自己破産で個人間の借金はどうなる?債権者に迷惑をかけない方法とは? - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産で個人間の借金はどうなる?債権者に迷惑をかけない方法とは?

自己破産は、借金問題を解決するための法的手段であり、借金の返済義務を免除する手続きです。

クレジットカード会社や消費者金融などの借金だけでなく、個人間の借金も対象になります。

友人や家族から借りたお金も返済義務がなくなりますが、それがきっかけで、トラブルに発展する可能性もあるでしょう。

ここでは、自己破産と個人間の借金に関する具体的な解説や注意点について詳しく説明します。

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自己破産で個人間の借金はどうなる?

自己破産をすると借金がどうなるか説明します。まずは、正しい認識を持ちましょう。

自己破産をするとすべての借金が清算される

自己破産を申請し裁判所から免責が認められると、原則としてすべての借金は清算され、返済義務が免除されます。

  • 銀行
  • 消費者金融
  • 信用金庫
  • クレジットカード(リボ払いやキャッシング)
  • 奨学金

様々な借入先がありますが、すべての返済が免除されます。ただし、損害賠償金の一部や滞納した税金などは、免責を得た後も支払い義務が残ります。

個人間の借金も清算の対象となる

個人間でお金を借りた場合も、自己破産手続きによってその借金も清算の対象となります。

たとえば、友人や家族から借りたお金も、法律上の債務である以上、他の金融機関からの借金と同じく、破産申立書に記載しなければなりません。

自己破産が認められれば、個人間の借金も免責されるため、返済の義務はなくなります。

債権者の1人として破産時に配当を受け取れる

自己破産手続きが進行すると、債務者の財産が清算され、その財産が債権者に配当されることがあります。

例えば、単純計算ですが、破産者が所有していた自宅を売却したところ、1000万円の利益がでたとします。債権者が5名いた場合、その1000万円を5名で公平に分配するようなイメージです。

債権者の一人として配当を受け取れるのは、個人であろうと、法人であろうと変わりません。

もちろん、破産者がこれといった財産を所有していない場合には、換金できるものがないため、債権者への配当も期待できないでしょう。

自己破産時に清算されない個人間の借金

自己破産をすれば、すべての借金の返済が免除されます。しかし、借金にあてはまらない支払い義務は自己破産をしても清算されません。

自己破産時に清算されない債務のことを非免責債権と呼びますが、どんなものがあてはまるか、以下で紹介します。

悪意で加えた不法行為による損害賠償権

悪意を持って加えた不法行為による損害賠償金の支払い義務は、自己破産をしても清算されません。例えば以下のものがあてはまります。

  • (悪意を持って)相手の車を傷つけた際に発生する修理代
  • 物を盗んだり、だまし取ったりすることで発生した損害賠償金
  • モラハラなどによって与えた精神的損害(慰謝料) など

悪意を持って与えた行為によって発生した損害賠償金が自己破産で清算できてしまうと、自己破産を見越して不法行為をする人が出てくる可能性があります。

そうならないよう、上記の行為で発生した損害賠償金は、自己破産では清算できないようになっています。

生命または身体を害する不法行為による損害賠償権

故意または重大な過失により加えた、人の生命や身体を害するような不法行為で発生した損害賠償金も、自己破産では清算されません。

上記の、悪意で加えた不法行為による損害賠償権と似ていますが、こちらは人の体に与えた損害などに限られます。それでは例をあげてみます。

・相手に暴力を振るうことで発生した損害賠償金(治療費や慰謝料など。暴力を振るえば相手がけがをすることはわかるので、故意に該当する)

・飲酒運転によって発生した交通事故の損害賠償金(治療費、休業損害、車の修理代、慰謝料など。事故自体はわざとではないが、一般的な注意義務を著しく欠いているため。、重大な過失に該当する)

これらの行為も、自己破産したもの勝ちを防ぐような仕組みになっています。

養育費や婚姻費用

婚姻中の生活費(婚姻費用)や、離婚後に支払う養育費も、自己破産では清算することができません。

これらは家庭における扶養義務の一環として特別に扱われており、破産手続きを経ても、支払い義務が残ります。

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個人間で借金がある人が破産時にしてはいけないこと

個人からお金を借りている人が自己破産時にしてはいけないことを紹介します。これを守らないと、自己破産が認められなくなったりする可能性があるので注意しましょう。

個人間の借金だけを優先して返済する

例えば、「知人に借りたお金だけは返済したい、迷惑をかけたくない」などと考え、他の業者から借りた借金は返済せずに、個人間の借金だけを返済するのはいけません。

自己破産の手続きがはじまり、各社への返済がストップしている状況で、個人間の借金だけを返済すると、その知人だけが得をし、他の業者が損をすることになります。

債権者平等の原則にのっとり、すべての債権者に平等に返済しなければいけないため、知人にだけ返済していることが発覚すると、裁判所からすでに支払ったお金の返還を求められる可能性があります。

それだけでなく、偏波弁済(へんぱべんさい、特定の債権者だけを優遇する行為)に該当することで、破産手続き自体が認められなくなる可能性があります。

知人に迷惑をかけたくない気持ちはわかりますが、逆に迷惑がかかるだけでなく、自分も損をする可能性があるので、絶対にやめましょう。

自己破産時に個人間の借金の存在を隠す

裁判所に破産を申し立てる際、債権者名簿と呼ばれる、お金を借りている人たちのリストを提出します。

破産手続きが無事認められれば、債権者名簿に記載されている相手(業者)からの借金は清算されます。

しかし、債権者名簿に記載がなかった債権者の借金は残り続けます。

特定の債権者を優遇するため、あえて債権者名簿に記載していないことが発覚した場合、免責不許可事由に該当し、自己破産が認められなくなる可能性があるため、絶対にやめましょう。

