長や、元金だけを返済する形に変更するケースもあるでしょう。

債務整理を行った場合、遅延損害金が減額されることもあります。ただし、遅延損害金の免除は例外的なケースに限られるため、事前に弁護士に相談することが重要です。

個人間の借金で遅延損害金の上限利率は?

個人間の借金でも遅延損害金は発生します。

当事者間の合意で遅延損害金を取り決めなかった場合は、法定利率である年3%が適用されます(2020年3月31日までは5%)。

当事者間の合意で遅延損害金の利率を定める場合の上限は、以下のとおりです(貸主が金銭の貸付けやその媒介を業として行う場合を除く)。

  • 10万円未満:年29.2%
  • 10万円以上100万円未満:年26.28%
  • 100万円以上:年21.9%

債務整理で遅延損害金はカットされる?

債務整理を行った場合、遅延損害金はカットされることが多いです。

  • 任意整理:業者との交渉の結果、遅延損害金はカットされるのが一般的
  • 個人再生:例外はあるが、基本的に遅延損害金はカットされる
  • 自己破産:遅延損害金を含む、すべての債務が免除される

例えば個人再生の場合、担保権付きの債権の遅延損害金は、カットの対象となりません。

まとめ

遅延損害金とは、消費者金融や銀行、カード会社に対する支払いが遅れた際に発生する追加費用です。年利が設定されており、債務額に応じて、支払いが遅れるごとに加算されていきます。

遅延損害金は利息と似ていますが、遅延損害金の方が年利が高く設定されていることが多いです。そのため、支払いが遅れると、今まで以上のスピードで支払額が増えていくでしょう。

遅延損害金が発生した場合は、早めに対応することが重要です。債権者に相談することで、支払期限の延長や分割払いなど、柔軟な対応が期待できる場合があります。

また、債務整理などの法的手続きを検討することで、遅延損害金を減額または免除することも可能です。

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