痴漢の示談金や慰謝料の相場|示談交渉の流れや解決事例を紹介
痴漢行為をした場合、その場で現行犯逮捕されたり、被害の訴えを聞いた警察官の捜査により逮捕される可能性があります。
痴漢行為で逮捕されれば、10~20日間の身柄の拘束や実名報道、公開の刑事裁判になり有罪や前科となる可能性、そして失職や家族の信頼を失うリスクがあります。
痴漢行為をした場合は、被害者に謝罪を行い、示談交渉を行うことが重要です。
この記事では、痴漢における示談や示談金の相場など以下の点について解説します。
- 痴漢における示談の意味やメリット
- 痴漢事件の示談金の相場と示談交渉の流れ
- 実際の解決事例

逮捕から起訴・不起訴の決定までは最大でも23日しかありません。この間に被害者への謝罪と、示談金のお支払いをする必要があります。示談交渉をお考えの方はお早めにご相談ください。


目次
痴漢における示談のメリット
示談とは、トラブルの当事者同士が裁判以外で話し合い、不法行為に対して加害者が被害者に示談金を支払って解決することです。
民法上は、故意や過失によって、他人の権利・身体や名誉などを侵害した場合に、生じた損害を賠償する責任を負います。
示談が成立することで、こうした民法上の問題を解決したことになります。
刑事事件においても、被害者の被害がある程度回復されたことや、被害者の処罰感情が薄れたことで、刑事処分が軽くなる可能性があります。
以下では、痴漢における示談のメリットをいくつか解説します。
逮捕の回避
痴漢行為で逮捕されておらず、被害者と知り合いの場合は、被害者が警察に被害を訴える前に、謝罪や示談を行うことで、事件化せずに済む可能性があります。
被害者が被害届や告訴状を提出した後でも、速やかに示談が成立すれば、警察の判断によっては、事件解決を理由に逮捕しないこともあります。
早期釈放
痴漢行為で逮捕された場合、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると、そのまま10~20日間、留置場に身柄を拘束されます(勾留)。
一度勾留されてしまうと、10~20日間、会社や学校へ行くことはできず、事件を隠し通すのも難しくなるなど、私生活への影響も避けられなくなります。
しかし、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分となり早期に釈放される可能性があります。
不起訴の獲得
示談の成立は、不起訴を獲得する上でも有効です。検察官は被疑者を起訴するか不起訴にするかの判断に際して、被害者の処罰感情を考慮します。
被害者が犯人の処罰を強く求めていれば検察官は起訴に傾きやすく、処罰感情が和らいでいると判断できれば不起訴になる傾向があります。
もちろん、示談の成立のみで必ずしも不起訴処分になるとは限りませんが、被害者がいる犯罪では、示談の成否が重視されます。
示談によって、被害者が加害者を許す意思を示していれば、不起訴獲得の可能性は高まるでしょう。
前科の回避
不起訴を獲得できれば、前科がつくことはありません。反対に、一度起訴されると高い確率で前科が付きます。
日本では、起訴された場合の有罪率が99%を超えると指摘されます。
これには執行猶予付きの有罪判決が含まれ、執行猶予が付いても前科になることに変わりありません。
前科を付けないためには起訴されないことが肝要で、起訴されないために重要なのが被害者との示談です。
刑の減軽・執行猶予
痴漢事件で起訴された場合でも、示談の成立が重要なことに変わりありません。
痴漢の被疑事実を認めている場合、刑事裁判では刑の減軽や執行猶予付きの判決を求めていきます。
量刑にあたっては、裁判官も検察官と同様、被害者の処罰感情を考慮します。示談が成立していれば、刑の減軽や執行猶予の獲得に有利です。
被害者は慰謝料を受け取れる
示談は、被害者にとってもメリットがあります。痴漢は、民法上の不法行為に該当するため、加害者に対して、精神的苦痛に対する慰謝料の請求が可能です。
しかし、慰謝料を請求するには、自分で加害者と交渉を行うか、裁判を起こすなどして支払いを求める手間がかかります。
一方で、加害者から示談の申し入れがあれば、被害者側から請求を行う手間はかかりません。
