自由財産とは|新得財産との違いや自由財産の拡張について - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自由財産とは|新得財産との違いや自由財産の拡張について

自己破産には自由財産破産財団という2つの財産区分があります。

自由財産とは、自己破産をしても処分されず、手元に残すことができる財産のことです。

生活を維持するために最低限必要な財産が対象となります。

ここでは、自由財産の基本的な仕組みや、差押禁止財産・新得財産との違い、拡張制度によって自由財産の範囲を広げられるケースなどをわかりやすく解説します。

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自由財産とは

まずは自由財産の概要を説明します。

自己破産時に手元に残せる財産

自己破産をすると、原則として持っている財産は債権者への返済にあてられますが、すべての財産が処分されるわけではありません。

生活に最低限必要な一部の財産は、処分の対象外となり、破産者が手元に残すことができます。これが自由財産と呼ばれるものです。

例えば、少額の現金や日用品、生活に不可欠な家電などは自由財産にあたります。自由財産は、破産後の生活再建を支えるために重要な役割を果たします。

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自由財産に関する条文

自由財産の法的な根拠は、破産法第34条および破産法第2条第1項に定められています。

破産法第34条の3項には、破産財団に属しない財産(自由財産)についての記載があります。

3 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。

【引用:e-gov

次項で説明しますが、自由財産には、差押禁止財産や破産手続開始後に得た財産(新得財産)も含まれることがあります。

差押禁止財産・新得財産との違い

自由財産と似た言葉に、差し押さえ禁止財産と新得財産があります。

これらは、破産時に手元に残しておける財産という意味では同じですが、法律条の定義や扱いが異なります。

差し押さえ禁止財産とは

差押禁止財産とは、破産手続きに関係なく、法律上そもそも差し押さえることができないとされている財産のことです。

例えば、最低限の生活に必要な衣類や家具、年金や生活保護費などがこれに該当します。

これらは破産前であっても、債権者が勝手に差し押さえることはできません。

自己破産の際には、こうした差押禁止財産も自由財産とみなされるため、手元に残すことができます。

ただし、すべての財産が自動的に差押禁止となるわけではないため、具体的な判断は裁判所(破産管財人)に委ねられる部分もあります。

新得財産とは

新得財産とは、破産手続開始決定後に破産者が新たに得た財産のことを指します。

  1. 自己破産の申し立て
  2. 自己破産の手続き開始が決定する
  3. 新たに給与や財産を得る

破産手続き開始後に得た、③に該当する財産は、新得財産として扱われます。

これらは破産財団には組み込まれず、原則として自由財産として扱われます。

ただし、破産後に得た収入でも、あまりに高額な場合や贅沢品の購入に使われる可能性があると判断された場合には、破産手続き上の問題となる可能性もあるため注意しましょう。

