任意整理しても意味がない3つのケース|手遅れ?意味ない場合の対処法 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

任意整理しても意味がない3つのケース|手遅れ?意味ない場合の対処法

任意整理は、借金を減額する手続きのひとつです。裁判所を通さず、債権者(貸した側)と債務者(借りた側)が直接交渉することで借金を減額させます。

任意整理は、債務整理手続きの中でも、もっとも利用件数が多く、少なくとも年間100万件以上の利用があるといわれています。

そんな任意整理ですが、一部「任意整理はしても意味ない」と考えている人がいます。「そんな簡単に借金が減るなんておかしい」という疑いがかかるのも無理はないでしょう。

ここでは、任意整理の効果や利用するメリット、任意整理しても意味ないケースなどを解説します。

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任意整理の効果について

先ほど説明した通り、任意整理は、借りた側と貸した側が話し合いをすることで借金を減額する手続きです。

貸した側からすると、借金の減額を認めたところで何のメリットもないように見えますが、減額を認めないと、かえって借金を回収できなくなるリスクが高まります。

例えば、借金を踏み倒したり、自己破産したりなどされると、借金が回収できなくなってしまうため、一般的に利用されている大手の業者であれば、任意整理(借金減額)の交渉に応じます。

それでは、任意整理をすると具体的にどのような効果が得られるのか、紹介します。

借金の利息や遅延損害金をカット

任意整理では、今後かかる借金の利息や、滞納している遅延損害金がカットされます。つまり、元金のみが残る状態となります。

任意整理前(元金+利息を返済)→任意整理後(元金のみ返済)

多くのケースでは上記の結果に落ち着きます。

しかし、借入期間が短かったり、返済回数が少ないなどの事情がある場合、利息が全部カットされず、利息を少し残して返済を続けることもあります。

減額された借金を3~5年で分割払い

交渉によって減額された借金は、3~5年で分割払いをするのが一般的です。借入額が大きかったり、これまでの利用期間が長いなどの事情がある場合には、7年など、さらに長い期間での分割払いが認められるようになります。

完済までの分割回数が明確に定められることによって、誰でも確実に完済に近づきます。

月々の支払額が極端に少なかった人をのぞいて、多くの人が、月々の支払額も減らすことができます。

任意整理前後の返済シミュレーション

それでは、任意整理をした場合としなかった場合で、借金にどのくらいの違いがあるのか、シミュレーションしてみましょう。

設定は、借入150万円、年利15%、5年返済の予定とします。それでは、以下の表をご覧ください。

任意整理前 任意整理後
借入額 150万円 150万円
年利 15% 0%
分割払いの総額(5年) 約3万6,000円 2万5,000円
支払総額 約214万円 150万円

任意整理をすることで、月々の支払いは約1万1,000円減りました。これだけだと効果が小さいように感じられますが、利息がカットされることで支払総額は約64万円カットされました。

実際のところ、借金をきっちり5年で返済できる自信がある人は、任意整理をする必要もありません。

任意整理をするのは、借金が減らなくって困っている人ですから、完済までに5年以上かかってしまう可能性が高いでしょう。

返済が長引くほど、支払うことになる利息の額が多くなるので、利息がカットされる任意整理の効果が大きくなるといえます。

任意整理ならではのメリットは?

債務整理には任意整理の他に、個人再生や自己破産などがありますが、一番多く利用されているのが任意整理です。

任意整理には、任意整理ならではのメリットがありますので、紹介します。

個人再生や自己破産について知りたい人は以下の記事をご覧ください。

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手続きにかかる費用が比較的安い

任意整理は、裁判所を介さない手続きです。裁判所を介する手続きである個人再生や自己破産と比べると、手続きにかかる費用を安く抑えることができます。

それぞれにかかる弁護士費用は以下の通り。

  • 任意整理:減額する業者1件につき数万円~
  • 個人再生:40万円~
  • 自己破産:40万円~

個人再生や自己破産は、別途、裁判所に手数料を納めなければいけないため、債務者の費用負担が大きくなります。

低い金額で始められるのは、任意整理の大きな魅力でしょう。

手続きにかかる期間が比較的短い

任意整理は裁判所を通さないため、手続きそのものもシンプルです。よって、他の手続きと比べると短期間で済ませることができます。

  • 任意整理:数ヶ月程度
  • 個人再生:半年~1年程度
  • 自己破産:半年~1年程度

債務整理の手続き自体は弁護士などの専門家が行いますが、それでも、手続きにかかる期間は短い方がいいでしょう。手続きが終わることで、ようやく不安から解放されるからです。