ただし、加害者と直接示談交渉を行うことは推奨できません。別のトラブルに発展するリスクもあるため、加害者側の弁護士を交渉を行った方が安全です。
さらに、示談成立により、刑事処分が軽減されるデメリットもあるため、交渉相手の弁護士と相談して、応じるか否か判断するのでもよいでしょう。
痴漢事件の示談金相場
痴漢の示談では、示談金が必要になります。しかし、痴漢の示談金は、個々の事案や悪質さ、被害者の受けた被害の程度や処罰感情、双方が合意するかどうかによって異なります。
目安としては以下のとおりです。
- 迷惑防止条例違反に該当する場合の相場:10~50万円程度
- 不同意わいせつ罪・強制わいせつ罪に該当する場合の相場:50~150万円程度
- 不同意性交等罪に該当する場合の相場:100~300万円程度
なお、示談金には以下の金額が含まれます。
- 治療費(被害者がケガをした場合)
- 休業損害(被害者が事件によって仕事を休んだ場合)
- 精神的苦痛に対する慰謝料
交通機関などで服の上から女性の身体を触る痴漢行為では、相手がケガをせず、治療費や休業損害が生じない可能性はあります。
一方、路上痴漢で女性を押し倒すなどし、相手にケガを負わせれば、治療費や休業損害がかかる可能性があります。
ある程度の相場を紹介しますが、あくまでも目安である点には注意が必要です。
痴漢が迷惑防止条例違反にあたる場合
痴漢行為は、行為の内容によって、各都道府県の迷惑防止条例に抵触する場合と、刑法に該当する場合があります。痴漢行為の内容や悪質性によって、示談金の相場は異なります。
例えば、迷惑防止条例に違反する痴漢行為の示談金の相場は、10~50万円程度です。
迷惑防止条例違反の法定刑は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金であるため、この金額が1つの目安と考えられています。
もっとも、示談金の額に法定の上限はありません。被害者が未成年のケースなど、場合によっては50万円を超えることも想定されます。
迷惑防止条例は各都道府県によって内容や罰則に違いはありますが、東京都の場合、同条例第5条で、公共の場所または公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から、または直接に人の身体に触れることを禁止しています。
例えば、混雑した電車内で、衣服の上から身体に触れたような痴漢行為の場合は、迷惑防止条例違反が適用される可能性があります。
痴漢が不同意わいせつ・強制わいせつにあたる場合
痴漢行為が不同意わいせつ罪や強制わいせつ罪にあたる場合の示談金の相場は50~150万円程度が目安です。
強制わいせつ罪は、法改正により、2023年7月から不同意わいせつ罪となり、犯罪の構成要件も変わりました。
法改正前の2023年7月13日以前の痴漢行為は強制わいせつ罪、法改正以降の痴漢行為は、不同意わいせつ罪で処罰されることになります。
不同意わいせつ罪 | 相手の同意がない状態で体、胸などを触ったり、性器を触らせたりした場合に成立する |
強制わいせつ罪 | 暴行や脅迫を用いて無理やりわいせつな行為を行った場合に成立する |
以下のような痴漢行為の場合は、不同意わいせつ罪や強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
- 下着の中に手を入れて性器を触る
- 計画的に痴漢行為を繰り返す
- 路上で突然抱きつく など
痴漢が不同意性交等罪に当たる場合
痴漢行為が不同意性交等罪や強制性交等罪に当たる場合の示談金の相場は100~300万円程度です。
強制性交等罪も、法改正により2023年7月から不同意性交等罪となり、犯罪の構成要件が変わりました。
不同意性交等罪は、同意がなく性交等を行った際に成立する犯罪です。一般的に、体に触れる痴漢行為は、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪が成立します。
しかし、被害者の性器に手指を挿入するなどした場合は、さらに重い不同意性交等罪が成立する可能性があり、実際に起訴され処分を受けた事例があります。
被害者が未成年の場合
痴漢行為の被害者が未成年の場合も、示談金が高額になる可能性があります。
