傷害事件の示談を成立させるポイントと示談金相場を解説

ちょっとしたきっかけで喧嘩に発展し殴って怪我をさせ、逮捕された。このようなときにはすぐに弁護士にご相談ください。

 

傷害事件は被害者の被害感情や処罰感情の大きさによって刑事処分の内容が大きく異なる犯罪であり、示談の成立がその後の刑事事件の流れに影響を及ぼします。

 

この記事では傷害事件における示談成立のポイントや示談金の相場について解説します。

 

示談を成立させるべき理由については以下記事でご紹介いたします。

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傷害事件の示談の傾向

令和2年犯罪白書によると傷害事件の検挙率は約85%ですが、刑法犯全体の起訴率は約4割です。傷害事件単独の起訴率は掲載されていませんが、大きく隔たりがあるとは思えません。傷害事件を起こしても、約6割が不起訴で終わります。不起訴処分の1つである起訴猶予処分は事件全体の約4割です。

 

不起訴の理由は以下のものがあります。

  • 嫌疑なし
  • 嫌疑不十分
  • 起訴猶予 など

 

起訴猶予とは、犯罪の嫌疑はあるが訴追を必要としない場合にとられる処分です。訴追について考慮される事情は主に以下のとおりです。

  • 被疑者の性格・年齢及び境遇
  • 犯罪の軽重及び情状
  • 犯罪後の情況 など

被害者と和解し示談が成立すると、犯罪後の情況により不起訴で終わる可能性が高くなります

 

傷害事件で和解を得るために重要なポイント

傷害事件で和解し、示談を成立させるための重要なポイントを解説します。

 

事件後早期に謝罪する

傷害事件の被害者は怪我をし、精神的にもダメージを受けています。事件後なるべく早く心から謝罪をすることで、被害者が謝罪を受け入れてくれる可能性が高くなります。

 

被害者より怪我の程度が軽い場合には、被害届を提出しない

傷害事件の場合には、被害者と加害者双方が、お互いに怪我をさせることもあります。喧嘩中に警察が来た場合、双方あるいは目撃者などから事情を聴き、怪我の程度が軽い方・加害者と判断した方を逮捕したり、怪我の程度の重い方・被害者と判断した方の被害届を受理したりする傾向があります。

 

加害者と判断された人が自分も怪我をしたと被害届を出すと、加害者として反省していないと思われ、示談が難しくなります。

 

示談交渉を弁護士に依頼する

被害者は、自分の連絡先が知られたら今後また何をされるかわからないと、恐怖感を抱いていることがあります。そのため加害者に連絡先を知られることや、加害者から直接連絡が来ることを嫌がります。

 

加害者が示談の申し入れをしてきたとしても、加害者にとって都合の良い提案をしているだけだと思われることもあります。

 

加害者本人からの連絡に対して、被害者側は怪我の具合に比して不当に高い金額を請求してくることもあります。

 

いずれの場合でも適切な内容で示談を成立させるためには弁護士に依頼することが重要です。

 

示談が難しければ同意書の作成をする

事件によっては被害感情や処罰感情が大きく、絶対に示談に応じない被害者もいます。その場合には謝罪をし、治療費や慰謝料等の被害の賠償をすることに同意してもらいます。被害者の同意が得られた範囲内で同意書を作成します。

 

傷害事件の示談が難しくなるケース

傷害事件で示談が難しくなるのはどのようなケースがあるか解説します。

被害者の連絡先がわからない

そもそも被害者の連絡先不明の場合には示談交渉はできません。加害者自身が被害者の連絡先を知らない場合は、加害者から依頼を受けた弁護士が捜査機関を通して被害者の連絡先を教えてもらうという方法が考えられます。

 

捜査機関は被害者に対して、弁護人に連絡先を教えてよいか確認しますが、被害者が「連絡先を教えたくない」といえば、示談交渉はできません。

 

被害の程度が大きいとき

例えば骨折のように、怪我の程度が大きい場合には、被害者の被害感情や処罰感情は簡単には収まらないことが多いでしょう。後遺症が残る可能性がある場合には、今後の生活の不安もあります。このような場合には示談は難しくなります。

 

被害者が多いとき

被害者が多い場合には、被害者全員とそれぞれ示談をすることになりますが、被害者によって傷害の程度も被害者感情も異なります。

 

全ての被害者と示談を成立させるためには、時間も必要で、それなりにお金も必要です。被害者が多数いる場合には示談成立困難です。

 

被害感情が大きく示談を望まないとき

何ら落ち度なく被害に遭った方は、被害感情が大きいことが多々あります。加害者に対する怒りの感情が収まっていない時に示談交渉をもちかけても示談に応じてもらうことは困難です。時間をかけて被害者の感情に寄り添い、加害者側の話し合いに応じてくれるよう交渉しましょう。

