逮捕される前後の流れを詳しく解説

逮捕とは、刑事事件の手続きにおいて、警察などの捜査機関が罪を犯したと疑われる者(被疑者)の身柄を拘束することです。

罪を犯し逮捕される可能性がある時、あるいは家族が逮捕された時など、これからどうなるのか不安になると思います。

この記事では、逮捕の流れ・逮捕後の釈放の可能性や弁護活動について、次のとおり解説します。

  • 事件発生から逮捕までの流れ
  • 逮捕後の流れ
  • 逮捕から勾留までの流れ
  • 逮捕・勾留後から起訴・公判までの流れ
  • 逮捕後、釈放を目指せるタイミング
  • 逮捕後の弁護活動の内容

逮捕される可能性のある方やその家族は、ぜひご参考になさってください。

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事件発生から逮捕までの流れ

ここでは、事件発覚から逮捕までの流れを以下の順に解説します。

  • 事件発覚
  • 被害届の提出
  • 警察の捜査活動
  • 補足:警察が逮捕に来る際の前兆はあるか
  • 逮捕令状の請求
  • 逮捕の種類と要件

詳しく見てみましょう。

事件発覚

被害者・目撃者からの通報や、警察官が犯行現場に居合わせたことにより事件が発覚すると、警察が捜査を開始します。

被害届の提出

刑事事件となるケースでは一般的に被害者が存在し、被害者の申告が捜査のきかっけになることがあります。

被害届とは、被害者が警察に対して犯罪の被害に遭った旨を申告することです。

犯罪被害の届出は、口頭でも可能です。口頭での被害申告があった場合、警察官は、次のいずれかの方法で被害届を受理します。

  • 届出者(被害者等)に被害届の書式に記入させる
  • 警察官が被害者から聴き取った内容を代書する
  • 被害者の供述調書を作成する

被害届の提出がなくても捜査・逮捕される可能性がある

被害者からの被害届がない場合や、被害者が存在しない場合でも、別のきっかけで事件が発覚されば捜査・逮捕される可能性があります。被害届の提出を待っている間に重大な被害が起きてしまう可能性がある場合も同様です。

被害届以外の捜査のきかっけとなる事由は、主に以下のものが挙げられます。

  • 目撃者からの通報・情報提供
  • 利害関係者からの密告
  • 医師や地方自治体等からの通報
  • 防犯カメラの映像

被害者が、被害届を出す意向がない場合や、いったん被害届を出した後に取下げた場合でも、事件の悪質性や緊急性を鑑み、捜査機関が強制捜査に踏み切る必要があると判断すれば、逮捕されることもあります。

警察の捜査活動

犯罪事件の捜査対象となると、警察は捜査を開始します。警察は必要な捜査を行い、犯人と犯罪事実の証拠を収集します。捜査活動の具体例は以下のとおりです。

  • 目撃者や利害関係者からの事情聴取
  • 現場検証
  • 防犯カメラ映像の確認
  • DNA鑑定
  • 繊維鑑定
  • 交通系ICカードの利用履歴の確認

補足:警察が逮捕に来る際の前兆はあるか

現行犯逮捕や緊急逮捕はもちろん、通常逮捕の場合も、基本的には何の前触れもありません。突然自宅などに令状を持った警察官が訪れるケースがほとんどです。

警察から事前に連絡はなく、逮捕状が出ているかどうかを確認する術もありません。

もっとも、任意同行を求めるために逮捕前に呼び出されるケースはあります。

逮捕令状の請求

捜査の結果、逮捕の理由及び必要性がある場合は、捜査機関が裁判所に対して逮捕令状を請求します。 具体的には、次のような場合に逮捕状が請求できます。

  • 被疑者による犯行が行われたことについて疑うに足る相当な理由があるとき
  • 逃亡や証拠隠滅のおそれがあるため被疑者の身柄拘束が必要であるとき

捜査機関の請求が相当と認める場合、裁判官は、逮捕令状を発布します。捜査機関はこれをもって被疑者を逮捕します。

逮捕の理由と必要性が十分でないと判断される場合には、裁判所は申請を却下するか、捜査機関に対して理由や必要性の補充を求めます。実務上、逮捕令状の請求が却下される事案はほぼありません。

