ネットの誹謗中傷に対する弁護士の対応

ネットでの誹謗中傷について悩んでいる方から多くのご相談をいただいています。

一人で悩んでいても解決しないことが多く知人にも相談しにくいと思います。

この記事では、ネットの誹謗中傷に対して弁護士がどんな対応をするのか解説します。

目次

ネットの誹謗中傷に関する弁護士への相談例

どんな相談をしていいかわからない方もいると思います。

相談例は以下のとおりです。同じ悩みをお持ちの方はご相談ください。

ネット掲示板の投稿を削除してほしい

「ネット掲示板に、他の人から見ても私のこととわかる誹謗中傷を投稿されたので、たくさんの人が見てしまう前に削除してほしい」との相談がありました。

SNSの投稿者を特定してほしい

「SNSで、私の本名も顔写真も晒しながら誹謗中傷を投稿されているので、投稿者を特定したい」との相談がありました。

口コミの投稿者を特定してほしい

「口コミで、会社の評判が下がる虚偽の事実を投稿されているので、投稿者を特定し、損害賠償請求をしたい」との相談がありました。

ブログを削除してほしい

「ブログに、お店の来客が減ってしまう虚偽の事実が書かれており、来客が減ってしまう前に削除してほしい」との相談がありました。

誹謗中傷を投稿してしまった(投稿者側)

「誹謗中傷を悪ノリで投稿してしまいました。投稿者が私であると特定されてしまったらどうすればいいですか」との相談がありました。

ネットの誹謗中傷に対する弁護士の対応

ネットの誹謗中傷に対して、弁護士がどんな対応ができるか解説します。

被害者側

誹謗中傷を受けてしまった人からの相談に対しては、以下の対応があります。

  • 削除請求
  • 発信者情報開示請求
  • 損害賠償請求

投稿者側

誹謗中傷を投稿してしまった人からの相談に対しては、以下の対応があります。

  • 意見照会回答
  • 示談・応訴対応

削除請求

ネット上に誹謗中傷が投稿されていて、多くの人に見られる前に消してほしいと希望される場合は、削除請求をします。

削除請求には、サイトへ削除請求する方法と、裁判所へ削除仮処分命令を申立てる方法があります。

サイトへ削除請求

投稿されているサイトのサイト管理者(ドメイン登録者やサーバー管理者の場合もあります)に削除請求をします。

裁判所の手続きによらない請求ですので、任意の削除請求といいます。

任意の削除請求は以下の方法があります、どの方法によるかは、サイトによって異なります。

  • サイトに設置されている削除依頼フォームから請求する
  • サイト管理者へメールで請求する
  • サイト管理者へ送信防止措置依頼書を送付する

削除仮処分

任意の削除請求では削除されなかった場合には、裁判所へ削除仮処分命令を申立てます。

通常の民事訴訟では削除されるまでに時間がかかりますので、より迅速な手続きである仮処分の手続きの方が早期の削除を望む場合には適しています。

削除仮処分命令が発令されると、相手方のほとんどが削除に応じます。

発信者情報開示請求

ネット上で誹謗中傷を投稿した投稿者を特定してほしいと希望される場合は、発信者情報開示請求をします。

サイト管理者が投稿者の情報を把握していない場合には、投稿者のIPアドレスを開示してもらうことで投稿者が接続していたプロバイダを特定し、プロバイダから投稿者の情報を開示してもらう流れになります。