 

示談成立までにかかる期間

示談成立までにかかる期間は、事案ごとに異なりますが、最短で1~2日で成立することもあります。

 

傷害事件で怪我を負うと、病院で治療期間の診断がされますが、治療期間により示談金のおおよその相場があるため、スピーディーに成立することが多くあります。

 

他方、後遺症が発生する可能性がある場合には、症状が固定するまで示談ができず、長時間待たなければならなくなることもあります。

 

被害者が強い処罰感情を抱いている場合、怒りの気持ちがやわらぎ、示談交渉に応じてくれるまで時間がかかることがあります。

 

加害者側が提示した示談条件に被害者が納得しない場合にも、示談成立に時間がかかります。被害者の話に耳を傾け、可能な限り被害者の意向を示談書に反映させましょう。

 

傷害事件の示談金について

ここでは傷害事件の示談金の金額が何に基づいて決まるかについて、解説します。

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傷害事件の示談金相場|示談金が変動する条件

傷害事件の場合、示談金の金額に最も影響を与えるのは、被害の程度です。被害の程度によって治療費や精神的苦痛の大きさも変わってきます。

 

傷害事件の示談金は慰謝料と損害賠償で構成されます。慰謝料は、事件によって受けた精神的苦痛に対して支払われ、損害賠償は事件によって受けた実損害に対して支払われます。

 

損害賠償は実際に生じた損害額を支払うため、治療費や休業補償等により金額が決まります。

 

精神的苦痛に対する慰謝料は怪我の程度によりおおよその相場が存在します。参考までに相場的な金額を紹介します。

  • 全治1週間の軽い怪我の場合には10万~30万円
  • 全治2週間~3週間程度の怪我の場合には30万~150万円
  • 全治1か月程の重傷を負った場合には50万円~100万円。100万円を超えることもある。

 

後遺障害が残るようなケースだと、民事裁判になった場合には数千万円~1億円、あるいはそれ以上の損害賠償が認められることもあり、示談で解決する時にも金額が高額になる傾向があります。

 

傷害事件の示談金が高額になるケース

傷害事件の示談金が高額になるのは、例えば以下のようなケースです。

 

被害者の怪我の程度が重い

被害者の怪我の程度が重い場合には、治療費や入院費も高額になり、休業補償も高額になります。被害感情や処罰感情も大きくなるので、示談に合意してもらうためには示談金も高額になります。

 

被害者に後遺症が残った場合

示談成立の時には後遺症が残るか否か未確定でも、後遺障害が残る可能性があると診断されている場合には、「後日再度交渉する」として、一旦合意することがあります。示談成立時の示談金はそれ程高額にならなくても、後日高額な示談金を支払うこともあります。

 

行為の悪質さ

一般的に、事前に準備した凶器を用いて怪我をさせたり、複数人で怪我をさせたりした場合には、悪質とみなされます。相手に与える身体的・精神的苦痛も大きくなるので、示談金は高額になります。

 

被害者の処罰感情が大きい

被害者の処罰感情が大きい場合には、示談に応じてもらうことが困難になるので、示談に応じてもらうためにも高額な示談金を提示することになります。

 

傷害事件の示談書に記入するべきポイント

示談が成立する場合に、示談書に記入すべきポイントについて解説します。

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謝罪条項

加害者が起こした行為について被害者に謝罪する旨を明記します。

 

示談金の支払いに関する条項

示談金の金額、支払い方法、支払い期限等について記載します。

 

誓約条項

被害者に対し今後同様の事件を起こさないための約束等を盛り込みます。

 

清算条項

傷害事件の加害者は、被害者に対して慰謝料及び損害賠償の支払い義務がありますが、これらを示談金という名目で支払い、損害賠償等の支払いが終了したことを示す清算条項を記載します。これを記載することで、今後さらに請求されるのを防ぐことができます。

 

宥恕条項

合意に基づき謝罪を受け入れ、示談金を受領したことにより、加害者の行為を許すという宥恕文言を記載します。この文言により、被害者の処罰感情が消滅したことを捜査機関に示すことができます。

 

秘密保持条項

今回の傷害事件について、一切口外しないこと、LINEやSNS等に書き込まないことを明記します。

 

具体的な示談書の書き方については以下記事をご参照ください。

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傷害事件の示談の流れ

傷害事件の示談の流れについて簡単に解説します。

 

被害者の連絡先を捜査機関から取得

被害者の連絡先不明の場合には、加害者から依頼を受けた弁護士が捜査機関に示談の意向を伝え、被害者の連絡先を教えてもらえるか確認します。

 

