公務員は自己破産できる?手続きする際の注意点
公務員だから自己破産ができないということはありません。
しかし、公務員が自己破産をすると、懲戒免職処分になってしまうのではないか?出世に響くのではないか?と心配される方も少なくありません。
この記事では、職場には知られたくない場合など、公務員の方が自己破産手続きをする際の注意点について解説していきます。

自己破産以外の方法で借金問題を解決できることもあるので、借金でお困りの公務員の方はお気軽にご状況をお聞かせください。
公務員が自己破産しても懲戒や免職にはならない
国家公務員でも地方公務員でも、自己破産をしたことは公務員の欠格事由ではないため、自己破産をしたことが原因でクビになることはありません。
破産手続開始決定が出ると、一部の職業や資格が制限を受けます。
代表的なものとしては、弁護士・司法書士・公認会計士・税理士などの資格が必要な職業や生命保険募集人・警備員などで、これらは法律に定められています。
自己破産することが職場に知られることはないか?
法律上は自己破産してもクビにはならないと言われても、やはり職場に知られてしまったら出世やその後の異動などに響くのではないかと不安になる方もいらっしゃると思います。
自己破産をすると、破産手続開始決定が出た時と免責許可決定が出た時の2回、官報という国が発行している新聞のようなものに掲載されます。
ただし、共済組合から借り入れがある場合には注意が必要です。
自己破産をする場合には、すべての債権者に受任通知を発送し、自己破産申立書に添付する債権者一覧に記載しなければなりません。
もし共済組合から借り入れがある場合には共済組合に受任通知や裁判所からの通知が届くことになります。
共済組合からの借り入れは、ほとんどの場合で給与からの天引きで返済をしています。
自己破産をする際には、すべての債権者を平等に扱わなければならず、一部の債権者にだけ返済を続けることは許されませんので、給与から天引きされる返済もストップしてもらう必要があります。
そのため、職場の給与の担当者などには知られてしまうことになるでしょう。
どうしても職場には知られたくない場合には、債務整理をする債権者を選べる任意整理をするという選択肢もあります。
任意整理は、裁判所は関与せず、債権者(お金を貸した側)と債務者(お金を借りた側)による話し合いで解決する方法です。
多くの場合では、元金と合意する日までの利息や遅延損害金を3年~5年程度で分割して支払っていくことになります。
任意整理をしなければ将来発生する利息も支払わなければなりませんが、任意整理をすることで将来利息をカットすることが可能です。
ただし、任意での交渉なので債権者が応じてくれない可能性があることや、利息制限法の定める法定利率を超える利率での取引があった場合などを除き、元金を減額してもらうことはできない点に注意が必要です。
公務員が自己破産手続きをする際の注意点
では、公務員が自己破産手続きをする際の注意点を見ていきましょう。
自己破産は20万円以上の価値がある財産はすべて処分されてしまいます。
自宅や車、生命保険などが該当することはよく知られていますが、実は退職金も処分される財産の対象となります。
公務員の場合には、退職金が高額になる可能性があるので自己破産をするタイミングなどは注意した方がよいでしょう。
公務員に限らず、一般の会社員の場合でも自己破産の際に退職金が問題になることについては変わりません。
退職金は、4分の1が処分の対象となります。
処分の方法としては会社を退職して退職金をもらい債権者への配当に充てるか、破産管財人が職場に対して退職金の4分の1を前払いするように請求することになります。
そのため、破産する人が、破産管財人に退職金見込額の4分の1に相当する金額を支払うという方法をとることが一般的です。
この退職金の4分の1という金額は大きな金額になることもあります。
また、自己破産してもその会社に勤務し続ける場合、退職金を受け取ることができるのはまだ何年も先になることや、本当に受け取ることができるのか不確かな場合もあります。
そこで、自己破産手続をする際にまだ退職をしておらず、しばらく退職する予定もない場合には、東京地方裁判所では退職金の4分の1でなく8分の1を処分するという扱いになっています。
すでに退職していて、自己破産手続前に退職金が口座に振り込まれている場合は退職金としてではなく、預金としての扱いになるので、20万円を超えると処分されてしまいます。(現金と合計して99万円までは処分されないという扱いになることもあります。)
まとめ
公務員だからといって自己破産をできないわけではありません。
また、自己破産をしたことを理由に懲戒免職処分になることはないでしょう。
しかし、職場に知られて出世に響くことは避けたい場合には任意整理を検討するとよいかもしれません。
退職を考えている場合には、自己破産をするタイミングも重要になります。
個別の事情については弁護士に相談することをおすすめします。