浮気相手の奥さんから突然慰謝料の請求を突きつけられ、対処に困っている方もいるでしょう。請求を受けた場合、浮気の負い目から「すぐに支払わなければ」と焦るかもしれませんが、慰謝料の金額や事情によっては、減額や支払いを拒否できるケースがあります。
そこで今回の記事では、浮気相手の奥さんから慰謝料請求された場合の対処法や相場について解説します。対応を誤って大きなリスクを抱えないためにも、是非参考にしてみてください。
浮気相手の奥さんから慰謝料請求された時に確認すべきこと
浮気相手の奥さんから慰謝料請求された場合、まずは以下の3つについて確認しましょう。請求された原因や状況によっては、慰謝料を回避または減額できるケースがあります。
本当に不貞行為はあったのか
まず確認すべきことは、「本当に不貞行為があったのか」という点です。不貞行為とは相手と自由な関係に基づいて肉体関係を持つことを指し、慰謝料は原則不貞行為があった場合に請求できます。
たとえば2人で食事に行ったり、手をつないだりする行為だけでは不貞行為に該当しないため、基本的に慰謝料を支払う必要がありません。ただ例外として、頻繁なデートやキスなど肉体関係までいかずとも既婚者と親密な関係を持つことで、支払い義務が発生することもあります。
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慰謝料を支払う義務があるか
「支払う義務の有無」についても確認しておきましょう。
- 不貞行為がない
- 既婚者であることを知らなかった
- 時効が成立している
これらの場合は、慰謝料の支払い義務が発生しない可能性があります。
①不貞行為がない
先述した通り、相手と不貞行為(肉体関係)がない場合、原則として慰謝料を支払う必要はありません。ただし、既婚者との親密度合によっては支払い義務が生じることもあるため、安易に支払い義務はないと自己判断して請求を放置するのは危険です。
②既婚者であることを知らなかった
相手が既婚者であることを知らず、なおかつ知らなかったことに落ち度がない場合、基本的に慰謝料を支払う必要はありません。もっとも、自分の不注意で確かめなかったなど過失が認められる場合は、支払い義務が発生することがあります。
具体的には、相手が左手の薬指に指輪をしていたり、浮気相手との勤務先が同じであったりしたケースです。一方、知ろうとすれば知れたにもかかわらず交際を続けていた場合は、慰謝料を支払わなければならないため注意しましょう。
③時効が成立している
請求権の時効が成立している場合、慰謝料の請求に応じる必要はありません。具体的な成立要件は、浮気相手の奥さんが不貞行為を知ってから3年、または不貞行為の時を起算点として20年です。この期間をすぎると時効が成立するため、たとえ浮気の事実が明らかでも慰謝料の支払いを拒否できます。時効について詳しくは「不倫慰謝料の消滅時効とは」をご覧ください。
慰謝料の金額は妥当か
奥さんから慰謝料請求を受けたとき「金額の妥当性」についても確認しておきましょう。支払う義務を負う場合でも、必ずしも奥さんからの請求金額が妥当であるとは限りません。
不貞行為の慰謝料の相場は数十万〜300万円です。法律上では請求金額通りに支払う義務はないため、あまりに相場から離れた金額や妥当性のない金額を請求された場合、慰謝料を減額できる可能性が高くなります。
浮気相手の奥さんから慰謝料請求された場合の慰謝料相場
浮気に対する慰謝料には決まりがないため、請求する側とされる側の双方が納得すればそれが請求額になります。なお、具体的な慰謝料の相場は以下の通りです。
離婚にも別居にも至っていない場合 | 50万〜100万円 |
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浮気が原因で別居に至った場合 | 100〜200万円 |
浮気が原因で離婚に至った場合 | 150〜300万円 |
慰謝料の額は、浮気を原因として「どれだけ相手の夫婦関係を壊したか」という点に左右される傾向があります。ただし、あくまで目安としての金額であり、必ずしも相場内の金額が請求されるわけではないので注意しましょう。
浮気相手の奥さんから慰謝料請求された時にやってはいけないこと
浮気相手の奥さんから慰謝料の請求を受けた際、対応を誤ればさらに事態を悪化させかねません。ここからは、浮気相手の奥さんから慰謝料請求された時にやってはいけない3つのことについて解説します。