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貸主に迷惑をかけずに借金問題を解決する方法

個人間で借金がある人が自己破産時にしてはいけない行為を紹介しました。ここからは、お金を貸してくれた知人や家族に、迷惑をかけずに借金問題を解決する方法を紹介します。

自己破産後に借金を返済する

自己破産をした際になくなるのは、借金を返済する義務です。つまり、返済義務はないものの、借金自体は残っているのです。これを自然債務と呼びます。

自然債務は、自己破産が済んだあとに、破産者自らの意思で返済していくことが可能です。

法的な返済義務は消えるため、債権者側から返済を求めたり、法的措置を取ったりしても意味がありません。あくまで、破産者自らの意思で返済していくことになります。

家族や知人からお金を借りていた場合、自己破産前に話し合いを行い、破産手続きが済んでからコツコツと返済していく約束をすることなどが可能です。

任意整理を行う

自己破産することで知人などに迷惑をかけたくない場合、別の債務整理手続きをすることも検討しましょう。

知人に迷惑をかけたくない人は、任意整理がおすすめです。任意整理とは、裁判所を通さず、債権者と直接、借金減額の交渉をしていく手続きです。

自己破産や個人再生などの裁判所を通した債務整理手続きは、すべての借金が一律で減額や返済免除の対象となります。

しかし、任意整理は裁判所を通さない私的な手続きのため、任意整理する相手としない相手を自分で選ぶことができます。

債権者が4名いると仮定して、個人間の借金が混ざっている場合の対応例を紹介します。

業者 借入額 対応
A消費者金融 200万円 借入額が多いので任意整理する
Bクレカ 20万円 借入額が少ないので任意整理しない
C奨学金 100万円 奨学金は任意整理できないので任意整理しない
D友人 30万円 今まで通り返済を続ける

このような形で、比較的借入の大きいA社を任意整理することで、BCDの返済を継続することができます。

あまりに借入額が大きい人や、現状収入が少ない人などは、任意整理は認められない可能性がありますが、選択肢のひとつとして考えておきましょう。

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個人間の借金でお金を貸した側ができること

次は、お金を貸した側の目線に立って考えてみます。お金を貸している相手が自己破産をしようとしているとき、こちらは何ができるのでしょうか。

自己破産前に法的措置を取る

自己破産をする前に、貸主は法的措置を取って借金を回収することが考えられます。

たとえば、債務者に対して訴訟を起こし、判決に基づいて強制執行を行うことが可能です。

ただし、自己破産が開始されると回収が難しくなるのと、こちらが法的措置を取ったことがきっかけで破産手続きを開始する可能性があるため、必ずしもうまくいくとは限りません。

免責不許可事由を立証する

債権者が免責不許可事由に該当する証拠を提示できれば、裁判所が債務者の免責を認めない可能性があります。

たとえば、債務者が悪意ある行為で借金を作った場合、その証拠を揃えることで破産を阻止することができます。

借用書や公正証書を作成する

個人間でお金を貸す場合、借用書や公正証書を作成しておくことで、法的に有効な証拠となります。

特に公正証書は法的拘束力が強いため、万が一返済されなかった場合でも速やかに強制執行が可能です。

強制執行とは、債務者の財産を差押えて換金したり、給与口座から毎月一定額のお金を差し押さえることなどです。

つまり。債務者が財産を持っていなかったり、収入がなかったりする場合には意味がありません。

相手の個人情報は正確に把握する

貸主としては、借り手の個人情報を正確に把握しておくことが大切です。

借用書や公正証書に正確な情報を記載しておけば、万が一返済が滞った場合でも法的手続きをスムーズに進めることができます。

担保を設定する

個人間の借金でも、担保を設定しておくことでリスクを減らすことができます。担保とは、債権者の損害をカバーするものです。

不動産や車などの担保を設定することで、万が一返済が滞った際にも、担保を処分して借金を回収することができます。

個人間の借金に関するよくある質問

最後に、個人間の借金に関するよくある質問を紹介します。

借用書なしでも個人間の借金は自己破産できる?

借用書がない場合でも、個人間の借金は自己破産の対象となります。借用書がなくても、貸借関係が明確であれば、裁判所は借金として認めます。

証拠として、返済に関するメッセージや振込履歴などがあると、債務として認定されやすいです。

個人再生で個人間の借金はどうなる?

個人再生を行う場合、個人間の借金も対象となります。個人再生は借金の一部を免除し、残りを3年から5年かけて返済する手続きです。

個人間の借金もこの手続きの中で調整され、再生計画に従って返済されることになります。

個人間の借金が返せないときは自己破産してもいい?

個人間の借金が返済できない場合も、自己破産を選択することは可能です。

ただし、家族や友人との信頼関係に影響が出る可能性があるため、事前にしっかりと話し合い、理解を得ることが大切です。

まとめ

自己破産は、借金問題を解決するための法的手続きであり、個人間の借金も清算の対象となります。

ただし、すべての債務が免除されるわけではなく、損害賠償金や、養育費など特定の債務は免責されません。

「知人に迷惑をかけたくない、でも自己破産はしたい」という場合は、自己破産の手続きが終わってから、個人的に借金を返済していくといいでしょう。

債権者名簿から知人の名前を外したり、他の借金を返済せずに、知人への借金返済をする行為はやめましょう。免責不許可事由となり、自己破産が認められなくなる可能性があります。

個人間で借金があり、さらに自己破産を検討している場合には、弁護士に相談をするのがおすすめです。間違った行動を取ることで、自己破産が認められなくなったりすることを防げます。

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