更新日:2024年4月30日 (火)

公開日:2023年9月26日 (火)

不同意性交等罪と示談・不起訴の可能性|初動対応と弁護の重要性

不同意性交等罪と示談・不起訴の可能性|初動対応と弁護の重要性 不同意性交等罪と示談・不起訴の可能性|初動対応と弁護の重要性

サマリー

不同意性交等罪(刑法177条)とは、2023年の刑法改正により、従来の強制性交等罪や準強制性交等罪を見直す形で整理・再構成された刑法上の犯罪類型です。

この記事では、不同意性交等罪の成立要件や刑罰、公訴時効などについて、一般的な法制度の内容を整理して解説します。

【この記事でわかること】
・不同意性交等罪の成立要件
・2023年改正で変わったポイント(強制性交等罪との違い)
・飲酒時や交際関係において同意の有無が争点となるケース
・刑罰・公訴時効の実務上の取扱い
・加害者の法的な対処方法

不同意性交等罪は、同意の有無や証拠関係によって結論が大きく変わるため、早期の対応が重要になる場合があります。

捜査や示談交渉などに関わる可能性がある場合は、刑事事件に詳しい弁護士へ相談することが有効な選択肢となり得ます。

不同意性交等罪とは?|2023年刑法改正のポイント

不同意性交等罪とは、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状況に乗じて性交等を行った場合に成立し得る犯罪であり、刑法上の性犯罪類型の一つです。

2023年7月13日に施行された刑法改正により、新たに性犯罪規定として新設されました。

この法改正は、性犯罪に関する従来の規定を見直し、実態に即した処罰の在り方を整理することを目的としています。
背景として、被害申告の困難性などが指摘されてきたとされています。

改正の大きなポイントは、従来の「暴行・脅迫」の有無に限定されず、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な類型に該当する場合も含めて、処罰対象となる行為類型が整理・拡充された点です。

強制性交等罪・準強制性交等罪から不同意性交等罪へ何が変わったのか

改正前の刑法では、暴行や脅迫を用いた「強制性交等罪」と、相手が心神喪失や抗拒不能な状態にあることに乗じる「準強制性交等罪」に分かれていました。

しかし、従来の規定では要件該当性の立証が課題となる場面があるとの指摘があり、実態との対応関係について議論が行われてきました。

そこで今回の刑法改正では、これらの犯罪類型が整理・再定義され、「不同意性交等罪」として構成要件が再構築されました。

大きな変更点は、成立要件として従来の「暴行・脅迫」が必須ではなくなり、相手が「同意しない意思」を表明することが困難な状態にさせる場合、またはそのような状態にある場合も含めて、構成要件が整理された点です。

性交同意年齢の引き上げ(13歳から16歳へ)

今回の刑法改正では、性的な行為に対する同意の有効性を判断するための基準となる「性交同意年齢」が、従来の13歳から16歳に引き上げられました。

これにより、16歳未満の者に対して性交等を行った場合には一定の場合を除き処罰対象になります。

ただし、13歳以上16歳未満の者との行為については、行為者が5歳以上年長である場合に処罰対象となる仕組みとされています。

非親告罪化とは?被害者の告訴がなくても起訴できる仕組み

不同意性交等罪は、刑事手続上「非親告罪」とされ、検察官が被害者の告訴の有無にかかわらず、一定の条件のもとで起訴が可能な犯罪類型とされています。

改正前の強制性交等罪なども非親告罪とされており、この点については今回の刑法改正後も維持されています。

対義語である親告罪の場合、被害者の告訴が起訴の条件となるため、告訴がなければ起訴できない類型とされています。

性犯罪の被害者は、精神的なショックや心的外傷、また加害者からの報復を恐れる気持ちから、告訴をためらうケースが少なくありません。
そのため、被害者の告訴を起訴の条件としない非親告罪とすることで、被害申告に関する負担や課題を踏まえ、告訴の有無にかかわらず捜査・起訴が可能な制度設計が採用されています。

