夫婦がお互いに不倫していると慰謝料はどうなる?離婚は認められる?

  • 最終更新日: 2025.06.12

不倫問題は、夫婦の一方が不倫しているケースだけではなく、夫婦どちらも不倫しているケースも考えられます。

不倫をされた側は、原則として不倫慰謝料を請求できますが、夫婦がお互いに不倫している場合には、慰謝料はどうなるのでしょう?

「お互いに不倫しているから慰謝料請求されるなんてないよね?」

お互い様と思っていても、不倫をしている以上は、何らかのトラブルが生じる可能性があります。まずはこの記事を読んで、夫婦がお互いに不倫している場合特有の問題について知っておきましょう。

この記事では、主に次のことについて解説しています。

  • 夫婦がお互いに不倫している場合の慰謝料について
  • 夫婦がお互いに不倫している場合に離婚請求について

ぜひ参考にしてください。

夫婦がお互いに不倫していると慰謝料はどうなる?

夫婦がお互いに不倫していても、慰謝料請求は可能です。
ただし、請求が認められるかどうかはケースバイケースです。

お互いに不倫していても慰謝料請求自体は可能

夫婦がお互いに不倫していても、慰謝料請求自体は可能です。

お互いに不貞をした事実をもって、慰謝料請求が相殺的に禁止されるわけではないからです。

したがって、あなたは、あなたの配偶者や配偶者の不倫相手に対して慰謝料請求が可能ですし、あなたの配偶者から慰謝料請求される可能性も十分にあるでしょう。

慰謝料が認められるかどうかはケースバイケース

請求自体はできますが、慰謝料が認められるかはケースバイケースです。

夫婦がお互いに不倫している場合には、夫婦関係の悪化の責任が双方に存在すると評価される可能性があるからです。

慰謝料を請求するあなた自身も不倫していることが、慰謝料請求を退ける、あるいは減額する事情となる可能性があります。

夫婦がお互いに慰謝料を請求し合った結果、婚姻関係を破綻させたことについて、あなたの方がより責任が重いと判断されると、あなただけが配偶者に慰謝料を支払わなければならない場合もあります。婚姻破綻について双方に同程度の責任がある場合には、双方の慰謝料請求が認められないこともあります。

したがって、慰謝料請求が認められるかどうかは、個々の事情により異なります。

夫婦がお互いに不倫している場合の慰謝料請求上の問題点4つ

夫婦がお互いに不倫している場合の慰謝料請求では、特有の問題点があります。

  • 婚姻関係の破綻を理由に慰謝料請求を拒否される可能性がある
  • お互いに公認の不倫の場合には慰謝料請求が認められにくい
  • お互いの不倫の時期によっては片方だけが責任を負うこともある
  • 証拠の有無によっては片方だけが慰謝料を支払うこともある

これらの問題点に当てはまる場合には、慰謝料を獲得できないだけでなく、あなただけが損をする可能性があります。
以下、詳しく見ていきましょう。

婚姻関係の破綻を理由に慰謝料請求を拒否される可能性がある

配偶者が、婚姻関係の破綻を理由に慰謝料の支払いを拒否する可能性があります。

そもそも、配偶者の不倫を理由に慰謝料請求できるのは、不倫によって平穏な婚姻生活を送る権利を侵害されたことにあります。以前から婚姻関係が破綻していた場合には、不倫による権利侵害がないと考えられることから、慰謝料請求が認められません。

そのため、あなたが不倫をしていることを配偶者が知っている場合には、婚姻関係の破綻を主張される可能性が高いでしょう。

もっとも、婚姻関係の破綻は、よほどの事情がない限り認められにくく、配偶者が一方的に「婚姻関係は破綻している。」と主張しているだけでは、破綻状態に至っていたと認められる可能性は低いです。

しかし、お互いに不倫していた事情から、夫婦双方に婚姻関係を継続する意思があまりなく、婚姻関係を修復できる見込みも低い状態である、つまり婚姻関係が相当程度悪化していたと考えられる可能性はあります。
この場合には、あなたからの慰謝料請求が認められても、減額される可能性が高いでしょう。

お互いに公認の不倫の場合には慰謝料請求が認められにくい

お互いに公認の不倫の場合には、慰謝料請求が認められにくいです。

お互いに不倫を公認していることは、平穏な婚姻生活を送る権利を、夫婦双方が放棄している、または、そもそも不倫による権利侵害がないと考えられます。
夫婦双方が平穏な婚姻生活を送る権利を放棄していることは、既に婚姻関係が破綻していると考える余地もあります。

したがって、お互いに不倫を公認している場合には、慰謝料請求が難しいでしょう。

不倫の公認について、詳しくは「不倫が公認なら慰謝料請求されない?慰謝料請求されるケースと対処法 」の記事をご参照ください。

お互いの不倫の時期によっては片方だけが責任を負うこともある

お互いの不倫の時期によっては、片方だけが責任を負うこともあります。

不倫慰謝料は、いつまでも請求できるわけではなく、時効があります(民法724条)。

  • 損害及び加害者を知った時から3年
  • 不法行為の時から20年

上記のとおり、3年または20年が経過すると慰謝料請求ができなくなります。

例えば、次のようなケースを考えましょう。

・あなたが配偶者の不倫の事実及び不倫相手を知ったのが5年前(①)
・配偶者があなたの不倫の事実及び不倫相手を知ったのが1か月前(②)

