集合型の施設等で飲食店を経営している場合、天井からの水漏れが生じる場合があります。食品を提供している店舗で水漏れが生じた場合、衛生上の重大な問題が生じ得るため、直ちに対応する必要があります。本稿では、水漏れが生じた場合の対応方法をまとめます。

水漏れが生じた場合の対応義務の所在
営業中の店舗の天井から水漏れが生じた場合、これに対応する義務があるのは誰でしょうか?集合型の施設で飲食店を経営している場合、店舗は賃借している場合がほとんどでしょうから、ここでは賃借している店舗を前提に記載します。
民法の定めによれば、賃貸借契約における修繕義務・費用負担義務は、賃貸人が負担します(民法606条1項)。
もっとも、民法の規定はあくまで原則であって、個別の賃貸借契約において、例外的な定めがおかれる場合がほとんどです。そこでまず、賃貸借契約書の確認が必要になります。
賃貸借契約を確認して修繕義務の定めがある場合には、その条項に従うことになります。(賃貸借契約の注意点については別の記事に記載します。)
保険との関係
水漏れ事故が生じた場合には、店舗の損害は店舗が加入している保険で補償される可能性があります。賃貸借契約においては、火災保険への加入が必須であることが多く、そのため、火災保険で補償されることが多いでしょう。
しかしながら、加入している保険の内容次第では、補償を受けることができないパターンもあります。事故が生じてから補償されないことが発覚してからでは、経営に深刻な影響が出かねませんので、賃貸借契約締結時や更新時などには加入する保険の内容を確認しましょう。水漏れ事故は、自店で気を付けていても生じる可能性があるものなので、不測の事態に備えることが重要です。
保険を使用する場合には、水漏れが生じた後、直ちに保険会社に連絡します。この連絡を怠ると、最悪保険を使用できなくなる可能性があります。せっかく保険に入っていて、補償を受けられるないようになっていたとしても、このような事態になっては保険に入っていること自体が無意味になるので注意して下さい。
水漏れは刻一刻と被害が広がる性質があるため、適宜現場の状況や被害物品を写真に撮り、証拠化しておくことも重要でしょう。経緯や発生時刻等を記録しておくことも有用でしょう。
終わりに
本稿では、水漏れが生じた場合の対応方法をまとめました。
食品を提供している店舗で水漏れが生じた場合、衛生上の重大な問題が生じ得るため、直ちに対応しましょう。
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