夫の浮気が発覚しただけでなく、さらに浮気相手が妊娠までしていた場合、気が動転し、この先どうしたらよいか不安で押しつぶされそうですよね。
離婚はしたくないけれど、離婚をしないことで自分にどんな問題が降りかかるのか、気が気じゃないことと思います。
浮気相手の妊娠は、妻であるあなたにもどうしても影響が及びます。
まずは落ち着いて、次の2つについて知っておきましょう。
- 浮気相手が妊娠したけれど離婚しない場合に生じ得る問題点
- 浮気相手の妊娠が発覚した際に妻が取るべき行動
ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。
目次
夫の浮気相手が妊娠し子どもを出産する場合は離婚しないとダメ?
夫の浮気相手が妊娠し子どもを出産する場合でも、必ず離婚を受け入れなければならないわけではありません。
「浮気相手が子どもを産むことに決めたから、離婚して欲しい。」
「子どもが生まれた時に父親がいないのは可哀そう。」
子どもを理由に離婚を迫られると、離婚を拒否している自分が悪いのでは?と考えてしまいがちです。
ですが、あなたが離婚したくないのであれば、無理に離婚を受け入れる必要はありません。
離婚は、基本的に夫婦の話し合いにより決めますが(協議離婚)、夫婦の一方が離婚に合意しない場合には、裁判で離婚を認めるかを決めます(裁判離婚)。
この場合、夫側からの訴訟提起が考えられますが、不貞をした有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。これは不貞により浮気相手が妊娠・出産した場合でも同様です。
浮気相手の妊娠・出産を理由に、有責配偶者からの離婚請求が認められやすくなることはありません。
したがって、浮気相手が妊娠し子どもを出産する場合でも、無理に離婚を受け入れる必要はないでしょう。
浮気相手の妊娠が発覚!離婚しない場合に生じ得る5つの問題点
浮気相手が妊娠した場合でも、無理に離婚を受け入れる必要はありません。
しかし、離婚しない場合には、浮気相手が出産するにしても、中絶するにしても、次のような問題が生じる可能性があります。
- 浮気相手が中絶する場合は夫にも費用を分担する義務がある
- 状況によっては夫が慰謝料を支払う事態になることもある
- 浮気相手が夫に出産費用の折半を求める可能性もある
- 夫が浮気相手の子どもを認知すると戸籍に載る
- 認知により養育費・相続等の権利義務も発生する
以下、詳しく見ていきましょう。
浮気相手が中絶する場合は夫にも費用を分担する義務がある
浮気相手が中絶する場合は、夫にも費用を分担する義務があります。
基本的に、男性側には中絶手術費用の半分を負担する義務があると考えられています。
中絶手術による身体的・経済的負担は、不倫をした2人が共同で行った性行為に由来するものであるため、その行為の結果として生じたものとして、それらの不利益を、不倫をした2人が等しく分担すべきとするのが裁判所の考え方だからです(東京高判平成21年10月15日)。
しかし、中絶をする女性の身体的・精神的負担は大きいため、男性側が全額負担することで、浮気相手の女性の心理的安定が図られ、今後のトラブルを最小限に抑えられる場合もあるでしょう。
なお、中絶手術費用はおおむね次のとおりです。
妊娠期間 | 中絶手術費用 |
妊娠11週6日まで(初期中絶) | 10~20万円程度 |
妊娠12週~21週6日まで(中期中絶) | 30~50万円程度 |
中絶に伴い、仕事を休む場合には、その分の休業損害も負担する場合があります。
したがって、中絶を選択する場合には、夫にも費用を負担する義務が生じるでしょう。
状況によっては夫が慰謝料を支払う事態になることもある
状況によっては、夫が慰謝料を支払う事態になることもあります。
基本的に、単に妊娠・中絶を理由とした慰謝料請求は認められません。
慰謝料の請求根拠となる不法行為の成立には、何らかの権利・利益の侵害が必要です。
双方が合意のうえで肉体関係を持ち、中絶が同意に基づくものである以上、権利侵害があったとはいえません。
ただし、妊娠発覚から中絶までの夫の対応・行動によっては、慰謝料の支払い義務が生じることがあります。
- 妊娠発覚後、中絶の話し合いを避ける、無視する等の不誠実な対応を取った
- 暴力や脅迫により中絶を強要した等
お腹の子どもの父親である以上、父親には、妊娠・中絶に伴う精神的・身体的・経済的負担に配慮する義務があります。
妊娠発覚後、連絡を絶ったり、ろくな話し合いをしなかったり等の不誠実な対応は、不法行為にあたり、慰謝料請求される可能性があるでしょう。
暴力や脅迫により中絶を強要した場合には、暴力や脅迫行為自体が不法行為にあたり慰謝料請求される可能性があるだけでなく、強要罪に該当し、刑事責任を問われる可能性もあるでしょう。
浮気相手が夫に出産費用の折半を求める可能性もある
浮気相手が夫に出産費用の折半を求める可能性もあります。
中絶手術費用と同様に、出産費用の半分は夫が負担すべきでしょう。
出産費用の相場は、正常分娩で50万円前後です。助成金制度を利用した場合には、これよりも低い金額になるでしょう。
