自己破産はしたもん勝ち?破産の条件・デメリットや注意点を解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産はしたもん勝ち?破産の条件・デメリットや注意点を解説

自己破産は、破産法に定められた手続きで、認められれば借金の返済が免除されます。

今まで作った借金が綺麗さっぱり無くなると考えると、自己破産はしたもん勝ちと感じる人も出てくるでしょう。

実際には、自己破産にはメリットとデメリットの両方があり、すべての人がしたもん勝ちとなるわけではありません。

この記事では、自己破産はしたもん勝ちなのか、したもん勝ちになる人の特徴などを紹介していきます。

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自己破産がしたもん勝ちといわれる理由

まず、自己破産が、したもん勝ちと言われる理由について説明します。

借金がゼロになるから

自己破産最大の特徴は、認められると借金がゼロになる、です。

これまでどれだけ借金を作っていたとしても、破産が認められれば、今後の返済は必要ありません。

一方、債権者(貸した側)は、借金を回収することが難しくなります。

債務者(借りた側)が一方的に得をするところが、したもん勝ちと言われる大きな理由でしょう。

手続き開始時点で取り立てが止まるから

自己破産を弁護士に依頼した時点で、債権者からの取り立ての電話やメール、手紙などはストップします。

自己破産を依頼すると、弁護士が破産者から依頼を受けたことを通知する手紙(受任通知)を債権者に送ります。

これを受け取った債権者は、破産者本人に対して取り立てをしてはいけない貸金業法第21条の9(取り立て行為の規制)で定められています。

この時点では、まだ借金はなくなったわけではありません。

ですが、取り立ての連絡もきませんし、返済もしなくてよくなります。これも債務者側に大きなメリットがあるでしょう。

その後の生活も普通に送れるから

自己破産後は、クレジットカードを新規作成したり、貸金業者から借入をしたりすることなどが困難になりますが、それ以外の部分では普通の人と同じ生活を送ることができます。

