慰謝料請求を取り下げた場合の弁護士費用はどうなるのでしょう?
この記事では、請求者側・被請求者側の2つの視点から、疑問にお答えしています。
目次で気になる質問をタップすると、知りたい情報にすぐアクセスできます。ぜひ参考にしてください。
💡 なお、弁護士費用の詳細は、契約内容や法律事務所により扱いが異なります。あくまで一つの参考としてご覧ください。
【請求者側】慰謝料請求を取り下げた場合の弁護士費用Q&A
請求者側が慰謝料請求を取り下げた場合について解説します。
なお、請求者側の弁護士費用の相場とそれぞれの項目の内容は次のとおりです。
- 着手金:弁護士に依頼した場合に、実際に弁護士が交渉に着手するための費用
- 報酬金:弁護士が依頼を受けた事件について、事件が適切に終結し、依頼者にとって一定の成果が得られた段階で発生する報酬
- 実費または事務手数料:弁護士が事件処理のために実際に支出する費用
- 日当:弁護士が事件処理のために時間拘束を受けた場合に発生する費用
以下、各質問に回答します。
慰謝料請求の交渉の途中で依頼を取り下げたら弁護士費用はどうなる?
Q.不倫相手に対する慰謝料請求の交渉を弁護士に依頼しました。相手方と何度か話し合いがされたものの、相手方の資力がなく、慰謝料の支払いも見込めないので、取り下げを考えています。具体的な慰謝料額や条件等は何も決まっていません。 この段階で取り下げた場合の弁護士費用はどうなりますか? |
A.着手金、すでに支出された実費または事務手数料や日当は、基本的に支払わなければならないでしょう。
着手金は、結果の如何に関わらず、弁護士が事件の処理に着手する際に発生する費用です。請求を取り下げたとしても、すでに弁護士が業務を開始していれば、着手金の返還は基本的にされません。すでに支出された実費・事務手数料や日当についても、原則として依頼者の負担となります。
契約内容や法律事務所の報酬規定によって異なる場合がありますので、詳細は依頼している弁護士に確認されることをおすすめします。
慰謝料請求の示談直前で依頼を取り下げたら報酬金は発生しない?
Q.不倫相手に対する慰謝料請求の交渉を弁護士に依頼しました。相手方と慰謝料の金額や支払い方法について口頭で合意が成立し、後は示談書を作成するのみです。 この段階で取り下げをする場合、報酬金は発生しますか? |
A.報酬金が発生する可能性が高いでしょう。
口頭とはいえ、慰謝料の金額や支払い方法について、当事者間で合意が成立しているのであれば、弁護士の活動によって経済的利益が得られたと評価し得ます。そのため、合意した慰謝料額を基準とした報酬金(またはあらかじめ決められた固定報酬金)が発生する場合があります。
契約内容や法律事務所の報酬規定によって異なる場合がありますので、詳細は依頼している弁護士に確認されることをおすすめします。
慰謝料請求の裁判の途中で取り下げたら弁護士費用はどうなる?
Q1. 不倫相手に対する慰謝料請求の裁判をしています。先日、第1回口頭弁論期日が終わりました。 この段階で取り下げた場合、弁護士費用はどうなりますか? |
A1.着手金、すでに支出された実費または事務手数料や日当は、基本的に支払わなければならないでしょう。
ご質問のケースでは、弁護士が既に事件処理に着手しているため、原則として着手金は返還されません。すでに支出された実費・事務手数料や日当についても、原則として依頼者の負担となります。
Q2. この場合、弁護士費用以外に、取り下げにかかる費用はありますか? |
A2. 弁護士費用以外に、取り下げにかかる費用は特にありません。
慰謝料請求の裁判終盤で取り下げたら報酬金は発生しない?
Q.不倫相手に対する慰謝料請求の裁判をしています。次回、当事者尋問の予定です。 この段階で取り下げた場合、報酬金は発生しますか? |
A.報酬金が発生する可能性があります。
裁判終盤での取り下げの場合、着手金、実費または事務手数料、日当のほかに、報酬金が発生する場合があります。
契約内容や法律事務所の報酬規定によって異なりますので、詳細は依頼している弁護士に確認されることをおすすめします。
【被請求者側】慰謝料請求が取り下げられた場合の弁護士費用Q&A
被請求者側が慰謝料請求を取り下げられた場合について解説します。
なお、被請求者側の弁護士費用の相場とそれぞれの項目の内容は次のとおりです。
以下、各質問に回答します。
慰謝料請求の交渉の途中で取り下げられたら弁護士費用はどうなる?
Q.不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされています。弁護士が相手方と何度か話し合いをする中で、取り下げの話が出ているようです。具体的な慰謝料額や条件等は何も決まっていません。 この場合の弁護士費用はどうなりますか? |
A.着手金、すでに支出された実費または事務手数料や日当は、基本的に支払わなければならないでしょう。
着手金は、結果の如何に関わらず、弁護士が事件の処理に着手する際に発生する費用です。相手が請求を取り下げたとしても、すでに弁護士が業務を開始していれば、着手金の返還は基本的にされません。すでに支出された実費・事務手数料や日当についても、原則として依頼者の負担となります。
慰謝料請求の示談直前で依頼を取り下げたら報酬金は発生しない?
Q.不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされています。話し合いがある程度進んだ終盤になって、突然相手方が取り下げると言ってきました。弁護士としては、取り下げるのであれば、今後慰謝料請求をしない旨の示談書を交わすつもりだそうです。 この場合、報酬金は発生しますか? |
A.報酬金が発生する可能性があります。
相手方と今後一切慰謝料請求をしない旨の合意がなされた場合には、経済的利益を基準とした報酬金が発生する場合があります。弁護士によっては、固定の報酬金を設定している場合もあります。この場合は、あらかじめ決められた報酬金額が発生することになるでしょう。
慰謝料請求の裁判の途中で取り下げられたら弁護士費用はどうなる?
Q.不倫相手の配偶者から裁判を起こされました。弁護士が答弁書を提出し、来週第1回口頭弁論期日の予定です。この段階で、相手方から取下書が届きました。 こちらが取下げに同意した場合の弁護士費用はどうなりますか? |
A.着手金、すでに支出された実費または事務手数料や日当は、基本的に支払わなければならないでしょう。
ご質問のケースでは、弁護士が既に事件処理に着手しているため、原則として着手金は返還されません。すでに支出された実費・事務手数料や日当についても、原則として依頼者の負担となります。
報酬については、契約内容や法律事務所の報酬規定によって異なりますので、詳細は依頼している弁護士に確認されることをおすすめします。
まとめ
慰謝料請求を取り下げた場合、弁護士費用のうち、着手金、すでに支出された実費または事務手数料や日当は発生する可能性が高いでしょう。
報酬金については、契約内容や各法律事務所の扱いのほか、交渉・裁判の進捗度合いにより異なるでしょう。