家族に内緒で手続きしやすい

任意整理は、家族に内緒で手続きしやすいのもポイントです。

1人暮らしの場合は別ですが、同居し、生計をともにしている家族がいる場合、個人再生や自己破産を隠し通すのは難しいです。それは、世帯としての収入に調査が入るため、家計収支表や、同居家族の給与明細などを提出する必要があるからです。

任意整理はそういった書類や手続きが必要ないため、家族にバレないように借金を減額できます。

借入先ごとに対応を変えられる

任意整理は借入先ごとに手続きする・しないを選択できます。

個人再生や自己破産の場合、本人が抱えている借金はひとまとめにして、減額や返済免除の対象になります。そのため、以下のような問題が起こる可能性があります。

  • 保証人がついている借金:債務整理すると保証人が返済を引き継ぐことに
  • 住宅や車のローン:債務整理すると購入物が引き上げられる可能性がある
  • 利用の少ないクレカなど:債務整理すると即時解約の対象に

任意整理は、減額したい借金と、したくない借金をわけて手続きできるため、上記のような問題を回避することができます。

任意整理しても意味ないケース

任意整理は必ずしも効果があるとは限りません。本題になりますが、ここでは、任意整理をしても意味ないケースについて紹介します。

借金額が少ない

借入額が少ない場合には、任意整理をしてもあまり意味がありません。任意整理は、利息や遅延損害金をカットする手続きですので、借入額が少なければ、当然、利息の金額も少なくなります。

例えばですが、30万円の借金(年18%)を3年で返済する場合、支払うことになる利息は約9万円です。9万円の減額のために、弁護士費用を数万円払うのは、あまり効率がよくありません。

任意整理は、ある程度の借入がないと効果を発揮しない手続きなのです。

借金の利率が低い

利率が低く、あまり利息が発生していない借金の場合、任意整理をしてもあまり意味がありません。

理由は、先ほどと同様で、任意整理は利息をカットして借金を減額する手続きだからです。

ただし利率が低くても、借入が高額であれば、利息が高額になるケースは考えられます。

任意整理をする意味があるかは、ケースバイケースで判断する必要があるでしょう。

借金に保証人がついている

保証人がついている借金を任意整理するのはあまり意味がありません。正確には、任意整理ができない可能性が高いです。

保証人は、本人が借金を返済できないとき、本人に代わって返済をする責任があります。

つまり、任意整理をしようとしても、減額交渉を断られてしまいます。保証人が返済をすることになるだけです。

意味のある任意整理にするための条件

任意整理しても意味ないケースについて説明しましたので、次は、任意整理が意味あるものになるための条件を紹介します。

借金額が年収の3分の1に近い

任意整理は、借入額が多いほど効果が大きくなります。借入が多いほど、発生する利息が多くなるからです。

ただし、貸金業法で、貸金業者から借入ができるのは年収の3分1が上限と定められています(総量規制)。

つまり、借入が年収の3分の1に近ければ近いほど、任意整理の効果を大きく得られることになります。

借金に利息がきちんとかかっている

借金に利息がかかっていることも、任意整理を意味あるものにするための条件です。利息が少なければ、借金減額のしようがありません。

利息が少ない借入の例としては、奨学金などがあります(奨学金は、任意整理による減額交渉を断られる可能性が高いです)。

毎月の支払いが多く生活が苦しい

毎月の支払いが多く、生活が苦しい人は、任意整理をすることで、現状から抜け出せる可能性があります。

任意整理は、債務整理の中でも、減額効果が控えめな代わりに、手続きの費用やデメリットが少ない手続きです。

減額効果は控えめでもいい、少しでも借金が減れば返済を続けられる、といった人は、比較的デメリットの少ない任意整理を選ぶと効果的です。

逆に、毎月の支払いが困難だったり、支払いができず、滞納を重ねている人は、任意整理をしてもあまり意味がありません。自己破産など、別の手続きを検討する必要があるでしょう。