たいしたハンディキャップもなく、借金を作る前の生活に戻ることができる点が、したもん勝ちといわれる理由のひとつです。

国が認めた正当な手続きだから

自己破産は国が認めた正当な債務整理の手続きです。

自己破産の主目的は、借金で生活が破綻してしまった人に再生の機会を与えること(破産法第一条)。

なので、決してずるいわけではありませんし、社会的制裁を受けることもありません。

債権者に対して申し訳なさを感じることはあっても、後ろめたい気持ちでその後の生活を送る必要はないでしょう。

国から再生の機会をもらったことを理解し、反省を胸に堂々と生活すればいいのです。

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甘くない?自己破産がしたもん勝ちになる人の特徴

自己破産した人全員がしたもん勝ちになるとは限りません。自己破産には手続きの条件やデメリットがあるからです。

デメリットの影響をあまり受けない人、気にならない人は、実質メリットだけを受けることができるので、したもん勝ちになります。

ここでは、自己破産がしたもん勝ちになる人の特徴を紹介します。

家や車を所有していない人

自己破産をすると、家や車などの高額財産を失う可能性が高くなります。

それは、破産者が所有している財産を差し押さえ、売却し、お金に換えた上で債権者に配当するためです。

自己破産を躊躇する大きな理由がここにありますが、元々家や車を所有していない人は、このデメリットを受けません。

これといった財産を所有していない人にとって、自己破産はしたもん勝ちになります。

今後クレカ利用や借入をしない人

自己破産をすると、ブラックリストに載り、5~10年間、クレジットカードの新規作成や借入が困難になります。

ですが、今後は現金をメインにきちんとやりくりをするという覚悟があれば、これは気になりません。住宅ローンなどを組む予定がない人なども同様です。

今後借入をしない人にとっても、自己破産はしたもん勝ちになります。

資格制限に引っかかる仕事をしていない人

自己破産の手続き中は、特定の職業や資格に制限がかかり、仕事ができなくなります。

会社員であれば、手続き期間中は部署を移動したり、休職したりする必要が出てくるでしょう。

制限がかかる職業は、弁護士や司法書士などの士業関係、金融関係、不動産関係などに集中しています。気になる方は下記リンクをご覧ください。

資格制限に該当していない場合には、手続き中もこれといった影響を受けることがありませんので、したもん勝ちになります。

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借金に保証人がついていない人

自己破産で清算される借金のうち、保証人がついているものに関しては、本人に代わって返済を引き継いでもらうことになります。

こうなると保証人に迷惑がかかり、最悪の場合、保証人まで自己破産をすることになるかもしれません。

借金に保証人がついていない場合、こういった心配は無用です。他のケースと同様で、したもん勝ちになります。

自己破産がしたもん勝ちにならないケース

自己破産がしたもん勝ちにならない人は、自己破産のデメリットを受ける人、または、自己破産のデメリットが受け入れがたい人になります。

ここでは、自己破産のデメリットとともに、自己破産がしたもん勝ちにならないケースを紹介します。

家や車などの財産が差し押さえられる

先ほども説明した通り、自己破産をすると、家や車といった高額財産を失うことになる可能性が高いです。

車はまだしも、自宅はどうしても手放したくないという方が多いでしょう。

それでも自己破産をすべきかどうか、判断しなくてはなりません。

家族に迷惑がかかる

家や車を失うことになれば、家族にも迷惑がかかります。

家を失えば引っ越しを余儀なくされますし、車を失えば家族全員の移動手段や通勤・通学手段が変わってしまいます。

仮に借金がすべてなくなったとしても、このようなケースではしたもん勝ちとはならないでしょう。

一定期間仕事ができなくなる

先ほど説明した、破産手続き中の職業・資格制限についてです。

もし制限に当てはまる仕事をしていた場合、職場の人に自己破産をしていることが知られてしまいますし、何らかの形で迷惑をかけることになります。

自己破産したことを理由に会社を解雇されることはありませんが、休職扱いとなった場合、その間の収入をどうすべきか考える必要があるでしょう。

また、役員を解任となった場合、事実上の失職となります。

制限中の生活をうまく切り抜けることができ、制限が解除された後に仕事に復活できれば問題はありませんが、そうでない場合、何かしらの悪影響を受けることが考えられます。

場合によっては、したもん勝ちとはならないかもしれません。

一定期間お金が借りられなくなる

自己破産をしてから5~10年程度はブラックリストに載り、借入に関する審査を通過するのが困難になります。

また、破産者は誰かの借金の保証人になることもできなくなります。

普段の生活を現金メインに切り替え、クレジットカードをデビットカードで代用するなどすれば、日常生活には支障が出にくいでしょう。

ですが、以下のような場面で不都合が発生する場合があります。

  • 住宅ローンが組めない
  • 自動車ローンが組めない
  • 息子・娘の奨学金の保証人になれない など

自動車は一括で購入する、奨学金に関しては機関保証(学生支援機構に保証人になってもらう)などで回避が可能ですが、住宅を一括現金払いするのは現実的に困難です。

今後大きな買い物が難しくなるという点において、したもん勝ちとはならない可能性があります。

借金が保証人に引き継がれる

自己破産がしたもん勝ちになる人の特徴の部分でも説明した通り、破産後は保証人が返済を継続することになります。

保証人は、借入者が返済できなくなったとき、自分が代わりに返済をするという契約を交わしているわけですから、当然それを守らなくてはなりません。

とはいえ、自ら進んで保証人になった人より、気は進まないが、本人を信用して保証人になった人の方が多いはずです。

実際に、自分が借りたわけではないお金を返済していくとなった場合、借入者を恨んだり、借入者と保証人の関係が悪くなったりする可能性もあります。

自己破産に至った理由などによっては絶縁などされてしまう可能性もあるでしょう。

こうなってしまうと、破産者の借金はなくなるものの、したもん勝ちとはいえなくなってしまいます。

免除されない借金(債権)がある

自己破産で返済が免除されるのは借金だけです。借金以外の債権(支払い義務)に関しては、返済を続けなくてはいけません。

これを非免責債権(ひめんせきさいけん)と呼び、以下のものが当てはまります。

  1. 滞納した税金
  2. 水道代(下水道料金のみ)
  3. 健康保険料や年金
  4. 婚姻費用や養育費
  5. 悪意を持って他人に与えた損害に対する補償
  6. 犯罪や交通違反で発生した罰金や反則金 など

