自己破産の免責審尋とは?手続きの流れや注意点を解説
自己破産における審尋には、次の2つがあります。
- 破産審尋:破産手続開始決定の前に行う審尋
- 免責審尋:免責許可決定の前に行う審尋
審尋(しんじん)とは、裁判所が当事者や利害関係人に、意見・主張の機会を与えることです。
この記事では、免責審尋について次のとおり解説します。
- 免責審尋とは
- 免責審尋の流れ
- 免責審尋後の流れ
- 免責審尋の注意点
- 免責審尋の服装や持ち物
「審尋ってなんか怖いな」と不安に思われている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
免責審尋とは
免責審尋とは、裁判所が免責を許可するかどうか判断するために行われます。
ここでは、次の2点を解説します。
- 免責審尋の方法
- 免責審尋期日
免責審尋の方法
免責審尋には、次の2つの方法があります。
- 集団審尋
- 個別審尋
ひとつずつ説明します。
集団審尋
集団審尋とは、複数の破産者を同一期日に同一の場所に集めて、集団で審尋を行う方法です。
免責審尋が行われる場合の多くは、集団審尋の方法がとられます。
個別審尋
個別審尋は、破産者1人ごとに個別に行われる審尋です。
免責不許可事由が疑われる場合は、個別審尋が行われる可能性があります。
免責審尋期日
免責審尋期日は、破産開始決定の2~3ヶ月後くらいに行われます。裁判所は、破産手続開始後、免責審尋期日を決定します。申立代理人がついている場合は、代理人と日程調整をします。
管財事件の場合は、多くのケースで債権者集会と同一期日に免責審尋が行われます。同時廃止の場合は、法廷で行われます。
免責審尋の流れ
ここでは、免責審尋当日の流れを解説します。
免責審尋の一般的な時間は10分程度
免責審尋の一般的な所用時間は5~10分程度です。集団審尋の場合は、破産者の数によって更に時間がかかることもあります。
免責審尋には、通常申立代理人も同席します。事前に弁護士と待ち合わせ場所・時間を相談しましょう。
免責審尋で聞かれる内容
免責審尋では、裁判官から主に次の質問をされます。
- 本籍・住所・氏名に間違いや変更はないか
- 提出書類の内容に間違いはないか
- 免責不許可事由はないか
間違いや変更がない場合は、その旨を回答します。変更や免責不許可事由がある場合は、どのように回答すればよいか、あらかじめ弁護士に確認しましょう。
集団審尋の場合は、裁判官が破産者に順番に質問します。人数が多い場合、質問の順番が回ってこないこともあります。
免責審尋後の流れ
ここでは、免責審尋後の手続きの流れを解説します。
免責許可決定
免責審尋が終わると約1週間で免責許可決定が下ります(裁判所によって異なります)。
免責許可決定の送付
裁判所は免責許可を決定すると、債務者にその旨を書面で通知します。代理人がいる場合は、弁護士が免責決定正本を受領します。
債権者には公告により通知します。
免責許可決定の確定
免責許可決定から約2週間後、官報に免責されたことが公告されます。官報公告日の翌日から2週間経過すると免責許可決定が確定します。
すなわち、免責審尋終了から約5週間で破産手続が終了します。
免責審尋の注意点
ここでは、免責審尋に出席する際の注意点を解説します。
欠席できない
免責審尋には必ず出席しなければなりません。無断欠席すると、免責許可が下りないことがあります。
都合の悪い日がある場合は、裁判所が免責審尋期日を決める前に、代理人を介して事前に伝えましょう。事故や病気等によりやむなく免責審尋を欠席せざるを得ない場合は、必ず代理人に連絡しましょう。
遅刻は厳禁
免責審尋は、あらかじめ日時が定められています。遅刻は厳禁です。
交通機関の乱れがあった場合でも慌てずに済むよう、時間に余裕をもって向かいましょう。
何らかのトラブルで遅れそうな場合は、速やかに代理人に連絡してください。
免責審尋の服装や持ち物
ここでは、免責審尋の服装や持ち物を紹介します。
服装
免責審尋の服装に指定はありませんが、ラフすぎる格好や派手な色味は控えましょう。高級品を身に着けることもおすすめしません。
次のとおり、シンプルで地味な服装が無難でしょう。
- 男性:シャツ・パンツなど
- 女性:ブラウス・スカートまたはパンツ、ワンピースなど
服装に迷う場合は、弁護士に相談しましょう。
持ち物
免責審尋には、出頭カード(事前に交付された場合)を持っていきましょう。
その他必要な持ち物は特にありませんが、念のため次のものを用意すると良いでしょう。
- 身分証明書
- 携帯電話
代理人が就いていない場合は、次の書類が必要です。
- 提出書類の控え
- 免責審尋の呼び出し状
自己破産で免責審尋なしで終わることは?
自己破産では、必ず免責審尋が行われるのでしょうか?
ここでは、免責審尋が行われないケースを紹介します。
免責審尋を行わない裁判所もある
免責審尋が行われるか否かは、裁判所の運用によって異なります。免責審尋のない裁判所もあります。
東京地方裁判所は、全案件で免責審尋が行われます。
同時廃止の場合は免責審尋が省略されることがある
免責不許可事由がない破産者の場合は、免責審尋を省略する裁判所もあります。この場合は、書面審理で手続きが進められます。
まとめ
免責審尋は、裁判官が免責を認めるかどうか判断するために行われます。
裁判官からの質問は簡単なものであり、破産に至った事情を厳しく追及されることはほとんどありません。過度に心配せず、誠実に答えることを心がけましょう。
自己破産を弁護士に依頼すれば、免責審尋期日に同行してもらえます。不安な点があれば、あらかじめ弁護士に相談しましょう。予想される質問や、回答についてのアドバイスを受けられるでしょう。