略式起訴とは|手続きの流れや罰金の相場・前科等について解説

略式起訴(りゃくしききそ)といっても、普通の起訴とどう違うのか分からない方も多いと思います。

この記事では略式起訴について、手続きの内容や流れ、罰金の相場等について解説します。

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略式起訴とは

略式起訴(りゃくしききそ)とは、検察官が簡易裁判所に対し、以下の条件のもとで正式裁判ではなく検察官が提出した書面の審理のみで罰金もしくは科料の刑罰の言い渡しを求める手続きです。

  • 100万円以下の罰金または科料に相当する事件である
  • 略式起訴を行うことに被疑者の異議がない

以下、解説します。

 

略式起訴の流れ

警察官や検察官が捜査をし、十分な証拠収集が行われると、検察官は被疑者を起訴か不起訴にするか決めます。その際の選択肢の1つに、略式起訴があります。

 

逮捕・勾留された事件で略式起訴される場合には、勾留満期日(勾留の最終日)に検察庁に連れていかれ、そこで裁判所から略式命令が出るのを待ちます。

 

裁判所から略式命令が出たら、略式命令に記載されている金額を検察庁に納付して釈放されます。この金額は、事前に検察官から弁護人を通じて家族に伝えられることもあり、その場合には家族が準備して待っていることもあります。

 

在宅事件で略式起訴された場合には、検察庁が指定する口座に振り込むように指示されることがあります。

 

逮捕・勾留されている事件で罰金の納付命令を受けた場合には、その場で納付しなければなりません。納付するとその場で釈放されますが、資力の事情で罰金の納付が出来ない場合には、労役場留置がされます。

 

刑務所内の労役場に留置され、所定の軽作業を行い、罰金分の労役をします。一日の軽作業の労役は罰金5000円と換算されることが多いです。

 

罰金を払う資力があるにもかかわらず、任意で罰金の支払いに応じない人に対しては、財産に対する強制執行、つまり差し押えが行われます。

 

略式起訴の目的

略式起訴の目的は、あまり悪質ではない軽微な事件を、簡易な手続きによって迅速に処理することです。

 

正式裁判が行われると、起訴から判決が出るまで、早くても数カ月程度かかります。全ての事件を正式裁判で行うことは効率的ではなく、裁判に関わる人や費用の負担も大きくなります。略式起訴にすることで、裁判所の負担を軽減できます。

 

罰金などの比較的軽い刑罰で済むような軽微な事件は、簡易な手続きで迅速に終わらせる方が被疑者(被告人)や裁判所にとっても負担が軽くすみます。

 

略式起訴になる犯罪

略式起訴になる犯罪は、大前提として法定刑に罰金という刑罰があります。

 

たとえば、窃盗罪、暴行罪、迷惑防止条例違反(痴漢、盗撮)などが該当します。他方、詐欺罪や強盗罪、殺人罪などの犯罪は、罰金刑が予定されていないため、略式起訴の対象とはなりえません。

 

検察官が略式起訴にできる犯罪は、簡易裁判所管轄に該当する軽微な事件であること、100万円以下の罰金または科料に相当する事件であることです。

 

それ以外の犯罪は、略式起訴にすることはできず、正式起訴あるいは不起訴になります。

 

略式起訴の対象となることが多い犯罪は主に以下のものです。

  • 道路交通法違反
  • 比較的被害の軽い傷害罪
  • 軽微な迷惑防止条例違反
  • 公然わいせつ罪 など

 

略式起訴になる場合とは

略式起訴にするためには、被疑者の異議がないことが必要です。略式起訴は罰金刑という有罪判決がでるため、犯罪行為そのものを否定している場合には略式起訴にはできません。

 

略式起訴になる割合は、全体の事件の約2割です。

 

窃盗や暴行罪などは、事件の内容によっては起訴される可能性が高い犯罪ですが、被害者との示談が成立した場合などでは、略式起訴で事件が終了することもあります。

 

