家族や兄弟の借金が発覚した場合の対処法|支払い義務を負うケース - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

家族や兄弟の借金が発覚した場合の対処法|支払い義務を負うケース

家族が借金を返済できない場合、親や兄弟、子どもに支払い義務が生じるのではないかと不安になっている人は多いでしょう。

結論から言えば、借金は借りた本人に支払い義務があるため、家族という理由だけで支払い義務が生じることはありません

また、貸金業法では、家族に対する取り立ても禁止されています(貸金業法第21条1項7号)。

ただし、例外的に家族が支払い義務を負うケースもあるため、注意が必要です。

この記事では、家族の借金について以下の点を解説します。

  • 家族や兄弟の借金について支払い義務が生じるケース
  • 家族が借金をしていた場合にできること
  • 家族の借金の相談窓口

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家族や兄弟の借金の支払い義務が生じるケース

借金の連帯保証人になっている場合

連帯保証人は、もとに借りた人(主債務者)が支払えない場合に代わりに支払い義務を負う人です(民法第446条1項)。

そのため、家族が本人の連帯保証人になっている場合は、本人に代わって借金を返済しなければなりません。

なお、住宅ローンの連帯保証人などになっている場合は、離婚をしても支払い義務が残るため注意しましょう。

親や兄弟が亡くなり借金を相続した場合

相続と聞くと、亡くなった人の財産を受け継ぐことを連想するかもしれませんが、相続されるのはプラスの財産だけではありません。

亡くなった人に借金があった場合、相続すると借金の支払い義務も負うことになります。

亡くなった人の①配偶者、②子ども、③父母や祖父母(直系尊属)、④兄弟姉妹の順で相続することになります。

亡くなった親の借金を子どもが相続したり、直系尊属がいない場合に兄弟が相続したりすることが考えられるでしょう。

ただし、相続放棄(相続をしない)や、時効の場合には時効援用をすることで、借金の支払い義務をなくせるケースもあります。

もし家族が亡くなったことを知った場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。

自分の名義を貸して借金をした場合

親や兄弟が、自分の名義を使って借金をした場合も、名義人が借金の支払い義務を負う可能性があります。

親が子どもの名義で勝手に借金をした場合、原則として支払い義務を負うのは親です。

ただし、借り入れ先がそれで納得しない場合は、名義を使用された人に対して裁判を申し立てる可能性があります。

そうなると、裁判では本当に親が契約をしたのか、子どもが自分の名義の使用を認めていたかどうかといった点が争われることになります。

前述した通り、原則として支払い義務を負うのは親ですが、裁判で負けてしまうと、名義を使用された人に返済義務が生じることが考えられます。

もし自分の名義を勝手に使用された場合は、慌てて返済をしないでください。

借り入れ先にその事情と返済の意思はない旨を伝えて、弁護士に相談するようにしましょう。

なお、自分の名義を他者に貸した場合は、支払い義務を負うことになります。

そもそも名義貸し自体違法行為です。貸金業者は、借金をする本人の返済能力を信じて貸し付けを行っているため、名義貸しを行えば詐欺の共犯などに問われる可能性があります。

家族の借金を調べる方法はある?

家族がした借金について、頻繁に督促が届けば、一体いくらくらい借金があって、いくら返済ができていないのか心配になるでしょう。

しかし、家族の借金を調べる方法はありません

借金の支払い状況は、信用情報というものに記録されており、情報開示という方法で確認ができます。しかし、情報開示ができるのは以下の人だけです。

  • 借り入れている本人
  • 本人から委任を受けた任意代理人や後見人などの法定代理人
  • 法定相続人

参考:郵送で開示する|CIC

また、本人に届いた請求書を勝手に確認すれば、信書開封罪に問われる可能性があります。

結局家族がどの程度の借金を抱えているのかは、本人に確認するほかありません。

借金のことを責め立てると教えてもらえない可能性が高いため、心配していることを伝えつつ、解決のために協力する姿勢を示すようにしましょう。

家族が借金を返済できない場合に影響はある?

