大麻再犯で逮捕|刑罰はどうなる?

大麻による検挙人員の割合は10代・20代が4割強を占め、若年層の比率が高い犯罪です。最近では30代・40代においても乱用が拡大しています。大麻の同一罪名再犯者の割合も平成28年には10年前と比べ約2倍となりました。

この記事では、大麻再犯で逮捕された際の刑罰や、再犯防止対策について解説します。

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大麻の再犯率

令和3年版犯罪白書によると大麻取締法違反の成人検挙人員中の同一罪名再犯者率は平成27年以降概ね横ばい状態で推移し、令和2年は少々減少し23.7%ました。

同白書の統計によると大麻取締法違反者は平成13年から平成21年までは概ね増加していましたが、平成22年から平成25年までは減少、平成25年頃から再度増加しています。同一罪名検挙歴なし数の増加が大きいため再犯者率は減少傾向にありましたが、実際の再犯者数は増加しています。

備考 再犯の定義について

刑法第56条に再犯とはどのようなものか規定されています。

刑法第56条 懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。

引用:e-GOV法令検索

これによると、刑法上の再犯の要件は以下3つです。

  • 懲役に処せられた者
  • 刑の執行を終わった日または刑の執行の免除を得た日から5年以内
  • 更に罪を犯した

一方、犯罪白書では、再犯とは、刑法犯により検挙された者のうち、前に道路交通法違反を除く犯罪により検挙されたことがあり、再び検挙された者とされています。

この記事は、前科(罰金を含む)がある人が再び犯行をしてしまった場合、どう対応するのかを伝える目的で執筆されています。そのため、記事内での再犯の定義を「以前罰金を含む何らかの罪で検挙されたことがあり再び検挙された者」とします。

刑法での再犯の定義(懲役に処せられた者が更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するとき、再犯とする)とは意味が異なる点をご了承ください。

再犯者に対する刑の加重(刑法第57条)

刑法では再犯者に対しては刑を加重できると規定しています。

刑法第57条 再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。

引用:e-GOV法令検索

再犯加重は、最低限は法定刑のままで、最高限は法定刑の2倍以下とすると規定されています。

大麻取締法違反の場合、行為によって罰則が異なります。大麻取締法で禁止されている行為は4つあります。

大麻取締法第24条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。

同法第24条の2 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。

引用:e-GOV法令検索

再犯行為の内容

刑罰

大麻栽培 14年以下の懲役
営利目的の大麻栽培 20年以下の懲役
大麻所持、大麻譲受 10年以下の懲役
営利目的の大麻所持、大麻譲受 14年以下の懲役

大麻取締法違反再犯の罰則

大麻取締法違反再犯の場合の罰則がどうなるかについて解説します。

大麻再犯の時期による違い

大麻再犯の罰則は、再犯を行った時期により前の罪との関係で違いがでてきます。以下、解説します。

執行猶予中の大麻再犯

前の罪において執行猶予が付けられ、執行猶予期間中に更に大麻取締法違反を犯した場合について解説します。

執行猶予期間中の大麻取締法違反の罪に、再び執行猶予がつくこともありますが、その要件は厳しいです。

具体的には以下3つの要件を満たさなければなりません。

  • 言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮であること
  • 特に酌量すべき情状があること
  • 前科について保護観察がつけられ、その期間中に再犯をしたのではないこと

上記要件を満たさない場合には、執行猶予が付かず実刑判決が言い渡されます。一般的に、執行猶予中の再犯の場合には、厳しい判決が予想されます。大麻取締法に違反し実刑判決が言い渡されると、前の罪の執行猶予が取り消され、前の刑罰と合わせた期間刑務所に収容されます。

執行猶予期間終了から5年以内の再犯

前の罪の執行猶予期間が終了すると、刑務所に入ることなく事件が終了します。前の罪に関しては終了していますが、執行猶予期間終了後すぐの再犯の場合には、起訴されて正式裁判になる可能性が高くなります。

再犯で実刑判決が言い渡された場合、前の罪の刑罰(執行猶予期間)は終了しているので、再犯で言い渡された期間だけ刑務所に収容されます。大麻再犯の場合には再度の執行猶予が付けられる可能性は低いです。

