コロナの影響で収入が減った場合も自己破産できる?手続き時の注意点
2019年末頃からコロナウイルスに関するニュースを目にするようになり、2020年にはあっという間に世界中にコロナウイルスの感染が拡大してしまいました。
緊急事態宣言による時間短縮営業の要請や、自粛生活が続く中、コロナの影響で収入が減ってしまったという方は少なくありません。コロナで収入が減ってしまい、借金の返済ができなくなったというご相談は実際に多くいただいています。
この記事では、「コロナの影響で収入が減った場合も自己破産できる?手続き時の注意点」について解説してきます。
自己破産手続きとは
自己破産手続きは、裁判所に申立てを行い、認められれば借金の返済が免除される債務整理の方法です。
税金や社会保険料、養育費等の一部非免責債権(自己破産をしても免除されないもの)を除いた借金の全額の返済義務が原則免除されます。
ただし、自宅や車等一定程度の価値がある財産はすべて処分され、債権者への配当に充てられることになります。
自己破産のメリット
自己破産のメリットは、なんといっても一部の非免責債権以外の借金は原則すべて返済義務が免除されるということです。
借金の返済に追われ自転車操業状態になってしまっていた場合でも、生活再建を目指すことが可能です。
自己破産のデメリット
価値のある財産は処分されてしまう
自宅や車など、一定額以上の価値のある財産は処分されてしまいます。
裁判所の運用により異なる場合もありますが、一般には20万円を超える価値があるものは処分され、債権者への配当に充てられます。解約返戻金のある生命保険なども解約することになります。
自己破産をしたことが官報に掲載される
官報に自己破産をしたことが掲載されてしまいます。
官報とは国の機関紙ですが、一般の人が購読していることはほとんどないため、近所の人や友人に官報に掲載されたことによって知られてしまうリスクについてはあまり気にしなくてもよいでしょう。
破産手続中は一定の制限を受ける
破産手続中には一定の制限を受けることがあります。
例えば、引っ越しや旅行など、長期で自宅から離れる場合には、事前に裁判所に許可をもらう必要があります。
また、職業の資格制限があります。破産手続中には就けない職業があり、弁護士・税理士・公認会計士などの士業や、生命保険募集人や警備員などが主な例です。
信用情報機関に事故情報が登録される
自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載ると言われるものです。
信用情報機関に事故情報が登録されると5年から10年程度は新しくクレジットカードを作ったりローンを組むことができなくなります。
コロナの影響で収入が減った場合でも自己破産できる?
コロナの影響で収入が減ってしまい、返済が滞ってしまったという場合でももちろん自己破産することは可能です。
ただし、免責不許可事由に該当すると、免責(借金を免除してもらうこと)許可がもらえません。借金をした理由がギャンブルや収入に見合わないような浪費、また手続きの中で財産隠しなどをした場合などが免責不許可事由にあたります。
免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所の裁量免責をもらえる可能性もありますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
コロナの影響で自己破産手続きをする際の注意点
元々借金をしていて、コロナの影響による減収で返済ができなくなった場合には上記のとおりですが、コロナの影響で収入が減ったことにより借金をした場合には注意が必要です。
あまりに短期間に多くの借金をして、全く返済をしない状態で自己破産をしようとすると、詐欺を疑われてしまう可能性もあります。
返済できないのがわかっていながら借金をしたり、返済する気がないのに借金をした場合などにも免責許可を得られない可能性があります。
コロナの影響で収入が減ったために借金をして返済に困っている場合には、放置せず、なるべく早く弁護士に相談した方がよいでしょう。
まとめ
コロナの影響で収入が減ってしまった場合でも自己破産をすることは可能です。
元々借金をした理由が免責不許可事由に該当するなど、手続きが複雑になるケースもありますが、借金の返済を滞納していると債権者から裁判を起こされたり、銀行口座や給与を差し押さえられてしまう可能性もあります。
借金の返済に困ったら、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。個別の事情については、弁護士に相談するとよいでしょう。