自己破産の破産審尋とは?免責審尋との違いや質問内容について解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産の破産審尋とは?免責審尋との違いや質問内容について解説

自己破産を申し立てると破産審尋(はさんしんじん)が行われます。

破産審尋は、裁判所が破産手続きを開始するかどうかを判断するための面談です。

破産審尋は裁判所で行われます。財産の有無や支払い能力、免責が適用されるかどうかが審査されるため、誠実に対応することが求められます。

ここでは、破産審尋の流れや質問内容、通過するためのポイントについて詳しく解説します。

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自己破産の破産審尋とは

早速ですが、破産審尋についてわかりやすく説明します。

破産手続きの開始を判断するための面談

破産審尋は、自己破産を申し立てた本人が裁判所に出向き、破産の状況について説明する面談です。

これは、裁判官が破産手続きを開始すべきかどうかを判断するために行われます。

破産審尋では、借金をした理由や現在の生活状況、財産の有無などについて質問されます。

質問内容はほとんど決まっているうえに、弁護士も同行できるので、そこまで心配する必要はありません。

破産審尋の通過率は100%に近い

結論から言うと、破産審尋を通過できる可能性は100%に近いです。

2020年の自己破産の成功率を示すデータによると、破産申し立てのうち、97%が免責を許可されています。

日本弁護士連合会 – 2020年破産事件及び個人再生事件記録調査 の画像を引用・編集】

97%で免責が認められている=それ以上の確率で破産審尋が認められている証拠になります。

一点、注意したい点があります。それは、このデータが裁判所への申し立てに対する成功率であることです。

そもそも申し立てをしなかったケースや、弁護士から他の債務整理方法をすすめられたケースなどは含まれていません。

そのため、誰が手続きをしても必ず破産審尋や自己破産が認められるわけではないことを理解しておくべきです。

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免責審尋とは?破産審尋との違い

次に、破産審尋と勘違いされやすい、免責審尋について説明します。以下は両者を比較した表です。

破産審尋 免責審尋
目的 ・破産手続きの開始を認めるかを判断 ・借金の返済を免除するかを決定
質問内容 ・名前や住所など、申し立てに関する情報
・債務者の財産状況、借金の詳細、破産理由
・免責不許可事由の有無、債務者の誠実さ
タイミング ・破産申立て後、最初に行われる ・破産手続き終了後、最終的に行われる

それぞれ順に説明していきます。

審尋を行う目的

まずは、それぞれの審尋を行う目的です。

【破産審尋】

破産審尋の主な目的は、破産手続きを開始してもよいか判断することです。

具体的には、破産申し立て手続きが適切になされているか、破産手続きの開始要件を満たしているかなどをチェックします。

ここで判断するのは、破産手続きを開始してもよいか、であり、借金の返済免除を認めるかどうかではありません。

【免責審尋】

免責審尋の目的は、借金の返済を免除していいかどうかを最終判断するためです。

免責審尋を通過すれば、債務者は借金の免除を受け、経済的に再スタートすることができます。

審尋の内容

次に審尋(質問)の内容を比較します。

【破産審尋】

破産審尋では、名前や住所などの個人情報に加え、債務者の財産や収入、支出の詳細に間違いなどがないか調査されます。

提出書類に不備があったりすれば、破産審尋は認められません。

この審尋が通過すれば、破産手続きが開始し、財産の処分などが行われます。

【免責審尋】

免責審尋では、破産手続き開始後の生活状況や、財産の処分後に不正行為をしていないかなどが調べられます。

きちんと反省しているか、今後の生活プランについて、もう借金しないといえるかなども質問される可能性があるので、答えられるようにしておきましょう。

この審尋を無事に通過すれば、債務者は借金の免除を受けることができます。

審尋が行われるタイミング

最後に、それぞれの審尋が行われるタイミングについて説明します。

【破産審尋】

破産審尋は、破産申し立てが行われた後、最初に実施されます。この審尋が行われることで、債務者の破産手続きが開始可能か決まります。

【免責審尋】

免責審尋は、破産手続きがすべて終了した後に行われます。具体的には、債務者が持つ財産が換金され、債権者へ支払われたあとです。

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自己破産の簡単な流れ

①裁判所に破産手続きを申し立てる

まずは自分の住所の管轄にある地方裁判所に自己破産を申し立てます。必要書類の用意などが必要ですが、このあたりは弁護士に任せておくのが一般的です。

②裁判所で破産審尋を受ける

破産を申し立てた後、裁判所で破産審尋が行われます。破産審尋を通じて、破産手続きを開始するかどうかを判断します。

破産審尋では、債務者が破産に至った経緯や財産状況、借金の詳細について聞かれるので、答えられるようにしておきます。

財産隠しや不正行為についても聞かれますが、嘘偽りなく説明するようにしてください。

③破産手続きが開始する

破産審尋を通過すると、裁判所が正式に破産手続きを開始します。

破産手続きが開始されると、債務者の財産が処分され、債権者への返済が行われます。

なお、債務者の財産が処分されるのは、破産手続きの中でも管財事件の場合のみです。

同時廃止の場合、財産は処分されません(処分する財産がないため)。

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④意見申述期間(同時廃止事件のみ)

同時廃止事件の場合、破産手続きが開始されると、意見申述期間が設けられることがあります。

これは、債務者が破産手続きについて異議を申し立てることができる期間です。

債権者から反対意見が出された場合、それも参考にしながら、裁判官が免責の許可・不許可を決定します。

④財産の調査や売却・債権者集会(管財事件のみ)