任意整理ができない可能性が高いケース

次に、任意整理ができない可能性が高いケースについて説明します。

安定した収入がない

任意整理は、減額した借金を3~5年かけて分割払いで返済していく手続きです。

ですので、定職についていたり、安定した収入があったりする人でないと利用できません。安定した収入がないと、減額交渉の際に、債権者側から断られてしまう可能性があります。

3~5年で分割払いするのが困難

任意整理をしたあとは、利息がカットされ、元金のみになった借金を分割払いしていくことになりますが、それすらも払えないほど収入が少ない場合、債権者側から減額交渉を断られてしまう可能性があります。

相手が任意整理に応じない

任意整理は、裁判所を介した手続きではないため、法的強制力がありません。任意であるため、債権者側には、減額交渉を拒否する権利があります。

債権者側が定める減額の条件を満たすことができなかったり、そもそも減額交渉は受け付けないという方針の業者だったりする場合には、任意整理を断られてしまう可能性があります。

任意整理ができなかった場合の対処法

何かしらの理由で任意整理ができなかった場合は、他の債務整理で借金問題を解決しましょう。

個人再生:任意整理では効果が足りない人向け

収入が少ないことが理由で任意整理ができなかった人は、個人再生を利用しましょう。

個人再生は、裁判所を介して行う手続きで、認められれば、借金を5~10分の1まで減額することができます。例えば、1000万円の借金は最大で200万円まで(800万円減)減額することができます。

任意整理と比べると減額効果がはるかに大きいため、収入が少ない人でも利用しやすい手続きです。

個人再生は裁判所を通す手続きのため、手続きが認められる条件やデメリット、弁護士費用など、知っておかなければいけないことが他にもあります。

詳細は、以下の記事をご覧ください。

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自己破産:収入がなく返済が困難な人向け

現状収入が全くない人や、借金額が多すぎる人は、任意整理も個人再生も利用できないため、自己破産をすることになります。

自己破産は、裁判所を通じて行う手続きで、認められれば、借金の返済が免除されます。自分が所有している家や車などの財産も清算することになりますが、借金をゼロにして、新生活のスタートを切れます。

自己破産は、絶大な効果がある代わりに、任意整理や個人再生以上に条件が厳しいです。

借金を作った理由も問われますし、自己破産を前提とした借り逃げをしていないかや、財産隠しなどの不正行為がないかも調査が入ります。手続きをすれば誰でも認められるわけではない点は覚えておきましょう。

自己破産についてもっと知りたい人は以下の記事をご覧ください。

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任意整理に関するよくある質問

任意整理は遅いと手遅れになる?

手遅れになってしまうケースもあります。例えば、借金を返済せず、ずっと放置していた結果、債権者から法的措置を取られ、財産を差し押さえられてしまったケースなどです。

任意整理をすることで、債権者が同意すれば、差し押さえを止めることができますが、すでに差し押さえられてしまった財産に関しては戻って来ない可能性が高いです。

給料の一部が差し押さえられてしまっただけならいいですが、車などの高額財産を差し押さえられてしまうと、取り返すことができませんので注意しましょう。

アコムの借金は任意整理できない?

結論からいいますと、アコムの借金は任意整理可能です。

基本的には、借金の将来利息や遅延損害金をカットしたうえで、36回での分割払いを求めてきます。

借入から1年以内で任意整理をする場合、12回での分割払いを求められる可能性があるため注意しましょう。

まとめ

任意整理は、場合によってはしても意味がないことがあります。

前提として、任意整理は借金の利息をカットする手続きですので、借入が少ない、利率が低いなどの理由で利息が少ない場合、手続きをしてもあまり意味がありません。

また、借金に保証人がついている場合も、任意整理を断られるだけでなく、保証人が返済を求められるだけですので、意味がありません。

任意整理は、借入先1件ごとに任意整理するかしないかを決めることができますので、意味のあるものだけを選び、手続きしましょう。

借金にお悩みの方や、任意整理が気になる方は、弁護士に相談しましょう。

ネクスパート法律事務所では、初回30分の無料相談を行っていますので、お気軽にご利用ください。

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