被害者が未成年の場合、示談交渉に臨むのは通常、被害者の親です。被害者が未成年のケースでは、そもそも示談交渉に応じてもらえないことも珍しくありません。
自身の子に対する犯罪行為については、親の処罰感情が厳しくなるのが普通で、被害者が成人の場合よりも高い示談金を支払うケースが多いです。
痴漢の示談金相場を決める要素
前述のとおり、痴漢の示談金は、痴漢行為の内容や適用される罪、そして以下のような要素によっても異なります。
- 痴漢行為の悪質さ:痴漢行為の内容、痴漢行為を行った時間、計画性、頻繁に行われているかどうか
- 痴漢による被害の程度:被害者が受けた苦痛や損害の程度(痴漢行為により精神的疾患が発症したなど)
- 被害者の処罰感情
- 被害者の年齢:被害者が若年であるほど示談金は高額になる傾向がある
さらに、示談は双方の交渉で納得できる金額・内容でなければ示談は成立しません。
そのため、加害者が逮捕されている場合や、起訴が見込まれる事案、加害者の資力や社会的地域により、損失を抑えたい場合などに、示談金が高めに設定されることもあります。
痴漢事件の示談交渉は弁護士に任せた方がよい理由
痴漢事件の被害者の連絡先がわかるのであれば、加害者が被害者と直接示談交渉を行うことも不可能ではありません。
ただし、自分で示談交渉を行うと以下のようなリスクが生じます。
- 被害者の連絡先がわからない場合、交渉を申し入れることができない
- 被害者が拒否する可能性がある
- 適切な示談金がわからず、高額な示談金を支払うことになる
- 示談交渉で別のトラブルに発展するリスクがある
- 適切な示談書を作成・検察に提出できないことで起訴される など
以下では、痴漢の示談交渉を弁護士に依頼した方がよい理由を解説します。
被害者の連絡先を教えてもらいやすい
痴漢事件の被害者の連絡先がわからなければ、示談交渉を申し入れることすらできません。
連絡先がわからない場合は通常、捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらいます。
ただし、弁護士以外が捜査機関に被害者の連絡先を尋ねても、捜査機関が教えることはないでしょう。
捜査機関は弁護士から示談の意向が示されると、被害者の意思を確認し、被害者の承諾を得た上で、弁護士に連絡先を伝えます。
被害者の気持ちに配慮しながら交渉できる
痴漢事件に遭った被害者には、加害者に対する恐怖心や怒りの感情が残っています。示談交渉で被害者のこうした感情への配慮を欠いては、示談の成立は見込めません。
示談交渉に精通した弁護士は被害者の気持ちに配慮しながら交渉し、示談を円滑に進められます。
適切な金額で示談できる
弁護士が示談交渉すれば、適切な金額で示談交渉ができます。事件に応じた示談金の相場を知らなければ、軽微な事案でも示談金が高額となる可能性があります。
示談交渉では適正な金額で合意を得ることも重要で、弁護士は事件の内容に照らして相応な示談金の額を提示します。
時間をかけずに和解を得られる
逮捕の回避や早期釈放などを実現するには、交渉に迅速さも求められます。
弁護士は被害者への連絡から示談金額の提示、示談書の作成といった一連の手続きに精通しており、時間をかけずに被害者と和解できます。
示談成立後のトラブル回避
弁護士が示談交渉すれば、示談成立後に当事者間でトラブルが起きるのを回避できます。
示談交渉では、加害者が被害者に支払う示談金の額を決めるだけではなく、被害届・告訴状の扱いなどについても話し合います。
示談交渉で合意したことは書面にし、示談書を作成します。
弁護士を介さず、当事者同士で示談交渉すれば、後になって合意事項に対する認識に齟齬が生じたり、示談書の記載内容に不備があったりするおそれがあります。
こうした認識の齟齬や手続き上のミスは、合意事項の不履行といったトラブルに発展しかねません。弁護士は示談成立後にトラブルが起きないよう、綿密に示談交渉を進めます。
示談不成立でも他の方法で対処できる
被害者が示談に応じなかった場合や、示談金が高額で支払いができなかった場合は、弁護士が対応することで、別の対策を講じることができます。
例えば、以下の方法が考えられます。
- 供託制度の利用や贖罪寄付を行う
- 痴漢行為を繰り返してやめられない場合は、再犯防止策として性依存の治療を受ける など
