銀行の借金が返せないとどうなる?すべきことややってはいけないこと
消費者金融や信用金庫などと同じように、銀行もお金を貸し付けています。住宅ローンのような借入もあれば、カードローンのような日常使いの借入もあるでしょう。
銀行の場合、比較的高額な借入をすることが多いので、返済の途中で返済が困難になることも当然あります。
銀行から借りたお金を返さなかった場合、最終的にどうなるかご存じでしょうか。
遅延損害金が加算されたり、ブラックリストに登録されたり、最終的には差し押さえに遭ったりなど、債務者(借主)にとってよくない結果がたくさん待ち受けています。
ここでは、銀行借入が返せなくなるよくある理由、返済が遅れた際の影響、対処法、絶対に避けるべき行動について解説します。
目次
銀行融資が返せない理由で多いのは?
銀行から借金をして返せなくなってしまうのにはどのような理由があるのでしょうか。よくあるケースを紹介します。
収入の減少や失業
収入の減少は、借金返済が滞る主な原因の一つです。勤務先の倒産やリストラ、自営業者の場合は売上不振が直接的な要因となります。
返済額は契約時の収入を前提としているため、収入が急減すると毎月の返済が厳しくなるでしょう。
病気やけがでの休業
病気や事故による長期休業も、返済ができなくなる大きな理由です。働けない期間が続けば、医療費などの支出も増え、返済資金の確保が難しくなります。
住宅ローンの返済を抱えている家庭では、特に大きな負担になります。
支出の増加により資金繰りの悪化
教育費や介護費用など、家族の事情で急な支出が増えると返済計画が狂います。
さらに、生活コストが上昇することで毎月の支出がかさみ、余裕資金が減少して返済が滞ることがあります。
金利の上昇による負担増
変動金利型のローンでは、市場金利の上昇に伴い、毎月の返済額が増加するリスクがあります。
金利上昇により返済負担が想定以上に重くなり、計画通りに返済ができなくなるケースが増えています。
事業の不振や倒産
事業者向けの融資では、売上低迷や倒産が返済不能の原因になります。
特に、事業資金の一部を銀行からの借入に頼っている場合、売上が減少すると運転資金が不足し、借金返済も厳しくなります。
災害や事故などの不可抗力
自然災害や予期しない事故によって、家や職場が損害を受けると、その修繕費や再建費用が大きな負担になります。災害の影響で失職することもあり、返済が滞る可能性があるでしょう。
個人向け銀行ローンの種類や金利の相場
銀行は、個人の様々な目的に合わせてローンを用意し、お金を貸し付けています。ここでは個人向け銀行ローンの種類や金利について説明します。
個人向け銀行ローンの種類
銀行が貸し付けている個人向けローンの中で一般的なものを紹介します。もちろん、各銀行によって種類は異なります。
- 住宅ローン:住宅を買ったり、建てたりするためのローン
- マイカーローン:自動車を購入するためのローン
- 教育ローン:子どもの教育費(学費)のためのローン
- ブライダルローン:結婚資金のためのローン
- ビジネスローン:事業を起こすためのローン
- カードローン:使い道に制限のないローン
カードローン以外は使用目的が決まっているため、借りたお金を目的以外のことに使ってはいけません。
カードローンは、限度額が決まっていて、その範囲内であれば、借りたり返したりを繰り返すことができます。
個人向け銀行ローンの相場は1~15%程度
個人向け銀行ローンの金利は1~15%程度が相場で、消費者金融やクレジットカード(リボ払い)よりもやや低めに設定されています。
例えば、住宅ローンは借入が高額となるため、金利も年1%前後程度まで低くなります。
逆に、カードローンは金利が高めで、少額の借り入れの場合、年15%近い値になるでしょう。
借入額が高ければ金利は低く、借入額が低ければ金利が高いのは、銀行でも貸金業者でも変わらないポイントです。
銀行の借金が返せないとどうなる?