非親告罪については、以下の記事で詳しく解説しています。
非親告罪とは|非親告罪との違い・非親告罪の一覧をわかりやすく解説

不同意性交等罪が成立する3つの具体的なケース

不同意性交等罪に該当し得る典型的な類型は、大きく次の3つに整理されます。

  • 同意しない意思の表明が困難な状態に乗じて性交等を行う
  • 行為の内容や相手を誤信させて性交等を行う
  • 相手が16歳未満である場合に性交等を行う

(ここでいう「性交等」とは、性交、肛門性交、口腔性交、および膣や肛門に身体の一部や物を挿入する行為などを指します。)

ケース1:同意しない意思の表明が困難な状態に乗じて性交等を行う

不同意性交等罪が成立し得る一つ目のケースは、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態に乗じて性交等を行う場合です。

法律では、この状態を生じさせる具体的な原因として8つの行為や状況を例示規定として示しています。

類型 内容・具体例
暴行・脅迫 殴る・蹴るなどの暴力や、「騒いだら殺す」などの脅迫によって抵抗を困難にして性交等を行うケース
心身の障害 身体を拘束する、強い精神的ショックを与えるなどして、正常な意思表示ができない状態にして性交等を行うケース
飲酒・薬物 泥酔させる、薬物を摂取させる、または酩酊状態に乗じて性交等を行うケース
睡眠・意識不明瞭 睡眠中や意識がもうろうとしている状態に乗じて性交等を行うケース
不意打ち 同意の意思を示す時間を与えず、突然性的行為に及ぶケース
恐怖・驚き 威圧的な態度や突然の行動によって相手を当惑させ、正常な判断を困難にして性交等を行うケース
関係性の利用 親子関係や長年の虐待関係など、支配・従属関係を利用して性交等を行うケース
地位・経済力の利用 上司と部下、教師と学生などの立場の差や経済的依存関係を利用して性交等を行うケース