執行猶予期間終了から数年~10年後の再犯

前の罪の執行猶予期間が終了してから数年以上経過した後の再犯の場合には、前の罪についてあまり考慮されません。態様によっては大麻取締法に違反する場合も執行猶予になる可能性があります。

実刑判決を受け、その執行を終わった日から5年以内の大麻取締法違反の再犯

前の罪で実刑判決を言い渡された場合、刑の執行が終われば前の罪は終了します。再犯で実刑判決を言い渡されると、言い渡された期間だけ再度刑務所に収容されます。再犯のためより重い刑罰を言い渡される可能性があります。

略式命令後5年以内の再犯

略式命令も前科です。略式命令で科される刑は罰金刑のみで、罰金を納めるとその場で終了となります。略式命令後の再犯の場合も、前の刑終了後の再犯となるため、大麻取締法違反再犯の刑の言い渡しに執行猶予が付けられる可能性もあります。

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大麻再犯で在宅事件になる?

ポイント 大麻は逮捕後身柄拘束されることが多いです。

困っている人
困っている人
大麻再犯で在宅事件になる見込みはありますか?
在宅事件になる見込みがないわけではありませんが、身柄拘束されることが多いです。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

身柄拘束の必要性

身柄を拘束するためには身柄拘束の必要性、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれという要件が必要です。これらの要件が無い場合には身柄を拘束できないため、在宅事件となります。

刑事訴訟法第60条第1項 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の1にあたるときは、これを勾留することができる。

1 被告人が定まった住居を有しないとき。

2 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

3 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

引用:e-GOV法令検索

大麻事犯の場合には隠している大麻を捨てたり売人と口裏合わせをしたり、売人の手引きで居所不明になるなど、証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがあると判断され、身柄を拘束される可能性が高いです。

特に営利目的の大麻所持・譲受の場合には身柄が解放される可能性は低いです。

大麻事件の逮捕については以下の記事をご参照ください。

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大麻再犯で起訴される?

ポイント 大麻は起訴される可能性が高いです。

困っている人
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大麻再犯だとやはり起訴されますか?
起訴される可能性が高いです。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

前科が大麻取締法とは全く関係のない罪の大麻再犯の場合と、前科も大麻取締法違反の罪で同一罪名再犯の場合かで、起訴不起訴の判断が分かれます。

大麻取締法違反の場合の起訴率は初犯で50%前後です。大麻の事件における起訴不起訴の判断は、大麻の所持量、反省の程度などが考慮されます。

前科が大麻取締法とは全く関係のない罪だった場合で、再犯が大麻の少量所持であり、真摯に反省をしている場合には不起訴になる可能性があります。

前科も大麻取締法違反の罪で、同一罪名再犯の場合には起訴される可能性が高くなります。

起訴については以下の記事をご参照ください。

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大麻再犯で実刑になる?

ポイント 更生や反省が期待できない場合には実刑判決になる可能性が高いです。

困っている人
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大麻再犯で実刑になりますか?
はい。実刑になる可能性があります。大麻事犯は初犯でも執行猶予になる場合が多いため,再犯の場合は実刑の可能性が高いです。
寺垣弁護士
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非営利目的の場合

前科が大麻取締法違反で執行猶予になり、再犯が大麻所持、譲受、栽培等が少量でかつ非営利目的であれば実刑にならない可能性があります。

前科が大麻取締法違反で実刑判決を受けていた場合には、大麻所持、譲受、栽培等が少量であっても実刑になる可能性があります。

営利目的の場合

前科が大麻取締法違反で執行猶予になり、再犯が大麻所持、譲受、栽培等が少量であっても営利目的の場合には実刑になる可能性があります。

前科が大麻取締法違反で実刑判決を受けていた場合には、大麻所持、譲受、栽培が営利目的の再犯の場合はほぼ実刑になります。

大麻再犯で執行猶予は得られる?

ポイント 営利目的ではない場合には執行猶予が得られる可能性があります。

困っている人
困っている人
大麻再犯で執行猶予は得られますか?
目的により得られる可能性があります。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

非営利目的の場合

前科が大麻取締法違反で執行猶予になり、再犯が大麻所持、譲受、栽培等が少量でかつ非営利目的であれば再度執行猶予が得られる可能性があります。

前科が大麻取締法違反で実刑判決を受けていた場合には、大麻所持、譲受、栽培等が少量であっても執行猶予は得られない可能性が高いです。

営利目的の場合

前科が大麻取締法違反で執行猶予になり、再犯が大麻所持、譲受、栽培等が少量であっても営利目的の場合には執行猶予が得られる可能性は低いです。

前科が大麻取締法違反で実刑判決を受けていた場合には、大麻所持、譲受、栽培等が営利目的の再犯の場合にはほぼ実刑になります。

執行猶予に関しては以下の記事をご参照ください。

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大麻再犯で懲役刑になる?