逮捕状が発布されると、弁護士でも逮捕を阻止できません。逮捕状が発布される前に弁護士に依頼すれば、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを主張することにより、逮捕を回避できる可能性があります。

なお、逮捕状が出されたとしても、必ず逮捕されるわけではありません。その後の事情により逮捕の必要がなくなったときは、逮捕せず在宅のまま捜査します。この場合、捜査機関は、裁判官に逮捕状を返還します。

逮捕令状が請求されない場合

次の場合は、逮捕令状がなくても逮捕できます。

  • 現行犯逮捕が認められる場合
  • 緊急逮捕が認められる場合

現行犯逮捕や緊急逮捕の詳細は、次の段落で詳述します。

逮捕の種類と要件

逮捕には以下の3つの種類があります。

  • 通常逮捕
  • 現行犯逮捕
  • 緊急逮捕

それぞれの流れと要件を解説します。

通常逮捕

通常逮捕は、警察官・検察官・検察事務官のみに認められた逮捕です。事件発覚後、捜査機関による捜査が進められ犯人(被疑者)が特定され、被疑者が罪を犯したことを疑うに足る理由があるとき、裁判官が発布した逮捕状に基づいて行われる逮捕です。

通常逮捕の要件は、逮捕の理由と逮捕の必要性があることです(刑事訴訟法第199条、刑事訴訟規則第143条の3)。

逮捕時には被疑者の面前で逮捕状を示し、疑いのある罪名と逮捕の理由を告げて逮捕を執行します。

逮捕の時間は決まっていませんが、早朝に執行されるケースがほとんどです。その理由は以下のとおりです。

  • 早朝に身柄を確保した方がその後の警察内部の処理がスムーズである
  • 24時間のうち、在宅の可能性が高いのは早朝であるため
  • 逮捕を人目に晒さない配慮

なお、捜査機関が捜索・差押えをするためには捜索令状が必要ですが、逮捕状の執行と同時に逮捕の理由となった被疑事実に限定した捜索・差押えをする場合には捜索令状は不要です。

そのため、犯罪に関する証拠が存在する蓋然性が高い自宅などで逮捕をし、同時に捜索・差押えなどが行われるケースがほとんどです。

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、犯行中あるいは犯行直後の犯人を、事件を目撃した一般人や通報を受けて駆け付けた警察官等がその場で逮捕する方法です。

なお、その場から逃走し追いかけられている者や、犯行現場で血の付いたナイフを持って立っている者を逮捕することを準現行犯逮捕といいます。

現行犯逮捕および準現行犯逮捕の要件は、逮捕される人が現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者であることです(刑事訴訟法第212条第1項)。

現行犯逮捕の場合、逮捕令状は不要です。犯行中あるいは犯行直後であるため、嫌疑が明白で犯人を取り違えるおそれがないからです。

緊急逮捕

緊急逮捕とは、急速を要するため裁判官に逮捕状を請求する時間がないときに、その理由を告げたうえで逮捕することです。

緊急逮捕は、次のとおり、一定の条件下で逮捕状を事後的に請求することで逮捕が認められています。

  • 被疑者が一定の重罪(殺人罪や強盗罪等)を犯したと疑うに足る充分な証拠がある
  • 令状の発布を待っている間に犯人が逃亡・証拠隠滅を図るおそれが高い緊急時である

