信用取引で借金地獄になる?信用取引の借金解決法とは - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

信用取引で借金地獄になる?信用取引の借金解決法とは

近年老後の資金の確保などを目的として、資産運用をする人が増加しています。

信用取引で多くの利益を出して、早期リタイアに憧れている人も多いでしょう。

資産運用に慣れてくると、信用取引でハイリターンを目指す人もいますが、一歩間違うと大きな損失を負うおそれがあるため、注意が必要です。

この記事では、株の信用取引について、以下の点を解説します。

  • 株の信用取引で借金地獄となるケース
  • 信用取引で追加証拠金が払えない人の末路
  • 信用取引で借金をしてしまった場合の対処法

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株式の信用取引とは

株式の信用取引とは、証券会社からお金や株式を借りて、手持ちの資金よりも多額の取引が行える取引方法です。

株取引には、信用取引と現物取引があります。

現物取引 自分の現金のみで株式を購入する取引
信用取引 証券会社に担保(委託保証金や保有している株式)を預けて、証券会社からお金や株式を借りて売買できる取引

現物取引をしている場合は、借り入れをして株を購入しない限り、借金をすることはありません。

一方、信用取引の場合は、証券会社からお金や株式を借りて取引を行うため、場合によっては借金を背負うことがあります。

信用取引のメリットデメリット

前述の通り、信用取引は手元にお金がなくても、証券会社に保証金や保有している株式を預けることで、取引が可能です。

預けた保証金や保有している株式の約3.3倍の取引ができるため、それだけ大きなリターンが期待できます。

例えば、手元に30万円ある場合、現物取引では30万円分の株しか購入できません。

信用取引であれば、30万円の3.3倍、約100万円分の株取引が行えます。

一方で、現物取引であれば株が下落しても、下落した幅で損をするだけです。

しかし、信用取引では、担保の3.3倍の取引ができるため、その分下落すれば3.3倍の損失が発生します。

例えば100万円の保証金や株式の約3.3倍、330万円で取引を行った場合、株価が30%下がると、330万円×30%=99万円を失うことになり、元の100万円はほぼなくなります。

信用取引で借金地獄になるケース

ここでは、株の信用取引で借金地獄になるケースを解説します。

信用取引で損をして追加証拠金が必要になった

前述の通り、信用取引では約3.3倍までの取引が可能となるため、株価が下がれば担保としていた保証金を失うことになります。

そして保証金は、損失が保証金の維持率を下回ると、維持するための追加証拠金(追証)が必要となります。

例えば、保証金の100万円が一定の維持率を下回ると、100万円に足りない金額を預けなければなりません。

保証金は担保であるため、追加証拠金を支払えない場合は、今取引中の株がすべて強制決済され、自分が保有している株が売られることになります。

それでも不足分が支払えない場合は、証券会社から取り立てを受けることになります。

空売りで株価が値上がりした

信用取引で借金地獄になるもう一つのケースが、空売りで株価が値上がりした場合です。

株は、価格が低い時に購入して、高額になったら売却して利益を得る方法がよく知られています。

空売りとは、証券会社から借りた株を高額で売却して、株の価格が下がった際に買い戻して、証券会社に借りた分の株を返して、利益を出す取引方法です。

空売りの簡単な具体例

  1. 下落が予想される株式Aを100株証券会社から借りる
  2. 株式Aの株価が100万円の時に売却
  3. その後株式Aの株価が50万円に下落した際に100株購入する
  4. 株式を貸してくれた証券会社に株を返す
  5. 100万円を得て、買い戻した50万円を差し引いて50万円の利益を得る

