自己破産は浪費が原因でもできる?注意点や自己破産するポイントを解説
ギャンブルやブランド品の購入など、浪費が原因で借金を抱えてしまった人も多いです。
浪費による借金は免責不許可事由にあたり、免除が認められないことがあります。ただし、裁量免責によって自己破産できるケースもあります。
今回は、以下の点について解説します。
- 浪費による借金でも自己破産できるか
- 浪費による借金の自己破産における注意すべきポイント
- 帽子による借金でも自己破産したいなら弁護士に依頼すべき理由
- 自己破産後の生活において注意すべきポイント
浪費による借金をなんとかしたい方はぜひご参考ください。
目次
自己破産は浪費による借金でもできるのか
ここでは借金の原因が浪費の場合でも、自己破産できるのか解説します。
浪費は免責不許可事由に該当するケースがある
上述で解説したとおり、ギャンブルやショッピングなどの浪費は免責不許可事由に該当するケースがあります。
ただしギャンブルやショッピングなどの浪費が免責不許可事由に該当するかどうかは、その人の所有している財産や資産、収入などから総合的に判断されます。
借金の主な原因が他の理由によるもので、ギャンブルやショッピングの割合が少ない場合、免責不許可事由に該当しない場合もあります。
自己破産における浪費の具体例
自己破産において、免責不許可事由とみなされる可能性のある浪費の具体例は以下のとおりです。
- 競馬・競輪・競艇・パチンコなどのギャンブル
- 収入以上のブランド品の購入
- 株式・FX・仮想通貨投資
- 大量の宝くじ購入
浪費が原因でも裁量免責で自己破産できる可能性もある
ギャンブルやブランド品の購入などの浪費が原因でも、裁量免責によって自己破産できる可能性もあります。
前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
引用: 破産法252条2項
裁判所が裁量免責を認める際には、以下の事情を考慮していると言われています。
- 支払不能に至った原因
- 支払不能から現在に至るまでの過程
- 破産申立人が反省しているか
- 債権者側の事情
- 破産手続き以外の救済手段の有無
実際に日本弁護士連合会の発表しているデータによると、免責不許可になっている破産事件は全体の約0.1%程度です。
20年 | 17年 | 14年 | 11年 | |
許可 | 96.85% | 96.77% | 96.44% | 97.85% |
不許可 | 0% | 0.57% | 0% | 0.08% |
引用:2020 年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会
浪費によりできた借金が非免責債権になることもある
浪費による借金について裁量免責が認められた場合であっても、その借金が非免責債権(悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権)に該当する場合、免除されないので注意が必要です。
非免責債権に該当するのは、以下の事例です。
- 債務超過を認識した上でクレジットカードを利用してブランド品を購入した
- 他の借入状況、使い道、保証人などについて虚偽の説明をしてギャンブルの元手になるお金を金融業者から借りた
浪費が原因の自己破産における注意すべきポイント
ここでは、浪費が原因の自己破産において注意すべき3つのポイントを解説します。
通常よりも費用がかかる
自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類があります。
自己破産の手続きの種類 | どのような人が該当するか | 費用相場 |
同時廃止 | 処分するほどの財産がない人 | 裁判所費用:1~3万円
弁護士費用:30~50万円 |
管財事件 | ・住宅や不動産を所有している人
・99万円を超える現金を持っている人 ・貯金や保険金など現金以外で20万円を超える資産を有している人 ・免責不許可事由に該当した人 |
裁判所費用:20万円〜
弁護士費用:30~80万円 |
免責不許可事由に該当する場合、自己破産手続きは裁判所によって管財事件に割り振られます。管財事件は同時廃止事件とは異なり、裁判所に20万円以上の予納金を支払わなければなりません。
手続に時間がかかる可能性もある
管財事件に割り振られた場合、同時廃止事件と比較して倍以上の時間がかかります。
同時廃止事件は約半年程度で手続きが終わる一方で、管財事件は借金の経緯などを調査する必要があるため1年前後かかります。
手続き期間中は浪費しない
浪費が原因で借金をして自己破産する場合、手続き期間中は決して新たな借入や浪費をしてはいけません。