緊急逮捕の場合は、事後的に必ず裁判所に逮捕状を請求しなければなりません。裁判所が逮捕状を発布しない場合は、ただちに被疑者を釈放しなければなりません。

逮捕後の流れ

ここでは、逮捕後の流れを解説します。

逮捕後の流れの全体像を以下の表でご確認ください。

逮捕後は、タイムリミットが定められている手続きもあります。

逮捕から勾留までの流れ

ここでは、逮捕から勾留までの流れを解説します。

逮捕から勾留までの流れは以下のとおりです。

  • 留置場への留置
  • 警察官の取り調べ
  • 検察官への送致|逮捕後24時間以内(逮捕後72時間以内)
  • 勾留請求|送致後24時間以内(逮捕後72時間以内)
  • 勾留・勾留延長|最大20日間

ひとつずつ説明します。

留置場への留置

逮捕されると、警察署内の留置場や法務省所管の留置施設に身柄を留置されます。

警察官の取り調べ

逮捕後は、取り調べを中心に引き続き捜査が行われます。通常は、留置場から取調室に連れていかれて、警察官の取り調べを受けます

この時間は家族でも逮捕された方と面会できません。唯一、弁護人だけが面会(接見)できます。

検察への送致|逮捕後48時間以内

警察が刑事事件を捜査したときは、原則としてすべての事件を検察官に送致しなければなりません。検察官への送致は、逮捕後48時間以内に行われます。

留置場に拘束される身柄事件、在宅のまま捜査が進められる在宅事件のどちらであっても扱いは同じです。

送致されない場合

検察官が指定している一定の犯罪については、警察が送致の必要なしと判断すれば微罪処分となり検察官へ送致されないことがあります。微罪処分として処理されれば、刑事事件は終了となり、前科はつきません。

微罪処分に明確な基準はなく、検察が指定する犯罪の種類や条件も異なりますが、おおむね次の基準にもとづき判断されます。

  • 検察官が指定した犯罪である
  • 被害が軽微である
  • 被害回復がなされている
  • 被疑者の反省も深く犯行が悪質でない
  • 初犯である
  • 被害者が加害者に罰則を望んでいない(示談が成立している)
  • 身元引受人・監督者を確保している

あってはならないことですが、無実の方が誤認逮捕されるケースもあります。そのような場合は、逮捕後の捜査によって、無実が判明して釈放されることがあります。

勾留請求|送致後24時間以内(逮捕後72時間以内)

事件の送致を受けた検察官は、送致から24時間以内に勾留するかどうかを決定します。

検察官が勾留請求すると、裁判官がその請求を許可するかどうかを判断します。

勾留とは、被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅したりするのを防ぐために、身柄を警察署の留置施設等に拘束する手続きです。

勾留は、長期間(最大20日間)行動の自由を侵害する手続きであるため、その要件が厳格に定められています。

勾留が認められるためには、次の2つの要件を満たさなければなりません。

  • 勾留の理由があること
  • 勾留の必要性があること

勾留の理由があると言えるためには、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、かつ、次のいずれか1つに該当することが必要です。

  • 定まった住居を有しないとき
  • 罪証を隠滅すると疑うに足る相当な理由があるとき
  • 逃亡した、または逃亡すると疑うに足る相当な理由があるとき

上記を満たしても、身柄拘束をする必要性が認められなければ、勾留できません。

もっとも、上記の要件を満たせば、勾留の必要性があると判断されるのが実情で、この要件を欠くとして勾留が認められないケースはほとんどありません。

勾留の必要性が認められないケースは、主に次のような場合です。

  • 事案が軽微である場合
  • 被疑者の健康状況が身柄拘束に適さない場合
  • 被疑者の人生や家族に著しい不利益が生じる場合

被疑者を勾留することにより得られる利益よりも被る不利益のほうが著しく大きい場合には、勾留の必要性を欠くとされています。

勾留・勾留延長|最大20日間

検察官の勾留請求に基づき、裁判官が勾留を許可すると、原則10日間留置場に留め置かれ、検察官からの取り調べ等を受けます。10日間の勾留では捜査の時間が足りないと判断された場合には、さらに最長10日間勾留が延長されることがあります。

