広告でよく見る「借金救済制度」とは?使うとどうなる? - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

広告でよく見る「借金救済制度」とは?使うとどうなる?

インターネットで、借金救済制度の広告を見たことがありませんか?

ネット広告の仕組みの関係で、借金について検索をしている人に表示されやすくなっています。

借金に悩んでいる人にとってはありがたい話ですが「数百万円あった借金が半年でゼロになりました!」などの表現を見ると、なんだか怪しく感じる人もいるでしょう。

ここでは、ネットでよく見かける、借金救済制度の正体や内容について説明します。

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借金救済制度とは

借金救済制度の正体は、借金の減額や返済免除の手続きのことで、正確には債務整理(さいむせいり)と呼ばれます。

借金を抱えている方からすると、債務整理という表現はハードルが高く感じたり、とっつきにくい印象を受けやすいです。

そのため、あえて、国が認めた借金救済制度などと言い換えているのでしょう。

実際に救済制度を利用する際は、弁護士や司法書士に依頼をします。

借金救済制度を使うとどうなる?

債務整理を利用すると、借金が減額できたり、返済が免除されたりします。

これは、怪しいサービスなどではなく、貸金業法や利息制限法、民事再生法、破産法などに基づいて行われる私的・法的な整理手続きです。

日本には、借金に苦しんでいる人が生活を立てなおすための手続きがいくつも用意されています。

債務者(借金がある人)には、これらを利用する権利があるのです。

借金救済制度(債務整理)の種類

それでは、借金救済制度がどんなものなのか、具体的に説明していきます。

借金救済制度には、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。

それぞれの違いを簡単に表にまとめました。

任意整理 個人再生 自己破産
減額効果 利息のカット 最大5~10分の1 全額免除
裁判所 通さない 通す 通す
手続き費用 1社/数万円 40万円~ 40万円~
自宅 残せる 残せる 残せない
年間件数 推定200万件以上 約1万件 7~8万件