供託とは、被害者が示談金の受け取りを拒否している場合に、法務局に賠償金相当額を預ける手続きのことを指します。
供託を行えば、被害者は後からその金銭を受け取ることができ、加害者側も損害賠償の意思を示したと評価される場合があります。
被害者のいる犯罪では、示談を成立させ、被害者の被害を回復し、許しを得ることが重要です。
しかし、被害者と示談ができない場合に、供託制度の利用や、犯罪被害者支援団体への寄付、再犯防止策を行うことで、刑事処分が軽くなることがあります。
痴漢事件の示談交渉の流れ
痴漢事件の示談交渉の流れは以下のとおりです。
- 刑事弁護を依頼する
- 警察に被害者の連絡先を教えてもらう
- 示談交渉をする
- 示談書の作成
- 示談書に署名・押印
- 示談金支払い
- 示談書のコピーを捜査機関に提出
それぞれについて詳しく解説します。
弁護士に依頼する
痴漢の示談交渉を行う際は、弁護士に依頼することが必要です。
前述のとおり、被害者が知人ではない限り、示談交渉のための連絡先を入手する手段がありません。
弁護士であれば連絡先を教えてもらう方法があるため、まずは痴漢行為などの性犯罪の事件に詳しい弁護士に相談し、正式に依頼するところから始めましょう。
警察に被害者の連絡先を教えてもらう
刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、捜査機関に示談の意向があることを伝えます。
捜査機関は被害者に対して、弁護士に連絡先を教えてもよいか確認を行い、被害者の同意が得られた場合のみ、弁護士に対して連絡先が開示されます。
警察から加害者本人に連絡先を伝えることはありません。これは、被害者の安全を守るための措置です。そのため、被害者と示談交渉を行うには、弁護士に依頼する必要があるのです。
示談交渉をする
連絡先を教えてもらった弁護士はすぐに被害者に連絡し、示談交渉を開始します。痴漢の示談交渉では以下の内容を話し合います。
- 被害者への謝罪
- 示談金の金額
- 被害届や刑事告訴上の扱い
- 加害者を許してもらうことができるか
被害届や告訴状については、被害者がすでに被害届や告訴状を警察に提出しているかどうかで異なります。
被害届も告訴状も、犯罪被害に遭った事実を捜査機関に申告する点は同じですが、告訴状は犯人の処罰を求める意思を示す点が、被害届とは異なります。
警察は告訴状を受理すると、速やかにこれに関する書類および証拠物を検察官に送付しなければならない(刑事訴訟法第242条)と定められています。
痴漢事件の被害者が被害届・告訴状をまだ警察に提出していない段階での示談では、被害届・告訴状を今後も提出しないことで合意できるかがポイントです。
一方、すでに被害届・告訴状が提出されている場合は、被害届・告訴状を取り下げてもらえるかが示談交渉のポイントになります。
加えて、示談金の額や被害届・告訴状の扱いを決めた上で、宥恕(ゆうじょ)条項を入れられるかも重要です。
宥恕には許すという意味があり、この条項で被害者が加害者を許す意思を示してもらいます。
示談書の作成
示談交渉によって被害者・加害者双方が納得できる内容が決まれば、合意事項を書面にし、示談書を作成します。
示談書を作成することで、合意内容を明確化することで、後からトラブルとなるのを防止します。
例えば、被害届や刑事告訴の取り下げが盛り込まれているのに、示談金を支払っても取り下げられないなどの事態を防止するためです。
さらに、示談書のコピーを検察に提出する必要もあるため、作成しておくことが重要です。
示談書には以下の内容を盛り込むのが一般的です。
- 痴漢事件の概要
- 加害者から被害者に対する謝罪
- 合意した示談金の金額・支払い方法・支払い期限
- 被害者が告訴や被害届を取り下げる旨、加害者を宥恕すること
- 痴漢の示談金以外で支払い義務などがないこと
- 第三者に事件を口外しないこと など
他にも、示談条件として、加害者が被害者に接触しないことや、加害者が利用する路線の変更などを盛り込むこともあります。
示談書に署名・押印
示談書が作成できれば、最後に双方が署名・押印し、示談書は完成です。痴漢事件の示談で被害者と加害者が直接会うことは原則ありません。
通常、加害者側の署名・押印は代理人を務める弁護士が行います。