略式起訴と不起訴の違い

検察官は、警察から事件が送致された場合、公訴を提起するか、略式起訴にするか、不起訴処分にするかを決定しなければなりません。

 

被疑者の同意によって略式起訴されると、裁判をせずに罰金刑が言い渡されて手続きが終了します。

 

略式起訴は、有罪を前提とする裁判なので、略式起訴されると前科が付きます。不起訴は刑事裁判になる前に刑事手続きから解放され、前科が付きません

 

略式起訴と不起訴には、前科が付くか付かないかという違いがあります。

 

略式起訴のメリット・デメリット

略式起訴にはメリットとデメリットがあります。それぞれ解説します。

 

略式起訴のメリット

通常の起訴と比べた場合の略式起訴のメリットは次の3つです。

  • 被告人の負担が軽い
  • 裁判が公開されない
  • 手続きが早く終わる

以下解説します。

 

被告人の負担が軽い

略式起訴の場合には、正式起訴とは違い、法廷は開かれません。検察官が準備した書面を裁判官が審理するだけで終了します。

被告人は裁判所に出廷する必要が無く、被告人質問への対応や最終陳述をする必要が無いので、負担が軽くなります。

 

裁判が公開されない

正式起訴の場合には、公開の法廷で審理が行われます。公開の法廷は誰でも傍聴することが出来るため、裁判の内容が漏れるリスクがあります。

略式起訴の場合には、裁判官が書面を審理するだけで終わるため、法廷が開かれず、審理の内容が漏れるリスクはありません。

 

手続きが早く終わる

正式起訴の場合には、起訴から判決まで数カ月かかることが多く、事案によっては1年以上かかることもあります。略式起訴の場合には、在宅の場合であっても、検察官が略式起訴してから略式命令が届くまで、およそ2週間~1カ月しかかかりません。

逮捕・勾留により身柄を拘束されている場合には、略式起訴になれば、身柄拘束から早く解放されます。

 

略式起訴のデメリット

通常の起訴と比べた場合の略式起訴のデメリットは次の3つです。

  • 前科が付く
  • 刑事責任が所在をあいまいになる
  • 冤罪の危険がある

以下、解説します

 

前科が付く

略式起訴は、有罪であることが前提です。つまり、略式起訴に同意すると、前科がつきます。

 

刑事責任が所在をあいまいになる

略式起訴の場合には、公開の法廷が開かれることが無く、書面審理だけで罰金刑が科され終了します。

 

公職選挙法違反などで略式起訴された事件の場合には、一般の国民にとっては事案の真相が不明のまま終了するため、刑事責任の所在があいまいなまま終了します。

 

冤罪の危険がある

自分が無実であると主張している場合には、捜査機関の取り調べも過酷なものになりがちです。

過酷な取り調べから早く解放してもらいたいがために、やってもいない罪を認めて略式起訴に同意してしまうという、冤罪の危険があります。

 

無実であるならば略式起訴に同意することなく、正式裁判で無実の主張をするべきです。

 

補足|略式起訴は拒否した方がいいのか?

被疑者が略式起訴に書面で同意しない場合には、検察官は略式起訴を請求できません。

 

被疑者は、略式起訴への同意を強制されることはなく、自分の意思で拒否できます。

 

被疑者が略式起訴に同意しなかった場合には、検察官は正式起訴をします。正式起訴により正式裁判が開かれ、判決が下されますが、略式起訴の場合と同じ判決内容になることが予測されます。

 

被疑者が罪を認めている場合には、正式裁判にするメリットはほぼ無いので、略式起訴に同意した方がよいでしょう。

 

被疑者が罪を認めていない場合には、略式起訴は拒否し、正式裁判で自分の言い分を主張し、裁判官に判断してもらうべきです。

 

略式起訴の手続きの流れ

ここでは、略式起訴手続の流れを説明します。

<流れ>

 

事件を担当する検察官が略式起訴手続き相当であると判断した場合には、検察官は被疑者に対して略式起訴の手続きについて説明します。

 

被疑者が略式起訴に同意すると、同意したことを証明するため同意書に署名・捺印をします。

 