家族が借金を返済できない場合、親や兄弟、子どもには何か影響があるのではと不安な人もいるでしょう。

ここでは、家族が借金を返済できない場合の影響を解説します。

連帯保証人の家族に請求が来る

何度督促しても、本人が借金を返済せずにいると、今度は連帯保証人や保証人である家族に請求が来ることになります。

住宅ローンを滞納すると自宅が競売にかけられる

もし家族が、住宅ローンを払えずに滞納をすると、自宅は競売(裁判所のオークションのようなもの)にかけられることになります。

家を購入する際は、銀行などの金融機関がお金を貸してくれています。

しかし、銀行も契約した人が支払いをできなかった場合の保険として、連帯保証人をつけたり、購入した家を担保にしたりしています。

そのため、支払いができない場合は、ローン返済中の家を銀行が競売という方法で売却して、足りないお金を回収するのです。

もちろん、支払いが遅れたからといってすぐに家が売却されるわけではありません。以下のような流れになります。

  1. 滞納から3~6か月:一括返済を求められる
  2. 6~10か月:競売開始の決定
  3. 10~12か月:競売の入札が開始

競売の入札が開始されて、購入者が出たら自宅を引き渡さなければなりません。

一緒に住んでいる場合は、家を失い、引っ越しを余儀なくされる可能性があります。

車が引き上げられる

車が所有権留保になっている場合は、車のローンの支払いが遅れると、車は銀行などの金融機関や、ローン会社に引き上げられる可能性があります。

これは、銀行などがローン完済まで、車を担保にしているためです。本人の車を利用している家族にとっても影響が生じます。

また、車を失うケースには、税金の滞納があります。住民税や自動車税などを滞納している場合も、国に車を差し押さえられることが考えられます。

家族カードなどが利用できなくなる

クレジットカードの契約者が、クレジットカードの支払いを滞納していると、クレジットカードは強制解約になります。

本人が使用しているクレジットカードはもちろんですが、本人が家族カードを契約している場合も、その家族カードは利用できなくなります。

契約者などが携帯代を払わないと解約になる

携帯電話は、契約者と実際に携帯を利用している使用者が異なるケースがあります。例えば、親名義の携帯を子どもが使用しているようなケースです。

しかし契約者や使用者が誰であれ、携帯料金が支払われない場合、携帯は強制解約となり、使用できなくなります。

1点注意したいのは、契約者が自分、支払いをしている人が家族だった場合です。

支払いを滞納すれば、携帯が強制解約されるのは同様ですが、契約者の信用情報に傷がつくことになります。

契約者 家族 自分
支払いをする人 家族 家族
支払いを滞納した場合 強制解約 強制解約
ブラックリスト 家族の信用情報に傷がつく 契約者の信用情報に傷がつく

親が携帯の支払いを滞納すれば、契約者である自分の信用情報に傷がついて、今後クレジットカードの新規契約などの審査に通りにくくなる可能性があります。

滞納した携帯料金を支払えばブラックリストは解除されるので、一生ブラックリストというわけではありません。

差し押さえを受ける

借金を滞納すると、借りた本人は、貸金業者などから裁判で訴えられて、財産を差し押さえられることになります。

差し押さえられるのは、借りた人名義の預貯金や給料、車や貴金属などです。

借りた人名義の車や家も差し押さえられる可能性がありますし、給料が差し押さえられることによって、家族の生活が苦しくなることも考えられるでしょう。

ただし、家族名義の財産が差し押さえられることはありません

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家族が借金をしていた場合にできること

家族が借金をしていた場合、仮に自分に支払い義務がなくても、心配になるでしょう。

ここでは、家族が借金をしていた場合に、あなたにできることをいくつか紹介します。

借金の危険性を伝える

家族が借金をしていても、真面目に支払っている様子がなかったり、浪費していたりするような場合は、それとなく借金の危険性を伝えるのも1つの方法です。

借金がいつまでも返済できないと以下のようなリスクがあります。

  • 2~3か月ほど滞納するとブラックリストになり、追加の借り入れができなくなる
  • 1~3か月ほど滞納すると一括返済を求められる
  • 放置していると裁判で訴えられて、給料などが差し押さえられる
  • 給料の差し押さえは、会社に通知が行くため、会社の人に知られる可能性がある
  • リボ払いは、月の支払いの半分が手数料となるケースがある など