示談金支払い
示談書を取り交わした後は、双方が合意事項を履行します。
加害者側は実際に示談金を支払う必要があり、金額や支払い方法、支払い先、支払い期限などは通常、示談書に記載されています。期日を守って、合意事項を履行することが重要です。
示談金の支払い方法は、示談の際に現金で一括で支払う方法や、銀行経由で振り込みを行う方法、弁護士に示談金を預けて支払う方法などさまざまです。
しかし、被害者の意向を尊重した方法で、支払う形になります。
銀行振込で支払った場合は、振込明細書、現金を渡した場合は領収書をもらい保管しておいて、検察に提出します。
示談書のコピーを捜査機関に提出
最後に、弁護士が示談書のコピーや振込明細書、領収書などを捜査機関に提出します。
示談書の中で、被害者が加害者を許す意思を示していれば、加害者に有利な情状となります。
弁護士が早期釈放や不起訴処分を求める意見書を一緒に提出して、釈放や不起訴処分となることもあります。
示談書は刑事裁判になった場合に証拠にもなり得るため、大切に保管しておきましょう。
ネクスパート法律事務所が痴漢事件を解決した事例
以下では、実際にネクスパート法律事務所の痴漢事件の解決事例を紹介します。
未成年者へのわいせつ行為・同種前歴2犯で不起訴を獲得した事例
ご依頼者は、電車内で未成年者に対するわいせつ行為で逮捕されました。
翌日には釈放されたものの、その後在宅のまま捜査が継続され、同種前歴が2件あることから、起訴の可能性が極めて高い状況でした。
不起訴を目指して弁護を受任し、弁護士が被害者側と交渉を開始しました。
被害者が未成年であったため、交渉の相手は親権者となりましたが、当初は示談に応じる意思がなく、処罰感情も強い状況でした。
しかし、粘り強く話を重ねる中で、加害者が今後一切接触しないのであれば示談を検討してもよいとの意向が得られました。
これを受け、ご依頼者は遠方の実家へ戻ることを決断。実際に住民票の移転や賃貸契約の解約を行い、それを裏付ける書類を揃えて、加害者が再接触する意思がないことを証明しました。
その結果、示談が成立し、被害者の親権者からも、裁判にはしたくないという希望が示されたため、検察には被害者側の意向も含めて報告し、不起訴処分を得ることができました。
ご依頼者やそのご両親だけでなく、被害者の母親の方にも、対応を喜んでいただけました。
路上でのわいせつ行為・勾留を回避して不起訴処分を獲得した事例
依頼者のご子息が、路上で通行中の女性に対し、衣服の上から陰部を触るなどのわいせつ行為で後日逮捕されました。
大学の試験期間中であったため、長期拘束により留年のおそれがある状況でした。
弁護士は速やかに勾留決定に対して準抗告を行い、同時に被害者との示談交渉を開始しました。
交渉の結果、被害者の転居費用などを含めた示談金75万円で合意が成立しました。
ご子息が被害者の連絡先を知らず、証拠隠滅の可能性も低いと判断されたことで、準抗告が認められ、早期釈放が実現しました。
その後不起訴処分となり、進学への影響も最小限にとどめることができました。
痴漢行為で逮捕されたものの示談成立により不起訴処分を獲得
通勤中の電車内で、男性が女性から痴漢を指摘され、迷惑防止条例違反の容疑で鉄道警察に逮捕されました。
状況を知った奥様が当事務所にご相談に来られました。
ご本人は公務員であり、長期間の欠勤による懲戒処分や失職のリスクがあることから、早急な釈放が求められました。
弁護士がすぐに対応し、奥様を身元引受人としたうえで、通勤経路の変更などの再発防止策を提示し、早期に身柄解放が実現しました。
その後ご本人からも事情を確認し、被害者との示談交渉を進めました。
最終的に身体的な接触があった可能性があり、不快な思いをさせてしまったことを謝罪し、50万円で示談が成立しました。
さらに、検察に対して無罪を裏付ける証拠資料を追加提出し、最終的に不起訴処分を獲得することができました。
このように、痴漢事件では早期の対応と被害者との丁寧な示談交渉が、前科や処分を回避するために極めて重要です。
ご家族が痴漢で逮捕された場合や、痴漢事件で被害者との示談を希望する場合は、早い段階でネクスパート法律事務所にご相談ください。
痴漢の示談でよくある質問
痴漢で示談をしないとどうなる?
