ストーカー事件の示談を成立させるポイントと示談金相場を解説

示談を成立させるべき理由については以下記事でご紹介いたします。

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ストーカー事件の示談の傾向

ストーカー行為と判断される行為とは

ストーカー行為とは、恋愛感情等の充足を目的として、同一の者に対し「つきまとい等」または位置情報無承諾取得等を繰り返して行う行為です。

つきまとい等 ストーカー行為
①つきまとい・待ち伏せ・立ちふがり・見張り・押し掛け・うろつき等 ①~⑧の行為を繰り返して行うこと

 

※ただし、①~④、⑤の電子メールの送受信に係る部分に限っては、

身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限る。

②監視していると思わせるようなことを告げる行為等
③面会や交際等の要求
④著しく粗野・乱暴な言動
⑤無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS等
⑥汚物等の送付等
⑦名誉を害することを告げる行為等
⑧性的しゅう恥心の侵害する行為等

 

位置情報無承諾取得等

相手方の承諾なしに、以下の行為をすることをいいます。

・GPSにより得られる相手方の位置情報を取得・記録すること

・相手方の所持品や車両にGPS記録・送信装置を取り付けること

 

ストーカー規制法は、ストーカー行為者に警告を与えたり悪質な場合は逮捕したりして被害者を守る法律で、以下の罰則が設けられています

(罰則)

第十八条 ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第十九条 禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

2 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。

第二十条 前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

参照:ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)

 

ストーカー規制法違反に該当するケースの詳細については、下記の記事をご参照ください。

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ストーカー事件で和解を得るために重要なポイント

禁止命令が出ている場合は本人が示談交渉できない

ストーカー事件は、多くの場合加害者に対して禁止命令がでています。

禁止命令とは、各都道府県公安委員会が、ストーカー行為をした者が更に反復してストーカー行為をするおそれがあると認めたときに、相手方の申し出または職権により次のことを命ずるものです。

  • 更に反復してストーカー行為をしてはならない
  • 更に反復してストーカー行為が行われることを防止するために必要な事項

 

加害者が直接被害者に示談交渉を申し入れることは、このストーカー行為とみなされる可能性もあり、禁止命令に違反した場合は罰金が科せられる可能性もあります。

出典:法務省 犯罪白書

 

被害者に真摯に謝罪する

被害者に対して反省していることを明示するために、謝罪文を作成しましょう。

口頭だけの謝罪や、簡単なメモ程度の文章では「誠意がない」「反省しているとは思えない」と誤解され、示談がまとまらないおそれがあります。

 

真摯に反省しており今後は二度と罪を犯さない決心などを、被害者の心情に配慮しながら謝罪文を作成します。謝罪文は手書きで丁寧に記載し、署名捺印をします。

弁護士に依頼している場合は、作成した謝罪文を確認してもらうと良いでしょう。

 

早期に示談の申し入れをする

示談の申し入れはできるだけ早く行います。刑事事件は進むスピードが速いため、事件が進んでしまうと示談の効果が薄れる場合があるからです。

 

ストーカー事件の被害者にとっても、民事訴訟を起こさずに被害弁償や慰謝料を受け取れ、接触禁止条項なども示談書で確約できるので、刑事事件化する前の示談成立にはメリットがあります。

 

示談が難しければ同意書の作成をする

ストーカー事件の被害者との示談交渉では、被害者側から「示談はしたくない」「許したくない」と言われる場合があります。

 

本来であれば、示談書には宥恕文言を入れてもらうのが一番良いのですが、処罰感情が大きい場合は、賠償金は受け取っても“宥恕”という文言は入れたくないと言われるケースがあります。その場合は、受領同意書を取り交わしましょう。

賠償金を支払い、受け取ってもらったことが書面として残っていれば、被害弁償されている証明となり不起訴処分の可能性が高まります。

 

ストーカー事件の示談が難しくなるケース

犯行の手口が悪質である

ストーカー被害は、悪質なつきまとい行為が続く状態です。綿密に計画されたものや、長期間にわたる執拗なものである場合は、被害者の処罰感情も強く示談が難しくなる可能性があります。

 

また、ストーカー行為を繰り返し住居侵入や暴行、傷害など他の罪を犯す場合もあります。犯行の内容が悪質であると捜査機関が判断すれば、逮捕・起訴される可能性があります。