管財事件に該当する場合、破産手続きが開始された後、破産管財人が財産の調査や売却を行います。

さらに、債権者集会が開かれ、債権者が集まり、配当計画などが議論されます。

この手続きが完了するまで、債務者は財産処分に関する指示に従うことになります。

⑤免責審尋

財産の売却などの手続きが終了したあと、免責審尋が行われます。前述した通り、免責審尋では、借金の返済免除を認めるかどうかを判断します。

ここでは、直近の生活状況、反省しているか、今後の生活プラン、免責不許可事由の有無などを確認されます。

免責不許可事由に該当していなければ、免責を受けられる可能性が高まります。

⑥免責が認められる

免責審尋を通過し、問題がなければ、最終的に免責が認められます。免責が認められると、破産者の借金は全て免除され、再スタートすることができます。

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破産審尋の主な質問内容

破産審尋は、破産手続きが適正に行われているか、債務者が破産手続きを正当な理由で申請しているかを確認するために行われます。

この審尋では、主に以下の内容に関する質問が行われます。

借金を作った原因や経緯について

最初に、債務者が借金を作った原因や経緯について詳細に聞かれます。

どのようにして借金が膨らんだのか、生活の中でどのような困難があったのかを具体的に説明しなければなりません。

借金を追った理由については、浪費、生活苦、失業など、正直かつ詳細に答えてください。

破産手続きが不正によるものではなく、やむを得ない事情があったことを裁判所に理解してもらう必要があります。

現状ある財産について

次に、債務者が現在所有している財産について質問されます。これには、不動産、車両、預貯金など、すべての財産が含まれます。

債務者が価値のある財産を所有しているかしないかで、自己破産の中でも手続きが変わりします。

当然ですが、財産を申告しないなどの行為はいけません。

免責不許可事由の有無について

免責不許可事由の有無も重要な質問内容です。

破産審尋では、債務者が免責を受ける資格があるかどうかを確認するために、過去に不正行為や悪意のある行動を行っていないかが問われます。

たとえば、財産を隠す、虚偽の申告を行う、過去に不正に借金を重ねたなどの行為がある場合、免責が認められないことがあります。

後述しますが、免責不許可事由に該当する行為をしていた場合、裁判所に対して嘘をついたり、隠したりしてはいけません。

後から発覚すると、より悪質だと判断されます。

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破産審尋を通過するためのポイント

破産審尋を無事に通過するためのポイントをいくつか紹介します。

嘘や隠し事を一切しない

破産審尋では、嘘や隠し事を絶対にしないでください。

初めに正直に話せば、裁量免責として破産が認められる可能性があります。

あとから虚偽の申告や隠ぺいが発覚すると、より悪質と判断され、破産が認められなくなる可能性があります。

破産審尋では、後ろめたいこともすべて正直に話すことが大切です。

免責不許可事由について反省を示す

破産申し立ての前に、免責不許可事由に当てはまる行為をしていた場合、それを認めたうえで、反省の気持ちをしっかり伝えることが大切です。

例えば「大事にしていた車を失いたくないがために、自己破産前に名義を変更したが、反省している。車を売却して、債権者への返済に充てたい」などといった具合です。

面接官(裁判官)は、債務者がその過去の行動について反省し、再発防止に努める意思を持っているかを重要視します。

遅刻・無断欠席をしない

破産審尋では、時間厳守が非常に重要です。審尋の日時に遅刻したり、無断で欠席したりすると、裁判官の心証が悪くなります。

手続きがスムーズに進まなくなったり、審尋の信頼性が損なわれたりすることも考えられるので、くれぐれも時間厳守を意識してください。

裁判所や管財人に対して謙虚に対応する

破産審尋では、裁判所や破産管財人とのやり取りが必要になります。その際、謙虚で礼儀正しい態度を心がけることが重要です。

裁判所や管財人の業務に協力的な態度を取らないと、免責不許可事由にあてはまって破産が認められなくなる可能性があるので、くれぐれも注意してください。

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破産審尋に関するよくある質問

免責審尋がなしのケースはある?

免責審尋は必ずしも行われるわけではありません。そもそも免責審尋を行わない裁判所もあります。

他には、免責審尋を書面で行うケースなども存在します。

免責審尋の質問内容は?

免責審尋では、債務者が破産に至った経緯や免責不許可事由がないかを確認するために質問が行われます。

主に、虚偽の申告や不正行為、財産の隠蔽などがあったかどうかが調べられ、破産後の生活設計についても尋ねられます。

免責審尋の期日は?

免責審尋の期日は、破産手続きがほぼ完了し、財産の清算が終了した後に決定されます。

具体的な期日は裁判所から通知され、債務者はその日時に出廷する必要があります。

まとめ

破産審尋は、自己破産手続きの最初の工程です。具体的には、裁判所で面談を行います。

破産審尋では、借金の経緯や財産状況、免責不許可事由の有無などが確認されるので、誠実に対応しましょう。

破産審尋の通過率は非常に高いですが、虚偽の申告や財産隠しが後から発覚すると問題になるので、最初から正直に説明してください。

免責審尋と混同されやすいですが、破産審尋は手続きの開始を判断する場であり、免責の可否を決定するものではありません。

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