アイ・アール債権回収から訴訟等申立予告通知が届いた場合の対処法
アイ・アール債権回収から書面が届いた際、身に覚えがないからといって放置してはいけません。アイ・アール債権回収は、法務大臣の許可を受けて貸付金等の債権の回収を専門的に行っている会社です。
あなたが他の消費者金融や銀行等から借入れた債務を、アイ・アール債権回収が取り立てている可能性があります。
この記事では、アイ・アール債権回収から訴訟等申立予告通知が届いた場合の対処法について解説します。
目次
アイ・アール債権回収の訴訟等申立予告通知・債権譲渡通知書・特別和解のご提案とは
ここでは、アイ・アール債権回収の概要や同社から届く書面の内容について解説します。
アイ・アール債権回収株式会社とは
アイ・アール債権回収株式会社は、アコムグループ傘下の債権回収会社です。法務大臣の許可を得て、金融機関やカード会社から債権の管理回収に関して委託を受け、または債権を譲り受けて管理回収を行っています。
アイ・アール債権回収が債権回収業務を受託している原債権者は、主に以下のとおりです。
- アコム株式会社
- 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
- 株式会社アプラス
- アフレッシュクレジット株式会社(旧ジェイシーケークレジット株式会社)
- 株式会社かんそうしん
アイ・アール債権回収から書面が届いたら、身に覚えがない会社だからといって詐欺や架空請求と決めつけず、中身をよく確認しましょう。
訴訟等申立予告通知とは
訴訟等申立予告通知とは、滞納している債務を指定された期日までに返済しなければ、債権者が裁判や支払督促等の法的措置に移ることを予告する書面です。通常、滞納している債務の一括払いを求められます。
訴訟等申立予告通知を無視していると、アイ・アール債権回収に裁判や支払督促を申立てられるおそれがあります。
債権譲渡通知書とは
債権譲渡通知書は、債権譲渡により債権者が変わったことを債務者に知らせる通知です。
債権譲渡通知書は原債権者(元の債権者)から債務者に送付されます。これに併せて、アイ・アール債権回収から債権譲受通知書が届くことがあります。
いずれの書面にも、譲渡人と譲受人の氏名・名称が記載されており、どの会社の債権がアイ・アール債権回収に移ったのかが確認できます。
特別和解のご提案とは
アイ・アール債権回収からの手紙や電話を無視し続けていると、特別和解のご提案と題する書面が届くことがあります。
特別和解のご提案には、滞納している債務残高の80%を指定期日までに一括で返済すれば完済(残額を免除)とみなす旨が記載されています。
一見すると、債務者に有利な和解(減額)提案に思えますが、すぐに飛びついて電話をしてはいけません。特別和解のご提案が届いた時点で、債務の消滅時効期間が経過している可能性があります。
時効期間が経過していても連絡して支払いの約束をすると、消滅時効を主張できなくなります。
特別和解のご提案には原債権者への最終返済日等が記載されていません。
そのため、それまでに届いた債権譲渡通知書または債権譲受通知書を確認し、原債権者への最終返済日または期限の利益喪失日から5年または10年を経過していないか確かめましょう。
アイ・アール債権回収からの身に覚えがない訴訟等申立予告通知への適切な対応方法
アイ・アール債権回収からの請求に身に覚えがなくても、訴訟等申立予告通知は無視せず適切な対応が必要です。
ここでは、アイ・アール債権回収から訴訟等申立予告通知を受け取った際の適切な対応方法を解説します。
安易にアイ・アール債権回収に連絡しない
アイ・アール債権回収から訴訟等申立予告通知が届いても、すぐに連絡せず、書面に記載された内容をしっかり確認しましょう。
時効成立の可能性がある場合に、安易に連絡すると返済の約束を取り付けられたり、債務を承認したものとみなされたりして、時効を主張できなくなるおそれがあります。
時効が成立していないか確認する
訴訟等申立予告通知の契約明細欄に[約定延滞発生日]の記載があります。そこに書かれた日付から5年または10年以上経過しているかどうかを確認しましょう。