これらは例示されている類型であり、実際には個別の事情を総合的に考慮して判断されます。

① 暴行や脅迫を用いて性交等を行う

相手に対して暴行や脅迫を用いることは、不同意性交等罪が成立し得る典型的な類型の一つです。

暴行や脅迫によって相手の抵抗を著しく困難にさせ、自由な意思決定ができない状態に陥れて性交等を行う行為が該当します。

例えば、殴る、蹴るなどの身体的な暴力だけでなく、「騒いだら殺す」といった生命や身体に危害を加える旨を告げる脅迫も含まれます。

② 心や身体に障害を生じさせて性交等を行う

相手の心や身体に障害を生じさせることによって、同意しない意思を示すことを困難にさせて性交等を行う場合も該当し得る場合があります。

ここでの「障害」とは、精神的な疾患や身体的な機能障害など、医学的診断の有無にかかわらず、個別事情に基づいて判断される概念とされています。

例えば、一時的に強い精神的ショックを与えて心理的に抵抗できなくさせたり、身体を拘束して動けなくさせたりする行為が該当します。

③ アルコールや薬物を摂取させて性交等を行う

アルコールや薬物を摂取させる、またはその影響下にあることに乗じて性交等を行う行為も該当し得る場合があります。

例えば、相手の意に反して大量の酒を飲ませて泥酔させたり、飲み物に薬物を混入させたりして、正常な判断能力を失わせるケースが該当します。

また、相手が自ら進んで飲酒し酩酊状態に陥っている場合であっても、その状態を認識しつつその機会に乗じて性的行為に及ぶことは、処罰の対象となり得ます。

④ 睡眠中など意識が不明瞭な状態に乗じて性交等を行う

睡眠中や、病気、疲労などによって意識が不明瞭な状態にあることに乗じて性交等を行うことも該当し得る場合があります。

意識がない、または著しく低下している状態では、そもそも同意の意思表示を行うことができず、法的に有効な同意が成立しないと解されます。

そのため、相手が眠っている状態に乗じて性的行為に及んだ場合や、ホテルの部屋で泥酔して意識のない相手に対して行為を行った場合などは、不同意性交等罪が成立し得ます。

⑤ 同意の意思を示す時間的・心理的余裕を与えずに性交等を行う

相手に同意するかどうかを考える時間的・精神的な余裕を与えずに、不意打ちで性交等を行う場合も該当し得る場合があります。

これは、行為が突然かつ予期せずに行われ、被害者が同意の意思表示を行う機会を実質的に完全に奪われる状況を指します。

例えば、背後から突然抱きついて服を脱がし、抵抗する間もなく性的な行為に及ぶようなケースが該当します。

⑥ 恐怖や驚きで当惑させて性交等を行う

相手を恐怖させたり、驚かせたりして、当惑している状態に乗じて性交等を行うことも該当し得る場合があります。

暴行や脅迫には至らない場合であっても、相手が恐怖や驚きによって混乱し、正常な判断や意思形成ができない心理状態に陥る状況を利用する行為が該当します。

例えば、突然大声を出す、威圧的な態度で迫る、周囲に助けを求められない閉鎖的な空間に連れ込むといった行為が考えられます。

⑦ 長年の虐待など当事者間の関係性を利用して性交等を行う

当事者間に存在する支配・従属関係を利用して性交等を行う場合も該当し得る場合があります。

特に、家庭内での虐待など、長年にわたる暴力や心理的支配によって、被害者が加害者からの要求を断ることが心理的・実質的に極めて困難な状況が想定されています。

例えば、親から子へ、配偶者からパートナーへといった関係性の中で、逆らえば何をされるか分からないという恐怖心から、性的な要求を受け入れざるを得ないケースです。

形式的に同意があるように見える場合でも、状況によっては同意の有効性が問題となる可能性があります。

⑧ 経済的・社会的な地位の格差を利用して性交等を行う

経済的または社会的な地位の格差を利用し、その影響力を使って性交等を行うことも該当し得る場合があります。

例えば、上司が部下に対し人事評価や解雇を示唆するなど優越的地位を利用して性的関係を強要するケースや、指導教員が学生に対し単位や卒業認定を条件として要求するケースが該当します。

金銭的な援助をしている関係を利用して要求を拒否できないようにするなど、相手が自身の不利な立場から要求を断れない状況を作り出し、それを利用する行為は、同意がないものと評価される場合があります。

ケース2:行為の内容や相手を誤信させて性交等を行う

不同意性交等罪が成立し得る二つ目のケースは、誤った情報を信じさせ、その錯誤に基づいて意思形成が行われた場合です。

具体的には、性交等の相手や内容について誤った情報を信じ込ませ、その錯誤に基づいて意思形成をさせる行為が該当します。

例えば、医師であると嘘をつき、診察や治療であると信じさせてわいせつな行為に及ぶケースがこれにあたります。

ケース3:相手が16歳未満である場合に性交等を行う

不同意性交等罪が成立し得る三つ目のケースは、相手が16歳未満である場合です。

性交同意年齢が16歳に引き上げられたことにより、16歳未満の者との性交等は、相手の同意の有無にかかわらず原則として処罰対象となり得ます。

ただし、例外規定として、相手が13歳以上16歳未満の場合に限り、行為者が5歳以上年長である場合に処罰対象となる仕組みが設けられています。

この年齢差の規定は、同年代の者同士の恋愛関係などを一定程度考慮し、刑事政策上の観点から処罰範囲を調整する趣旨で設けられています。

したがって、例えば18歳の者が15歳の者と同意の上で性交等を行った場合は年齢差要件により構成要件該当性が否定される場合がある一方で、20歳の者が15歳の者と性交等を行った場合は例外規定に該当せず処罰対象となります。

不同意性交等罪で実際に争点になりやすいポイント

不同意性交等罪では、「相手が自由な意思に基づいて同意できる状態だったか」や、「同意しない意思を形成・表明・全うできる状況にあったか」といった点が、主要な争点となることがあります。

実際の捜査や刑事裁判では、単に当事者の主張だけでなく、LINEなどの客観的証拠や行為前後の状況、供述内容の一貫性などを踏まえた証拠評価により総合的に判断される傾向があります。

特に、交際関係にある当事者間や飲酒を伴うケースでは、同意の有無や意思の認識に関する食い違いが生じ、立証上の争点となるケースがあります。

まずは、実務上よく問題となる主な論点を整理して確認しておきましょう。

争点 実務上検討されることがある事情
飲酒 酩酊の程度、自由な意思形成や意思表示が可能な状態だったか
LINE・SNS 行為前後のメッセージ内容、謝罪・拒絶の有無
関係性 継続的交際、過去の性的関係の有無
同意 同意の有無やその有効性
供述 供述の一貫性、客観証拠との整合性