出典:法務省 犯罪白書

 

被害者との直接交渉ができない

つきまとい行為を続けているので、被害者の連絡先がわからないというケースは少ないと思いますが、禁止命令が出ている場合は直接示談交渉ができません。

 

弁護士ならば被害者の了承があれば、加害者には被害者の情報を教えないという条件付きで連絡先を教えてもらえますが、弁護士にも教えたくないと言われたら示談交渉を進められません。

 

被害者が示談を望まない

示談は被害者が交渉に応じてくれなければできません。

捜査機関から弁護士が被害者の連絡先を教えてもらい示談交渉を始めても、被害者の処罰感情が大きく、示談は絶対にしないという強い意志がある場合は、無理強いはできません。この場合、被害弁償に向けての交渉を検討します。

 

示談成立までにかかる期間

被害者との示談交渉にかかる時間は、事件の内容と被害者の処罰感情によって変わります。

 

弁護士にご依頼いただくことで、問題点を速やかに解決し、示談成立までの時間を短縮できます。交渉に時間がかかり、示談が成立する前に刑事事件化され逮捕されてしまった場合でも、引き続き示談交渉を行えます。

 

初めは示談に応じる気持ちがなかったとしても、時間の経過や加害者が逮捕された事実によって被害者の意識も変わってくる場合があります。示談交渉はあきらめずに行いましょう。

 

ストーカー事件の示談金について

ストーカー事件の示談金は、犯行の態様や被害状況によって異なります。ここではストーカー行為における示談金の相場と高額になるケースについてご案内いたします。

 

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ストーカー事件の示談金相場

ストーカー事件の示談金は、ストーカー行為の内容や程度、期間など被害者の被害状況によって決まります。そのため示談金相場は30万円~200万円と幅があります。

 

示談金の額は、被害者からの要求だけで決まるものではなく、加害者の経済事情も考慮しながら双方の合意で決定します。

 

ストーカー事件の示談金が高額になるケース

長期間にわたり執拗である

数年にわたってストーカー行為を繰り返した場合は、被害者の精神的ストレスや不安感は多大であるとされます。

 

例えば以下のような場合にストーカー行為を繰り返すと、示談金が高額になる場合があります。

  • 警察からの警告や、各都道府県公安委員会が禁止命令をだしている
  • ストーカー行為をしないとの念書や示談書を交わしている
  • 会社の上司と部下など、地位を利用している

 

計画的である

ストーカー行為は加害者が単独とは限りません。集団でつきまとい行為を繰り返したり、綿密な計画を立て、被害者のまわりの人間関係についても噂を流布したりするなどのケースは、計画的かつ悪質とされ、示談金が高額になる場合があります。

 

被害者がうつ病やPTSDなどの病で通院が余儀なくされた

長年に渡ってストーカー行為が繰り返され、被害者がうつ病や、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)と診断された場合や、その他の精神的な病になった場合は、被害者の被害感情が高まり示談金は高額になる可能性があります。

 

被害者の処罰感情が強い

事件によっては、提示した被害額が弁償されればそれで良いと宥恕される場合もありますが、ストーカー行為の被害者は処罰感情が強いケースが多いです。許しを得るためには、精神的被害の対価が加わるため、高額になる場合があります。

 

示談をすると次の被害者がでる可能性が残るので処罰してもらった方が良いと考えられた場合は、示談金が高額になる可能性だけでなく、示談そのものが難しくなる可能性もあります。

 

ストーカー事件の示談書に記入するべきポイント

示談書には記載した方が良い条項がいくつかあります。ここではストーカー行為における示談書に記載した方がよい主な条項についてご案内いたします。

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謝罪条項

加害者から被害者への謝罪を記載します。心から反省していることを示すために、最初に記載した方が良い条項です。

 

示談金の支払いに関する条項

示談金の金額と支払い方法を記載します。

すでに支払いが終了している場合は、被害者が受領した事実を記載します。領収書はかならず保管しておきましょう。

 

宥恕条項

被害者の同意がある場合は、必ず記載しておくべき条項です。「本件について宥恕する」「犯行を許し、刑事処罰をのぞまない」などの記載です。この条項があれば、被害者が許していることが考慮され、不起訴処分や刑事罰が減刑される可能性が高まります。