裁判所は裁量免責をする際に、申し立て人が反省しているかを重要視しています。手続き期間中に、借金をしてギャンブルやブランド品の購入などの浪費をした場合、裁量免責してもらえません。
依存症などで新たに借金をする可能性がある人は、貸付自粛制度などを利用して、半強制的に借金できないようにするのがおすすめです。
浪費による借金が原因でも自己破産するためのポイント
浪費による借金が原因で自己破産する場合、裁判所に裁量免責を認めてもらわなければいけません。ここでは、裁量免責を認めてもらうためのポイントを解説します。
裁判所・弁護士の指示に従う
浪費による借金が原因で自己破産する場合、必ず裁判所と弁護士の指示には従ってください。
手続きの過程では、裁判所に借金の原因や経緯などを説明する必要があります。裁判所や弁護士の指示に従わず、説明の義務を果たさないと裁量免責は認めてもらえません。
また弁護士の指示に従わない場合、担当から外れる可能性もあります。当然支払った着手金も返ってこないので、手続き期間中は裁判所や弁護士の指示に最優先で従いましょう。
生活態度を改める姿勢をみせる
裁判所は、裁量免責の判断をする際に申し立て人が反省しているかどうかも重要視しています。
自分の落ち度によって債権者へ迷惑をかけたことを認めて、生活態度を改める姿勢を裁判所に示せば、裁量免責が認められる可能性も高まります。
財産隠しをしない
財産の処分を逃れるために財産隠しを行った場合、裁判所は裁量免責を認めません。
財産隠しは免責不許可事由の中でも特に悪質なものとみなされており、自己破産が認められないだけではなく、詐欺破産罪という刑事上の罪に問われる可能性もあります。
詐欺破産罪が成立した場合、以下のいずれかの刑罰を受けるおそれがあります。
- 10年以下の懲役
- 1,000万円以下の罰金
- 10年以下の懲役と1000万円以下の罰金の両方
債権者集会・免責審尋に出席する
自己破産手続きでは、債権者集会・免責審尋への出席が求められる場合もあります。債権者集会・免責審尋は、弁護人に代理出席してもらうことも可能です。
しかし裁判所に対して反省している態度を示すためにも、本人による出席の方が裁判所の心証をよくするためにも有効です。
浪費が原因の借金を自己破産するなら弁護士への相談がおすすめ
浪費が原因の借金でお困りの方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
自己破産の手続きがスムーズに進む
自己破産の手続きでは、申立の準備から必要書類の作成まで様々な事務処理を行わなければなりません。
個人で手続きを行うことも可能ですが、弁護士に依頼した場合と比較すると倍以上の時間がかかります。手続きを円滑に進めて迅速に借金から解放されるためには、弁護士に依頼しましょう。
費用を抑えられる
弁護士に依頼した場合、管財事件ではなく少額管財事件に振り分けられる可能性もあります。少額管財制度は、通常の管財事件に比べ予納金が低くなります。
管財事件に振り分けられると、裁判所に対して50万円以上の手数料を納めなければなりません。費用を抑えるためには弁護士への依頼が不可欠です。
裁量免責を得やすくなる
浪費が原因の借金を自己破産する場合、裁量免責を認めてもらえるかがもっとも重要です。
弁護士に依頼すれば、裁量免責を認めてもらうために何をすれば良いか適切なアドバイスをもらえます。
裁判所と面談を行う際にも、どのようにやり取りすれば良いのか事前に教えてくれるので安心です。
手続きに必要な期間が短くなる
弁護士が代理人の場合、申し立てから破産手続きが開始される決定が下される期間を短縮できる可能性があります。
債権者からの催促・取り立てをストップできる
弁護士に個人再生を依頼すると、すぐに催促や取り立てがストップします。弁護士が受任通知を債権者に送った場合、それ以降債務者に対して債権者が直接取り立てや催促などの連絡を行うことが法律で禁じられているためです。
自己破産以外の方法を提案してくれる
借金問題を解決する方法は自己破産だけではありません。任意整理や個人再生でも、借金を減らして返済の負担を軽減できる可能性があります。
任意整理と個人再生の効果や特徴は以下のとおりです。
特徴 | 効果 | |
任意整理 | 裁判所をとおさず債権者と直接交渉する手続き | ・利息や遅延損害金のカット
・3〜5年の分割返済 |
個人再生 | 裁判所をとおして行う手続き | ・借金を大幅に減額
・原則3年での分割返済 (最大5年まで延長可能) |
まとめ
浪費が原因の借金でも自己破産は可能です。
ただし裁量免責が認められるためには、弁護士のサポートが必須です。弁護士に依頼すれば手続きがスムーズに進み、費用を抑えられます。
浪費による借金で自己破産できないのではと悩んでいる人は、まず弁護士に相談しましょう。