逮捕歴とは|逮捕歴が及ぼす影響について解説

「逮捕歴」という言葉は、世間では有罪のイメージが大きいです。

テレビ等では、まず逮捕されたことが報道されます。逮捕後の捜査によって不起訴処分になりますが、起訴され有罪判決を受けても、大きな事件でなければ報道されません。

成人の場合は実名報道されるので周囲の人々に知られ、不起訴になったとしても不利益を被ります。

この記事では逮捕歴・前歴・前科の違いや、周囲に与える影響について解説します。

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逮捕歴・前歴・前科の違い

テレビのニュース等で逮捕や前歴、前科という言葉を聞くことがありますが、どんな違いがあるのでしょうか。ここでは、逮捕歴・前歴・前科の違いについて解説します。

 

  1. 逮捕歴とは
  2. 前歴とは
  3. 前科とは

 

逮捕歴とは

「逮捕歴」とは、捜査機関に逮捕された履歴です。

 

捜査機関の資料として残りますが、一般人による照会はできません。逮捕されても、誤認逮捕の可能性もあるため、ただちに不利益を被ることはないでしょう。

 

前歴とは

「前歴」とは、捜査機関から被疑者として捜査を受けた履歴です。

 

捜査を受けた結果、不起訴処分となった場合も前歴になります。不起訴処分とは、捜査の対象となった被疑者につき、検察官が公訴を提起しないことにする処分を言います。不起訴処分には、その理由に応じて以下のものがあります。

  • 嫌疑なし

被疑者に対する犯罪の疑いがなくなった場合

  • 嫌疑不十分

犯罪の疑いは残るが、裁判において有罪の証明が困難な場合

  • 起訴猶予

有罪の証明は可能であるが、被疑者の様々な事情を考慮して検察官の裁量に よって起訴しない場合

 

捜査機関の資料として残りますが、逮捕歴と同様に一般人による照会はできません。たとえ不起訴になっても、被疑者として捜査を受けた事実は残ります。

 

不起訴処分が正式に決定すると、「不起訴処分告知書」を取得できます。不起訴処分告知書とは、捜査の対象となった刑事事件について不起訴処分になったこと等が記載されている書面です。

 

不起訴処分告知書を取得する方法としては、①郵送による方法と、②直接交付を受ける方法があります。

①の方法による場合は、申請書に必要事項を記載し検察庁に提出します。②の方法による場合は、直接検察庁に出向き交付を受けます。なお、②による場合、通常、身分証明書と印鑑(シャチハタでないもの)を持参するよう求められます。

 

逮捕されたという情報は周囲に知られ、職場にも影響がでる可能性があります。嫌疑なし等で不起訴になった場合に取得すると、職場に書類を添えて報告できます。

 

前科とは

「前科」とは、刑事裁判で有罪判決を受け、刑罰を受けた履歴のことです。

 

以下が主な有罪判決であり、執行猶予がついても前科になります。

 

  • 死刑
  • 懲役
  • 禁固
  • 罰金
  • 拘留
  • 科料

 

前科の記録は、以下のように管理され、いずれも一般人による照会はできません。

警       察 犯罪捜査の資料
検   察   庁 犯罪捜査の資料、裁判の量刑の資料
本籍のある市区町村 選挙権・被選挙権の有無のための犯罪人名簿の作成

 

逮捕歴等が及ぼす影響

刑事事件を起こし、逮捕歴等がついた場合、今後の生活にどのような影響がでるのか不安になる方もいらっしゃるでしょう。ここでは、仕事や生活に関する影響について解説します。

 

  1. 仕事への影響
  2. 生活への影響

 

仕事への影響

現在の仕事への影響

逮捕歴や前歴は、公務員の欠格事由や資格の取得制限には該当しないので、すぐに仕事ができなくなることはありません。ただし、会社の就業規則等で規定があれば、それに従って処分されます。

 

前科は職業によっては制限があります。詳細については下記の記事をご参照ください。

 

参照:前科により就職が制限される職業について

参照:公務員が犯罪を犯してしまった場合の影響は?法律等の定め

一度禁固刑以上の前科がついても、制限は一生続くものではありません。刑の執行や執行猶予期間が経過すると、資格制限の解除や、失効した資格を再取得できる場合があります。詳細については弁護士に確認しましょう。

 