サイトへ開示請求

投稿されているサイトのサイト管理者に発信者情報開示請求をします。

任意請求

サイトによって開示請求の方法は異なります。

裁判所の手続きによらずに、発信者情報開示請求書で請求できるサイトもあります。

発信者情報開示仮処分

任意請求で開示されなかった場合には、裁判所へ発信者情報開示仮処分命令を申立てます。

投稿者の情報を把握していなければ、投稿者のIPアドレスやタイムスタンプの開示を求めます。

プロバイダへも開示請求をしなければならない場合、投稿者情報の保存期間による時間制限がありますので、保全の必要性が認められ、仮処分を利用します。

プロバイダへ開示請求

開示されたIPアドレスから、投稿者が接続していたプロバイダを特定し、発信者情報開示請求をします。

任意請求

裁判所の手続きによらずに、発信者情報開示請求をします。

ただ、ほとんど開示に応じてくれません。

発信者情報開示請求訴訟

裁判所へ発信者情報開示請求訴訟を提起します。

訴訟の結果、開示されるのは契約者情報ですので、開示されたものがフリーWi-Fiだと投稿者の特定は困難になってしまいます。

損害賠償請求

投稿者の特定ができたら、損害賠償請求をします。

任意請求

裁判所の手続きによらずに、投稿者に直接請求します。

訴訟の判決より慰謝料が高額になることもあります。

再発防止策の提示・削除・謝罪を求める内容の示談が成立することもあります。

損害賠償請求訴訟

任意請求では解決しなかった場合は、裁判所へ損害賠償請求訴訟を提起します。

一般的に、名誉権侵害による慰謝料額は、請求者が個人の場合は10~50万円ほど、法人の場合は50~100万円ほど、といわれています。

投稿者側の対応

投稿者側の対応を解説します。

意見照会回答

誹謗中傷にあたる投稿をしてしまい、相手方が削除請求や発信者情報開示請求をした場合に、サイト管理者やプロバイダから投稿者へ「削除していいか」「開示していいか」と意見を聞くための意見照会が実施されます。

プロバイダからの「開示していいか」との意見照会に対し、「不同意」と回答する場合は、その理由を記載する必要があります。

「不同意」と回答しても、判決で開示を命じられれば開示されてしまいますので、「同意」と回答することで、発信者情報開示請求訴訟を避け、その後の損害賠償請求で請求される調査費用を抑えることも考えられます。

「不同意」と回答する際の理由の記載や、どんな回答をしたらいいのかを弁護士が判断します。

示談・応訴対応

誹謗中傷にあたる投稿をしてしまい、投稿者を特定され損害賠償請求をされた場合に、弁護士が、減額交渉を含めた示談や、応訴の対応をします。

弁護士費用の相場

ネットの誹謗中傷に対して、弁護士が対応する際の費用の相場は、以下のとおりです。

着手金 報酬
削除請求 任意 5~10万円 5~10万円
仮処分 20万円 15万円
発信者情報開示請求 任意 5~20万円 10~20万円
訴訟 20~30万円 10~20万円
損害賠償請求 任意 10~20万円 回収額の16%
訴訟 20~30万円 回収額の16%

このほか、日当や、実費が発生する場合もあります。

ネットでの誹謗中傷の対応を弁護士に相談するメリット

ネットの誹謗中傷に対して、弁護士に相談するメリットを解説します。

早く削除請求ができる

削除請求をしたくても、どこに請求したらいいのか、どのように請求したらいいのかわからないこともあると思います。

弁護士が経験をもとに的確な方法により、削除請求をします。

投稿者特定の対応ができる

裁判所での手続きが必要になると、自分での対応が難しくなります。

弁護士に依頼することで、裁判所やプロバイダとのやり取りを任せることができます。

損害賠償請求ができる

投稿者が特定できた後の、損害賠償請求もまとめて依頼することができます。

いくら請求していいかわからない場合でも、弁護士に依頼することで事案に応じた請求内容を検討します。

まとめ

ネットの誹謗中傷に対しての、弁護士の対応は以下のとおりです。

  • 削除請求
  • 発信者情報開示請求
  • 損害賠償請求
  • 意見照会回答
  • 示談・応訴対応

ネットの誹謗中傷に対しては、早期の対応が必要です。

弁護士に相談をしているだけでも、気持ちが落ち着くかもしれません。

一人で悩まずに、弁護士に相談することを検討してみてください。

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