つまり、逮捕後72時間(3日間)の身体拘束を含めると、最大23日間身柄拘束される可能性があります。

勾留されない場合

被疑者が警察に身柄を拘束されることなく、在宅で捜査が進められる事件を在宅事件といいます。在宅事件の場合には普段どおりの生活を送れますが、警察や検察から呼び出しがあると取り調べ等に応じなければなりません。

在宅事件は、勾留される身柄事件と異なり、期限が無く、捜査が長期化する傾向にあります。

勾留と拘留の違い

勾留は刑罰ではありません。勾留は、被疑者(起訴される前の容疑者)や被告人(起訴されてしまった人)の逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われる身体拘束です。

拘留は、刑罰の一種です。刑罰には、大きく分けると生命刑、自由刑、財産刑の3種類があります。自由刑には、懲役、禁錮、拘留の3つがあります。拘留は自由刑の中でも最も期間が短い刑罰です。

逮捕・勾留後から起訴・公判までの流れ

ここでは、逮捕・勾留後から起訴・公判までの流れを解説します。

  • 起訴・不起訴の決定
  • 起訴後勾留
  • 刑事裁判(公判手続き)

ひとつずつ説明します。

起訴・不起訴の決定

検察官は、捜査の結果に基づいて、その事件を起訴するかどうか判断します。

検察官が、起訴すべきであると判断し、裁判所に対して公判請求をした場合は、刑事裁判が開始されます。

被疑者が罪を犯したとの疑いがない場合や嫌疑が不十分である場合は不起訴処分とします。嫌疑が十分あっても、以下の諸般の事情に照らして、起訴する必要がないと考えるときには起訴しない(起訴猶予)こともあります。

  • 被疑者の性格、年齢、境遇
  • 犯罪の程度や情状
  • 社会に戻した場合の更生可能性
  • 被害者の処罰感情

不起訴処分となった場合、事件はその時点で終了し、身柄が拘束されている場合は釈放されます。

起訴の種類

起訴には、次の2種類があります。

  • 起訴:公開の裁判を裁判所に請求する通常の起訴
  • 略式起訴:書面のみで裁判官が量刑を判断する起訴

略式手続きでは、書面のみで裁判官が量刑を判断し、被告人が自己の言い分を述べることができないため、基本的に軽微な事案で被告人が犯罪事実を認めている場合に用いられます。

不起訴の種類

不起訴は次の3つの種類に分類されます。

  • 嫌疑なし: 捜査の結果、被疑者に対する犯罪の疑いがないと判断された場合
  • 嫌疑不十分: 捜査の結果、裁判において有罪であることの証明が困難である場合
  • 起訴猶予: 捜査の結果、有罪を証明できるが、検察官の判断で不起訴とする場合

起訴後勾留

起訴前の勾留と同様、起訴後の勾留も認められています。起訴後の勾留も検察官が裁判所に対して勾留を請求し、裁判所が勾留すべきと判断すれば勾留されます。

起訴後の勾留は公訴の提起があった時から原則2カ月とされています。起訴されてから実際に公判が始まるまでが約2カ月かかるからです。その後、1カ月毎に更新され、保釈が認められない限り、判決が下るまで続きます。

刑事裁判(公判手続き)

検察官が裁判所に起訴状を提出して公訴を提起すると、刑事事件の裁判手続が開始されます。被疑者は、起訴されることにより被告人となります。

刑事裁判とは、被告人の有罪・無罪を判断し、刑罰を宣告する手続きのことです。

日本における刑事事件で、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われています。

有罪となった場合

刑事裁判で受ける有罪判決には、重い方から順に次の種類があります。

  • 死刑
  • 懲役刑
  • 禁錮刑
  • 罰金刑
  • 拘留刑
  • 科料刑

罰金刑・科料刑については、命じられた金銭を納付すれば刑の執行が完了するため、刑務所に服役する必要はありません。懲役刑または禁錮刑の場合は、執行猶予が付かない限り、刑務所への服役が必要になります。