⑤に関しては、例えばネット上での誹謗中傷に対する損害賠償金(名誉棄損)や、わき見運転で交通事故を起こした場合の慰謝料や損害賠償金などが該当します。

非免責債権は自己破産をしても支払いが免除されないため、先に自己破産をして借金を解消したあと、非免責債権の返済に集中するなど何かしらの手を打つ必要があります。

すべての支払い義務がなくなるわけではないため、したもん勝ちとまではいえませんが、破産者には大きなメリットがあります。

官報から自己破産したことがバレる

可能性は低いですが、官報をきっかけに自己破産したことがバレてしまうケースです。

自分から申告しない限り、破産が周囲にバレることは基本的にありません。

ただし、官報から見つかってしまった場合、話は別です。

官報とは、国から国民へお知らせをするための機関紙のことで、裁判所で行われた手続きについても掲載されます。

破産者マップと呼ばれる、官報の情報を元に、破産者の住所を地図に記載しているサイトがあります。

例えば婚約者などが面白半分で、破産者の住所を調べた結果、過去に破産していることがバレてしまう可能性もあるでしょう。

それがきっかけで信頼を失ってしまったり、破談になったりしてしまえば、したもん勝ちとはいえなくなってしまいます。

自己破産の条件

自己破産は、債務者の状況によってはしたもん勝ちとなりますが、誰でも認められるものではありません。

そもそも自己破産の条件を満たしていなければ、手続きを行うことができないためです。

ここでは。自己破産の条件について説明します。

支払不能の状態であること

まず支払不能の状態であること。支払不能とはどんな状態なのか破産法第2条の11(定義)にはこう記載されています。

11 この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態

【引用:破産法 e-gov

わかりやすくまとめるとこうなります。

  1. 本人に借金を返済できるほどの収入や能力がない状態
  2. 支払時期が来ている借金を一般的に返済することができない状態(一般的とは、すべての債権者に対して通常通りに支払いを行うこと)
  3. 継続的に返済をすることができない状態(一時的な収入の減少などではなく、これからもずっと返済が困難であること)

上記3点を満たしている状態が、支払不能です。

支払不能かどうかは、債務者本人が主観的に決めるものではなく、裁判所が客観的に評価します。

免責不許可事由に当てはまらないこと

自己破産が認められるためには、上記支払不能であることに加え、免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)に当てはまらないこと、が条件になります。

免責不許可事由とは、該当した場合に自己破産が認められなくなる行為のことで、破産法第252条(免責許可の決定の要件等)に定められています。

条文に沿って、免責不許可事由の具体例を挙げていきます。

  1. 債権者に害を与える目的で、破産前に財産を隠す・壊す・不当に価値を下げる
  2. 破産手続きを遅らせる目的で、クレカの現金化や不利な条件での転売などをする
  3. 一部の返済者にのみ返済など優遇をする
  4. 浪費やギャンブル、投資などで借金を作る
  5. 破産申し立て日から1年以内に、もう返済できないのに嘘をついて借入をする
  6. 財産や収入に関する書類を隠す・偽造する
  7. 裁判所に虚偽の債権者名簿を提出する
  8. 裁判所の調査に協力しない・嘘をつく
  9. 過去7年以内に自己破産や個人再生の一部の手続きをした

免責不許可事由に当てはまる行為が発覚した場合、原則、自己破産は認められません。

しかし、自己破産の主目的は、債務者の借金を清算し、生活再生の機会を与えることです。

本人が借金を作った理由や背景、反省や再生への努力、免責不許可事由の悪質性などを総合判断して、裁判所が最終的に破産を認めることがあります。

これを裁量免責(さいりょうめんせき)と呼びます。裁量免責について詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。