痴漢で示談をしない場合、勾留が長引き、起訴されたり、刑事処分が下されたり、前科がつくことになります。
迷惑防止条例違反の場合は、罰金刑となる可能性がありますが、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪の場合、罰金刑は定められていません。
そのため、実刑判決が下されることも考えられます。
示談が成立しなくても、比較的軽微な事案では、起訴されないことも考えられますが、起訴されてしまうと高確率で有罪となり前科がつきます。
特に、医師や公務員の場合は、一定以上の刑罰となると免許取り消しや欠格となる可能性があるため、被害者に謝罪をして示談するのが望ましいです。
痴漢の示談を持ちかけられたら応じるべき?
被害者、もしくは、加害者本人から痴漢の示談を持ちかけられても、簡単に応じるのは危険です。
例えば、被害者側から加害者側に示談を持ちかけてきた場合に、双方で適切な示談金がわからないことで、示談金が高額になったり、不利な条件で示談したりする可能性があります。
一方で、加害者本人から被害者へ示談を持ちかけられた場合も、加害者から脅迫行為を受けたり、別のトラブルに発展したりするリスクがあるため、推奨されません。
双方トラブルに遭うリスクがあるため、弁護士を通じて示談交渉を行うようにしてください。
痴漢の示談で高額を設定されたら対処法は?
痴漢の示談交渉では、示談の行く末によっては刑事処分を受ける可能性がある加害者は弱い立場にいます。
示談は、被害者が納得しなければ成立しないためです。場合によっては、想定よりも高い金額で示談が必要となることもあります。
ただし、今後の処分の見通しや、示談金の負担なども考慮して、示談に応じるかどうか判断することが重要です。
さらに、金銭的な負担が大きく示談金が支払えない場合は、分割払いの交渉、示談が成立できない場合は、供託制度や贖罪寄付などを行うことも考えられます。
金銭的な負担が難しい場合は、それも含めて弁護士に相談し、適切な対応を行うことが重要です。
痴漢で問われる罪と罰則は?
痴漢では迷惑防止条例違反、不同意わいせつ罪、強制わいせつ罪、不同意性交等罪などの罪が問われる可能性があります。
それぞれの罰則は以下のとおりです。
罪 | 罰則 |
迷惑防止条例違反 | 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
※東京都の場合で、各都道府県の条例によって異なる。 |
不同意わいせつ罪 | 6か月以上10年以下の拘禁刑
強制わいせつ罪の場合は、6か月以上20年以下の懲役 |
不同意性交等罪 | 5年以上の有期拘禁刑 |
不同意わいせつ罪や不同意性交等罪には、罰金刑がありません。場合によっては、実刑判決が下されるおそれがあります。
まとめ
痴漢事件の示談金の相場は、以下のように適用される罪名によっても異なります。
- 痴漢行為が迷惑防止条例違反にあたる場合:10~50万円程度
- 不同意わいせつ罪や強制わいせつ罪にあたる場合:50~150万円程度
- 不同意性交等罪にあたる場合:100~300万円
もっとも、被害者が未成年のケースなどでは示談金額が相場よりも高くなる可能性があり、個別の事例に応じて示談金の額は異なります。
示談金が高騰したり示談後にトラブルが生じたりするのを防ぐには、示談交渉を弁護士に任せた方がよいでしょう。
弁護士を立てた方が被害者も示談に応じやすく、交渉が円滑に進みます。痴漢事件で被害者と示談したい方は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。