以下では、それぞれの争点について実務上の観点も踏まえて詳しく解説します。

飲酒がある場合は「酩酊の程度」が重要な争点になる

不同意性交等罪では、相手がアルコールの影響によって自由な意思形成や意思表示が可能な状態だったかどうかが、検討対象となることがあります。

単に飲酒していたという事実だけで、直ちに構成要件該当性が認められるわけではなく、個別事情に基づく評価が必要となります。

しかし、泥酔状態で意思表示が困難だった場合には、「同意しない意思を表明できない状態」にあったと判断される可能性があります。

実際の捜査・刑事実務では、以下のような事情が証拠評価として確認されます。

  • 自力で歩行できていたか
  • 会話が成立していたか
  • 記憶が残っているか
  • 嘔吐や意識消失があったか
  • 店舗やホテルの防犯カメラ映像
  • 周囲の第三者の証言

特に、酩酊の程度は客観証拠が重視される傾向があり、後日のLINEやSNSのやり取りが重要な証拠になるケースもあります。

LINEやSNSのやり取りが重要証拠になることもある

不同意性交等罪では、行為前後のLINE・DM・SNSメッセージが、立証上の証拠評価において検討対象となる場合があります。

例えば、以下のような内容が争点になることがあります。

  • 行為前に性的関係について合意する趣旨のやり取りがあったか
  • 行為後に被害申告や拒絶の意思表示があったか
  • 当日の待ち合わせや飲酒状況
  • 相手への謝罪や弁解のメッセージ
  • 感情的なやり取りの経緯

特に、行為後のメッセージは、当事者双方の認識を検討する際の資料となる場合があります。

もっとも、一部のやり取りだけで直ちに同意の有無が決まるわけではなく、前後の事情を含めて総合的に判断されます。

なお、疑いをかけられた場合にメッセージを削除すると、証拠評価上、不利な事情として考慮される可能性があります。

交際関係や継続的な関係性が争点になるケースもある

夫婦や恋人同士であっても、婚姻関係や交際関係の有無にかかわらず、同意の有無が争点となる場合があります。

もっとも、実際の事件では、当事者間に継続的な交際関係が存在したかどうかが、同意の推認や証拠評価の観点から重要な争点となるケースがあります。

例えば、

  • 過去にも性的関係があったか
  • 普段から宿泊を伴う交際があったか
  • 当日のやり取りが自然だったか
  • 関係悪化やトラブルが存在したか

などの事情が総合評価として検討されます。

ただし、「交際していた=常に同意がある」という意味ではなく、個別の行為ごとに同意の有無が判断されます。

過去に合意があったとしても、それが将来の性的行為について当然に同意を意味するものではなく、個別の行為ごとの事情が考慮されます。

同意の有無やその有効性が問題になる

不同意性交等罪では、相手の同意が存在していたかどうかが中心的な争点になります。

実務上は、

  • 明確な承諾があったのか
  • 拒絶の意思表示があったのか
  • 沈黙や態度をどう評価するのか

などが問題となります。

特に、加害者側が「嫌がっていなかった」「拒否されなかった」として、行動や態度などから同意があったと認識していたと主張するケースは少なくありません。

しかし、相手が恐怖や酩酊などによって自由な意思形成や意思表示が困難な状態にあった場合には、形式的な受け答えが存在していても、有効な同意とは認められない可能性があります。

そのため、実務上は「相手が自由な意思で有効に同意できる状態だったか」が、証拠評価における考慮事情となることがあります。

供述の一貫性や客観証拠との整合性も重視される

不同意性交等罪では、当事者双方の供述内容が、信用性判断に関連する資料として検討されることがあります。

もっとも、密室で発生するケースが多いため、立証上、客観証拠が十分に存在しないことも少なくありません。

そのため、供述内容の一貫性や、他の証拠との整合性が重視されます。

例えば、

  • 被害申告までの経緯
  • 当日の行動履歴
  • 防犯カメラ映像
  • タクシー利用履歴
  • ホテルへの入退室記録
  • 通話履歴や位置情報

などが確認される場合があります。

供述内容に大きな変遷や矛盾がある場合には、その信用性が問題になることもあります。

そのため、被害者・加害者のいずれの立場であっても、個別事情に応じた適切な実務対応を行うため、必要に応じて、刑事事件を扱う弁護士や公的相談窓口への相談を検討することも考えられます。