一度でもブラックリストになってしまうと、完済から5年は解除されません。

今後家族を持ったり、自宅や車などの購入を考えたりしても、ライフプランに影響するおそれがあるでしょう。

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貸付自粛制度を利用する

本人の意思で借り入れをやめられない場合は、貸付自粛制度を利用するのもおすすめです。

貸付自粛制度とは、日本貸金業協会に申し入れることによって、新規の借り入れが5年間制限できる制度です。

クレジットカードの新規発行や、カードローンやキャッシングなどを利用する際は、信用情報を参照として審査が行われます。

貸付自粛制度を利用することで、信用情報には貸付自粛の情報が記録されるため、審査に通らず借り入れができなくなる仕組みです。

ただし、本人が申告をしなければならないため、家族が説得する必要があります。

参考:貸付自粛制度について|日本貸金業協会

債務整理を検討する

それでももし家族が借金を返済できないようであれば、債務整理(さいむせいり)を検討するようすすめるのも1つの方法です。

債務整理とは、法律にしたがい借金を減額や免除できる手続きです。

任意整理 弁護士が借り入れ先と交渉して、今後発生する利息などをカットして、月々の返済額を減らせる
個人再生 裁判所に申し立てることで、借金を最大10分の1まで減額できる
自己破産 裁判所の許可のもと、借金の返済義務をなくせる

債務整理は昔からある方法で、怪しい手続きではありません。

もちろん手続きによってはデメリットもあるため、手続きごとの特徴をよく理解した上で、本人に合った方法を選ぶことが大切です。

もし本人がどうやっても借金を返済できないのであれば、債務整理という方法を検討するように伝えてもよいでしょう。

債務整理は、弁護士に依頼して行うのが一般的ですが、弁護士との契約は本人しかできません。相談する場合も、本人同席で相談するようにしましょう。

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家族の借金の相談窓口はある?

日本貸金業協会

日本貸金業協会では、借り入れやギャンブルが止められない人に向けて、生活改善カウンセリングを実施しています。

本人の行動パターンの改善や、依存症の克服、家計改善のサポートを受けられます。

また、生活改善カウンセリングが他所と大きく違うのは、家族からの相談を受けたり、家族へのサポートを行っていたりする点です。

家族の借金で悩んでいるのであれば、相談してみましょう。

参考:生活再建支援カウンセリングについて|日本貸金業協会

日本クレジットカウンセリング協会

日本クレジットカウンセリング協会でも、クレジットカードや消費者金融の利用に多重債務に陥った人のカウンセリングを行っています。

電話相談やカウンセリングは無料で、希望に応じて任意整理や家計改善のサポートも受けられます。

参考:公益社団法人 日本クレジットカウンセリング協会

弁護士

借金問題は弁護士にも相談可能です。弁護士に依頼することで、債務整理を通じて借金を減額、免除してもらえる可能性があります。

そもそも債務整理をするべきなのか、適した手続きはどれか、メリットやデメリット、かかる費用などについて相談できます。

家族からの相談を受けている法律事務所もありますが、本人の借り入れの詳細がわからないとアドバイスが難しく、本人でないと弁護士と契約もできません。本人に同席してもらってください。

また、相談したからといって依頼が必須というわけではないため、話を聞いた上で判断しましょう。

法テラス

法テラスは、国が設立した法律相談センターです。法テラスでも、借金問題に関する有益な情報を教えてもらえたり、弁護士に相談したりできます。

ただし、法テラスの利用には、収入が一定以下などの条件があります。

条件を満たしていれば、無料の法律相談や弁護士への依頼、費用の立て替え(民事法律扶助)が利用できるでしょう。

法テラスの利用条件を満たしているかどうかは、法テラスのホームページや、法テラスへ問い合わせることで確認できます。

参考:無料法律相談のご利用の流れ|法テラス

家族の借金を債務整理するメリット

先述した通り、債務整理は法律の力で、借金を減額・免除できる手続きです。

本人が債務整理をするのは、家族にとっても以下のようなメリットがあります。

  • 弁護士が介入することで、借金の取り立てが法律上禁止される
  • 自己破産なら返済義務がなくなる
  • 家族の財産や信用情報には影響しない

しつこい取り立てが止まることで、精神的な負担は大幅に軽減できるでしょう。

仮に、債務整理をしても、家族の財産や信用情報には影響しません。

ただし、連帯保証人への請求や、本人の財産の一部を失うなどのデメリットもあります。

債務整理すべきかどうか、どういったデメリットやリスクがあるのかなども、弁護士に相談した上で判断することが大切です。

家族の借金についてよくある質問

借金を理由に旦那と離婚できる?