慰謝料請求を無視する
1つ目に、慰謝料請求を無視することは避けましょう。浮気相手の奥さんやその弁護士からの請求を無視していると、支払いを確実にするために訴訟を起こされるかもしれません。さらに「訴状」や「呼出状」など裁判所からの催促も無視し続ければ敗訴となり、慰謝料の請求額について全面的に認めたと判断される可能性があります。
判決に基づき、浮気相手の奥さんが手続きを進めれば、給与や預金、不動産などを差し押さえられかねません。請求された時は無視をせず、支払い義務の有無や減額などの可能性を確認することをおすすめします。
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感情的に反論する
2つ目に、浮気相手の奥さんに対して感情的に反論することは避けましょう。感情的に反論して浮気相手の奥さんに不適切な発言をすれば「脅迫・恐喝された」と訴えられたり、周囲に浮気をバラされたりなど事態がより悪化してしまう恐れがあります。たとえあなたに言い分があった場合でも、相手を逆なでしないよう冷静に行動することが大切です。
相手の要求にすべて従ってしまう
3つ目に、浮気の要求にすべて従ってしまうのも危険です。慰謝料の他に、例えば同じ職場であればあなたの退職や異動、引っ越しを求めてくるケースもあります。
しかし、たとえ浮気の加害者であっても、このような要求に従わなくてはならないという法的根拠はありません。相手の要求に対してうまく処理する自信がない場合は、弁護士に相談して問題解決に図りましょう。
慰謝料が減額できるケース
請求された慰謝料額について、以下のようなケースの場合は減額できる可能性があります。
相場よりも高額な請求をされた
1つ目のケースは、相場よりも高額な請求をされた場合です。浮気・不倫の慰謝料はその期間や回数、別居や離婚といった家庭への影響などの事情を考慮して算出され、その相場は数十万〜300万円程度です。
それぞれの事情によって異なりますが、相場を大幅に超える慰謝料に対しては減額できる可能性が高いでしょう。
相手の夫婦関係がすでに破綻していた
2つ目のケースは、離婚に向けて別居しているなど、相手の婚姻関係がすでに破綻している場合です。夫婦関係がすでに破綻している場合は、このことを理由に慰謝料を減額できる可能性が高い傾向にあります。
これは、破綻した婚姻関係には、法律上保護されるべき夫婦の利益がすでになくなっていると考えられるからです。もっとも、婚姻関係の破綻を証明するには客観的・具体的な証拠が必要となるため、主張する場合は慎重に検討しましょう。
発覚後、関係を継続せずに反省している
3つ目のケースは、発覚後、浮気の関係を継続せずに反省している場合です。不貞行為について深く反省し、誠心誠意の謝罪を示している場合、相手がその誠意をみて減額してくれる可能性があります。
もちろん、反省し謝罪をしたところで必ず減額に応じてくれるとは限りません。その場合は、収入や資産の少なさから支払いが難しい旨を伝え、減額してもらえるよう交渉してみましょう。
浮気相手の奥さんから慰謝料請求された場合は弁護士に相談する
浮気相手の奥さんから慰謝料請求された場合や妥当な慰謝料を知りたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すれば、早い段階から冷静に相手と交渉してくれるため、裁判に発展する前の解決も期待できます。
ましてや、相手が弁護士に依頼している場合、こちらも弁護士を立てなければ不利な状況に陥りかねません。減額できる可能性も高まるため、相手の奥さんから慰謝料請求された場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。
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まとめ
今回は、浮気相手の奥さんから慰謝料請求された場合の対処法や相場について解説しました。浮気が発覚した場合、相手の奥さんから慰謝料請求されるケースは少なくありません。
場合によっては裁判に発展する可能性もあり、そうなればお金だけでなくあなたの時間までをも無駄にしてしまうことになります。余計なトラブルを回避するためにも、浮気の慰謝料に詳しい弁護士に相談して適切に対処することをおすすめします。