それぞれの違いがなんとなくわかったところで、手続きの詳細を説明します。

任意整理

任意整理は、債権者(貸主)と直接借金減額の交渉を行う、最もシンプルな債務整理手続きです。

他の手続きと違い、裁判所を通さないため、手続きがスピーディーかつ、費用も抑えられるのが特徴です。

肝心の減額効果ですが、借金の利息や遅延損害金のカットが期待できます。

任意整理は、その名の通り、任意で借金を整理します。債権者には、債務者(借主)からの交渉に応じる義務はありません。

しかし、借金の返済が難しくなっており、減額の交渉を申し出ている者からの交渉を断るのはリスクがあります。

個人再生や自己破産など、任意整理より強力な手続きを取られてしまえば借金の回収が難しくなりますし、最悪の場合、踏み倒されてしまうことも考えられます。

ですので、たいていの業者は、借金の将来利息や遅延損害金をカットし、元金の返済のみを求めてきます。

そして、元金のみを3~5年で分割払いしていくのが一般的です。

任意整理について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

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個人再生

個人再生は、任意整理と同じく、借金を減額する手続きです。任意整理と違うのは、裁判所を通じて手続きを行う点です。

任意整理と比べると時間や弁護士費用が多くかかる代わりに、借金を元金ごと大幅に減額できます。

具体的には、5,000万円までの借金を最大5~10分の1まで減額可能。原則3年で分割払いします。

任意整理では減額効果が足りない場合でも、個人再生をすれば借金問題を解決できる可能性があります。

また、自己破産をすると自宅を差し押さえられてしまいますが、個人再生では、自宅を残すことができるのも大きなポイント。

任意整理と自己破産の中間にあるのが個人再生、とイメージするといいでしょう。

個人再生について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

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自己破産

借金救済制度の中で、最も強力なのが自己破産です。

自己破産は、裁判所を通して行う債務整理手続きで、認められると借金の返済が全額免除されます。

主に、借金額が多すぎたり、収入がなかったりなどの理由で、返済が現実的に困難な人が利用します。

免除される借金額に上限はないため、これを利用すれば、多くの人が借金をリセットし、人生の再スタートを切ることができます。

自己破産は、他の債務整理手続きと比べると、手続きのハードルが高いため、誰でも気軽に利用できるものではありません。

裁判所の調査によって、借金が本当に返済困難なのか調査したり、債務者に不正な行為がないかなども調査されます。

また、自分が所有している財産の中で、一定の価値があるものは没収、換金の上、債権者に配当することになります。

自宅や車を所有している人は、失うことになる可能性が高いでしょう。

様々な点を踏まえて、自己破産を利用する際は弁護士と相談の上、慎重に判断する必要があります。

自己破産について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

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借金救済制度のデメリット

借金救済制度の広告を見たとき「そんなおいしい話があるわけない…」と感じた人も多いはず。

借金救済制度(債務整理)を利用すれば、借金が減ったり無くなったりする、これは事実です。

ただし、それだけではありません。債務整理にはデメリットも存在します。

ここでは、債務整理のデメリットを紹介します。

ブラックリストに載る

借金救済制度を利用した人は、5~10年ほどの間、借り入れや、クレカの新規作成などが困難になります。

これを、ブラックリストに載る、ブラックリストに登録されるといったりします。

具体的には、個人信用情報機関に、債務整理をした(金融事故を起こした)記録が残るため、貸金業者の借入審査を通過できなくなっている状態になります。

  1. 債務整理をしたあと、貸金業者の借入審査に申し込む
  2. 貸金業者が個人信用情報機関にアクセスし、申込者の情報をチェックする
  3. 金融事故を起こしていることが発覚する
  4. 借入審査を通過できなくなる

個人信用情報機関には、借入額や返済履歴、借金の残高など、借金に関する個人情報が記録されています。

つまり、個人信用情報機関に、金融事故を起こした記録が残っているうちは借入に関するアクションが困難になり、その期間が5~10年となります。

クレジットカードが強制解約になる

借金救済制度(債務整理)を利用すると、所有しているすべてのクレジットカードが強制解約になります。

債務整理を弁護士に依頼すると、その時点ですべての債権者に通知が送られます。

カード会社は、名義人にこれ以上利用させないよう、クレカを強制解約してしまいます。

普段利用しておらず、支払滞納やリボ残高がないカードについては、通知が送られないため(債権者ではないため)、即解約とはなりません。

即解約とはならなかったカードも、カード会社は定期的に顧客の信用情報をチェックしてしているので、やがて解約となります。

つまり、手続き後はクレジットカードが利用できません。現金メインでの生活を余儀なくされます。

カード支払い必須の買い物をする際は、デビットカードやプリペイドカードで代用する必要があるでしょう。

家や車などの財産を処分する必要があることも

借金救済制度を利用する際、状況によっては、家や車などの財産を処分することになるので注意しましょう。

自動車ローンや住宅ローンは、返済できなかった場合、商品を引き上げられてしまう可能性が高いです。

また、自己破産の場合、自宅や車、その他一定の価値がある財産は没収、換金した上で債権者に配当することになります。

個人再生や自己破産の場合、特定の債務(ローン)だけを手続きから外すことはできません。

選択した債務整理手続きの種類や、所有する財産の内容によっては、それらを失うことになる可能性があることを覚えておきましょう。

制限される職業がある

これは自己破産をした場合のみですが、手続き期間中、特定の資格や職業に制限がかかります。

制限がかかるのは、主に弁護士や税理士などの士業関係、銀行・金融関係、不動産関係などに集中しています。

職業制限に該当してしまった場合、社内で別の仕事を担当したり、休職したりなどの手を打つ必要があるでしょう。

制限がかかるのは自己破産の手続き期間中だけであり、手続きが済んだ後は仕事に復帰することができます。

職業制限に関する詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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借金救済制度の手続きにかかる費用

次に、各借金救済制度にかかる費用について説明します。

任意整理の費用

任意整理にかかる費用は以下の通りです。任意整理は裁判所を通さない手続きのため、必要となるのは弁護士に支払う費用のみとなります。

名目 内容 金額
相談料 弁護士に相談するのにかかる費用 30分/5,000~10,000円程度
実費 切手代や収入印紙代など 数千円程度
着手金 任意整理を依頼するための費用 交渉1社につき3~5万円程度
成功報酬 任意整理が成功した際の追加費用 減額できた金額の10~20%

他の手続きにもいえることですが、相談料に関しては、初回無料の事務所も多いです。

着手金や成功報酬は、交渉1社に対する費用のため、複数社と交渉する場合、その分費用が多くかかります。

成功報酬に関しては、設定している事務所と、していない事務所があります。

個人再生の費用

次に個人再生にかかる費用です。個人再生の場合、弁護士費用と裁判所費用の2種類があります。

弁護士費用は40万円~+実費が相場です。

裁判所費用は以下の通り。

名目 金額
申立て手数料 10,000円程度
予納郵券(郵便切手代) 数千円程度
官報公告費 1万~15,000円程度

自己破産の費用

自己破産に関しても、弁護士費用と裁判所費用の両方がかかります。

弁護士費用に関しては、個人再生と同じく40万円~+実費が相場です。

裁判所費用は以下の通りです。

名目 金額
申立て手数料 1,500円程度
予納郵券(郵便切手代) 数千円程度※
官報公告費 1万~15,000円程度
予納金(破産管財人への報酬) 同時廃止事件の場合:不要
少額管財の場合:20万円~
管財事件の場合:50万円~

※東京地方裁判所の場合、予納郵券(郵便切手代)は4,950円です(2024年9月24日~)。

自分が家や車などを所有している場合、自己破産が管財事件として扱われます。

管財事件の場合、財産の売却や、債権者への配当は、裁判所が選任した弁護士(破産管財人・はさんかんざいにん)が担当します。

その場合、破産管財人への報酬として予納金がかかるので覚えておきましょう。

借金救済制度を使うならどこが良い?