担当の検察官は略式起訴をしてよいか、上司の決裁を仰ぎます。決裁が下りると、検察官は簡易裁判所に略式起訴の請求をします。

 

略式起訴を認めるかどうかは、裁判所が判断します。略式起訴の手続きで科すことのできる刑罰は、100万円以下の罰金または科料に限られます。それ以上の刑罰が相当であると判断した場合には、略式起訴不相当と判断し、正式な裁判を開くことを決めます。

 

略式命令が相当であると裁判所が判断した場合には、略式命令が下されます。

 

略式命令には、罰金額と納付期限が記載されています。

 

逮捕・勾留された事件であれば、検察庁内で略式罰金命令を受けるので、その場で納付しなければならず、納付すればその場で釈放されます。

 

略式起訴における罰金

略式起訴における罰金刑の下限は1万円ですが、罰金刑の金額は各犯罪行為によって、あるいは被疑者(被告人)の状況などによっても違います。

ここでは、略式起訴における罰金について解説します。

 

罰金の相場

具体的な金額は事件により様々ですが、相場は10~60万円程度が多いです。

 

例えば、以下のようになることが多いです。

  • スピード違反は10万円程度
  • 無免許運転は25万円程度
  • 酒気帯び運転は35万円程度
  • 万引きは30万円程度
  • 暴行は20万円程度
  • 傷害は30万円程度
  • 迷惑防止条例違反(痴漢。盗撮)は30万円程度
  • 児童ポルノ法違反(児童買春)は50万円程度

被害者が多い場合や、前科がある場合、被害者に賠償出来ていない場合などには金額が大きくなります。

 

罰金が支払えないとどうなる?

罰金が払えなければ最終的には労役場に収容(労役場留置)されます。労役場では紙袋作りなどの軽作業をすることを義務付けられ、罰金額に満つるまでの期間、刑務作業を行います。

 

労役場での軽作業は1日5000円相当と換算されます。罰金額を5000円で割った日数分、労役場で作業しますが、土日は含まれないので、実際には日数分以上留置されます。

 

ただし、労役場留置が認められるのは最大でも2年間です。罰金額が多い場合には、日当を高くするか、罰金額に満たない場合でも2年経過すると釈放されます。

 

罰金が支払えない場合の対処法

罰金刑で済んだにもかかわらず罰金を支払えない場合には、結局は身体拘束を受け、一定期間帰宅できなくなります。

 

せっかく罰金刑で済んだにもかかわらず身体拘束されてしまっては、略式起訴に同意した意味がありません。

 

罰金を一括で支払えない場合には、親族や知人からお金を借りることも検討しましょう。仕事をしている方の場合には、一旦借金をして、分割弁済をすることも検討するとよいかもしれません。

 

公務員が略式起訴されるとどうなるか|公務員資格の喪失

公務員は、国家や自治体のもとで公共の利益のために働いています。公共の利益のために働くべき公務員が略式起訴された場合には、公務員資格を喪失するのでしょうか?

ここでは、公務員が略式起訴されるとどうなるのかについて解説します。

 

罰金刑の場合

公務員が起訴されると、起訴休職という処分が下される可能性があります。起訴休職とは、起訴された公務員に仕事をさせずに休ませる制度で、休職期間は起訴後判決確定日までです。

 

公務員が略式起訴で罰金刑を受けた場合には、起訴されないため、起訴休職処分は行われません。

 

しかし、略式起訴であっても有罪となり、前科がつくので、注意が必要です。

 

禁錮刑以上の場合

国家公務員法でも地方公務員法でも、禁錮刑以上の刑に処せられたものは欠格事由とされているため、公務員が禁錮刑や懲役刑を下されると、当然に職を失います。

 

公務員の職につくには一定の資格を満たさなければなりません。在職中でも要件を満たさなくなると資格を失うため、当然に失職します。

 

罰金刑や禁錮刑以外でクビになることはある?