不同意性交等罪の刑罰と公訴時効

不同意性交等罪に該当する場合には、重い刑事責任が問題となります。

法律で定められた法定刑だけでなく、いつまで起訴される可能性があるかを示す公訴時効などの刑事手続についても理解しておくことが重要です。

法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」

不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」です。

拘禁刑とは、2025年施行の改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑を一本化した刑罰です。

「5年以上」という法定刑の下限が定められている重大な犯罪類型とされており、事案の内容や結果の重大性によっては、執行猶予が付されず実刑判決となるケースもあります。

また、行為によって相手を死傷させた場合には、不同意性交等致死傷罪などの加重処罰規定が適用され、より重い法定刑が適用される場合があります。

公訴時効は犯罪行為が終わってから15年

不同意性交等罪の公訴時効は、原則として15年とされています。

公訴時効とは、犯罪行為が終了した時から一定期間が経過すると、刑事訴訟法上、検察官がその事件を起訴できなくなる制度を指します。

したがって、原則として、犯罪行為が終了した時から15年が経過すると、公訴時効が完成します。

もっとも、被害者が18歳未満である場合には、18歳に達するまでの期間は公訴時効の進行が停止されます。

例えば、12歳時の被害であれば、18歳到達後から15年間は公訴時効が完成しないことになります。

過去の事件であっても、公訴時効が完成していなければ、刑事責任を問うための捜査や刑事手続の対象となる場合があります。

不同意性交等罪の加害者として疑われた場合の対処法

不同意性交等罪の疑いをかけられた場合には、状況に応じて、適切な初期対応を検討することが必要となる場合があります。

この罪は非常に重い刑罰が科され得るため、捜査の初期段階からの対応が、不起訴処分や量刑判断などに影響する可能性があります。

逮捕・勾留される可能性があるほか、刑事責任だけでなく損害賠償請求などの民事上の責任を問われる可能性もあります。

もし身に覚えがない場合であっても、供述対応や証拠収集を含む適切な弁護活動を行わなければ、捜査や手続の進行において影響を受ける場合があります。
そのため、必要に応じて弁護士などの専門家への相談が検討される場合があります。

逮捕された後の手続きの流れ

不同意性交等罪の容疑で逮捕されると、まず被疑者として警察による最大48時間の取り調べが行われる場合があります

その後、事件は検察官に送致され、検察官は24時間以内に裁判官へ勾留請求を行うかどうかを判断します。

勾留が決定すると、原則10日間、さらに勾留延長が認められた場合には最大10日間、警察署の留置場などで身柄拘束を受けながら捜査が続きます。

勾留期間が満了するまでに、検察官は公訴提起(起訴)するか、不起訴処分とするかを最終的に判断します。

起訴されると刑事裁判が開かれ、証拠調べなどを通じて有罪・無罪および刑事責任の有無が審理されます。

また、事件の内容や社会的関心の程度によっては、逮捕の事実がニュースや実名報道として取り上げられる可能性もあります。

速やかに弁護士に相談して今後の対応を決める

不同意性交等罪の疑いをかけられたり、逮捕されたりした場合には、刑事事件に詳しい弁護士へできる限り早く相談することが重要です。

弁護士は、逮捕直後から接見を行い、捜査・取調べへの対応について助言を行うほか、適正手続の確保に向けた活動が行われる場合があります。

また、勾留阻止による早期釈放や、不起訴処分の可能性を高めるための弁護活動を行います。

特に、被害者との示談交渉は、被害者感情への配慮や代理交渉の必要性から、弁護士を通じて進められることが多いとされています。

弁護士に相談することで、個別事情を踏まえた法的見通しを把握し、刑事手続における自身にとって適切な対応策を検討できるメリットがあります。

被害者との示談成立で不起訴処分を目指す

不同意性交等罪のような重大犯罪であっても、被害者との間で示談が成立した場合には、検察官の処分判断において考慮される要素の一つとされています。

示談とは、被害者に対する謝罪や金銭的な補償を通じて、当事者間の紛争を解消する手続きです。

検察官は起訴便宜主義に基づいて処分を判断するため、示談の成立や被害者の処罰感情は重要な考慮要素となります。

示談金には、精神的苦痛に対する慰謝料や治療費などの損害賠償が含まれ、被害内容や事案の悪質性に応じて金額は異なります。

不同意性交等罪に関するよくある質問

不同意性交等罪は2023年の刑法改正により新設された犯罪類型であるため、その構成要件や適用範囲、運用実務について多くの疑問が寄せられています。

特に、どのようなケースで立件されるのか、具体的な人間関係や状況における構成要件該当性や立証の可否など、実務的な質問が多く見られます。

ここでは、特に頻繁に尋ねられる質問とその回答をまとめました。

夫婦間や恋人同士でも不同意性交等罪は成立しますか?