 

接触禁止条項

再度被害者と加害者が方法を問わず接触することを禁止する条項です。

被害者は“今後も加害者が何かしてくるのではないか”という不安が残ります。

今後は二度と接触しないと示談書の中で正式に記載することで、被害者の不安を少なくできます。

 

誓約条項

お互いに約束する内容を記載します。「二度と同じ過ちを起こさない」「被害届は提出しない」などの記載です。

加害者が被害者の近くに住んでいる場合は、“引っ越しをする”“同じ路線は利用しない”など具体的な約束を記載します。

 

清算条項

あとで被害弁償が終わっていないなどと言われないために、示談書で定めたもの以外に何らの権利義務がないことを記載します。

 

秘密保持条項

事件に関するすべてのことを、いかなる方法を問わず、第三者に口外しないことを記載します。

 

具体的な示談書の書き方については以下記事をご参照ください。

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ストーカー事件の示談の流れ

示談成立のための流れのうち、主なものを以下でご案内いたします。詳細については下記の記事をご参照ください。

 

示談の意思確認

最初に行うのが、被害者が示談に応じてくれるかどうかの意思確認です。

 

示談交渉

示談の意思が確認でき、応じてくれる場合は、速やかに交渉を行います。ここで時間がかかってしまうと、被害者の気持ちが変わる可能性があります。

 

示談成立

示談書の取り交わしを行い、示談金がある場合は示談金の振込の終了により、示談が成立します。誓約条項で定められた事柄がある場合は速やかに対応します。

逮捕・起訴され勾留されていた場合は、その報告をもとに捜査機関から釈放されます。

 

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ストーカー事件の示談を弁護士に依頼した場合のサポート内容

ここでは、ストーカー事件の示談を弁護士に依頼した場合の主なサポート内容をご案内いたします。

 

被害者の連絡先を確認

被害者が加害者と直接連絡を取りたくないと話している場合は、弁護士にご依頼ください。弁護士であれば、被害者が了承すれば捜査機関を通じて連絡先を教えてもらえます。

 

ストーカー事件の場合、禁止命令が出ていなくても被害者側が加害者との連絡を拒否する可能性が高いです。弁護士が間に入ることで、被害者は自身の安全を守りながら示談交渉が進められます。

 

被害者との示談交渉

ストーカー行為の被害者は被害者家族も含め、加害者と直接接触することを嫌います。弁護士が間に入ることで示談交渉を開始できる可能性が高くなります。

 

例え高額な金額を提示されたとしても、弁護士ならばそれまでの経験から、妥当な示談金の金額や条件について、被害者の情状を踏まえながら速やかにまとめられます。

 

正確な示談書の作成

示談の条件がまとまったら、正確な示談書を作成しなければなりません。口頭で合意した内容でも書面として残しておかなければ、あとで、まだ済んでいないといわれてしまうおそれがあります。弁護士ならば謝罪条項や宥恕条項、接触禁止条項など双方が納得する正確な示談書の作成が行えます。

 

警察/検察への意見書などの提出

刑事事件化されている場合、示談がまとまり示談書の取り交わしが終わったら、弁護士から被害者との示談がまとまったことを捜査機関に報告書や意見書として提出します。捜査機関も示談が成立したとなれば寛大な処分になる可能性があります。

 

再犯防止に向けた今後の生活についてのアドバイス

ストーカーの加害者は、自分ではそれがつきまとい等の行為をしていると自覚していない場合があります。再犯防止策を取らなければ、被害者と示談をしてもまた繰り返すおそれがあるため、専門的な治療を含めご家族へも丁寧にご説明させていただきます。自治体が「精神医学的治療等指定医」に認定している通院可能な医療機関もあります。

 

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まとめ

ストーカー事件の加害者には禁止命令が出ている場合が多く、加害者が被害者と直接接触をするのは避けた方が良いケースがほとんどです。警察などに警告を受けたり禁止命令が出されていたり場合は、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

 

経験が豊富な弁護士にご依頼いただくことで、適切な金額で示談を成立させ、正確な示談書の作成が可能です。ネクスパート法律事務所では、ご相談を24時間受け付けておりますので、まずはお電話、メール、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

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