この場合、①あなたの配偶者に対する慰謝料請求権及びあなたの不倫相手に対する慰謝料請求権は、原則として時効により消滅しています。

一方で、②配偶者のあなたに対する慰謝料請求権は、まだ時効になりません。

このようなケースでは、あなたのみが慰謝料を支払わなければならない事態が生じるでしょう(なお、配偶者の不倫が現在も継続している場合には、慰謝料を請求できる場合があります。あなたの不貞行為の時期によっては、配偶者からの慰謝料請求権を、あなたの配偶者に対する慰謝料請求権によって相殺できる場合もあります)。

したがって、お互いの不倫の時期によっては片方だけが責任を負うこともあるでしょう。

不倫慰謝料の時効について、詳しくは「不貞行為の慰謝料請求はいつまで?起算点や時効が近い時の対処法」の記事をご参照ください。

証拠の有無によっては片方だけ慰謝料を支払うこともある

証拠の有無によっては片方だけが慰謝料を支払うこともあります。

夫婦がお互いに不倫している場合、配偶者には決定的な証拠、例えば二人が裸で抱き合っている写真を掴まれているのに、自分は日常会話レベルのLINEのやり取りしか掴めていないという状況が生じる場合があります。
この場合には、あなたのみ慰謝料を支払わなければならない可能性があるでしょう。

慰謝料請求が認められるためには、肉体関係があったことが必要です。

もちろん、相手が不倫の事実を認め、慰謝料の支払いに応じてくれればよいですが、相手が不倫を否定したり、慰謝料の支払いを拒否したりする場合には、肉体関係があったことを証明しなければなりません。

お互いに不倫していても、片方にのみ十分な証拠がある場合には、片方だけが慰謝料を支払うこともあるでしょう。

不倫の証拠について、詳しくは「浮気の証拠になるもの13選と自力で証拠を集めるポイント・注意点」の記事をご参照ください。

お互いに不倫している場合に離婚請求は認められる?

お互いに不倫している場合、自分は遊びだったのに、配偶者は本気であるケースも考えられます。

もし配偶者が「離婚したい。」と言ってきたら、どうしたらよいか不安ですよね。

離婚裁判では、原則として有責配偶者からの離婚請求は認められません。しかし、お互いに不倫をしている場合、夫婦の一方からの離婚請求が認められる可能性があります。

以下、詳しく見ていきましょう。

離婚を請求する側の責任が重い場合

離婚を請求する側の責任が、離婚を請求される側の責任よりも重い場合には、離婚請求が認められない可能性があります。

この場合、有責配偶者から無責配偶者への離婚請求と同様に扱われるからです。

もっとも、どうみても夫婦としての実態がなくなっているのに、形だけの夫婦関係を継続させることが双方にとって望ましいと言えるかという観点から、以下の条件のもとに、有責配偶者からの離婚請求が認められる可能性はあります。

  • 夫婦双方の年齢や同居期間と比べて、別居期間が相当の長期間に及んでいる
  • 未成熟子(親から独立して生計を営めない子)がいない
  • 他方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれないこと

離婚を請求する側の責任が軽い場合

離婚を請求する側の責任よりも、離婚を請求される側の責任の方が重い場合には、離婚請求が認められる可能性があります。

この場合は、無責配偶者から有責配偶者への離婚の請求の場合と同様に考えられます。

双方の責任が同等の場合

離婚を請求する側と請求される側の有責性が同程度である場合は、離婚請求が認められる可能性があります。

この場合、どちらが一方的に悪いとは言えなくなります。そのため、双方に責任がない場合と同様に取り扱われます。

夫婦の責任が同等の場合、離婚請求が認められるかどうかは、夫婦関係が破綻しているかどうかという基準で判断されます。

まとめ

夫婦がお互いに不倫している場合でも、慰謝料請求の問題が生じる余地はあります。

自分の不倫が、まだ配偶者にバレていない段階であれば、早めに不倫相手との関係を解消することをおすすめします。夫婦双方に再構築の意思があるのなら、自分の非を認め、相手の非を受け入れ、今後の夫婦の在り方に目を向けるべきです。

お互いに不倫をしていたことで、慰謝料や離婚のトラブルが生じた場合には、早めに弁護士にご相談ください。

ネクスパート法律事務所は、数多くの不貞問題についてご相談いただき、解決に導いてきた実績があります。
初回相談は30分無料です。ご自身の不貞により配偶者から離婚や慰謝料を請求されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

経験豊富な弁護士が、あなたのトラブル解決に向けて全力でサポートいたします。

ご相談は無料です。
まずはお気軽にご相談ください。
  • 相談無料
  • 相手に合わせなくてOK
  • 全国対応
0120-1313-22
24時間受付対応
メール・LINEにて
24時間受付中
PAGE TOP