自己破産したら取締役になれない?会社への影響や責任について解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産したら取締役になれない?会社への影響や責任について解説

会社の取締役に就任している方が自己破産をすると、会社に対して何らかの影響を及ぼすことはあるのでしょうか?自己破産をすると、以後は取締役になれないのでしょうか?

「取締役の立場で自己破産をすると、会社に迷惑をかけるかもしれない。」とご不安な方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、取締役が自己破産をした場合の会社への影響や責任について解説します。

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取締役が任期中に自己破産をすると退任しなければならない?

会社の取締役が自己破産を申し立てて破産手続開始決定を受けると、当該取締役を一旦退任することとなります。しかし、再度の選任や他の会社での選任が制限されるわけではありません。

破産手続開始決定を受けると退任することになる

取締役が任期中に自己破産の申立をして破産手続開始決定を受けた場合には、委任関係の終了を理由として、当該取締役は退任することになります。

一般的に、会社と取締役との関係は委任契約であると解されているところ、民法は、受任者または委任者が破産手続開始決定を受けたことを、委任契約の終了事由の一つと定めているからです(民法第653条)。

受任者は、委任が終了した後は、遅滞なく、委任者に対して、その経過及び結果を報告しなければなりません(民法第645条)。

株主総会で選任されれば再度取締役になれる

破産手続開始決定を受けて委任契約の終了により取締役を退任しても、株主総会で取締役に再度選任されれば、取締役の任に就けます。

破産手続開始決定を受けたことは、取締役の欠格事由にあらたないからです。

ただし、金融事業を営む会社の取締役については、特別の規制があるため、以下に該当する場合は、自己破産手続中は取締役になれません。

  • 保険会社の取締役(保険業法第8条の2)
  • 証券金融会社の取締役(金融商品取引法29条の4第2項ロ)
  • 特定目的会社の取締役(資産の流動化に関する法律70条3号)

自己破産をした取締役が再任すると会社に何らかの影響はある?

一旦退任した取締役が再び取締役に就任できたとしても、自己破産による信用力低下のリスクに留意しなければなりません。

取締役に限らず、自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されます。事故情報が抹消されるまでの5~10年間は、金融機関から融資を受けることや新規クレジット契約が困難になります。

取締役が自己破産したからといって、ただちに会社の信用が失われるとは言えませんが、自己破産をした人が取締役に再度選任されることで、 融資や取引において不利な評価を受けるおそれがあります。

特に、代表取締役が自己破産をした場合は、経営者保証による会社の資金調達が困難になるでしょう。追加融資を受ける手段が制限されることで経営が立ちいかなくなる可能性がある場合は、代表取締役個人が破産する際、会社も同時に手続きをしなければならないケースもあります。

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会社が破産したら取締役はどうなる?

取締役が会社の債務について連帯保証等をしていなければ、会社の債務を負うことは原則ありません。ただし、取締役は、破産管財人に対する説明義務を負担しているなどの点において、破産手続に協力する義務が残ります。

連帯保証等の事実がなければ会社の債務は負わない

取締役が会社の債務について保証人、連帯保証人、連帯債務者になっていなければ、会社が破産しても会社の負債を負うことは原則ありません。

取締役が会社の債務について保証人、連帯保証人、連帯債務者になっている場合には、債務の返済義務を負うことになるため、会社の破産に伴って取締役も破産しなければならないこともあり得ます。

会社についての破産手続開始決定により財産の管理処分権限を失う

会社が破産手続開始決定を受けると、会社の財産の管理処分権は破産管財人に移ります。そのため、取締役は、会社財産の管理処分ができなくなり、報酬も得られなくなります。

ただし、役員の選任や解任などの財産の管理処分以外の会社組織にかかる行為は、破産者たる会社が自ら行えるものと解されています。そのため、会社が破産手続開始の決定を受けても、会社財産の管理処分権とは無関係の会社組織にかかる行為等については取締役の権限を行使できることがあります。

破産管財人等に対する説明義務の負担や居住地の制限が課せられる

会社の理事、取締役、執行役、監事、監査役及び清算人は、破産法上、破産管財人等に対する説明義務を負います(破産法第40条)。

居住制限の対象となる破産者は、自然人に限られますが、破産者の法定代理人・支配人・理事・取締役・執行役についても準用されるため(破産法第39条)、裁判所の許可なく居住地を離れらません。

もっとも、実務上は、破産者である会社の申立代理人が事前に破産管財人の同意を得て、裁判所に許可を求める等の対応をとるため、支障が出ることはほとんどありません。

裁判所は、以下の事情がある場合を除いて居住地を離れること(住所の変更、2泊以上の宿泊を含む旅行・出張、海外旅行)を認める傾向にあります。

  • 破産手続きの進行に支障を及ぼす場合
  • 債権者の利益を損なうような特別の事情がある場合
  • 財産隠しや逃亡を目的として居住地を離れる蓋然性が高い場合

破産手続きが終了すれば、これらの制限は解除されます。

取締役が会社に損害を与えた場合は責任を追及されることもある

取締役等が会社に対して負う善管注意義務忠実義務に反し、会社に損害を与えたときは、破産管財人が取締役等の責任を追及することもあります。

法令・定款違反や善管注意義務に反した競業取引・利益相反取引等により会社に損害を与えた場合などです。
具体的な法令等への違反ではなく、通常の判断の誤りでいわゆる経営責任を問われることはほとんどありません。取締役が行う経営上の判断について、決定の過程や内容に不合理な点がない場合は、たとえその判断によって会社に損害が生じたとしても、取締役としての善管注意義務違反にはあたらないと考えられているからです(経営判断の原則)。

ただし、多額の粉飾決算財産隠し明らかな違法行為があった場合などは、破産手続きの中で役員責任査定手続と呼ばれる責任追及を受けたり、破産管財人から損害賠償請求の訴えを提起されたりするケースもあります。

自己破産以外で取締役の債務を整理する方法

ここでは、自己破産以外で取締役個人の債務を整理する方法を紹介します。

任意整理

任意整理とは、裁判所を通さず、債権者との話し合いにより返済方法を変更する手続きです。

将来利息や遅延損害金の免除により返済総額を軽減したり、返済期間を延長して毎月の返済額を軽減したりすることを目的とします。

毎月の負担を軽減できれば、借金を3~5年で完済できる見込みがある場合に利用を検討できます。

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個人再生

個人再生とは、裁判所を通じて借金を概ね5分の1に減額し、減額後の借金を原則3年(最長5年)かけて返済する手続きです。債務者が返済計画を立て、裁判所に認可されれば残りの借金の返済義務が免除されます。

住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下で、減額後の借金を3年以内(または5年以内)に完済できる安定した収入を得られる見込みがある方が利用を検討できます。借金の理由を問われないので、ギャンブルや浪費が原因でも条件を満たせば利用できます。

住宅資金特別条項を適用できる場合は、マイホームを手放さずに、住宅ローン以外の借金を整理できます。

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まとめ

自己破産をすると、破産手続開始決定に伴い、取締役を退任しなければなりなせんが、その後の再選任されれば取締役に復帰できます。とはいえ、形式上はいったん退任することになるため、他の取締役等の事前理解は一定程度必要となります。

現に取締役の任に就いていて自己破産を検討している方は、あらかじめ弁護士に相談することをおすすめします。

ネクスパート法律事務所には、経営者の方や役員の方、会社・法人の破産手続きを含めた債務整理の解決実績が豊富な弁護士が多数在籍しております。

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