銀行の借金を返済できない状況が続くと、段階的にさまざまなペナルティや法的措置が取られる可能性があります。
返済の遅延を軽く見ていると、損害金の増加や保証人とのトラブル、さらに最悪の場合は財産の差し押さえに至ることもあります。
ここでは、返済できない場合に起こり得る具体的な流れを説明します。
任意での返済を求められる
借金を返せない状態になると、まずは銀行から任意の返済を促す連絡が来ます。
多くの場合、電話や郵便で「いつまでに支払えるか」などのヒアリングが行われ、支払期日の再調整や一時的な猶予を提案されることもあります。
この段階では、あくまで協議の余地が残っているため、早めに対応すれば厳しい措置を避けられる可能性があります。
遅延損害金が加算される
返済が遅れると、契約に基づいて遅延損害金が発生します。遅延損害金は利息とよく似ていますが、性質が違います。
利息はお金を借りるために支払う代金、遅延損害金は、約束の期日までに支払いができなかったことに対するペナルティです。ペナルティですので、当然、金利は遅延損害金よりも高めに設定されていることがほとんどです。
つまり払い遅れると、今まで以上のペースで借金が膨らんでいきます。特に、住宅ローンや教育ローンなど、元本が大きい場合は、遅延損害金も膨らみやすいため、長期間放置すると返済総額が大幅に増加する点に注意が必要です。
連帯保証人に連絡がいく
契約に連帯保証人が設定されている場合、債務者が返済を怠ると、次に保証人へ返済の請求が行われます。
連帯保証人は債務者と同等の返済義務を負っているため、たとえ自分が借りていない借金でも、保証人は代わりに支払わなければなりません。
これにより、家族や友人との関係が悪化し、トラブルに発展することも少なくありません。
ブラックリストに登録される
借金の滞納が3か月程度続くと、信用情報機関に事故情報が記録されます。
銀行や貸金業者は、借入審査の際、申込者の信用情報をチェックしますので、ここで事故の記録が発覚すると、審査を通過するのが難しくなります。
以下、ブラックリストに登録されることによって発生するであろう影響の一例です。
- 銀行や業者からお金を借りるのが難しくなる
- クレジットカードを作れなくなり、すでにもっているものが解約になる
- ローンや分割払いができなくなる
- 誰かの借金の保証人になることができなくなる
- 引っ越しの際の入居審査委に落ちやすくなる など
ブラックリストの登録機関はだいたい5年と言われています。借金を完済してから5年なので、滞納したままだと、ブラックリストに登録されたままになります。
保証会社が代位弁済をする
銀行融資の多くは、契約時に保証会社が付いています。返済が滞ると、保証会社が銀行に対して代位弁済(借金の肩代わり)を行います。
銀行側は保証会社から返済を受けるため、銀行への直接的な返済義務は消えますが、その代わり、債務者は保証会社に対して返済を行う必要があります。
保証会社は支払いに厳しく、対応を怠ると法的措置を取られるなどのリスクが高まります。
保証会社から支払督促を受ける
代位弁済後も返済をしないままでいると、保証会社が回収を試みるため、支払督促が簡易裁判所から届くことがあります。支払督促とは、借金回収の簡易手続きだと考えてください。
支払督促を受け取った債務者は、2週間以内に異議を申し立てないと、そのまま判決と同じ効力を持つ仮執行宣言が出されます。
債権者からすればこれは、差し押さえがいつでもできる状態になった、といえるでしょう。
保証会社から通常の裁判を起こされる
支払督促に異議を申し立てた場合、通常の裁判に移行します。裁判となった場合、借入の証拠や、今までの支払いの証拠などを基に、裁判官が客観的な判決を下すことになります。
そもそもお金を借りていないなどのケースでないかぎり、債務者側が勝訴するのは難しいでしょう。
裁判で敗訴し、借金返済の命令が下ったにも関わらず返済しないでいると、いよいよ強制執行となります。
判決後に強制執行
裁判で敗訴すると、銀行や保証会社は強制執行を申し立て、裁判所が命令を下します。これにより、以下のような財産が差し押さえになります。
- 現金
- 不動産
- 自動車
- 口座にあるお金、毎月の給料
- 貴金属など金目のもの など
差し押さえた財産(現金)は、売却してお金に換えたうえで、債権者に配当します。
銀行の借金が返せないときにすべきこと
借金の返済が難しいときは、放置せずにできるだけ早く適切な行動を取ることが重要です。
早期に対応することで、状況の悪化を防ぎ、再起を図るための選択肢を増やすことができます。
ここでは、銀行への返済が難しくなった場合に取るべき具体的な行動を紹介します。
銀行にまずは連絡する
返済が滞りそうなときは、まず銀行に連絡を入れることが最も重要です。
法的措置を取るとなるとコストがかかるため、できれば任意で返済して欲しいと銀行は考えています。
だからこそ、返済の意思があることを銀行に伝えましょう。早い段階であれば、以下のような解決策が提案されることもあります。
- 返済スケジュールの見直し
- 金利など返済条件の見直し
- 返済日の猶予
公的融資制度を利用する
一時的な資金不足や経済的な困難に陥った場合は、公的融資制度の利用を検討しましょう。日本には生活や事業を支えるためのさまざまな公的支援があります。
- 生活福祉資金貸付制度:低所得者世帯や失業者を対象とした無利子・低利子の貸付