執行猶予付き判決とは、判決の言い渡しから一定期間に限り刑の執行を猶予する判決です。

例えば、懲役3年、執行猶予5年の判決が下された場合、刑の執行を5年間猶予し、猶予期間中何事も無ければ刑務所に収監されません。執行猶予中に再び事件を起こした場合は猶予が取り消され、刑務所に収監されます。

執行猶予が付かない有罪判決を実刑判決といいます。実刑判決が下されると、社会生活に戻ることなく、判決後すぐに刑務所に収監されます。判決が確定した時点で勾留されていない場合は、刑の執行のために検察庁から呼び出されるので出頭します。

無罪となった場合

起訴されても、被告事件が罪とならないときや、検察が裁判で犯罪の証明ができなかった場合は無罪判決が下されます。

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逮捕後、釈放を目指せるタイミング

逮捕されたあと、釈放されるのはいつでしょうか。

ここでは、逮捕後、釈放を目指せるタイミングを解説します。

弁護活動における釈放のタイミングは、以下のとおりです。

  1. 逮捕~検察官送致前<<1>>
  2. 検察官送致~勾留請求<<2>>
  3. 勾留決定後~起訴前<<3>>および<<4>>
  4. 起訴~判決<<5>>および<<6>>

ひとつずつ説明します。

逮捕から検察官送致前まで<<1>>

逮捕後もっとも早く釈放されるタイミングは、検察官に送致する前、すなわち逮捕後48時間以内です。警察が被疑者を逮捕してから48時間以内に、検察官への送致手続をしないときには、被疑者を釈放しなければなりません。

早期釈放を実現させるためには、逮捕後すぐに弁護士に相談した方がよいでしょう。弁護士に依頼し、接見に来てもらえば、取調べのアドバイスを受けられます。 黙秘権や自分の意に反する供述調書への対処方法等について確認しましょう。

逮捕後に釈放される可能性があるのは、以下のような場合です。

  • 検察官が軽微処分として指定した犯罪である場合
  • 逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合
  • 被害が軽微であり被害回復がなされている場合
  • 被疑者の反省も深く犯行が悪質でない場合
  • 初犯である場合
  • 被害者との示談が成立している場合
  • 被害者が加害者を許し処罰を求めていない場合
  • 身元引受人・監督者を確保している場合

検察官送致から勾留請求まで<<2>>

検察官へ送致されたときから勾留請求までの間にも、以下の理由による釈放のタイミングがあります。

  • 勾留を請求しないとき
  • 勾留を請求したが、裁判官に却下されたとき

検察官が被疑者送致後24時間以内(逮捕から72時間以内)に勾留を請求しないときは、被疑者を釈放しなければなりません。検察官が引き続き被疑者の身柄を拘束する必要がないと判断した場合には勾留は請求されません。

勾留が請求された場合も、裁判官が勾留の必要がないと判断すれば、勾留請求が却下されます。勾留請求が却下された場合は、検察官は被疑者を釈放しなければなりません。

検察官が裁判所に勾留請求をすると、裁判官による勾留質問がおこなわれます。勾留質問において、裁判官は主に次の点を確認します。

1.被疑者の言い分

2.弁護人の意見書・添付資料等

3.検察官からの提出書類

弁護士は、次のような弁護活動を行い、被疑者本人に有利な事情を検察官や裁判官に示し、勾留の必要性がないことを訴えます。

  • 家族・勤務先上司等から被疑者本人を監督する旨の誓約書を取り付ける
  • 被疑者本人が被害者に接触することのないよう行動制限を伴う誓約書を取り付ける
  • 逃亡や証拠隠滅のおそれがない旨の意見書を作成する

勾留決定後から起訴前まで<<3>>および<<4>>

検察官が勾留請求をし、裁判官が勾留決定をおこなうと、10日間の身柄拘束となります。勾留が決定されても、準抗告を申立てることで釈放される可能性があります。準抗告が認められれば、一旦決定された勾留が取り消され、釈放されます。