借金救済制度を利用する場合、弁護士に依頼をするのが一般的です。

ここでは、弁護士の選び方などを紹介します。

債務整理の実績が豊富な弁護士に相談する

第一に、債務整理の実績が豊富な弁護士に依頼するのがおすすめです。

任意整理の場合、債権者と借金減額の交渉を直接行わなければいけません。

よりいい内容で決着をつけるためには、債務整理の実績があり、交渉に慣れている弁護士に依頼するのがおすすめです。

個人再生や自己破産の場合、手続きに最低でも数ヶ月はかかりますし、長ければ1年以上になることもあります。

債務整理の実績がある弁護士に依頼をすれば、依頼者も安心して結果を待つことができるでしょう。

過剰な広告を配信する業者には注意する

借金救済制度(債務整理)の手続きを行うのは弁護士や司法書士ですが「法律の専門家相手ならまあ安心か…」と油断してはいけません。

借金救済制度を謳う事務所や業者の中には、大げさな表現をして債務者に期待を抱かせたり、借金が減っているように見えてほとんど減っていない、依頼者を騙すような手法をとっているところもあるのです。

  • 弁護士費用がかかりすぎたせいで結果として赤字になってしまった
  • ほとんど借金が減らない状況なのをわかった上で依頼者に契約をさせた など

債務整理を依頼した後も状況が変わらない、もしくはさらに状況が悪化して、別の弁護士に相談する方も中にはいます。

借金救済制度自体は怪しいものではありませんが、過剰な広告に対しては疑ってかかった方がいいでしょう。

依頼前に口コミを確認する

実際に依頼する前に、弁護士事務所の口コミをチェックしましょう。

返信が遅い、態度が悪い、手続きに失敗した、など悪い口コミが目立つ事務所には依頼しないのが得策です。

債務整理手続きはすぐには終わりません。少なくとも数ヶ月はかかります。

事務所の対応が悪いと、長期間ストレスを受けることになりますので、なるべく口コミのいい事務所を選ぶのがおすすめです。

借金救済制度でよくある質問

借金救済制度に関する、よくある質問を紹介します。

借金救済制度は怪しいから使わない方がいい?

借金救済制度の正式名称は、債務整理(さいむせいり)です。

法律に則って行われる正当な借金の減額・免除手続きであるため、怪しくはありません。

借金救済制度は弁護士や司法書士に依頼して行うのが一般的ですので、不安に思う方は実際に制度の内容について説明を受けましょう。

借金救済制度で住宅ローンはどうなる?

借金救済制度を利用して住宅ローンを減額、免除しようとした場合、自宅を失うことになる可能性が高いです。

住宅ローンには抵当権が設定されている場合が多いです。

抵当権とは、住宅ローンが返済できなくなった際、ローン会社が住宅が売却し、借金を回収できる権利、と考えるとわかりやすいでしょう。

借金救済制度で奨学金は免除になる?

借金救済制度のひとつである、自己破産を利用すれば、奨学金の支払いが免除されます。

ただし、これは奨学金が機関保証であった場合に限ります。

人的保証(親族などが保証人)の場合、本人の支払いは免除されるものの、保証人が返済を引き継ぐ形になるので注意しましょう。

まとめ

借金救済制度について説明しました。借金救済制度の正体は、債務整理と呼ばれる、私的・法的な借金問題の解決手続きです。

債務整理という表現は小難しい印象を受けるため、あえてこのような言い換えを行っていますが、実際に借金を減らしたり、無くしたりすることが可能です。

債務整理は弁護士や司法書士に依頼して手続きを行うのが一般的です。

借金が減る・無くなる代わりに、一定期間借入ができなくなったり、ローンで購入したものが引き上げられてしまう可能性もあるので注意しましょう。

過剰な広告を配信する業者は疑ってかかる必要がありますが、債務整理そのものは怪しいものではありません。

借金に悩んでいるようでしたら、一度弁護士に相談してみましょう。

あなたの状況に合ったベストなアドバイスをくれるはずです。

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