はい、成立する可能性があります。

夫婦や恋人といった婚姻関係や交際関係の事実は、同意の有無に基づく構成要件該当性の判断を妨げる理由にはなりません。

たとえ親密な関係性であっても、相手の性的自己決定権に基づく同意がない性的な行為は処罰の対象となる場合があります。

大切なのは当事者間の関係性ではなく、行為時点における相手の明確な同意の有無であり、構成要件該当性の判断に影響する要素となります。

身に覚えのない場合、どのように対処すればよいですか?

直ちに刑事事件に詳しい弁護士へ早期に相談し、証拠保全を含めた対応を行うことが重要です。

容疑に身に覚えがない場合には、事実関係を踏まえた適切な供述対応を行うことが重要です。

弁護士を通じて、アリバイとなり得る証拠の整理や、供述内容の検討・分析など、証拠評価に基づく防御活動を尽くす必要があります。
不適切な対応は状況を悪化させる可能性があるため、専門家のアドバイスが不可欠です。

まとめ

2023年の刑法改正により新設された不同意性交等罪(刑法第177条)は、従来の規定を見直して整理された性犯罪類型の一つです。

従来の「暴行・脅迫の有無」に加え、「自由な意思に基づく同意の有無」が構成要件該当性の判断に関わる要素とされ、飲酒や上下関係、交際関係などのさまざまな場面で、証拠関係を踏まえた判断が行われる場合があります。

また、法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」とされており、逮捕・起訴に至った場合には、刑事手続や量刑判断を通じて、仕事や社会生活に影響が生じる場合があります。

不安がある場合には、個別事情に応じた対応を検討するため、刑事事件や性犯罪案件に関する専門家への相談が選択肢となることがあります。

ネクスパート法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しています。
初回相談は、30分無料です。
ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

佐藤 塁

佐藤 塁

所属:代表(東京オフィス)

東京都杉並区出身。明治大学付属中野高校、明治大学法学部を経て、明治大学法科大学院を修了。2011年に新司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を修了(65期)。2012年12月に弁護士登録(東京弁護士会)し、都内の法律事務所での勤務を経て、2016年1月に寺垣俊介とともにネクスパート法律事務所を創業。代表弁護士として一般民事から企業法務まで幅広い分野を手がけるとともに、全国に拠点を持つ事務所の経営にあたる。

早くからテクノロジーと法務の融合に取り組み、2021年にはAIを利用した法律文書作成サービスを開発するLegal AI株式会社の代表取締役に就任(現在は退任)。当時はAI技術が発展途上で技術的な壁に直面したが、この挑戦を通じて「法務業務こそAIの力を借りれば飛躍的に変わる」という確信を得る。以来そのビジョンを持ち続け、生成AIが広く普及した現在は事務所の業務全体でAIの活用を進めている。2026年には日本弁護士連合会「弁護士業務改革シンポジウム」にパネリストとして登壇した。ブロックチェーン・Web3分野の法務や海外法人の設立支援にも取り組み、公益法人主催のセミナー等で講師を務める。

公正取引委員会・中小企業庁「適正取引推進講習会」講師、日本弁護士連合会代議員、東京弁護士会常議員を歴任。弁護士業務のかたわら、2014年に東京青年会議所に入会して以来、10年以上にわたりボランティア活動に取り組む。2017年からは国際的な社会奉仕団体であるライオンズクラブに所属し、2022年には東京数寄屋橋ライオンズクラブ第57代会長を務めた。献血の呼びかけ、障がい者スポーツ大会の支援、保護犬活動のほか、弁護士として小中学生への法教育や薬物乱用防止教育にも携わっている。

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