- 緊急小口資金:急な支出が必要なときに使える短期融資制度
- 総合支援資金:生活が困難になったときに利用できる長期の貸付制度
これらの制度は、銀行からの借り換えにも活用できることがあり、金利が低いため借金の負担を減らすことができます。
借り換えやおまとめをする
金利が高い複数の借金がある場合は、借り換えやおまとめローンで月々の返済負担を軽減するのも有効な手段です。
借り換えによって金利が低いローンに変更できれば、総返済額を減らせるだけでなく、一本化することで借金を管理しやすくなるでしょう。
弁護士に相談する
返済が難しく、銀行からの催促が厳しくなった場合は、弁護士に相談するのも一つの選択肢です。
弁護士に相談することで、法律的なサポートを受け、最適な解決策を提案してもらえます。
- 任意整理:債権者と話し合い、元金や利息を減額し、分割払いにする。
- 個人再生:裁判所を通じて借金を減額し、3~5年での完済を目指す。
- 自己破産:返済不能と認められた場合、債務を免除してもらう。
弁護士に依頼することで、督促や裁判への対応も代行してもらえるため、精神的な負担も軽減されます。
また、弁護士は銀行や保証会社との交渉にも強いため、債務整理の成功率が高まります。
銀行融資が返せないときにやってはいけないこと
銀行の借金を返せないときは、焦りや不安から誤った行動を取ってしまうケースが多くあります。
しかし、こうした行動は状況をさらに悪化させ、取り返しのつかない結果を招くこともあります。
問題が生じたときには、冷静に対処することが大切です。ここでは、絶対に避けるべき行動を詳しく解説します。
銀行からの連絡を無視する
最も避けなければならないのは、銀行からの連絡を無視することです。返済の遅延が発生した場合、銀行は状況の確認や解決策を話し合うために、電話や郵便で連絡を取ってきます。
債務者が銀行の連絡を無視する理由は、主に以下のような理由ではないでしょうか。
- 過去に何度も無視をしているので今さら電話を取りづらい
- 返済できるお金がないので、電話に出ても何を話していいかわからない
- 電話で何を言われるかわからないので恐怖心がある など
債務者本人は後ろめたさや申し訳なさから無視をしているとしても、銀行側はその真意を確かめることができません。
結果として、連絡に応じない=返済するつもりがないとして、法的手段を取らざるを得なくなります。
状況が悪化する可能性が高いので、今からでも銀行に連絡をいれましょう。
借りたお金で銀行に返済する
別の金融機関や消費者金融から新たに借金をして、その借金を返済に充てる行為は非常に危険です。
これを繰り返すと、いわゆる自転車操業の状態に陥り、借金が雪だるま式に増えていきます。
特に、消費者金融やカードローンは銀行ローンよりも金利が高いため、返済負担がさらに増えることになるでしょう。
無理に返済を続けるよりも、早い段階で銀行に相談し、返済計画の見直しや他の解決策を検討するほうが得策です。
クレジットカードの現金化
クレジットカードの現金化とは、商品券や電子マネーをカードで購入し、それを売却して現金を得る行為を指します。
この方法は、一見すると簡単にお金を調達できるように見えますが、違法行為として扱われる可能性があり、カード会社との契約違反にもなります。
現金化が発覚すると、カードの利用停止や一括返済の請求が行われ、さらなる借金の原因となるおそれがあります。
また、現金化で得たお金を返済に充てても、根本的な解決にはなりません。
違法な業者から借り入れる
返済に行き詰まったときに、闇金業者などの違法な貸金業者に手を出すことは絶対にやめてください。
闇金は法外な高金利で貸し付けを行い、返済が少しでも滞ると、厳しい取り立てや嫌がらせを行います。
一度闇金から借りると、返済不能になりやすく、日常生活にも支障が出ます。
仮にすぐにお金が必要であっても、違法業者から借り入れることは絶対にやめ、正規の金融機関や公的な支援制度を活用するようにしましょう。
銀行の借金に関するよくある質問
会社が倒産したら銀行の借金はどうなる?
会社が倒産した場合、個人の借金と会社の借金の取り扱いが異なります。
法人名義の場合、法人が倒産した時点で借金もなくなります。代表者が連帯保証人となっている場合には返済義務が残ることになるでしょう。
個人名義で事業資金を借りていた場合、会社の倒産とは関係なく、個人で返済を続けなければなりません。
無職で借金が払えないときはどうする?
無職で借金が払えない場合には、自己破産をして借金の返済を免除したり、生活保護などの公的支援を利用することで生活を安定させたりする必要があります。
まとめ
銀行からの借金が返せなくなる状況は、収入の減少や失業、病気、金利の上昇など、誰にでも起こり得る問題です。
しかし、放置してしまうと遅延損害金の加算や信用情報の悪化、保証人への請求、最悪の場合は強制執行といった深刻な事態に発展します。こうした状況を回避するためには、焦らず冷静に対応することが重要です。
まずは銀行に連絡し、返済の意思があることを伝えたうえで、公的支援制度、おまとめローンなどを検討します。
どうしても借金の返済が難しい場合には、弁護士に相談して、債務整理を行いましょう。
借金に困ったときは、一人で抱え込まず、専門家や金融機関に相談してください。早期の相談が、トラブルを未然に防ぐ第一歩となります。