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自由財産の主な例

自由財産と認められるものには、法律で定められた具体的な基準があります。ここでは、自己破産後も処分されずに手元に残せる代表的な財産を紹介します。

99万円以下の現金

自己破産では、99万円以下の現金は自由財産として手元に残すことができます。

仮に99万円以上の現金を所有している場合、超過した分が債権者の返済に充てられる可能性があります。

法的に見ても、99万円までの現金は、生きていくうえで最低限必要だとされているのです。

年金や生活保護費

公的な給付である年金や生活保護費は、法律上差押えが禁止されており、自由財産として扱われます。

これらは破産後も生活を維持するために不可欠とされるため、処分の対象にはなりません。

ただし、貯金のために口座を移して貯めていたりする場合、別途判断される可能性もあるので注意しましょう。

20万円以下の預貯金や財産

預貯金や有価証券などの資産は、1つあたりの評価額が20万円以下であれば、自由財産として認められる可能性があります。

ただし、複数の口座を持っている場合や、他の財産とあわせて評価される場合もあるため、最終的な判断は破産管財人に委ねられます。

現金であれば99万円まで自由財産として認められるのに、預貯金では20万円までという違いに、疑問を持つ方もいるかもしれません。

そのため、「では先に口座からお金を引き出して現金にしておけばいいのでは?」と考える人もいます。

実際には、破産手続前に不自然に多額の現金を引き出すと、財産隠しとみなされ、免責が認められない可能性もあります。

口座から現金を引き出すこと自体は禁止されていませんが、タイミングや金額によって扱いが変わります。

必ず弁護士に相談したうえで、正当な手続きの範囲で行動することが大切です。

生活に必要な家具や家電

生活に必要不可欠な家具や家電(冷蔵庫・洗濯機・電子レンジなど)は、自由財産として手元に残すことができます。

生活に必要不可欠であることが条件なので、例えば同じ家電を2つ所有している場合、片方は差し押さえられる可能性があります。

贅沢品や高級家電などは対象外とされる可能性がありますが、一般的な生活必需品であれば処分の対象にはなりません。

生活維持の観点から保護されています。

衣類・寝具・食器などの日用品

衣類や寝具、食器といった日用品は、破産後の生活に不可欠なものとされ、原則として自由財産に該当します。

これらは家庭内で通常使用されている範囲のものであれば差押え対象にはなりません。

ただし、ブランド品や高額な装飾品などは例外となることもあります。

自由財産の拡張とは

自由財産には法律で定められた基準がありますが、状況によってはその範囲を超えて「自由財産として認めてほしい」と申し立てることができます。

これが、自由財産の拡張と呼ばれる制度です。

裁判所の許可を得て自由財産の範囲を広げる制度

自由財産の拡張とは、破産者の生活再建を支援するために、通常は破産財団に属する財産の一部を自由財産として扱ってもらうための制度です。

この制度を利用するには、破産管財人が家庭裁判所に申し立てを行い、必要性を認めてもらう必要があります。

破産管財人とは、破産手続きのサポートを行う、裁判所が選任した弁護士だと考えてください。

拡張によって自由財産と認められるものは、例えば20万円を超える預金や、自動車、仕事で使う道具などが対象になり得ます。

破産者にとっては、生活に必要な財産を守るための重要な救済制度です。

自由財産の拡張が認められるかどうかの基準

自由財産の拡張が認められるかどうかは、その財産が破産者の生活や生計の維持にどれだけ必要か、という点が重視されます。

例えば、病気治療のために必要な医療機器や、通勤や通院に欠かせない自動車、自営業で使う仕事道具などは、実務上認められる例が多くあります。

逆に、高額すぎる貯金や明らかに贅沢品に該当するものは、拡張が認められにくくなります。

拡張の判断は裁判所の裁量によるため、根拠を明確に示して申し立てを行うことが重要です。

自由財産の拡張が認められるものの具体例

ここでは、実際に自由財産の拡張が認められやすい具体的なケースを紹介します。

認められやすいといっても、必ず認められるわけではない点に注意しましょう。

20万円以上の預貯金

原則として預貯金は20万円までが自由財産とされています。

しかし、生活費や医療費、家賃の支払いなどに必要であると認められれば、自由財産の拡張が認められる場合があります。

具体的な用途や背景を説明できれば、裁判所も柔軟に対応することがあります。

通勤・通院用の自動車

自動車は原則として換価(売却)対象ですが、拡張が認められるケースも少なくありません。

例えば、通勤に公共交通機関が使えない地域に住んでいる場合や、病気や障害のある家族の通院が必要な場合など、生活上どうしても必要なケースです。

一方、高級車や趣味目的と判断されるような車は対象外です。

自営業の仕事道具

自営業者やフリーランスなどが事業を継続するために使っている道具は、仕事を失えば収入も絶たれるため、自由財産の拡張が認められることがあります。

例えば、パソコン、理容師のはさみ、職人の機材、カメラマンのカメラなどが該当します。

生活基盤の維持に直結していると認められれば、業種を問わず対象になりうるのが特徴です。

高額医療機器

持病の治療や障害のサポートに必要な医療機器がある場合、その機器の価値が高額でも、生活維持に不可欠と判断されれば自由財産として認められることがあります。

人工透析装置や在宅酸素療法の装置など、健康や命に関わる医療機器であれば、裁判所も人道的な観点から拡張を認めやすい傾向にあります。

学資保険の返戻金

子どもの進学や教育のために積み立てられてきた学資保険も、拡張の対象となることがあります。

特に解約返戻金が教育資金として使われる予定である場合や、子どもがまだ小さく進学を控えている場合などは、生活に不可欠な支出とみなされる可能性があります。

生命保険の解約返戻金

生命保険は、解約すれば一定の金額(解約返戻金)を受け取れるため、原則として財産とみなされます。

ただし、加入目的が遺族保障や葬儀費用の準備であることが明確であり、返戻金の金額が過度に高くない場合には、自由財産の拡張が認められることもあります。

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自由財産に関するよくある質問

自由財産の拡張で99万円以上の現金は認められる?

現金については、自由財産として認められる上限が原則99万円までとされています。

これは拡張を申し立てた場合でも同様で、それ以上の現金が自由財産として扱われることは、基本的にありません。

99万円を超過した分は処分の対象になります。

退職金は自由財産の拡張が認められる?

退職金は、生活の再建に必要と認められる場合に限り、自由財産の拡張が認められる可能性があります。

支給済みか将来の支給見込みかで取り扱いが異なり、金額や生活状況なども考慮されます。

詳細は弁護士に相談するのがおすすめです。

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まとめ

自由財産とは、自己破産をしても処分されずに手元に残せる財産のことです。

生活に最低限必要な現金や日用品、一定額以下の預貯金などがこれにあたります。

状況によっては自由財産の拡張という制度を利用して、通常は処分対象となる財産を残すことも可能です。

これは、裁判所の許可を得て自由財産の対象を拡大できる制度です。

例えば、通勤や通院に必要な自動車や、自営業の仕事道具、医療機器など、生活に不可欠と認められるものは拡張が認められるケースがあります。

自己破産にあたって何が残せるのか不安な人は、判断を誤らないためにも早めに弁護士に相談することをおすすめします。

個別の事情に応じた適切なアドバイスが得られます。

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