したがって、出産する場合には、出産費用の負担が生じるでしょう。
夫が浮気相手の子どもを認知すると戸籍に載る
夫が浮気相手の子どもを認知すると戸籍に載ります。
子の戸籍に父親の名前が記載されるだけでなく、父親の戸籍にも子の名前が記載されます。
具体的には、夫の戸籍の身分事項の欄に、次の事項が記載されます。
- 認知日
- 認知した子の氏名
- 認知した子の戸籍(本籍地+筆頭者(浮気相手)の氏名)
したがって、夫婦間にも子どもがいる場合に、その子どもが将来戸籍を取ることで、父親に認知した子がいることを知られる可能性が高いでしょう。
認知により養育費・相続等の権利義務も発生する
認知により養育費・相続等の権利義務も発生します。
- 子や子を監護する母は父(あなたの夫)に対して養育費を請求できる
- 父(あなたの夫)が死亡した場合、認知した子は第一順位の相続人となる
認知によって父と子の親子関係が生じ、その結果、親権・監護、扶養、相続等の権利義務関係が発生します。
養育費
認知した場合は、養育費の支払い義務が生じます。
厚生労働省[令和3年度ひとり親世帯等調査]によると、母子家庭の養育費の平均は50,485円です。
子どもの数別の養育費月額は、以下のとおりです。
※画像引用元: 厚生労働省
養育費の定め方は法律で決められているわけではないため、当事者で自由に決められます。父母の年収や子の数、生活水準などに応じて、金額を決めるのが一般的です。
実務では、家庭裁判所が養育費を算定している際に活用している養育費算定表を使って算出することが多いです。
養育費の計算方法について、詳しくは、弊所離婚サイトのコラム「養育費の相場は月いくら?養育費の計算方法や平均受給金額」をご参照ください。
相続
認知した場合は、その子どもは非嫡出子となり、父親の法定相続人に該当します。
父親が死亡した場合には、その子どもにも財産を相続する権利が発生します。
以前は、非嫡出子と嫡出子とで法定相続分に差がありましたが、現在の法律では、その差がなくなりました。
父親の遺産が1000万円のケースについて、認知した子がいる場合といない場合とでは、法定相続分について以下のような差が生じます。
家族構成 | 認知した子なし | 認知した子Aあり |
妻のみ | 妻:1000万円 | 妻:500万円
認知した子A:500万円 |
妻と夫婦間の子① | 妻:500万円
夫婦間の子①:500万円 |
妻:500万円
夫婦間の子①:250万円 認知した子A:250万円 |
したがって、認知した子がいる場合は、各人の法定相続分が少なくなるだけでなく、遺産分割協議の際に初めて顔を合わせることになる等、相続を巡ってトラブルが生じる可能性があるでしょう。
浮気相手が妊娠した子どもの認知を避ける方法はないの?
浮気相手が妊娠した子どもの認知を避けるのは難しいでしょう。
認知を拒否した場合でも、浮気相手の女性やその子どもは、裁判によって認知を求められます(強制認知)。
認知の訴えは、まず裁判所に調停の申立てを行い、話し合いによる解決を図ります。
話し合いがまとまらない場合には、裁判に移行します。
裁判では、DNA鑑定が行われ、それにより父子関係が明らかになった場合には、強制的に認知がされます。
したがって、浮気相手が認知を希望する限り、認知を避けるのは難しいでしょう。
妊娠した浮気相手に対して慰謝料請求はできる?
妊娠した浮気相手に対して慰謝料請求ができます。
夫と浮気相手との間に不貞行為があった以上、不貞慰謝料の請求が可能です。
浮気相手が妊娠した事実は、悪質性が高く、被害者の精神的苦痛も大きいと評価される傾向にあるため、慰謝料が高額になる可能性があるでしょう。
浮気相手の妊娠が発覚した際に妻が取るべき5つの行動
浮気相手の妊娠を知ったら、何からすべきか焦ることと思います。
まずは落ち着いて、次に書かれている5つのことを、ひとつずつ行いましょう。
- 夫の子どもであるかの確認をする
- 子どもを産むのかどうかの確認をする
- 夫とのコミュニケーションをきちんと取る
- 不貞の証拠を確保する
- 早めに弁護士に相談する
以下、詳しく見ていきましょう。
夫の子どもであるかの確認をする
夫の子どもであるかの確認をしましょう。
そもそも、①本当に妊娠しているのか、そして②その子の父親が夫なのかの2点についてきちんと確認しましょう。
①本当に妊娠しているのかについては、夫が浮気相手と一緒に病院に行き、夫の目で直接確認してもらうのがよいでしょう。
②その子の父親が夫なのかについて、疑いの余地があるようなケースでは、出生前DNA鑑定を行うのがよいでしょう。母体の血液を採取する方法による出生前DNA鑑定は、妊娠6~7週目から検査が可能です。
まずは、事実関係を明らかにし、今後の対応を検討していく必要があります。
子どもを産むのかどうかの確認をする
子どもを産むのかどうかの確認をしましょう。
子どもを産むのか、中絶するのかによって、今後の対応が変わります。