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破産できない場合は他の債務整理を利用する

自己破産が認められなかった(申立てが却下された)場合、他の債務整理を利用することも検討しましょう。

自己破産と違い、借金をすべてなくすことはできませんが、その分手続きのハードルが低かったり、デメリットが少なかったりします。

手続き名 手続きの内容
任意整理 ・裁判所を通さず、債権者と直接交渉し、借金の減額を求める手続き
・債権者が認めれば、主に借金の利息がカットされ、元金のみを分割払いすることができる
・自己破産や個人再生と違い、借入1社ごとに、手続きするかしないか決めることができる
個人再生 ・裁判所を通して、借金を大幅に減らすことができる手続き
・5,000万円以下の借金が対象で、最大で10分の1まで減額できる
・減額分は3~5年で分割払いしていく

そもそも、自分では「もう自己破産するしかない」と思っていても、実際にはそうでないケースもあります。

まずは弁護士に相談し、自己破産が妥当なのか判断してもらう必要があるでしょう。

自己破産に関するつぶやき

自己破産してよかったつぶやき

  • 自己破産をしてよかった
  • もっと早く決断すればよかった
  • その後の生活で困ることも特になかった

「自己破産をしてよかった」という内容のつぶやきが多く見られました。

自己破産で後悔したつぶやき

「自己破産する前にきちんと周囲に相談すればよかった」借金を作ったことそのものに関する後悔のつぶやきが見られました。

一方、自己破産したことそのものに対する後悔のつぶやきはあまり見られませんでした。

これは、手続き前に破産のデメリットについて、弁護士から十分説明を受けていることも関係しているでしょう。

自己破産に関するよくある質問

自己破産に関するよくある質問にお答えします。

自己破産はメリットしかない?

自己破産にはメリットとデメリットの両方があります。

メリット ・借金がなくなる
・債権者から取り立ての連絡がこなくなる
・給料の差し押さえがストップする
デメリット ・家や車などの高額な財産を差し押さえられる
・保証人が借金を引き継ぐことになる
・ブラックリストになり、一定期間借入が困難になる
・官報に個人情報が掲載される

デメリットに該当しない人や、デメリットが気にならない人にとっては、メリットしかないと感じられるでしょう。

自己破産をしたら訴えられる?

自己破産の準備中に、借金の返済を求めて裁判を起こされてしまう可能性はあります。しかし、その訴えは、破産手続きが開始した時点で中断になります(破産法第44条)。

そして、裁判所が破産手続きの開始を決定したあとは、債権者は借金の返済を求める裁判を起こすことはできなくなります。

また、詐欺等の犯罪に該当するわけでもないため、自己破産をきっかけに訴えられる可能性は低いでしょう。

自己破産後に金持ちになれる?

自己破産後は自由に仕事を選択できますし、事業を起こすこともできます。

そのため、自己破産後にお金持ちになれる可能性も十分あるでしょう。

ただし、自己破産後5~10年は借入をすることが難しいため、事業を起こすための資金は自分で調達しなければなりません。

まとめ

自己破産はしたもん勝ちなのか?について説明しました。

自己破産は借金がなくなるという大きなメリットがある一方、自身も財産を失うことになったり、保証人に迷惑がかかったりなどのデメリットも存在します。

デメリットに該当しない人や、デメリットが気にならない人にとっては、自己破産はしたもん勝ちとなるでしょう。

この記事の重要なポイントをまとめます。

  • 自己破産は合法的に借金をなくすことができるため、したもん勝ちといわれることがある
  • 自己破産にはデメリットがあるため、そのデメリットによる悪影響を受ける人は、したもん勝ちとはならない
  • 自己破産が認められる条件は支払不能であること免責不許可事由に当てはまらないことの2点
  • 自己破産したことを後悔する人はあまりいない

借金が多く、返済が困難な状況であるなら、一度弁護士に相談しましょう。

自己破産が妥当かどうか、適切なアドバイスがもらえます。

結果として自己破産をせずに済む可能性もありますし、相談者にとって損となることはないはずです。

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