夫が離婚に同意してくれていれば、借金を理由に離婚することはできます。

ただし、相手が同意していない場合は、離婚調停や、裁判で離婚を目指すことになります。

裁判で離婚をする際は、法律上の離婚理由に当てはまった理由でなければ、離婚は認められません。

交渉の段階から万が一裁判になった場合を想定して、弁護士に相談の上、証拠を集めるなど準備しておくのが得策です。

家族が借金をしている場合肩代わりするべき?

家族が借金をしている場合、肩代わりはやめましょう。

本人が借りた借金なのに、一時の優しさで他者が肩代わりをしてしまったら、本人が反省する機会を奪うことになります。

本人は借金を返済できなくても、どうせ家族が肩代わりすると思い、また借金を繰り返してしまうかもしれませんし、根本的な解決には至りません。

また、家族が本人の借金を立て替えると、年間110万円を超えた場合に贈与税が発生する可能性があるため、注意が必要です。

家族が闇金から借金をしていて取り立てがつらい場合は?

闇金の取り立てが、暴力的かつ脅迫的で、深夜や早朝などにも自宅に来たり、帰ってほしいとお願いしても帰ってくれなかったりした場合は、迷わず警察に通報してください。

こうした取り立て行為は違法です。また、そもそも闇金自体が、届け出を行っていない違法な貸し付け業者であり、返済をする必要もありません。

闇金の借金に困ったら、警察や貸金業協会などと連携して対処しましょう。

借金がある家族と縁を切れば借金は支払わなくていい?

借金のある家族が、自分に金の無心をしてくるなど、もう縁を切りたいと思う人もいるでしょう。

しかし、家族と縁を切っても、連帯保証人である以上は支払い義務が生じてしまいます。

また、どんなに疎遠になっても、自分が相続人であった場合は、家族の借金を相続する可能性があります。

もし家族の借金の支払い義務を負いたくない、金の無心をされたくない場合は、以下の方法が考えられます。

  • 自分が連帯保証人の場合は、借り入れ先の同意のもと別の連帯保証人を立てる
  • 家族が亡くなった知らせを受けたらすぐに、家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
  • 家族と離れて暮らす場合は、住民票の閲覧制限をして自分の住所がわからないようにする

借金や相続については、それぞれに詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

家族に勝手に連帯保証人にされたらどうしたらいい?

家族に勝手に連帯保証人にされた場合も、原則としては家族に支払い義務が生じます。

もし借り入れ先から取り立てを受けても、決して支払いをしてはいけません。

1円でも支払ってしまうと、自分が連帯保証人であることを認めたことになってしまいます。

借り入れ先には事情を説明するとともに、もし裁判になりそうなのであれば、すぐに弁護士に相談してください。

まとめ

家族がした借金は、それが親や子ども、兄弟であっても、あなたに支払い義務は生じませんし、あなたの財産や信用情報にも基本的には影響しません。

ただし、連帯保証人や相続人となった場合は、例外的に支払い義務を負う可能性があるため、注意が必要です。

また、家族の借金で家族から金の無心をされているという人や、家族の借金が不安で仕方ないという人は、相談窓口に相談しましょう。

本人との話し合いが難しいケースが多いでしょうから、相談窓口などでアドバイスを受ければ、どう対処すべきなのかわかります。

借金が返済できないのであれば、債務整理が有効です。手続きをするかどうかは、弁護士に相談してから決めるのでも遅くはありません。

まずは債務整理すべきかどうかといったことから、本人と一緒に弁護士に相談してみてください。

相談無料。取立てストップ。借金問題は弁護士の力で解決・減額できます! お困りの方は今すぐご連絡ください。

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