あくまで、産むかどうかは妊娠している浮気相手の意思が尊重されますが、その選択は、あなたにも影響を与えますから、うやむやにならないよう、きちんと夫に確認を取りましょう。
離婚しない意思が固い場合には、その旨はきちんと伝えておきましょう。
夫とのコミュニケーションをきちんと取る
夫とのコミュニケーションをきちんと取りましょう。
夫の浮気、さらに浮気相手の妊娠と、夫への怒りでいっぱいな人も多いかと思います。
しかし、浮気相手の妊娠が発覚した今、夫とのコミュニケーションが重要です。
夫との話し合いを避けていると、夫が浮気相手との話し合いをろくにしていないことに気づけないこともあります。浮気相手からの連絡を無視するなど、夫の対応によっては、浮気相手から夫に対して慰謝料請求される可能性もあります。
したがって、夫とのコミュニケーションは常に取るように心がけましょう。
不貞の証拠を確保する
不貞の証拠を確保しましょう。
浮気相手の妊娠で頭がいっぱいかもしれませんが、今後の慰謝料請求に備えて、証拠の確保を進めましょう。
浮気相手が妊娠している事実から、肉体関係があったことを証明できる可能性は高いでしょう。
しかし、慰謝料請求の場面になって、「既婚者とは知らなかった。」「肉体関係は1回だけだった。」と主張される可能性もあります。
浮気相手が既婚者であることを過失なく知らなかった場合には、慰謝料が認められない可能性がありますから、LINEのやり取り等から既婚者と知っていた証拠を確保しましょう。
不貞期間が短い・不貞回数が少ない場合、慰謝料額が少額になる可能性もあります。
交際期間等がわかるような証拠も集めておきましょう。
浮気の証拠について、詳しくは「浮気の証拠になるもの13選と自力で証拠を集めるポイント・注意点」の記事をご参照ください。
早めに弁護士に相談する
早めに弁護士に相談しましょう。
夫の浮気だけでなく、浮気相手の妊娠ともなると、考えるべきことが多く、何から行動すればよいのか迷いますよね。慰謝料請求のタイミングによっては、浮気相手が出産・中絶の決断を変えてくるのではないかと不安に思うかもしれません。
浮気相手が妊娠している場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
どのタイミングで慰謝料請求するのがベストか、弁護士と話し合いながら決めていけるでしょう。
浮気相手が出産・中絶を交渉材料に、慰謝料の支払いを渋る場合でも、弁護士に依頼することで、その交渉を全て任せられます。
夫から離婚請求の調停やその後裁判を起こされた場合には、その対応も合わせて依頼できるでしょう。
浮気相手が妊娠している場合、様々なトラブルが生じやすく、ご自身で対応するには精神的な負担を伴います。
したがって、浮気相手が妊娠している場合には、早めに弁護士相談しましょう。
浮気相手の妊娠が発覚!離婚しない場合によくあるQ&A4選
浮気相手が妊娠し、離婚しない場合のよくある質問について解説します。
中絶を法的に強制する方法はないのか?
中絶を法的に強制する方法はありません。
あくまで、産むかどうかは妊娠している浮気相手の意思が優先されるべきです。
産んで欲しくないと思うあなたの気持ちもよくわかりますが、過度に中絶を要求するような発言は避けましょう。
夫が妻とは離婚すると言っていた場合は慰謝料請求できないのか?
夫が妻とは離婚すると言っていた場合でも慰謝料請求はできます。
浮気相手が、あなたの夫から「妻とは離婚する予定だ。」と聞かされていたとしても、その説明は夫の一方的な言い分に過ぎず、それだけで婚姻関係が破綻状態に至っていたと認められることはないでしょう。
したがって、夫が妻とは離婚すると言っていた場合でも慰謝料請求はできるでしょう。
別居中に妊娠が発覚した場合は慰謝料請求できないのか?
別居中に妊娠が発覚した場合は慰謝料請求が難しい場合があります。
長期間に渡って別居を継続していた場合や離婚調停中の別居の場合には、既に婚姻関係が破綻していたと判断され、慰謝料請求が認められない場合があるでしょう。
ただし、単身赴任等の理由のある別居や、短期間の別居等の場合には、慰謝料請求できる可能性が高いです。
別居中の慰謝料請求については、一度弁護士に相談することをおすすめします。
夫と浮気相手を二度と会わせないためにはどうしたらよい?
二度と会わない旨を記載した示談書を作成することをおすすめします。
口約束のみだと、約束が守られる可能性は低いです。
したがって、示談書を作成し、①二度と会わない旨と②接触した場合のペナルティを定めておきましょう。
ただし、浮気相手が子どもを産む場合には、子どもの面会交流等で浮気相手との接触が生じる機会もあるでしょう。
子どもの面会交流等を理由とした浮気相手との接触は、制限できません。
面会交流は、子どもの権利でもあり、接触の正当な理由に該当します。
したがって、浮気相手が子どもを産む場合には、「正当な理由を除き」の文言を付ける必要はあるでしょう。
まとめ
夫の浮気相手が妊娠したとわかったら、不安で仕方ないことと思います。
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