2020年4月1日以後に借入れた債務なら、[約定延滞発生日]に記載された日付から5年が経過していれば消滅時効が成立している可能性が高いでしょう。
2020年3月31日以前に借入れた債務は、原債権の種類によって時効消滅期間が以下のとおり異なります。
- 消費者金融、クレジットカード会社、銀行等からの借入れ場合:5年
- 個人・信用金庫・信用組合・住宅金融支援機構からの借入れの場合:10年
例えば、原債権者がアコム株式会社であれば、[約定延滞発生日]に記載された日付から5年が経過していれば消滅時効が成立している可能性があります。
アイ・アール債権回収への時効援用の通知方法
ここでは、アイ・アール債権回収への時効援用の通知方法について解説します。
時効の援用とは
時効の援用とは、時効の完成によって利益を受ける者(債務者)が、消滅時効の制度を利用することを、相手方(債権者)に伝えることです。
消滅時効によって債務の返済義務を消滅させるには、時効の援用を行わなければなりません。
時効援用の方法
時効援用の意思表示は、口頭・書面のいずれでもできます。
ただし、口頭では証拠が残らないため、通常は、消滅時効援用通知書を作成して配達証明付き内容証明郵便で債権者に送付します。
消滅時効援用通知書には、以下の事項を記載します。
- 差出人の住所・氏名・連絡先
- 債権を特定する情報
- 消滅時効が完成していること
- 消滅時効を援用すること
- 時効援用通知書を送付する日付
消滅時効援用通知書の書き方や記載例は、下記関連記事をご参照ください。
アイ・アール債権回収からの請求が時効にかかっていなければどうなる?
ここでは、アイ・アール債権回収からの請求が時効にかかっていなければどうなるのかについて解説します。
原債権者への最終返済日(一度も返済していない場合は契約日)の翌日から5年または10年経過していなければ、時効は成立せず返済義務が残ります。
時効期間満了まであと数日であれば、時効期間の経過を待って時効援用の手続きをとるのも手段の一つですが、その間にアイ・アール債権回収が法的措置に移る可能性もあります。
原債権者から既に裁判や支払督促を申立てられ、裁判所から判決や支払督促が発布されている場合は、最終返済日(または契約日)から5年または10年が経過していても時効は成立しません。
返済義務が残る場合には、返済計画を立ててアイ・アール債権回収に相談しましょう。
遅延損害金や利息が膨らんで、自力では完済できる見込みがない場合には、弁護士に相談して債務整理を検討することをおすすめします。
アイ・アール債権回収から訴訟等申立予告通知が届いたらすぐに裁判になる?
ここでは、アイ・アール債権回収から訴訟等申立予告通知が届いたら、すぐ裁判や支払督促を申立てられるのかどうかについて解説します。
訴訟等申立予告通知が届いても、すぐに裁判や支払督促が申立てられるとは限りません。
アイ・アール債権回収は、同通知に記載された返済期限を経過してから裁判や支払督促の申立準備に移るので、一定期間の猶予はあります。
ただし、法的措置を回避するためには、同通知書に記載された返済期限までに何らかのアクションを起こさなければなりません。請求された債務残高を一括で払えない場合には、訴訟等申立予告通知を受領後、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
アイ・アール債権回収が法的措置に移る前に債務整理をすれば、財産差し押さえ等のリスクを回避できます。
まとめ
アイ・アール債権回収から書面を受け取ったら、同社に連絡する前に無料相談を活用して弁護士に相談するとよいでしょう。
時効期間が経過していれば、時効を援用することで返済義務を消滅できる可能性があります。弁護士であれば時効成立の可能性があるかを的確に判断できます。
返済義務が残る場合には、早期に債務整理をすることで裁判や差し押さえのリスクも回避できます。
アイ・アール債権回収からの請求が時効にかかっているかどうか自分では判断できない方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
返済義務が残る場合も、最適な解決方法をご提案します。