勾留された場合も、不起訴処分を獲得できれば釈放され、前科がつかずに事件は終了します。

不起訴処分を獲得するための弁護活動として、被害者との示談や贖罪寄付を行います。被害者との示談が成立した場合は、示談書を検察官に提出し、不起訴処分を獲得できるよう交渉します。

起訴から判決まで<<5>>および<<6>>

身柄を拘束されたまま起訴された場合には、原則として起訴後も勾留が継続します。保釈請求が認められなければ、判決まで勾留されます。

起訴後は、弁護士が裁判所に対して保釈を請求します。保釈請求が認められた場合は、保釈金の納付後、早ければ数時間後に留置場から出られます。

保釈金は、被告人が刑事裁判に出廷し、判決(有罪・無罪に関係なく)を受けた時点で全額返還されます。ただし、 被告人が途中で逃亡したり、証拠隠滅を図ったりした場合は裁判所に全額没収されます。

逮捕後の弁護活動の内容

ここでは、逮捕後の弁護活動の内容を解説します。

逮捕後早期の接見(面会)

逮捕された方は、取り調べに対してどのような対応をとるべきか、これからどのような手続きがあるのか分からない状態にあるのが通常です。逮捕後72時間は家族とも面会できません。

弁護士は面会の制限を受けませんので、逮捕後すぐに本人と面会して、取り調べへの対応方法を助言できます。不安定な精神状態にある被疑者を励まし、違法な取り調べ・自白の強要を防止するための手立てを講じます。

勾留阻止のための弁護活動

長期にわたる身柄の拘束を受けると、社会復帰が難しくなる可能性が高まります。そのため、勾留を阻止するための弁護活動が重要です。

勾留前の段階では勾留請求しないように検察官に働きかけたり、勾留請求後は、勾留決定しないように裁判官に働きかけたりします。

具体的には、身元引受人や監督人を確保し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示して、勾留の必要性がないことを検察官や裁判官に主張します。

勾留決定がなされた場合には、準抗告を申立てて、勾留決定の取消を求めます。

勾留請求の阻止や勾留決定に対する準抗告は速やかに行う必要があります。可能な限り、早めに弁護士に依頼することをおすすめします。

不起訴処分・起訴猶予・減刑を目指した弁護活動

被害者のいる事件では、被害者との示談交渉を行います。

検察官の起訴・不起訴の判断や、裁判官の判決には、被害者の処罰感情や加害者の反省、被害者が受けた被害の回復状況が重視されるからです。

弁護士は、過去の事例から適正な示談金の金額を被害者に示して、示談交渉を行います。

示談が成立すれば、示談書を検察官または裁判官に提出し、不起訴、執行猶予の獲得や減刑に向けて働きかけます。

示談交渉に際して、警察や検察官から被害者の連絡先を入手できるのは、原則として弁護士だけです。被害者との示談交渉は弁護士に依頼しましょう。

再犯防止のための対策をサポート

薬物事件や性犯罪事件では、再犯防止のための取り組みが不可欠です。

弁護士は、事案や必要性に応じて、専門の医療機関や更生施設を紹介し、再犯防止のための対応策構築のサポートを行います。

本人が依存症を克服するために専門の医療機関で治療を受けることを立証したり、それをサポートする家族や友人の監督状況を検察官や裁判所に示したりすることで、不起訴処分や執行付き判決を獲得できる可能性があります。

まとめ

逮捕されたご本人は、今後どうなるのか、自分はどうすればよいのかなど、今後の見通しが分からずパニックに陥ることもあります。

刑事事件は、原則として次の手続きまでのタイムリミットが決められています。限られた時間の中で、いかに早い段階から手を打てるかが重要です。

日本では、起訴されると99.9%が有罪になります。弁護士に依頼すると起訴を回避できる可能性が高くなります。

逮捕されたら、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

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