空売りはこのような形で利益を得る取引方法ですが、半年以内に証券会社に株式を返さなければなりません。

空売り後に株価が値上がりし、株式を買い戻すのに借金をせざる得なくなったというケースもあります。

信用取引で追加証拠金が払えない人の末路

信用取引では、保証金が一定の割合まで下がると、追加証拠金が必要となります。

追加証拠金が払えない場合は以下のリスクが生じます。

  • 証券会社から督促を受ける
  • 遅延損害金が加算される
  • 保有株式が強制決済される
  • 裁判で訴えられて財産を差し押さえられる

証券会社から督促を受ける

追加証拠金が払えないと、証券会社から取り立てを受けることになります。

証券会社も乱暴な取り立てを行うことはありません。最初は期日までに支払ってくださいというメールや書面が送られてきます。

しかし、これを無視し続けると、法的措置を取るなどの厳しい内容の書面が届くようになります。

電話などがかかってくる可能性もあり、精神的な負担も大きなものとなります。

遅延損害金が加算される

期日までに支払いができない場合は、その翌日から遅延損害金が発生する可能性があります。遅延損害金とは、支払い遅れに対するペナルティです。

証券会社によって異なりますが、遅延損害金の年率は14.6%~20%が一般的です。

遅延損害金は、支払いが遅れている金額×遅延損害金の年率÷365×延滞日数で計算します。

支払いが遅れて金額が高額で、延滞日数が増えるほど、遅延損害金も高額となります。

信用取引では、高額な追加証拠金が請求される可能性があるため、注意が必要です。

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保有株式が強制決済される

前述の通り、追加証拠金が払えない場合、今保有している株式が強制決済され、売却されることになります。

強制的に決済が行われ損失が確定します。

この強制決済された分から、追加証拠金の不足分が回収されますが、不足分が回収できない場合は、取り立てを受けることになります。

また、証券口座が凍結され、取引ができなくなります。

裁判で訴えられて財産を差し押さえられる

証券会社の取り立てに対して無視をし続けると、裁判で訴えられることになります。

裁判所からは支払督促などで一括請求が行われますが、これを無視すると裁判を行わずとも差し押さえが可能となります。

そのため、支払督促が届いた場合は、同封されている督促異議申立書を2週間以内に返送しましょう。

異議申し立てを行うと、裁判で支払いについて話し合うことになります。

裁判を無視すると、証券会社の主張が認められて、差し押さえが行われることになるため、必ず出席をして、分割払いにできないか相談しましょう。

裁判で取り決め通りに支払いができなければ、最終的には預貯金や給料などの財産が差し押さえられることになります。

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信用取引で借金をしてしまった場合の対処法

追加証拠金が払えない場合は分割払いを相談する

追加証拠金が発生して、保有株式などを売却した代金をあてても支払いができないような場合は、証券会社に分割払いにできないか相談しましょう。

証券会社としても、利用者が自己破産などを行い、まったく回収できないよりも、分割払いでもいいので支払ってもらった方がよいと考えるかもしれません。

今の収入や資金確保の見込みなどから、支払いのスケジュールを相談してみましょう。

個人再生で借金を大幅に減額する

追加証拠金や損失を補うためにした借金が返済できない場合は、債務整理をする方法があります。

債務整理とは、法律に基づき、借金を減額・免除できる手続きです。

任意整理、個人再生、自己破産の3種類がありますが、任意整理に関しては減額幅が少ないため、高額な借金の減額にはおすすめできません。

今後も安定して支払いができるのであれば、個人再生がおすすめです。

個人再生は、裁判所の許可のもと、借金を最大で10分の1まで減額できる手続きです。減額した借金は3年で完済することになります。

個人再生は、後述する自己破産のように、借金の理由は問われませんし、高価な財産を裁判所に処分されることがない点もメリットです。

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自己破産で借金の返済義務をなくす

追加証拠金や、損失補填のためにした借金をどうしても支払えない場合は、自己破産が有効な選択肢となります。

自己破産とは、裁判所の許可のもと借金の返済義務をなくせる手続きです。ただし、以下のようなデメリットがあります。

  • 追加証拠金や借金が高額で、今後支払いが困難である支払い不能状態でなければ利用できない
  • 生活に必要な財産以外は、すべて裁判所に没収され、換金後に証券会社などに分配される
  • 信用取引やFXによる借金は、自己破産が認められない可能性がある

特に、信用取引やFXによる借金は、免責不許可事由として自己破産が認められないとされています。

ただし、しっかりと反省を示すことで、裁判所の裁量で自己破産が認められるケースもあるため、諦めずに弁護士に相談するのがおすすめです。

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まとめ

株の信用取引は、手元にあるお金以上に取引が行え、ハイリターンが得られる取引方法です。

老後の資金や早期リタイアを目指して取引を行う人も多いでしょう。

ただし、レバレッジをかけすぎたり、特定の銘柄に集中的に投資したりすると、株価が下落した際に、追加証拠金を求められるなどのリスクが生じます。

信用取引をする際は、資産以上のレバレッジをかけない、分散投資をするなどしてリスク管理することが重要です。

追加証拠金や、損失を補うためにした借金が支払えない場合は、債務整理を検討しましょう。

ただし、債務整理はその人の状況や返済能力、今の財産状況によっても適した手続きが異なります。

また、メリットだけでなくデメリットもあるため、一度弁護士に相談した上で判断しましょう。

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