就職への影響

履歴書やエントリーシートに賞罰欄がある場合、逮捕歴や前歴は記入する必要はなく、会社側に自発的に申告する義務もありません。ただし、前科は記入しなければなりません。

 

詳細については、以下の記事をご参照ください。

 

参照:前科がつくと就職できない?申告義務や欠格事由なども解説

 

生活への影響

学校への影響

未成年者が逮捕された場合、少年法に定められている処分をうけます。就学していれば学校へ連絡が行くので、処分については学校側の判断になるところが多いでしょう。少年法の対象年齢は逮捕時ではなく、処分時の年齢によって判断されます。

 

逮捕された未成年者が14才以上であれば、逮捕され捜査を受けるまでの流れは成人と同じです。14才未満の場合は刑事事件には問われませんが、事件の内容や状況によっては児童相談所に保護されます。

 

家族への影響

逮捕歴等が周囲に知られてしまった場合、家族への影響は少なからずあるでしょう。学校や職場で噂になり、いじめの対象になる可能性もあります。自営業等の場合は、噂が広がり売上が落ち、閉店せざるを得ない可能性があります。

 

結婚への影響

逮捕歴や前歴、前科は戸籍には記載されません。一般人が公的機関へ犯罪歴を照会することはできないため、すぐに結婚に影響することは少ないでしょう。

ただし、重大な犯罪の前科を隠して結婚した場合、発覚時にトラブルに発展する可能性があります。

 

その他

海外への渡航は確認が必要です。あらたなパスポートやビザの発給が制限される可能性があります。

 

ローンを組む時に参照する信用情報機関には、前科や前歴は載っていないのでそれが理由でローンの審査に影響することはありません。ただし、前科等があるために就職が難しく安定した収入がなく支払が滞ったりした場合は、審査に影響がでることはあります。

 

就職できずに、安定した収入がない場合は、生活保護等の社会保障を受けられます。

 

逮捕歴は調べられる?

逮捕歴等は第三者に公開されるものではないため、一般人が調べるのは難しいでしょう。

しかし、実名報道されている場合は別です。ここでは、逮捕歴の拡散と削除について解説します。

 

  1. 逮捕歴はなぜ知られてしまうのか
  2. 逮捕歴は削除できるのか

 

逮捕歴はなぜ知られてしまうのか

逮捕の情報は、テレビやラジオ、新聞の報道だけではなく、インターネットの記事やSNS等にも情報が載ります。その情報を見た人が自分のブログやSNSに投稿し情報が拡散され、多くの人の目に触れる機会が多くなります。

 

特にインターネットやSNSは、投稿が削除されない限り残り続けるので、そこから知られてしまう可能性があります。

 

逮捕歴は削除できるのか

逮捕歴等がインターネット上に残っていると、家族や周囲の人に迷惑をかけてしまいます。では、どうしたら削除できるのでしょうか。

 

逮捕された本人や家族にとっては、個人のプライバシー侵害の問題です。一方、重大な犯罪の場合は危険回避のための情報であるともいえます。

 

掲載しているWebサイトやSNSに削除依頼ができる場合があるので、まずは管理者へ連絡しましょう。ただし、応じてくれるかどうは管理者によるので、必ず削除できるとは限りません。

 

依頼する場合には、以下のことに気をつけましょう。

 

  • 掲載しているサイトの運営方針や目的を確認する
  • サイトのどの部分を削除して欲しいのかを伝える
  • 掲載されていることでどんな不利益を受けているのかを詳細に伝える
  • 依頼する際は感情的にならず丁寧な言葉で依頼する

 

サイトの管理者に削除依頼をしても応じてもらえない場合は、裁判所で記事削除命令の仮処分の申し立てができます。申立書の他に、裁判官が判断するための証拠(疎明資料)を提出します。

 

申立書や供託金も必要なので、手続に詳しい弁護士に相談しましょう。

 

まとめ

逮捕されると、ニュース等で報道されることがあります。場合によっては、有罪判決を受けたことよりも大きく扱われます。捜査の結果不起訴処分になっても、一度報道されてしまうと周囲へ影響が出たり、内容が実際よりも大きく伝わったりすることがあります。

 

刑事事件は、起訴前に示談が成立すれば不起訴の見込みが高まり、起訴後でも処分が軽くなることがあります。どのような解決方法が良いのか、周囲への影響を最小限にするために、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

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