本記事では不倫により請求された慰謝料を拒否・減額できるケースについて解説していきます。請求された慰謝料は減額できないのか、そもそも支払う必要性はあるのかとお悩みの方はぜひご覧ください。
不倫慰謝料の支払い拒否できるケースとは
不倫で慰謝料の請求を受けても必ずしも慰謝料を支払う必要があるとは限りません。慌てずに対処し、慰謝料が正当なものなのか、そもそも支払う必要があるのか確認しましょう。次のようなケースでは、慰謝料を拒否できる可能性があります。
不倫の証拠がない
不倫で慰謝料を請求されても、それを証明する証拠がないと請求する側は追及できません。裁判で慰謝料請求を行う場合も、当然裁判官より証拠の有無を問われます。不倫の現場写真や動画、自白した文書や音声データなどの証拠がない場合は信憑性が乏しくなり、慰謝料を拒否できる可能性が高くなります。
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不貞行為が無かった
基本的に不貞行為は「肉体関係があったかどうか」が重要なポイントとなります。肉体関係がない場合は、そもそも不貞行為ではありませんので、慰謝料を支払う必要性もなくなります。
しかしながら節度を越えたスキンシップが原因で、夫婦関係を破綻させた場合は慰謝料の請求が認められる可能性もあります。
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時効が成立している
慰謝料請求には時効があります。時効の成立パターンとしては、「不貞行為の事実を知ってから3年」「不倫から20年が経過している」の2パターンとなります。時効が成立しているのであれば、慰謝料も支払う必要がなくなります。
夫婦関係がすでに破綻していた
不倫開始時に「夫婦関係がすでに破綻していた」場合も、慰謝料を拒否できる可能性があります。不倫の慰謝料は、夫婦関係を侵害することによって発生するものですので、すでに夫婦関係が破綻していたのであれば、不法行為とはならない可能性があります。
既婚者だと知らなかった
不倫の慰謝料請求の根拠は民法709条の「不法行為による損害賠償」が請求根拠のひとつとなります。
(不法行為による損害賠償)第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。引用元:民法 | e-Gov法令検索
条文には「故意又は過失」という記載があります。この「故意又は過失」を不倫のケースで簡単に説明すると、「既婚者だと知っていながら不貞行為に及んだ場合に慰謝料が発生する」ということになります。
相手が結婚していることを隠し、既婚者だとは知らなかった場合は、不法行為にはならず慰謝料も拒否できる可能性があります。
不倫の慰謝料が減額となりやすいケース
不倫で慰謝料の請求を受けた場合、その請求に全て従わないといけない訳ではありません。以下のようなケースでは、慰謝料を減額できる可能性があります。
相場よりも高額な慰謝料を請求される
不倫の慰謝料相場は「50万~300万円程度」となります。相場以上に高額な請求を受けた場合は、よっぽどの特殊な事情が無い限りは慰謝料を減額できる可能性は高くなります。しかし、当然相場以上の慰謝料が認められるケースもありますので、まずは請求されている慰謝料が妥当な金額なのか確認しましょう。
婚姻期間が短い
婚姻期間の長さも慰謝料の金額を決める際のひとつの要素になります。婚姻期間が長ければ慰謝料は高くなり、短ければ低くなる傾向があります。婚姻期間が短ければ責任の度合いも小さくなり、慰謝料の減額に繋げられる可能性があります。
相互に非がある
「双方が不倫をしていた(ダブル不倫)」「不倫を行った背景には、夫婦間の性生活を長期間拒否していた。」などのようなことがあると、相互扶助を怠っていたとみなされ不倫の慰謝料が減額されることがあります。
不貞行為の回数が少なかった
継続した慢性的な不倫・浮気ではなく、衝動的に行ってしまった1度だけの不貞行為の場合は慰謝料の減額理由になります。また、どちらが積極的に誘ったのか、という点も考慮され、不倫に対して消極的であった場合も慰謝料を減額できることがあります。
支払い応力が乏しい
実際に支払う能力がなければ、相手に高額な慰謝料を求めることは難しくなります。支払いの意思があっても、収入や資産が全くない場合は慰謝料を減額できる可能性があります。
不倫慰謝料の減額及び拒否する際の流れ
では実際に慰謝料を減額する際の流れを順に追って確認していきます。
慰謝料の妥当性を確認する
上述のように、場合によってはそもそも慰謝料を支払う必要がないケースもあります。まずは自分の行為が本当に不貞行為にあたるのかを確認してみましょう。また、請求されている慰謝料が妥当な金額なのか、明らかに高額な請求をされていないかも確認しましょう。
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慰謝料の減額・拒否の交渉
請求されている慰謝料を減額・拒否したい場合は、相手と交渉していく必要があります。上述の減額理由などと照らし合わせて交渉の材料としましょう。また、交渉する際は相手が感情的にならないように注意する必要があります。
示談書の作成
交渉が終わり、慰謝料についてまとまったら示談書を作成します。口頭で終わらせてしまうと、後ほど「言った言わない論」になりかねませんので、しっかりと書面に残しておくことが重要です。
交渉が進捗しない場合は裁判に発展する
示談で解決しない場合は、最終的に裁判の判決によって慰謝料の有無・金額が決まります。裁判になると貴方は被告として訴えられます。裁判で慰謝料の減額を求める際は、明確な根拠をもとに主張をしていく必要があります。
裁判はケースにもよりますが、半年から1年間程度の時間を要します。肉体的にも精神的にも疲労は免れませんの、できるだけ避ける事が好ましいでしょう。
まとめ
不倫で慰謝料を請求された際は、多くの方が初めてのことで戸惑ってしまうことも多いでしょう。まずは冷静になって対処していくことが大切です。ネクスパート法律事務所では、不倫慰謝料の減額実績が多数ございます。無料相談も受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。