公務員の場合、資格喪失によって失職しなくても懲戒処分によって免職される可能性があります。

 

懲戒処分とは、非行のある公務員に罰を与える制度です。非行の内容や程度により、4つの処分から選択されます。

  • 戒告
  • 減給
  • 停職
  • 免職

略式起訴になった場合でも、懲戒処分で免職にされると、職を失います。

 

公務員が懲戒免職処分になりやすいのは以下のような犯罪です。

  • 公文書偽造、変造、虚偽公文書作成
  • 談合への関与
  • 強制わいせつ罪
  • 公金横領
  • 詐欺、窃盗、恐喝
  • 放火、殺人、強盗などの重大犯罪
  • 淫行
  • 薬物犯罪
  • 飲酒運転
  • 飲酒運転での人身事故 など

 

略式起訴で弁護士に相談するメリット

ここでは、略式起訴で弁護士に相談するメリットについて解説します。

 

略式起訴に不服がある場合の対応を任せられる

略式命令に不服がある場合には、略式起訴で罰金刑を言い渡された後に不服申し立てができます。

 

刑事訴訟法第465条 略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる。

引用:e-Gov法令検索

 

不服申し立てをするためには、略式命令の通知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をします。

 

期間内に正式裁判の請求をした場合には、略式命令は効力を失います。請求をしなかった場合には、略式命令の内容が確定します。

 

請求により正式な裁判が開かれ、判決が言い渡されると略式命令はその効力を失います。

 

刑事訴訟法第469条 正式裁判の請求により判決をしたときは、略式命令は、その効力を失う。

引用:e-Gov法令検索

 

略式起訴は、書類審査のみで行われる簡易な手続きです。そのため、検察官の主張に対し反論をしたり、自分の意見を述べたりすることはできません。

 

自分の意見を裁判官に聞いてもらいたい場合には、14日間の間に正式裁判を請求し、正式な刑事裁判手続きを受けることになります。

 

容疑を認めている場合には正式裁判に移行しても、同じ判決がくだされる場合が多いです。

 

正式裁判を申し立てる

正式裁判を申し立てるのは、最初から容疑を否認しているにも関わらず自分の意に反して自白調書を取られてしまい、略式起訴された場合や、正式裁判で無罪を勝ち取りたい場合などになります。

 

無実の場合には正式裁判で自分が無実であることを主張すべきです。無罪を主張して戦うためには、法律の専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。

 

前科がつくのを防ぎやすい

略式起訴されてしまうと前科がつきます。略式起訴される前に不起訴処分を獲得できれば前科はつきません。

 

略式起訴になると簡易な手続きで早く終わりますが、犯罪が軽微である場合や、被疑者が真摯に反省している場合などでは、不起訴処分の獲得を目指す方法があります。

 

被害者の居る犯罪で逮捕・勾留された場合には、被害者の方と示談することで、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。

同意書に署名捺印し、略式起訴されてしまう前に、なるべく早く弁護士に依頼してアドバイスを受けることをお勧めします。

 

被害者との示談交渉をすすめられる

窃盗罪や暴行罪など、被害者が居る犯罪の場合、弁護士による弁護活動で被害者の方との示談が成立した場合には正式起訴にならずに略式起訴で事件が終了する可能性が高くなります。

被害者の方との示談交渉は、弁護士にしかできません。略式起訴で正式裁判を回避したい場合には、弁護士に相談することをお勧めします。

 

まとめ

略式起訴にはメリット・デメリットがあります。不起訴処分を獲得するのか、略式起訴に同意してなるべく早く身柄解放されることを目指すのか、あるいは無実を主張して正式起訴を受けて裁判所の判断を仰ぐのか、自分の置かれた状況を正確に判断し決めるのは非常に難しいと思います。

 

なるべく早い段階から弁護士に相談することで、自分にとって一番良い方法を選択することができます。

 

警察による取り調べを受けた、今後どうなるか知りたい、なるべく軽い処分で済ませたいなど、ご不安がある方は取り調べのなるべく早い段階から弁護士に相談することをお勧めします。

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