ポイント 大麻取締法違反再犯の場合は懲役刑になる可能性があります。

困っている人
困っている人
大麻再犯の場合懲役刑になりますか?
大麻には常習性があるため大麻再犯の場合には懲役刑になる可能性が高いです。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

非営利目的の場合

前科が大麻取締法違反で執行猶予になり、再犯が大麻所持、譲受、栽培等が少量でかつ非営利目的であれば再度執行猶予が得られる可能性があります。

前科が大麻取締法違反で実刑判決を受けていた場合には、大麻所持、譲受、栽培等が少量であっても懲役刑になる可能性が高いです。

営利目的の場合

前科が大麻取締法違反で執行猶予になり、再犯の大麻所持、譲受、栽培等が少量であっても営利目的の場合には懲役刑になる可能性は高いです。

前科が大麻取締法違反で実刑判決を受けていた場合には、大麻所持、譲受、栽培等が営利目的再犯の場合にはほぼ懲役刑になります。

大麻の再犯を防止するには

ポイント 大麻事件は再犯の可能性が高いです。再犯防止のポイントは、弁護士に依頼し再犯防止策を立てることです。

弁護士に依頼する

大麻は常習性があるため、被疑者・被告人本人が自分でなんとかしようとしてもどうしたらよいのか分からないことが多いです。弁護士は、再犯防止サポートについて様々な情報等を持っています。弁護士として法的な観点からのサポートもします。

継続的な治療を受ける

大麻は常習性があるため、一旦断ったと思っていてもなんらかのきっかけで再度始めてしまうことがあります。再び手を出すことが無いように、専門の医療機関を受診し、その後も継続的に治療を受け続ける必要があります。

周囲の環境を整える

大麻を入手するルートを断ち切れなければ再び大麻に手を出してしまう可能性が高いです。

本人の友人関係やネット関係の調査等もして大麻との関わりを全て断絶できるように、家族や親族が一丸となったサポートが大事です。

大麻再犯の刑事弁護の方針とサポート内容

ポイント 再犯防止策を立て、社会復帰への道筋を作り、執行猶予を目指します。

大麻再犯の最終的なゴールは大麻から立ち直り社会復帰を目指すことです。そのため弁護士がどのような弁護活動をするかお伝えします。

大麻再犯をした場合の弁護方針

大麻の再犯の理由が自己使用の場合には、今後二度と大麻やその他薬物犯罪をしないことが不起訴を獲得するための、あるいは実刑を回避するためのポイントです。

  • 被疑者・被告人本人が心から反省すること
  • 再犯防止に向けて薬物依存の治療のため専門の医療機関に通院すること
  • 薬物から抜け出すため更生施設に通うこと
  • 薬物を入手できないように交友関係を断ち切ること
  • 家族等に監督してもらうこと など

主に上記のような取り組みのサポートをします。これらの取り組みの状況を意見書にして検察官や裁判所に提出し、不起訴の獲得や執行猶予付き判決を目指します。

大麻の再犯の理由が営利目的の場合には、実刑判決の回避が困難です。被告人が収書後すぐに社会復帰できるように環境を整えるサポートをし、刑の減軽を目指す弁護活動をします。

執行猶予を目指す

大麻の再犯の理由が自己使用の場合には、執行猶予を目指せます。今後二度と大麻やその他薬物犯罪をしないことが執行猶予を目指すためのポイントです。

薬物との関係を断ち切るため専門の医療機関で治療を受け、更生支援団体に通い、家族の監護下において生活します。

まとめ

大麻の再犯は、被疑者・被告人が心から反省し今後二度と薬物を使用しないことが不起訴の獲得、執行猶予付き判決の獲得、あるいは刑の軽減の獲得のカギとなります。大麻再犯で逮捕された場合には再犯防止対策を立て、家族の協力を求めその監護下で生活するために早期に弁護士に依頼し、サポートを受けることをお勧めします。

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