被害者が連絡先を教えても良いと回答した場合、捜査機関から被害者が連絡先を入手します。

 

被害者へ謝罪

被害者に謝罪し、示談に応じてもらえるか確認します。

 

示談交渉

被害者が示談に応じてくれれば示談交渉を開始します。

 

示談書作成

示談金の金額、支払い方法、被害届の取下げその他、全ての内容で合意ができたら、示談書を作成します。示談書は同じものを2通作成し、双方が署名押印し、被害者と加害者から依頼を受けた弁護士が各々1通保管します。

 

示談金支払い

示談書に署名押印し、示談書が完成したら、示談内容に従い示談金を振り込みます。加害者が弁護士の口座に振り込み、振り込まれた示談金を被害者の口座に振り込むのが一般的です。

 

示談書等を捜査機関あるいは裁判所に提出

示談書および示談金領収証、取り下げ書等を捜査機関あるいは裁判所に提出します。被害の弁償が行われた事、被害者の処罰感情が無くなった事を証明できます。

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傷害事件の示談を弁護士に依頼した場合のサポート内容

傷害事件の示談を弁護士に依頼した場合にどのようなサポートが得られるか、解説します。

 

被害者の連絡先を取得

示談交渉は、被害者の連絡先がわからないと始まりません。加害者が被害者の連絡先を知らない場合には、加害者に依頼された弁護士は捜査機関に被害者の連絡先を教えてもらえるか確認します。

 

捜査機関は被害者に、加害者の弁護士に連絡先を教えてよいか確認します。弁護士になら伝えても良いとの回答を得られれば、捜査機関は加害者の弁護士に連絡先を教えてくれます。

 

被害者との示談交渉

被害者の連絡先が判明したら、被害者に加害者からの謝罪を伝えます。謝罪を受け入れてくれたら示談交渉に応じてくれるか確認し、示談交渉を開始します。

 

被害者の被害感情が大きい場合には、謝罪を受け入れてもらえない場合もありますが、時間をおいて何度も謝罪することで、最終的には謝罪を受け入れていただけることが多いです。

 

謝罪を受け入れていただけたらその後示談交渉に入ります。

 

示談交渉においては、損害賠償および慰謝料を含めた示談金の交渉をしますが、被害者の請求が相場からかけ離れている場合や、加害者が支払えないような金額を提示された場合にはお互い納得のいく金額で示談できるよう粘り強く交渉します。

 

示談金には今回の傷害事件に関する金銭関係を全て清算する意味があるため、後日民事上の損害賠償請求訴訟を起こされなくなります。

 

また、示談金を受領したら被害届等の取り下げ書を提出してもらえるよう交渉します。被害届等を取り下げてもらえた場合には、早期の身柄釈放や、不起訴処分が期待できます。

 

示談書作成

示談内容の合意ができたら示談書を2通作成します。被害者・加害者双方が署名押印し、それぞれ1通ずつ保管します。示談書には被害者の情報が記載されているため示談書は、加害者本人やその家族等に見せることは絶対にありません。必ず弁護士が保管します。

 

早期釈放を目指す

示談書に被害届の取り下げや、宥恕文言を記載することができれば、被害者の被害感情や処罰感情が無くなったとみなされるため、早期に身柄を解放してもらえる可能性が高くなります。

 

前科を回避する

起訴される前に示談が成立すれば、不起訴で終わる可能性が高くなります。不起訴で終われば、前科は付きません。

 

刑事処分を軽くする

起訴後に示談が成立した場合でも、被害者の処罰感情が無くなったことを示せるため、執行猶予付き判決が下される可能性や減刑される可能性が高くなります。

 

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傷害事件示談の成功事例

被害感情の強い事案において、不起訴処分を獲得

クラブでその日知り合った被害者男性と、ナンパがうまくいなかったことから喧嘩になりました。ご依頼者様は、被害者男性から挑発されたこともあってカッとなり、被害者男性の顔面に手拳で3発殴打するなどの暴行を加えてしまいました。

被害者男性の被害感情が強く、示談交渉の長期化や高額な示談金が必要になる可能性がありました。しかし、被害者男性への誠実な謝罪・対応をしたことで、ご依頼からわずか6日で示談が成立し、不起訴処分を獲得できました。

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まとめ

傷害事件を起こした場合には、示談の成立がその後の刑事手続きの流れに大きな影響を及ぼします。

 

傷害事件の被害者は身体的にも精神的にも大きなダメージを負います。加害者本人からの連絡を拒む被害者も多いため、加害者本人が示談交渉を行うことは困難です。

 

傷害事件を起こしてしまった場合には早期に弁護士に相談し示談交渉を依頼することをお勧めします。

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